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ANA Cargo、北九州~沖縄線定期貨物便就航記念式典開催。「北九州からアジアへ、そして世界へ」と外山社長
自動車、半導体、生鮮、ロボット輸出への熱い期待を語る
2018年5月15日 07:08
- 2018年5月14日 実施
ANAグループの国際貨物・国内貨物を手がけるANA Cargoは、6月4日より北九州~沖縄路線を週5便(火水木土日)新設する。これを記念して北九州市内のホテルにおいて「北九州~沖縄線定期貨物便就航記念式典」を5月14日に開催。式典前に記者会見を実施した。
記者会見に登壇したのは、ANA(全日本空輸)上席執行役員貨物事業室長兼ANA Cargo代表取締役社長 外山俊明氏、ANA 上席執行役員九州支社長 大人形綱邦氏、福岡県知事 小川洋氏、北九州市長 北橋健治氏、苅田町長 遠田孝一氏。事業主体であるANA Cargo関係者と、地元自治体の首長が出席した。とくに北九州空港のある町長、市長、知事が出席し、ANA Cargo貨物便の就航に対する熱い期待が表われるものとなっていた。
ANA Cargoの北九州~沖縄路線新設は、6月3日まで運航する関西~中部~沖縄路線を運休して新設するものになる。そのため、関西~北九州~沖縄路線新設となっており、NH8565便:関西(22時00分発)~北九州(23時10分着)を週5日(月火水木金土)、北九州空港で日をまたぎ、NH8566便:北九州(00時40分発)~沖縄(2時30分着)を週5日(火水木金土日)運航する。
ANA Cargo代表取締役社長 外山俊明氏は冒頭あいさつを行ない、現在ANA Cargoは、50t貨物を積載可能な貨物専用機として12機のボーイング 767型機を運航するほか、ANAの旅客機250機の床下スペースを用いてビジネスを行なっており、その規模は年間140万t超。世界で10番目の貨物便航空会社であると説明した。
今回の北九州路線開設は、2月に「2018~2022年度中期経営戦略」として発表した、世界でトップ5に入る貨物航空会社になるという戦略に沿ったもので、旅客においても、貨物においてもリーディングエアラインを目指していくという。
新型機としては、100tの貨物を積載可能な貨物専用機 ボーイング 777型機を2機導入し、これを羽田空港や成田空港からの北米路線などに投入。経済発展の続くアジアや東アジアは沖縄の那覇空港をハブとして展開していき、日本と北米は羽田や成田から太い輸送路を構築していく。
羽田空港、関西空港、那覇空港、北九州空港、セントレア(中部国際空港)はいずれも24時間空港で、ANA Cargoは日本でも数少ない24時間空港を軸に貨物戦略を構築している。
今回、名古屋からの便を運休して、九州からの便を新設したのだが、その背景にあるのが順調な貨物の伸びにあるという。ANA Cargoの貨物需要は前年比14%増で、とくに九州地区においては3割増になっているとのこと。この伸びゆく九州の貨物需要に対応するために北九州便が新設となった。
この北九州を0時40分に飛び立った貨物は、2時30分に沖縄の那覇空港に到着。国際貨物はそこで通関作業を行ない、上海(4時35分着)、香港(6時40分着)、台北(7時20分着)、ソウル(7時55分着)、バンコク(8時10分着)、シンガポール(9時30分着)と、6つの都市に旅立っていく。九州からは、これまでの関空経由と比べて、リードタイムを約1日短縮でき、さらに24時間以内に各都市に到着することから、博多「あまおう」など世界的に知られた農産物や水産物の輸出の伸びも期待できる。
外山社長は、「北九州からアジアへ、そして世界へ」と貨物の流れを表現し、この北九州便新設にかける思いを語った。
外山社長のあいさつのあと、小川 福岡県知事、北橋 北九州市長、遠田 苅田町長があいさつ。いずれもANA Cargoの誘致に努力してきたといい、地元九州の工業製品の輸出、農水産物の輸出に期待をかける。小川 福岡県知事は、福岡県が日本でも有数の自動車生産地帯であることを紹介。福岡県で生産される自動車は年間159万台にもなり、自動車関連会社は1000社を超えている。また、九州はシリコンアイランドと呼ばれるほど半導体製品の生産が盛んで、アジア向けの自動車関連製品、半導体製品の輸出に好影響があるであろうと語る。
北橋 北九州市長は、北九州空港の商圏を九州だけでなく、山口県や広島県を含む西中国も包括するとし、やはり自動車生産の盛んな山口県や広島県(マツダの主力工場は、この両県にある)、そして瀬戸内や日本海の海の幸、山の幸の豊富なところからの輸出需要にも期待を述べた。
遠田 苅田町長は、24時間空港の北九州空港、港湾施設の苅田港、そして高速道路のIC(インターチェンジ)である苅田北九州空港ICが5km圏内にあるのが苅田町の特徴と紹介。この苅田町には、トヨタ自動車の自動車部品生産工場、日産自動車の自動車生産工場もあり、苅田港からは多くの自動車が世界へと輸出されている。遠田 苅田町長は、それらに加えてANA Cargoが就航することで、「一粒かき」など地元の特産品がアジアへ輸出されるようになることへの期待を語った。
大人形 九州支社長は、貨物について現在案内中であるとしながらも、九州にとっては関西空港までトラックで運ぶ必要があった荷物が、北九州空港ですむことになるとし、ANAの旅客便のない(つまり、これまで貨物も出荷できなかった)北九州空港に就航することに大きな意味があるという。
県知事、市長、町長がいずれも期待を延べていたのが事業の継続性。これについて外山社長は、「自動車、ロボット、生鮮、半導体」の4つの分野の貨物に強い手応えを持っているといい、目標としては「(満載に対して)80%は目指していきたい」と語った。
また、名古屋地区を運休して九州地区を新設した理由については、いずれも24時間空港であるものの、名古屋地区からは4時間程度で成田空港や関空に荷物が運べ、実際はそちらから輸出されるものも多かったとし、本州と陸路でつながる西の24時間空港である北九州空港への期待を述べた。