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ANAカーゴ、新型コロナで滞留する郵便物を中国・上海へ運ぶ臨時貨物便運航。旅客便減の影響も

2020年2月23日/24日 運航

ANA Cargoが中国・上海行きの緊急輸送物資を運ぶ臨時便を運航

 ANA(全日本空輸)グループの貨物事業会社であるANA Cargoは2月23日、郵便物を輸送するため、成田~中国・上海行きの臨時便を運航した。

 成田~上海線は、現在週5便を運航しており、日曜日は運休、月曜日は非運航日となっている状態だが、23日の日曜日は復便の形での臨時便、24日の月曜日は臨時便の形で運航。そのため、両日は出発/到着時刻は同じだが異なる便名での運航となっている。

 ただし、通常運航時、日曜日はボーイング 767F型機を使用しているのに対し、臨時便ではより大型のボーイング 777F型機を使用している。

成田~上海の臨時便運航ダイヤ

NH8415便: 成田(22時30分)発~上海・浦東(翌01時10分)着、2月23日運航
NH8522便: 上海・浦東(03時10分)発~成田(06時50分)着、2月24日運航
NH8531便: 成田(22時30分)発~上海・浦東(翌01時10分)着、2月24日運航
NH8532便: 上海・浦東(03時10分)発~成田(06時50分)着、2月25日運航

 ちなみに、この臨時便は日本郵便からの依頼によるもの。ANA Cargo 取締役で成田ウェアハウスオペレーションセンター センター長の中井尚氏は、「今回は国際郵便が多く滞留し、輸送力が少なかったために日本郵便さんからお話しがあり、それにお応えしたいと調整ができ、今日、明日と飛ばすことができた。お役に立ててうれしく思う」とコメント。郵便はよほどの事情がない限りは依頼を受け入れるそうで、中国行きの国際郵便(EMSなど)が滞留している状態だという。

 現在、ANAは新型コロナウイルスの影響により旅客便が6割減、貨物便が7割減という状況にある。路線も便数も多い旅客便の貨物スペース、いわゆる“ベリー”を使った貨物輸送は多く利用されており、今回の臨時便運航の背景には旅客便減便も大きく影響している。

 2月23日に運航した臨時便は、日本からはマスクや防護服、除菌シートなどの緊急支援物資を約40トン、上海から日本へは自動車部品や電子部品などの緊急輸送品を約100トン搭載。日本発便についてはマスクなど軽量だが体積の大きな荷物が多いために重量が少なくなっているが、貨物スペースは満載の状態だという。

 中井氏は、中国路線について1月は2割減との数字を挙げる一方、「中国の工場が少しずつ動き始めたとのことで、物資輸送のニーズが出てきている」とし、今回の臨時便の上海発についても「飛ぶのであれば送りたいものがある」という声があり、結果、満載での運航になった。

 また、上海路線以外にもニーズはあり、2月27日には現在週7便から週1便へ減便中の成田~青島線についても臨時貨物便を運航する予定だという(ボーイング 767F型機での運航)。

臨時便には2019年7月に就航した「ボーイング 777F」型機、愛称「BLUE JAY(ブルー・ジェイ、アオカケス)」を使用。登録記号は「JA771F」
後部貨物室ドアからハイリフトローダーを使って積載
カーゴスペースが荷物で埋まったところでドアを閉めて出発準備へ
22時27分にプッシュバック開始。中国・上海へ向けて出発した