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ニュージーランド航空が「オールブラックス航空」に。新作機内安全ビデオをラグビー実況の矢野武さんが紹介
マオリ文化を日本に伝える展示会「TUKU IHO」も8月1日開幕
2019年8月1日 22:59
- 2019年8月1日 発表
ニュージーランド航空は8月1日、都内で記者発表会を開催し、機内安全ビデオの新作「オールブラックス航空編」を披露した。併せて、東京・六本木で開催されるマオリ文化を伝える展示会「TUKU IHO 受け継がれるレガシー」の内覧会も行なわれた。
ニュージーランド航空は機内安全ビデオを見てもらうことを目的に、2009年からユニークなビデオを制作していることで知られる。そのなかでラグビーワールドカップ開催年は、スポンサーシップもしている自国のナショナルチームである「オールブラックス」を応援すべく、ラグビーにちなんだビデオを制作。2011年は「Crazy About Rugby『オールブラックス』編」、2015年は映画「メン・イン・ブラック」とコラボレーションした「メン・イン・ブラック×オールブラックス編」を制作。両ビデオともオールブラックスの選手やスタッフが登場した。
2019年はラグビーワールドカップ開催年にあたり、9月20日に開幕を迎える。開催国が日本であることは言うまでもない。ニュージーランド航空も、開幕50日前となる8月1日、オールブラックスのコーチ、現役選手、OB選手が登場するビデオを披露した。
発表会には、ラグビー実況で知られる矢野武氏が登場。「サッカーのワールドカップ、オリンピック、そしてラグビーワールドカップと、世界三大イベントの一つと呼ばれている。そこで2連覇中なのがニュージーランド代表のオールブラックスで、今回は3連覇を目指している」とラグビーワールドカップとオールブラックスについて解説。さらに機内安全ビデオについて、「ニュージーランド航空の機内安全ビデオが面白い、何度も繰り返し見たくなると、ラグビーファンの間でも名物」と紹介した。
そして、ラグビーや選手を知らない人のために「野暮ながら……」としつつ見どころを紹介した。
ビデオは会議室のシーンから始まり、ニュージーランド航空がオールブラックスを愛しすぎて、オールブラックス航空(エア・オールブラックス)に変えようとの議題について検討しているところからスタート。ここにはオールブラックスのヘッドコーチであるスティーブ・ハンセン氏や、キャプテンのキーラン・リード選手が登場。さらに、マオリ出身の俳優で映画「ダイ・ハード4」などにも登場した、クリフ・カーティス氏や、米国の人気テレビドラマ「SUITS(スーツ)」で主人公のライバル役として印象を残したリック・ホフマン氏も登場。リック・ホフマン氏は顧問弁護士役で登場しており、SUITSに対するオマージュにもなっている。
続いて、オールブラックス航空のイメージシーンを紹介するなかでは、3列のシートの左右に現役選手、そして中央に、ラグビーの元オーストラリア代表のジョージ・グレーガン氏が登場。これは「間違い」での登場で、オールブラックスの選手にすぐに入れ替わるのだが、ラグビーファンは爆笑必至の演出だ。
そして、シーンは進み、後半には「87」のバッジを付けた5人の男性が登場。これは1987年の第1回ラグビーワールドカップで優勝した際のオールブラックスのメンバー。まさに「レジェンド」たちであり、日本代表チームのヘッドコーチを務めたジョン・カーワン氏も出演している。
この機内安全ビデオは8月1日から機内で上映を開始したほか、YouTubeでも公開している。
ちなみに、上述の写真で矢野武氏がオールブラックス航空のポロシャツを着用しているほか、モデルプレーンも登場。こうしたグッズを入手する方法は現時点で用意されていないが、ニュージーランド航空では「なんらかの形でお客さまに提供できるよう検討したい」と前向きだった。
マオリ文化を日本に伝える「TUKU IHO」。8月1日~31日に六本木で開催
8月1日からは、東京・六本木ミッドタウン内の「21_21 DESIGN SIGHT」(Googleマップ)において、「TUKU IHO 受け継がれるレガシー」も開幕した。これは、ニュージーランド北島 ロトルアにあるテ・プイア マオリ芸術工芸学校が主催するもの。
マオリ文化はニュージーランドの植民地化などによって永遠に失われかけたが、1926年に芸術工芸法が制定され、1927年にマオリ芸術工芸学校を設立。150人以上の彫刻家が卒業し、先住民族のコミュニティの中心を成していた多くの集会場の修復に携わったという。
同校には5つの専門コースがあり、木材彫刻、石材や骨を使った彫刻、織物、マオリのタトゥー、カヌー製造や伝統的航海術などを学ぶことができる。
そのマオリの文化を伝え、ホスト国との文化、知識、経験の共有を目的に実施しているのが「TUKU IHO」で、2013年に中国・上海で初めて開催され、日本は7か国目の開催地で、4月27日~5月14日には札幌市の北海道博物館で行なわれ、夏休みは東京へと場所を移して開かれる。
TUKU IHOのキュレーターを務めるカール・ジョンストン氏は、TUKU IHOを開催することでマオリのアイデンティティを見つめ直すことの重要性についても触れ、開催場所もこだわって検討。日本においても、六本木という現代的な街のなかで、伝統的なマオリ文化を伝えることを重視したという。
また、日本との文化の類似性についても紹介。キリスト教が伝来する以前、マオリは自然が崇拝の対象であり、海の神、森の神などを信仰。木材彫刻は森の神さまの子孫を彫刻にするという自然観を持っているという。これは日本の八百万の神の考えに通じるものがある。
さらに、「マナアキ・タンガ」と呼ばれる価値観も紹介があった。これは訪問者をもてなす伝統的な価値観で、日本の「おもてなし」の心に通じるところがあるという。
マオリは文字を持たない民族で芸術工芸のみが文化を伝えるものであり、ジョンストン氏は「アーティストはマオリの文化を伝えていく責任がある」と、その芸術工芸の意義についても語った。
展示会では、そうしたマオリの芸術工芸品の展示のほか、マオリ芸術工芸学校から彫刻家も来日。木材や石骨の彫刻風景などを見ることができるほか、8月3日11時からは、東京千代田区の神田明神で、文化交流イベントも行なわれる。
駐日ニュージーランド大使も臨席したTUKU IHOオープニングレセプション
8月1日には、TUKU IHO 受け継がれるレガシー展の開幕を祝う、オープニングレセプションも行なわれた。冒頭、ニュージーランド政府観光局 日本局長 猪膝直樹氏があいさつに立ち、「すでに日本とニュージーランドは文化的にも同じ価値観で深い関係にある。この深い関係をさらに強固にできるのが、このTUKU IHOであると考えている。これから2週間にわたり東京で開催されるTUKU IHOで、皆さんもこの力を感じていただければと思う」と話した。
続いて、駐日ニュージーランド大使のヘイミッシュ・クーパー氏が登壇し、「TUKU IHOは文化芸術活動を基盤として、グローバルコミュニティとの新しい関係構築や、強化を目指す橋渡しとして発展してきた。文化はさまざまな垣根を越えて人々をつなぎ、強い影響力を持つ。これまで、いろいろな国の人々と交流し、対話を生み出してきた。ニュージーランド大使館はこのような機会を通じて、日本との協力なパートナーシップがさらに深まり、両国民の関係がより緊密になるよう、大いに期待している」とあいさつ。
そして、2019年ラグビーワールドカップについても触れ、「アジアで初めての開催であり、オールブラックスは史上初の3連覇を目指す。どうかこちらの応援もよろしくお願いいたします」と呼びかけた。
次にニュージーランド・マオリ芸術工芸学校およびテ・プイア会長のハリー・バークハート氏が登壇し、「TUKU IHO 受け継がれるレガシーを開催するにあたって、文化を交流する機会を得てうれしく思う。相互性はとても重要な要素になっている。ぜひとも皆さまに私どもの場に来ていただきたいと思っているし、関係を強化できればと願っている」とあいさつした。
最後にニュージーランド航空 マーケティング部 ディレクターのエリス・シモーン氏が登壇。ニュージーランド航空はニュージーランドを代表する航空会社であり、ニュージーランドの文化を広めることに熱心。この展示会を通じて、皆さまにマオリの文化を知っていただければ私もうれしい」とTUKU IHOへの来場をアピール。
また、先述の機内安全ビデオについても紹介し、矢野武氏を招き入れてレセプション参加者に披露。そのままシモーン氏と矢野氏の2名で乾杯の音頭をとり、パーティを盛り上げた。