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帝国ホテル、京都・祇園に新ホテルを2026年春オープンへ。30年ぶり新規開業。「弥栄会館」の一部を保存活用

2021年5月12日 発表

帝国ホテルは京都・祇園の「弥栄会館」の一部を保存活用した新ホテル計画実施を決定。2026年春の開業を目指す

 帝国ホテルは5月12日、検討を進めていた京都・祇園での新規ホテル計画の実施を決定したことを発表した。2026年春の開業を予定しており、帝国ホテルブランドとしては東京、上高地、大阪に次ぐ4軒目、1996年の大阪以来、30年ぶりの新規開業となる見込み。

 国登録有形文化財・京都市の歴史的風致形成建造物で、京都・祇園甲部歌舞練場敷地内の「弥栄会館」の一部を保存活用したもの。弥栄会館は、建物の老朽化や耐震性問題により本来の用途である劇場を含む大部分が使用されなくなっており、歴史・文化的価値のある弥栄会館をホテルとして再生するとともに、舞練場耐震改修をはじめとする敷地全体の一体的な整備も目的としている。

 計画地は、京都市都市計画における祇園町南歴史的景観保全修景地区、12m高度地区に指定されているが、景観法の認定および現在の弥栄会館と同じ高さ(31.5m)の計画への特例許可を取得。弥栄会館の姿を残したままホテル計画を推進することが可能になった。

 新ホテルは弥栄会館の敷地と、弥栄会館北側の土地を所有者である八坂女紅場学園から借り受け、「本棟」「北棟」(いずれも仮称)を建設する。階数は地上7階/地下2階で、客室数は約60室。レストランやバー、スパやフィットネスジムなどのウェルネス施設を備える。

 特徴となっている重層的な屋根や塔屋の形姿のシルエットを守りつつ、景観上重要な正面(南西面)は、既存躯体の保存や建材の再利用行ない、建物の文化的価値を可能な限り引き継ぐ計画としている。また、改変する北面についても、既存の意匠と地域の景観に配慮した設計にする。

 建築には2022年4月に着工。2025年10月に竣工し、2026年春の開業を目指す。

祇園甲部歌舞練場敷地の建物配置図
弥栄会館の位置図
外壁と構造体の一部を保存し、花見小路からの景観を引き継ぐ「本棟」の南西面外観
「本棟」北面は、特徴的なシルエットを守りながら、周囲と調和したホテルとしての新しい表情を作る計画
新たに増築する「北棟」は、祇園町南歴史的景観保全修景地区の整備方針に則り、伝統的なまちなみ、景観の維持に寄与するものとして計画している