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ANAHD、第78回株主総会。三菱スペースジェット開発中止は「ローンチカスタマーとして残念だが関係者に敬意」

2023年6月27日 実施

ANAホールディングスが第78回定時株主総会を開催。議長はANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 芝田浩二氏

 ANAホールディングスは6月27日、第78回定時株主総会をグランドプリンスホテル新高輪(港区高輪)で開催した。代表取締役社長の芝田浩二氏が議長を務め、来場した株主は1040名。

 総会の冒頭では芝田氏が連結業績と対処すべき課題について述べ、2022年度はコロナ禍から回復が大きく進んだと説明。国際線事業は前年実績を大きく上回り、直前の四半期はコロナ前の5割にまで回復。国内線は全国旅行支援や片道7000円のセールなどの効果があり、直前の四半期ではコロナ前の86%まで回復したことを報告した。売上高は6871億円増の1兆7074億円、純利益は2331億円増の894億円となり、3年ぶりに黒字転換している。なお、芝田氏は財務基盤を回復・強化することが喫緊の課題であり、当期の配当を見送ることに理解を求めた。

 また、5年ぶりに中長期の経営戦略を策定。人と組織の力を高めるため、ESG経営の促進、2030年にありたい姿として新経営ビジョン「ワクワクで満たされる世界を」を掲げるほか、この先3年は足元固めとして、航空事業の利益最大化、非航空事業における収益ドメインの拡大、ANA経済圏の拡大を進めると挙げた。

 フルサービスキャリアのANAと、傘下のLCC2社の関係については、国内線と国際短距離LCCのピーチ(Peach Aviation)、国際中距離LCCのエアージャパンとの間で役割分担を明確化し、マーケティング・販売の連携でシェアと収益を拡大していくと説明した。

質疑応答抜粋

 総会に上程した議題は2つで、取締役11名の選任(第1号議案)と監査役2名の選任(第2号議案)。ここでは株主からの主な質疑を抜粋する。発言者は14名。

 配当がいつ復活するかという質問については、事業報告にもあったとおり、コロナ禍が財政状況に与えた影響は大きく、利益剰余金はいまだマイナス。プラスに転じて復配できるまでの猶予を改めて求めた。

 三菱航空機の国産ジェット機・三菱スペースジェットが開発中止になり、会社自体も清算したことについては、「ローンチカスタマーとして非常に残念だが、事業に尽力した関係者には敬意を表したい」としたほか、すでに発注当時と現在では機材状況も異なることから、次期機材の検討を改めて行なっていくと説明した。

 また、機材全体についてはボーイング 777型機の後継機として選定したボーイング 787-10型機の国内線仕様を今年度に投入予定であり、期待してほしいと述べたほか、ボーイング 777-9型機の受領も控えていると機材計画を紹介した。

 インバウンドは回復しているがアウトバウンドの回復が遅いことを受けて、「国内線の片道7000円セールの国際線版」のようなことができないか、という提案については、黒字決算した原動力が国際線の売り上げだった背景を挙げつつ、マーケティング戦略が良好に推移した結果と説明。ただし、指摘のとおり日本発は弱含みであり、イン/アウトバウンドの両面でバランスを取ることの重要性を伝えるとともに、官民連携でアウトバウンドの促進プロジェクトを進めていることを取り上げた。

 3機保有するエアバス A380型機FLYING HONUの稼働率を問われると、3号機がまだ投入されていない現況を伝える半面、具体的な路線投入については日付などをまだ発表できる段階にない、とした。

 他社便が福岡空港の門限(22時)に間に合わなかったケースを引き合いに出し、ANAの対応・取り組みについて聞きたいという質問に対しては、前提として福岡空港では飛行経路と空港周辺住民の生活を守るため刻限があることを指摘し、ANAは出発空港の離陸前に福岡空港の着陸許可を確認するという手段を執っていることを紹介。着陸許可が出なければ出発しない方針であること、前の便が影響しない機材繰りを行なっていること、上空でも速度を優先しているといった取り組みを紹介した。

 なお、2つの議案はともに原案どおり可決している。