ニュース
NEXCO中日本、“10”がキーワードの新作スイーツを集めて「第5回スイーツコンテスト」開催
「みちまるくん」オリジナルパンも静岡県内SA/PAで限定発売
(2015/7/24 06:00)
- 2015年7月23日 実施
NEXCO中日本(中日本高速道路)のグループ会社である中日本エクシスは、同社が運営するSA(サービスエリア)のレストランを対象とした「第5回スイーツコンテスト」を、名古屋市のニチエイ調理専門学校で開催した。
今回で5回目の開催となる今年のスイーツコンテストは、「Sweet 10 Anniversary」と題し、10種の食材、10年熟成の調味料、10種の甘味など「10」をキーワードに、各SA地元の野菜や果物を使用した、そのエリアでしか味わうことのできない新作スイーツで競われた。
コンテストの冒頭、中日本エクシス 代表取締役社長の勝美雄次氏により、今回のコンテストの趣旨が説明された。
今回のテーマである「10」というキーワードは、NEXCO中日本が民営化されて10周年を記念してのことという。そして、本戦に先立ち、東京、静岡、名古屋、八王子、金沢と5つのブロックで35店舗のレストランが参加し、各地区の試食審査を勝ち抜いた上位10店舗の作品が本戦に参加した。
勝美氏は「本日、第5回目のスイーツコンテストの開催となりました、旅の途中のお客様に、「SAにもこんなスーツがあるの?」というメニューをラインアップしてもらえることと思っております。今回で第5回ですが、年々この大会も進化しておりまして、我々も『この食材を利用して、どうしたらこんなのができるのかな』と思う作品もありますし、現場ではコンテストで賞を取ったメニューということでお客様に興味を持って頂いて、売上にも貢献して頂いていると感謝しております」と挨拶するとともに、参加した10店舗のレストラン料理長に激励の言葉をかけた。
今回のスイーツコンテストは、勝美氏を加えた5名の審査員によって審査が行なわれた。勝美氏以外の審査員は、東京中目黒の野菜専門スイーツ店「パティスリー ポタジエ」のオーナーパティシエである柿沢安耶さん、CBCテレビアナウンサーの南部志穂さん、コンテストの会場となったニチエイ調理専門学校のイタリアンの教授である篠田真理氏、中日本エクシスのCS・広報推進室 主幹で、食生活ジャーナリストでもある加藤貞仁氏の4名だ。
コンテストは、調理会場における調理行程の視察と料理長による食材や作品のテーマなどの説明と、それぞれの作品の試食とで審査が行なわれた。ここからは、参加した10店舗の作品と、それぞれの特徴、審査の様子などを紹介していこう。
東名高速 牧ノ原SA(下り):TTC「甘(うま)し宝箱 ~和・洋二重唱(まりあーじゅ)~」
10にちなんで、重箱を利用。また、牧ノ原近隣の農家をまわって厳選した10種類の食材と調味料を採用している。枝完熟させた甘みの強いトマト「マキノハニー」を、甘酒に漬け込んでコンポートし、葛饅頭に仕立てている。また、無加温栽培されたイチゴ「静波レッド」のムース、牧ノ原産の茶葉「望」を利用した自家製葛切りなども用意されている。この葛切りは、きな粉に柑橘系の甘い香りのする山椒「天狗山椒」を加えた「金な粉」をかけて食べる食べ方と、高糖度とうもろこし「甘々娘」を使用した和風スムージーを絡めて食べる食べ方も提案している。
試食した柿沢さんは、「和の美しい形のスイーツは素晴らしく、見た目がすばらしい。味は素材の甘さが伝わってくる優しい味や、口の中に広がる山椒の爽やかな香りなど、大人のスイーツという印象」とコメントした。
北陸道 尼御前SA(上り):近鉄リテーリング 「輝きの金沢ショコラ 十色(といろ)の輝き」
個性の強い味覚の食材10種類を合わせ、それらの調和を目指したというカフェショコラ。北陸新幹線が開通した金沢をイメージして製作。苦みの強いチョコレートやココナッツアイス、甘いマンゴーのスープを合わせて食べる。チョコレートにはシナモンやスターアニス(八角)を混ぜ、マンゴースープには胡椒の実(ピンクペッパー)も入れられており、それらの風味がが口の中で広がってさまざまな変化を楽しめる。これまでに食べたことのないものを提供したいと考えて開発したという。また、皿には金粉に見立てた加賀棒茶を飾り、加賀らしさも演出している。
試食した南部さんは、「個性の強い食材を使っているが、一緒に食べると全体が調和して、完成された一品と感じる。マンゴーのスープも、ピンクペッパーやシナモン、スターアニスが入って初めて出会う味で、とても魅力的な一品」とコメント。
東海北陸道 関SA(上り):KRフードサービス「岐阜の美味(うま)しき(四季)めぐり重 ~和甘味おせち仕立て~」
岐阜県産にこだわった果物や野菜など10種類の食材で、四季の移り変わりを表現。和食のおせちを表現したく、お重を利用したという。地元の蜂蜜「百花蜂蜜」、牛乳、米粉、卵、黒豆を使った「関のどら焼き」、岐阜県産の米、餅米、黒米を岐阜の銘菓栗きんとんでつつんだおはぎ、ブルーベリーのムースをトッピングしたモンブラン風のアイスクリーム、関牛乳の寒天、岐阜の角一醤油を使用した、すっきりとした味わいのみたらし団子で構成。
中でも、どら焼きに入れられた黒豆は、時間をかけて開発した、最もこだわりのある食材とのこと。器のお“重(じゅう)”、どら焼きは語呂合わせで「“とお”ら焼き」、栗きん“とお”ん、寒“テン”、みたらし団子は、団子が遣唐使の「八種唐菓子」として伝えられたことから「八種“とう”菓子」と、すべてに10が掛けられているというこだわりもある。
試食した篠田氏は、「お重で出てくるスイーツは、予想と違う楽しいサプライズと感じた。また、おせちというコンセプトにも心を惹かれた。味わいや食感がバラエティに富んでいて、岐阜の味巡りをしてみたいなと感じさせる素晴らしいスイーツ」とコメント。
長野道 梓川SA(下り):アルプスシャツ「十年味噌とおこめのプリン・アラモード」
長野県は味噌の生産量が日本一ということで、味噌を使って作ることを考え、慶応4年創業の味噌蔵「石井味噌」とコラボレーションし、10にちなんで石井味噌の「拾年熟成信州味噌」を使って製作。シリアル風の信州産米ポン菓子、信州味噌バウムクーヘン、フルーツ、拾年熟成信州味噌を使ったソースなどが、信州産こしひかりを利用したプリンの脇に添えられている。
試食をした加藤氏は、「熟成味噌は独特な香りがあるので心配していたが、お米のプリンと一緒に食べたらいいアクセントになっている。バウムクーヘンはもう少し味噌の香りがしてもよかった。日本人の食の原点である米と味噌をうまくアレンジしていると感じた」とコメント。
中央道 恵那峡SA(上り):恵那高原開発「Tomorrowザ・シンフォニー」
10ということを考えて、水ようかん、黒糖のゼリーと地元の「中島豆腐店」の豆腐を使ったムースを合わせたスイーツ。メインの豆腐のムースは5層となっており、それを半分に割ることで10にちなんでいるという。10周年のお祝いということで鼓笛隊をイメージしており、メインの豆腐のムースには指揮棒をイメージした春巻き棒が刺され、横にフルーツの鼓笛隊列を従えている。また、鼓笛隊列のフルーツの下には、道をイメージした白ワインのゼリーが敷かれている。メイン食材の豆腐を引き立たせるために、全体的に味はシンプルにして、フルーツにもあえて手を加えていないという。
試食した柿沢さんは、「とにかく見た目が美しい。音まで聞こえてきそうな鼓笛隊というコンセプトもでこれまでになかったもの。豆腐の味わいがしっかり伝わる組み立ては素晴らしい。中の黒糖ゼリーがやや堅かったので、もう少し柔らかくするとシンフォニーが増すのでは」とコメント。
北陸道 有磯海SA(下り):ホテルニューオータニ高岡「『Sweet 10 Story』~毎日が記念日~」
有磯海SAに訪れた日を記念日にしてもらいたいと考え、華やかさを重視して製作。10個のアイテムで構成。中央には、クリームチーズに地元黒部牧場で作られた塩味の強いモッツァレラチーズを使ったガトーフロマージュ、能登の天然塩を使ったミルクジェラートがあり、その周りにスイートボテト風の大学芋、昆布の消費量が日本一の能登にちなみ昆布を使ったクッキー、季節のフルーツとして入善のジャンボ西瓜、地元の味噌と豆腐で作ったクリームを挟んだプチシュークリーム、金沢をイメージして金箔をあしらったチョコレート羊羹、グレープフルーツの入ったロゼワインのゼリー、地元の卵を使ったフレンチトーストがあしらわれている。
試食した南部さんは、「ぱっと見た時に華やかで美しい。あれもこれも食べたいという女性の気持ちを満たしてくれる。周りの甘さに対して塩味のミルクジェラートがアクセントになっている。単体でも楽しめ、ソースを加えても楽しめる」とコメント。
東名高速 富士川SA(下り):日の丸サンズ「10種野菜のラタトゥイユのフレンチトースト」
富士川SAで毎日焼いている、石臼挽き粉、ライ麦粉などを使ったドイツの小麦パン「バイツェンブロート」を使ったフレンチトースト。フレンチトーストには朝霧高原の卵と丹那牛乳と地元の食材を利用。また、富士山麓で栽培されているレンコンや薩摩芋、ズッキーニなど10種類の野菜を、トマトソースをベースとしたソースでラタトゥイユ風のソースを乗せ、アイスクリームがあしらわれている。甘みには三温糖を使っている。スイーツとしても食事としても楽しめる一品。紅茶とよく合うという。
試食した篠田氏は、「調理審査で“これスイーツなの?”という質問があがったが、食べてみたらラタトゥイユが爽やかな甘さで、フレンチトーストとよく合う。アイスクリームともよく合って、これは完成されたアイデアのスイーツと感じた。」とコメント。
東名高速 足柄SA(上り):エムエフエス「“TEN”の贈り物」
5種類の野菜と5種類の果物を使った10種類の食材と、空の“天”と、2種類の10を掛け合わせた作品。中央に球体の飴細工が置かれ、スプーンで割ると中に入れられたスープが雨のように降り注ぐ。富士山麓のメロンやカスタードプリンなどをスープで食べる。また、富士山麓の牛乳とくず粉を使った餅のような食感の餡に、地元の野菜が入れられた新食感のアイテムも添えられている。10周年のお祝いということもあるので、ズッキーニを使ったリボンも添えられている。
試食した加藤氏は、「調理審査で見た時から楽しみにしていた。中のスープは、甘ったるくなく、一緒に食べるとどれも美味しい。リボンのズッキーニはスプーンでは食べにくい。非常に楽しいスイーツだと思う」とコメント。
中央道 双葉SA(上り):ゴールデン・サービス「花ごよみ」
10周年記念ということで、イチゴやキウイを重ねたミルフィーユや、シャンパングラスを花に見立てたクレーム・ダンジュなどで10をイメージしたという。食材としては、地元の黒富士農場の放牧卵を使用し、クレーム・ダンジュやクレーム・ブリュレを製作。また、桃やぶどうなど、地元山梨県産のフルーツも使用。クレーム・ダンジュはガーゼで包み、シャンパングラスに入れるとともに、先端を青で染めることで花をイメージしている。また、ミルフィーユにはパイ生地ではなくシリアルを使っている点も斬新。真っ黒の皿に、明るい色合いのスイーツが盛られており、見た目のインパクトもある。
試食した柿沢さんは、「ミルフィーユは普通パイ生地だが、シリアルを使っているのはすごいし食べやすい。クレーム・ダンジュやクレーム・ブリュレは素材の良さが伝わってくるし、ガーゼの演出も驚いた。お子様にも食べやすく、家族で食べている様子が目に浮かんだ」とコメント。
名神高速 養老SA(上り):日本観光開発「輪10(わじゅう)の恵み」
木曽三川の下流地域「輪中」と10周年を語呂合わせした作品。その地域では、水害から家を守るために、家を段にしている「水家」をモチーフに、プレートを2段に重ねてスイーツを盛り付けている。竹の器には岐阜県産トマトのジェラートを入れたトマトのコンポート、横には地元の野菜をちりばめた水羊羹が添えられ、水家をイメージ。下の段のプレートには、木曽三川に浮かぶ船と白波をモチーフにした、伊吹ミルクファームの牛乳を使ったほうれん草入りシフォンケーキが置かれる。また、季節をイメージした花も添えられている。シフォンケーキは、きな粉をかけて食べてもおいしいとのこと。
試食した南部さんは、「地域の名前を料理名に入れて地域愛を感じた。地元の食材が持つ力を最大限に発揮している。シフォンケーキも2種類の味わいで楽しめる。完成された味わいだった」とコメント。
いよいよ最終審査
最終審査の結果、審査員特別賞として、東名高速 富士川SA(下り)の「10種野菜のラタトゥイユのフレンチトースト」、中央道 双葉SA(上り)の「花ごよみ」、北陸道 有磯海SA(下り)の「『Sweet 10 Story』~毎日が記念日~」の3作品を選出。
そして最優秀賞には北陸道 尼御前SA(上り)の「輝きの金沢ショコラ 十色(といろ)の輝き」がそれぞれ選ばれた。
最優秀賞に選ばれた作品を創作した、近鉄リテーリング 料理長の福井敏裕さんは、「年々レベルが上がっていて、何を作ったら最優秀賞を取れるかと毎日考えていましたが、今回ついに取ることができました。今日は、自分にとってもアニバーサリーになったと思います」と、受賞の喜びを語った。