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東京メトロ、銀座線渋谷駅の屋根スライド工事を実施。2019年度後半に新ホームを供用開始予定
2019年2月7日 09:44
- 2019年2月7日 実施
東京メトロは2月7日、現在建設中の銀座線渋谷駅における屋根スライド工事を報道公開した。屋根スライド工事は全部で9回行なわれる予定で、この日は第3回目が行なわれた。
銀座線渋谷駅は1938年12月に開業、開業以来大きな駅の改修を行なっておらず、新ホーム建設が初めての大規模な改修になるという。現在のホーム幅は対面式で約7m。ヒカリエ側にホームを移設し、新型の島式ホームを建設。エレベータなどを備えるほか、ホーム幅も約12mにすることで、安全で快適に使え、利便性も格段に向上するものになるという。
新ホームは前述のように、現在のJR側からヒカリエ側に移動し、ちょうど明治通り上空が新しいホームになる。そのため、ホームに対して屋根を設置。新しい駅舎屋根は当初一般的な門型ラーメン案だったが、景観の問題で半円形のアーチ案に。しかしながら、アーチの直上にJR側のビルとヒカリエを結ぶスカイデッキを配置することから、スカイデッキの強度を確保できるM型アーチ案になった。
このM型アーチは、最大高さ7.2m~9m、最大幅23m~28mの鉄骨で作られており、高さと幅がゆるやかに変化するデザイン。鉄骨の1スパンが2.5mで、45スパンで構成。2.5×44間隔となり、屋根の長さ約110m、総重量1500トンの建築物となる。
この巨大な屋根を一気に作るわけにはいかないので、足場となる構造体をヒカリエ側に組んで、3分割されて納品される鉄骨を溶接でM字型の屋根に仕上げ、ある程度まとまったところでスライドしてJR側に押し出していく。
今回押し出した距離は7.5m。つまり鉄骨3スパン分で、押し出して作り上げた空間でまた鉄骨を組んでいくわけだ。押し出した距離は7.5mだが、10スパン1度に押し出しており、10スパンは9間隔で全長22.5の屋根を押し出した。
押し出しに使われるのは、ウインチと滑車で、滑車は動滑車として7つ用いることで送り出しに使用するウインチに必要な力を減少。動滑車7つのため、1/14の力でよいという。この日は、約38分間(7.5m÷分速20=37.5分)で約290トンの屋根を約7.5m移動した。これにより3スパン分の空間ができることになり、3本の柱を組んでいくことが可能になるわけだ。
工事を担当する、東京メトロ 工務部第二建築工事所建築第三課 課長 三丸力氏によると、とくに苦労するのが柱の組立だという。柱は3分割されて納品されており、誤差は±3mm。この誤差の中で柱を組み立てるほか、それぞれの柱が滑からに変化していく設計のため、それぞれ柱のサイズが違う。その点が苦労するほか、オリンピック・パラリンピック開催を見据えての工事のため、工事遅れが許されない。そのためのスケジュール管理に気を使うとのことだ。ちなみに現在は順調に進んでいるとのこと。予定どおり2019年度後半に供用開始となるのを期待したい。
ちなみにこの屋根は、現在の銀座線渋谷駅のホームから見ることができるほか、渋谷駅出発直後の銀座線車内からも見ることができる。今後、2月に2回、3月に3回、4月に1回のスライド工事を予定しており、そのたびに銀座線渋谷駅の屋根の成長を実感できるだろう。