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渋谷区とGoogle、区内の観光案内にGoogleマップやアシスタントの通訳機能を活用

2020年1月27日 発表

Google Nest Hubなどの入った重箱型の収納ケースを手にするGoogleのバイスプレジデント アジア太平洋・日本地区マーケティングの岩村水樹氏と渋谷区の長谷部健区長ら

 渋谷区観光協会と渋谷区は、Googleの技術協力を受け、観光案内にマップや翻訳などのGoogleのソリューションを導入することを発表した。

 渋谷区と渋谷区観光協会では、2020年のデジタル観光ビジョンとして観光案内のデジタル環境強化、渋谷駅周辺の観光案内所連携、区内店舗の観光客受け入れ環境の整備支援を行なっていて、今回の取り組みは観光案内のデジタル環境強化の一環となる。

 Googleマップの活用としては、観光名所や荷物預かり所、SIMカードの買えるお店、寿司屋など訪日観光客にニーズの高いスポットについて、QRコードを読むだけでGoogleマップ上にリスト表示するようにする。こちらのリストは渋谷区観光協会がキュレーションするもので、訪日観光客への対応もできるようなスポットが掲載される。現状では8ジャンルのリストだけだが、今後はこの数も増やしていく。

観光案内所で掲出されるマップリストへのリンクQRコード。素のGoogleマップでは調べにくい情報もキュレーションして提供する

 同様の取り組みはすでに行なわれていて、例えば2019年のラグビーワールドカップのときは、スポーツバーなどのリストをQRコードで公開していた。また、渋谷近辺の喫煙所もリスト化し、渋谷区のWebサイトや渋谷モヤイ像前とスクランブル交差点前の喫煙所にポスターを掲出している。今回はこの仕組みを訪日観光客への案内に活用するというものだ。

観光案内所に設置されるセット。Google Nest Hubだけでなく、各国語の配布ブックレットも用意される。こちらのブックレットには旅行に役立つGoogleプロダクトが紹介されている

 翻訳としては、観光案内所にGoogle Nest Hubを設置し、Googleアシスタントの通訳モードを観光案内に活用する。通訳モードは29言語(日本語を含めれば30言語)に対応。通訳モードは2言語を選択でき、例えば日本語と英語を選択すると、音声認識を開始するクリック音のあと、日本語と英語、どちらが話されても自動的にもう一方の言語に翻訳される。Nest Hubにはディスプレイも搭載されているので、正しく言いたいことが認識されたかどうかも画面上で確認できる。

 基本的に一般販売されているNest Hubと同じものが使われるが、ソフトウェア面ではパブリックモードになっているなど多少カスタマイズされていて、会話の履歴も個人情報保護の観点から記録されないという。通訳モード自体の機能は市販されているGoogle Home/Nestシリーズやスマートフォン上のGoogleアシスタントでも、「OK Google、××語を通訳して」などで利用できる。

Google Nest Hub。7インチディスプレイが付いている。これ以上、大きなデバイス(例えば10インチのNest Hub Maxなど)だと設置が断わられやすくなってしまうので、あえてのNest Hubだとか
翻訳モードを試す長谷部区長。Google Nest/Homeシリーズのマイクは無指向性だが、このくらいの距離で普通に話しかけても高精度で認識してくれる。といっても、騒音や無線通信の混雑などにはわりと弱い
Googleアシスタントの通訳モードが対応する言語

 Google Nest Hubはまず渋谷マークシティ内の「クリエーションスクエアしぶや」とハチ公前広場の「青ガエル観光案内所」、渋谷フクラス内の「shibuya-san」の3か所の観光案内所において試験運用が開始される。今後は東京オリンピック・パラリンピックに向けて設置場所を拡大していく予定。現在、設置場所は協議中だが、20〜30くらいの場所への設置を目指していくという。

 こうした取り組みにより、観光情報やマナー啓発情報も発信し、さらに観光の回遊性向上も目指していく。渋谷の訪日観光客は国籍も年代もバラバラだが、国際的にも有名なスクランブル交差点やセンター街の途中あたりまでに集中している。観光地のキャパシティを超過する観光客が集まる状態だ。しかしスクランブル交差点やセンター街の近辺にはショッピングできる場所も多いし、徒歩圏内には明治神宮や原宿、表参道もあるので、そうした観光情報を提供することで、観光客の回遊性を高め、オーバーツーリズムを解消するとともに、より広域な渋谷での観光を盛り上げていくことを狙っていく。

観光客もすでに使っている可能性の高いGoogleマップアプリを活用することでナビも自前でやってもらうようにする
渋谷の観光名所や100円ショップの場所などをGoogleマップ上でリスト化し、QRコードで提供する
Googe Nest Hubは観光案内所だけでなく、訪日観光客の多い店舗なども対ソ府としていく
そのほか、キャッシュレス促進やGoogle翻訳アプリのレクチャーを区内の店舗に行なったり、マーケティング調査も実施している
shibuya-san内のGoogle Nest Hub

 渋谷フクラス内の観光案内所、shibuya-san tourist information&art center(通称shibuya-san)にはすでにGoogle Nest Hubが設置されていた。実はこちら、スタッフの多くが外国人で、すでに多くの言語で観光案内の対応できるが、Nest Hubによってより多くの言語に対応できることとなる。