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ANA、16年ぶりのオーストラリア路線、羽田~シドニー線初便をR2-D2 ANA JETで運航

12月11日夜に就航セレモニーを実施

2015年12月11日 就航

 ANA(全日本空輸)は12月11日、羽田~シドニー線の運航を開始した。同社にとってオーストラリア路線の運航は1999年3月まで運航していた関空~ブリスベン~シドニー~関空路線以来16年ぶりとなる。2015年はヒューストン(アメリカ)、クアラルンプール(マレーシア)、ブリュッセル(ベルギー)に続いて、4カ所目の新規就航地。ANAの現在のネットワークとしては39カ所目の就航地となる。

 オーストラリアは日本から毎年30万人ほどが渡航。オーストラリアからの訪日客も過去5年間で3割以上増加し、2014年には30万人を超える来訪があったうえ、2015年1月に日・豪経済連携協定(EPA)が結ばれたことで経済連携も進むと予想されることから、今後の需要拡大を見込んで開設したもの。

 ダイヤは下記のとおりで、往復便とも夜発~朝着とすることで、到着地から先への乗り継ぎ利便性を高めたダイヤを組んでいる。シドニーから先はヴァージン・オーストラリア航空やニュージーランド航空の便を使ってオーストラリア、ニュージーランドの各地へ乗り継げる。

NH879便:羽田(22時10分)発~シドニー(09時35分/翌日)着
NH880便:シドニー(21時30分)発~羽田(05時05分/翌日)着

 運航機材はANA最新鋭のボーイング 787-9型機。ビジネスクラス48席、エコノミークラス167席の計215席を備える。初便の運航機材には、「R2-D2 ANA JET」(登録記号:JA873A)を使用した。

全日本空輸株式会社 代表取締役社長 篠辺修氏

 初便運航日の12月11日、搭乗口となった羽田空港国際線ターミナル109番ゲートで就航セレモニーを実施し、ANA代表取締役社長の篠辺修氏が「オーストラリアは16年ぶりの再開ということで、私どもも期待を大きくもっている」と新路線を紹介。

 日豪間の往来については、「近年はEPAやTPPも含めて、経済活動、交流も盛んになっているので、今後、ビジネスの需要も増えると見込んでいる。観光についても、日本人にとってオーストラリアの観光資源は充実していて魅力的。オーストラリアの皆さんにとっても、例えばこのシーズンのオーストラリアは夏で暑いが、日本は冬に入る。北海道のパウダースノーは評価されて、毎年たくさんの人に来てもらえるようになっており、こうしたお客様をぜひ私どもの青い翼で運びたい。日豪間はビジネスや観光でも、今後もさらに発展すると確信している」とした。

 また、発表会後の囲み取材では、(運休した)16年前までは観光需要も大きく、シドニーまでの長距離路線ではボーイング 747型機などの大型機を利用する必要があったのに対し、ボーイング 787型機などによって需給バランスを調整できるようになったことや、上述のようにビジネス需要が期待できるようになったことを路線再開の理由としている。

 このほか「本日は初便行事ということもあり、飛行機はボーイング 787-9、R2-D2 ANA JET、スター・ウォーズの特別仕様機をご用意した。たくさんのお客様に乗っていただくことになって、R2-D2の飛行機も喜んでいるので、オーストラリアへの旅をご堪能いただければと思う」と使用機材をアピールするとともに、乗客へのメッセージを贈った。

駐日オーストラリア大使 Bruce Miller(ブルース・ミラー)氏

 続いて挨拶した駐日オーストラリア大使 のBruce Miller(ブルース・ミラー)氏は、「ANAがオーストラリアの空に戻ってきたことで、日豪関係に記念すべき1ページが加わったと思う。我が国のアンドリュー・ロブ貿易・投資大臣は、航空サービスこそがオーストラリアの経済発展に欠かせないと述べている。本日の就航で、ANAと我が国の結び付きがさらに深まることを期待している」と就航を歓迎。

 続けて、オーストラリアでは同国訪問者数が710万人と10年間で30%増、オーストラリアからの海外渡航者数も伸びていると説明。「潜在的な需要が見込まれる我が国が、どのような気持ちで今日の日を迎えたかお分かりいただけると思う。ANAが両国のビジネス客を取り込むことで、貿易や投資、さらには観光や教育を中心にした国民同士の交流がより活発になればよいと思う」と、日本~オーストラリア間の新規航空路線が開設されたことによる効果への期待感を述べるとともに、現地で100名の新規雇用を生んだことに対しても喜びを示した。

 さらに、今回の就航に際して、オーストラリアを代表するワイナリー「ウルフブラス」のスパークリングワイン「ゴールドラベル ピノノワール シャルドネ」を提供。グラスに注がれたワインを、搭乗前の乗客にふるまった。

オーストラリア産スパークリングワイン「ウルフブラス ゴールドラベル ピノノワール シャルドネ」を搭乗前の乗客にふるまった

 セレモニーではこのほか、国土交通省 東京航空局 東京空港事務所 東京国際空港長の鈴木昌智氏、東京国際空港ターミナル 代表取締役社長の土井勝二氏も挨拶。

 東京国際空港長の鈴木昌智氏は「ANAがオーストラリアの経済、文化の中心であるシドニーに就航することは、ANAの発展はもとより、観光立国を目指す日本にとっても意義のあることと感じている。羽田空港はいわゆる再国際化から5年が経過したが、成田空港と共にアジアのハブ空港の役割を担ううえでも、ANAのシドニー便就航はさらなる発展の大きな1歩になるものと考えている」と就航の意義について触れたあと、羽田空港の2015年の利用者数が7500万人に達する見込みであることに触れ、同便就航による羽田空港発展への寄与に期待した。

 東京国際空港ターミナル 代表取締役社長の土井勝二氏は、「この羽田~シドニー線には先日(8月1日)カンタス航空も開設し、ANAの就航でダブルデイリーの路線になった。東京とシドニー、広く言えば日本とオーストラリアの人と物の交流に、非常に大きな貢献をすると思っている」と歓迎。

 羽田空港の国際線ターミナルの利用者数については2015年に1300万人程度に達するとの予測値を紹介し、「国際線ターミナル会社としてもサービス面、安全面、施設面でこれからも一生懸命努力して、内外の航空会社の事業あるいは、航空旅客の皆様の利便向上に一生懸命努めて参りたい」と述べた。

国土交通省 東京航空局 東京空港事務所 東京国際空港長 鈴木昌智氏
東京国際空港ターミナル株式会社 代表取締役社長 土井勝二氏
全日本空輸株式会社 女子7人制ラグビー日本代表 横尾千里選手

 セレモニーには、ANA社員であり、女子7人制ラグビー日本代表(通称サクラセブンズ)を務めている横尾千里選手も参加。2015年に行なわれたラグビーのワールドカップで準優勝したことからも分かるとおり、ラグビーはオーストラリアで人気が高く、ミラー大使も大ファンだという。

 女子7人制ラグビー日本代表のサクラセブンスは、アジア予選大会を優勝して、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックへの出場を決めたばかり。「今後も日本代表としてリオで活躍できるよう頑張りたい。オーストラリアは女子ラグビーも盛んで、人気があると聞いている。私自身もいつかこのシドニー線に搭乗して、本場のオーストラリアでラグビーを楽しみたいと思う」とコメントした。

 セレモニーでは、ANA篠辺社長からミラー大使へR2-D2 ANA JETのモデルプレーンがプレゼントされたほか、飛行機に見立てたラグビーボールを横尾選手からミラー大使へパスでのプレゼント。出席者一同による鏡開きが行なわれ、閉幕となった。

ANA篠辺社長からミラー大使へR2-D2 ANA JETのモデルプレーンがプレゼントされた
横尾千里選手からミラー大使へはラグビーボールを“パス”
横尾千里選手とミラー大使
ミラー大使へプレゼントされた2品
鏡開き。左から全日本空輸株式会社 女子7人制ラグビー日本代表 横尾千里選手、全日本空輸株式会社 上席執行役員 東京空港支店長 峯尾隆史氏、全日本空輸株式会社 代表取締役社長 篠辺修氏、駐日オーストラリア大使 Bruce Miller(ブルース・ミラー)氏、国土交通省 東京航空局 東京空港事務所 東京国際空港長 鈴木昌智氏、東京国際空港ターミナル株式会社 代表取締役社長 土井勝二氏

 その後、搭乗を開始した乗客には初便搭乗の記念品も渡された。記念品はハンドタオルサイズのオーガニックタオル2枚セットで、このうち褐色のものはオーストラリアのエアーズロックの褐色土で着色した“彩土(ハニ)染め”のものであるという。

 提供座席数215席に対し乗客は205名と、搭乗率95%を超える盛況となった初便のNH879便は、22時10分に109番スポットを離れ、シドニーへ向けて出発した。

21時45分過ぎより搭乗を開始。篠辺社長や峯尾東京空港支店長らも乗客へ記念品を手渡した
乗客にプレゼントされたオーガニックタオル。褐色のものはエアーズロックの褐色土で着色した“彩土(ハニ)染め”のもの
22時10分にプッシュバックを開始し、R2-D2 ANA JETがシドニーへ出発した

(編集部:多和田新也)