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NEXCO中日本、橋梁の伸縮装置を点検する日常点検車「ROAD CAT」を開発

2022年4月27日 発表

NEXCO中日本は橋梁の伸縮装置を点検する「ROAD CAT」を開発した

 NEXCO中日本(中日本高速道路)のグループ会社である中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京は、車両を走行するだけで伸縮装置の変状を検知できる日常点検車両「ROAD CAT」を開発した。

 これにより、点検員が高速道路の路肩に降りて行なっている橋梁の伸縮装置の点検作業の安全性向上と省力化を図る。管内には約4000橋に約1万1000基の伸縮装置を設置しているが、銅製や硬質なゴム製のため、疲労亀裂や劣化の信仰に伴い破損や段差などが発生する可能性がある。現在は、車上からの目視などによる車上点検(週2回以上)や高速道路の路肩に降りて異常音などを確認する降車点検(年2回)を行なっている。

伸縮装置の変状状況
降車点検の状況

 降車点検は、路肩からの目視点検と車両通過時の異常音などの確認を行なうため、点検員の安全確保と聴覚や体幹などに頼る定性的な点検であることが課題となっていた。そこで、降車することなく安全な点検を実施したうえで、定量的な点検結果を取得、路上規制を削減することを目的として、「ROAD CAT」を開発した。

「ROAD CAT」には、車両が伸縮装置を通過する際に発生する音から伸縮装置の健全性を計測するシステムと、変状部位を特定するためのシステムで構成する「JIシステム(Joint Inspectionシステム)」を搭載する。伸縮装置の健全性を計測するシステムは、後輪のタイヤ付近に配置した小型マイクロホンと振動センサーにより伸縮装置を通過する音と車両の振動加速度を計測する。計測したデータを健全時のデータと比較して分析することで、健全度を評価できる。

 またJIシステムは、レーザー変位計を複数配置することにより、時速約80kmで走行しながら1万分の1オーダーで路面の段差量を計測し、異常な音や振動が発生したタイミングと照合することで、伸縮装置の変状部位を正確に計測できる。

 愛知県、岐阜県、三重県内の道路で試行導入し、点検結果の蓄積や評価の検証を行なってから本格的に展開する予定。

日常点検車「ROAD CAT」の構造
周波数別の音の高さの比較例