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ANAの特別な機内食ってどんなの。体に優しい低塩の食事(LSML)をホノルル線で食べてみた
2022年5月10日 07:00
ANAは、日本発国際線のすべての路線・すべてのクラスで、2021年10月から新たな「特別機内食」を提供している。
国内外の著名シェフ、ソムリエ、ANA料理長らで構成する「ザ・コノシュアーズ」が手がけたコラボメニューで、「低糖質の食事(DBML)」「低脂肪の食事(LFML)」「低カロリーの食事(LCML)」「低塩の食事(LSML)」の全4種をラインアップする。その背景などについては発表時の取材記事に詳しいが、食のユニバーサル化の取り組みとして、体を気遣う人も美味しく楽しめる機内食として提供している。
記者はハワイ取材で4月30日の羽田発ホノルル行きNH186便に搭乗する機会があったため、コラボメニューから低塩の食事(LSML)を頼んでみた。申し込めるのは出発の24時間前までで、航空券の予約詳細で通常の機内食から変更すればよい。変更に伴う料金は発生しない。ちなみに子供向けのメニュー(CHML)もここで選択できる。
実はこの特別な機内食、器が異なるだけで内容はエコノミークラスでもビジネスクラスでも同じ。なんだかちょっと得したような気分になるのもおもしろいところで、メニューは前菜・メイン・デザートにしっかり分かれている。
前菜の一つ「ブロッコリーのピューレとスナップエンドウ 蓮根を添えて」は、控えめな味付けで、空腹からの最初の一口にちょうどよい。もう一つの前菜「トマトのジュレとアスパラガス カリフラワーとともに」は、表現が貧困で恐縮だがトマト感がイタリアンな印象。
メインは「チキンのロースト蜂蜜ビネガーとオニオンコンフィー 雑穀物を添えて」。鶏肉は名前からすると濃口の味付けを想像するがそうではなく、噛めば噛むほど奥から甘みを感じられて、雑穀も噛み締めると口の中で味わい深くなる。この感覚、洋食なのに和食のようだと思っていたところ、手がけたシェフ・髙山英紀氏は「日本人だから表現できるフランス料理」にこだわりを持っていると分かり、腑に落ちた。
デザートの「紅茶のゼリー」は、手に持つとずっしり重くて驚く。中央の色が濃い部分の2層になっていて、濃いところは味も濃い。クリームを入れたコーヒーゼリーみたいに、スプーンで混ぜながら食べるとよさそうだ。
どのメニューも、最初の一口は味が薄かったり物足りなく感じたりするかもしれないが、食べ進めると味わいが積み上がっていって、口の中で完成形になる。非常に上品なメニューだと感じた。
こうした機内食は、宗教上あるいは体調・体質などの理由で選びたい人向けと思われがちだが、例えば今回のホノルル線でいえば、日本を夜に出て現地に朝に到着するため、いかに機内で寝ておくかが重要で、午前中からアクティブにハワイを楽しめるかのカギを握っている。
という意味では、あとは寝るだけなのに通常の機内食だと重いという人は、前述のコラボメニューのほか、「フルーツの食事(FPML)」「消化のよい食事(BLML)」などで軽く済ませてしまうのも一つのアイディアだろう。ぜひ積極的に試してほしいサービスだ。