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外国語のビデオ会議がスムーズになるポケトーク新機能。実際のデモを見てきた

リモート会議向けの新ブランド「KAIGIO」も

2021年6月15日 実施

ソースネクストが新製品「KAIGIO」と「POCKETALK」の新機能を発表した

 ソースネクストは6月15日、リモート会議向け製品の新ブランド「KAIGIO(カイギオ)」を発表。さらに携帯型の音声通訳端末「POCKETALK(ポケトーク)」に新機能を追加した。同日から販売やサービスの開始、予約受付が始まっている。

ポケトークに無料で2つの新機能を追加

 ポケトークは2017年に登場したモバイルタイプの音声通訳端末で、マイクで聞き取った音声をクラウド上のAIサーバーが解析、別の言語で翻訳した内容を音声やテキストで出力できるデバイスだ。

 本体に通信機能を内蔵することで、携帯の電波が届く範囲(世界130か国以上で使用可能)であればどこでも使えるのが大きな特徴だ。ハードウェアや音声認識AIは着実に世代・アップデートを重ね、現在は61言語の音声とテキストの通訳、21言語の音声からテキストへの翻訳が可能になっている。

 ハードウェアは、ハイエンドモデルの「ポケトーク S」と「ポケトーク S Plus」、エントリーモデルの「ポケトーク W」をラインアップ。今回発表したのは「ポケトーク字幕」「グループ翻訳」機能の追加で、どちらも無料でアップデートできる(Wi-Fi環境が必要で、初代モデルは除く)。ポケトーク字幕は8月、グループ翻訳は7月からの提供を予定している。

ソースネクスト株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 松田憲幸氏
2017年に発売したポケトークはシリーズ累計で80万台を出荷。新しいハードウェアの投入や新機能の追加で着実に進化していることを紹介した

 ポケトークの新機能については、代表取締役会長の松田憲幸氏が詳細を説明した。

 ポケトーク字幕は、Windows 10/8.1で動作するアプリで、ビデオ通話ツール上に相手が発言した内容をリアルタイムで翻訳表示するもの。

 使い方としては、ポケトーク字幕をインストールしたPCでビデオ通話を行ない、ポケトークを使って話せばよい。ポケトークを通じて翻訳された内容は、相手側のビデオ通話アプリ上に字幕として表示される。

 発表会場ではポケトークとZoomを使ったデモンストレーションが行なわれ、日本語と英語で字幕を通じて会話を成立させていた。松田氏は映画の字幕は画期的なアイデアだとし、それをポケトークに応用すれば、もっと活用シーンが増えるのではないかと思い付いたそうだ。

 利用シーンとしては、海外とのリモート会議やグローバル企業での朝礼などのスピーチ、映像配信などを想定している。対応を予定しているのは、Zoom、Skype、Microsoft Teams、Googleハングアウト、Google Meet、LINE、Slack、BlueJeans、Cisco Webex Meetings、Cisco Webex Teams、Discord、OBS、V-CUBE、Chatworkとなっている。

ポケトーク字幕を使ったデモンストレーションの様子。ポケトークに話しかけた言葉が相手の画面に翻訳された字幕として表示される
ポケトーク字幕の利用イメージ(提供:ソースネクスト)

 グループ翻訳は、複数のポケトークを1つのグループとして接続し、国内外の利用者と同時にコミュニケーションが取れるもの。

 使い方は、グループを作成し、グループIDとパスワードを登録して参加するだけと簡単だ。ポケトークを使って話した内容は、それぞれの使用言語に翻訳されて次々に表示されるので、多人数でもコミュニケーションが取りやすくなる。

 発表会の檀上では、日本語、英語、中国語の3か国の言語を用いてデモンストレーションが行なわれたが、スムーズにそれぞれの画面に表示されていた。同社では、グローバルなビジネスシーン、ツアーガイドと旅行者のコミュニケーション、講演会における質疑応答など、さまざまな場面で活用できるとしている。「言葉の壁をなくす」をミッションとして立ち上げたポケトークは年々進化しており、今後も真剣に取り組んでいくと松田氏は話した。

グループ翻訳を使ってデモンストレーションをしている様子。それぞれのポケトークに発言者のアイコンとともに翻訳結果が表示されるので分かりやすい
グループ翻訳の利用イメージ(提供:ソースネクスト)

Zoomをより手軽に便利に使う新ブランドの3製品が登場

 新ブランドのカイギオについては、代表取締役社長の小嶋智彰氏が紹介した。今回発表したのは「KAIGIO MeePet」「満面 KAIGIO」「全録 KAIGIO」の3製品。KAIGIO MeePetは卓上型のビデオ通話専用端末で、満面 KAIGIOはWebカメラ映像を自動分割するソフト、全録 KAIGIOはビデオ通話ツールの映像や音声を録画するソフトだ。

ソースネクスト株式会社 代表取締役社長 兼 COO 小嶋智彰氏

 KAIGIO MeePetは、ZoomのSDKを利用したリモート会議専用機であり、マイクやカメラを内蔵しているのでインターネットに接続できる環境であれば、これ1台でZoomを使った会議に参加できる。

 Zoomのアカウントと連携すれば、簡単な操作ですぐに参加できるのが特徴だ。また、Outlookのアカウントと連携して、スケジュールを読み込んで会議の予定を表示することができ、開始時刻に合わせてアラームを鳴らすことも可能。HDMI端子を備えるため、テレビやディスプレイに映像を出力することもできる。Zoom以外では、Microsoft Teams、Cisco Webex Meetingsに対応する。発売予定日は8月18日で、価格は2万9700円。

KAIGIO MeePetは、有線・無線LANで接続することですぐにリモート会議ができる8インチの液晶ディスプレイを備えたデバイス。バッテリーを内蔵しているので、1.5~2時間ほどなら電源がなくても動作する。専用のリモコン(別売り)も用意している

 満面 KAIGIOは、AI顔認識エンジンがWebカメラの映像を解析し、人物を自動でクローズアップして映し出すものだ。参加した人数に合わせて画面が分割され、最大で9分割で映し出す。

 ビデオ通話ツールを使った会議ではどうしても参加者の表情が分かりづらく、会議がやりづらいといった声に応える製品であると小嶋氏は紹介した。Zoom、Microsoft Teams、Cisco Webex Meetingsに対応し、SkypeやGoogle Meetも対応を予定している。発売予定日は8月26日(ダウンロード版)、10月6日(パッケージ版)で、価格は1万9800円。

満面 KAIGIOは参加者の顔を常に表示することで雰囲気を伝えやすくする。ホワイトボードなどを常時表示することもできる

 全録 KAIGIOは、Zoomで行なったビデオ通話を自動で録画するソフトだ。

 Zoom自体も録画機能を備えているが、主催者へ録画許可を申請する必要がある。本製品を使えば自動で録画されるので、申請や録画ボタンの押し忘れなども防止できる。また、スクリーンショットを自動で生成してフォルダに保存するため、会議で使われた資料などを閲覧する際に役立つ。録画した映像はサムネイルから再生できるので、議事録としても活用できる。

 なお、Zoom以外のビデオ通話ツールでも操作は必要になるが録画することは可能だ。発売日は6月15日(ダウンロード版)で、パッケージ版は7月30日を予定している。価格は9900円。

全録 KAIGIOはZoomなどで行なったビデオ会議を録画できるソフト。スクリーンショットの自動生成など、便利な機能を備える。簡単な動画編集も可能だ

 発表会のなかで小嶋氏はビデオ通話ツール関連の製品が非常に伸長していることを紹介。2020年7月に発売した会議室用の360度Webカメラ「Meeting Owl Pro」は発売10か月で出荷台数が1万5000台を超え、20億円近い市場を開拓できたと述べた。

 コロナ禍による企業のリモートワークは着実に増えているが、そこで使われているビデオ通話ツールによる会議にはまだまだ不便な点も多く、改善を望む声が多く寄せられているそうだ。同社では大きなビジネスチャンスととらえ、今回発表した製品のようにビデオ通話ツールを提供している企業と連携して今後も開発を続けていくと話した。