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JAL、空港の手荷物積み降ろし作業にパワードウェア「ATOUN MODEL Y」導入。女性スタッフなどの負担軽減へ

パワーバリアレス社会へ

2019年2月12日 発表

JALグループのグランドハンドリング業務を担当するJALグランドサービスは、パワードウェア「ATOUN MODEL Y」を羽田空港と成田空港に導入した

 JALグループにおいて国内主要空港の手荷物・貨物搭降載作業などのグランドハンドリング業務を担当するJALグランドサービスは、着用型ロボットを提供するATOUN(アトウン)と空港グランドハンドリング業務の改善に向けて協業して取り組むことを発表した。

 取り組みの一環として、作業者の身体的負荷の軽減と生産性向上を目的に、ATOUNのパワードウェア「ATOUN MODEL Y」を20着購入。羽田空港へ10着、成田空港へ10着を、2月1日から順次導入している。

 JALグランドサービスとATOUNは2月12日、羽田空港で共同会見を開いて概要を説明するとともに、スタッフが荷捌き場で「ATOUN MODEL Y」を着用して、ベルトコンベアからコンテナへ手荷物の積み込み作業を行なう様子を公開した。

JALスタッフが羽田空港の荷捌き場で「ATOUN MODEL Y」を着用して、ベルトコンベアからコンテナへ手荷物の積み込み作業を行なう様子を公開した
JALグランドサービスが導入した「ATOUN MODEL Y」

日本のグランドハンドリング業界、航空業界への貢献をいっそう進めていきたい

株式会社JALグランドサービス 代表取締役社長 中村泰寛氏

 JALグランドサービス 代表取締役社長の中村泰寛氏は、航空需要が堅調に伸びていくなか、旅客や貨物が増えていくなかで、日本の労働者不足が懸念される状況において、グランドハンドリングという業務は力仕事があり、女性の活躍、高齢者の活躍をどうやって図っていくかを常々検討していたという背景があると説明。

「10社近くのモデルを試した」とのことだが、最終的に「ATOUN MODEL Y」を採用した3つの理由を紹介した。1つ目はシンプルであること。「ATOUN MODEL Y」を現場の数名に試してもらったところ、着脱の容易性、着装後の歩行の容易性において、現場の評価が高かったという。

 2つ目は、拡張性や発展性。「ATOUN MODEL Y」は腰の動きをサポートするものだが、ATOUNではこれに腕のサポート機能を追加することを研究・開発しており、「ぜひJALの現場の声を反映していただきたい、一緒に作っていきたい」と思いを語った。

 3つ目は、ATOUNの「年齢や性別に左右されずに働くことのできる『パワーバリアレス社会』を創る。」という経営理念に共感、共鳴したところにあり、「働く人たちの環境改善に一生懸命に取り組み、日本のグランドハンドリング業界、航空業界への貢献をいっそう進めていきたい」と語った。羽田と成田に導入された「ATOUN MODEL Y」だが、今後は「札幌や大阪、福岡にも早い段階でトライアルしていきたい」と述べていた。

人にやさしい先進的な現場づくりに貢献していきたい

株式会社ATOUN 代表取締役社長 藤本弘道氏

 続いてATOUN 代表取締役社長の藤本弘道氏が会社や「ATOUN MODEL Y」について説明した。ATOUNはパナソニックと三井物産によるジョイントベンチャーで、2003年6月6日創業。「年齢や性別に左右されずに働くことのできる『パワーバリアレス社会』を創る。」という経営理念を創業時から「ぶれずに」進めてきており「着るロボット」、パワードスーツやパワードウェアを開発している。

 2018年7月から販売している「ATOUN MODEL Y」は腰の支援をするタイプで、左右にモーターを搭載、背面にリチウムイオン電池のバッテリを搭載。充電時間は1時間~1時間30分で、下から上に物を持ち上げるという動作のアシストであれば約4時間、中腰の姿勢を保持・サポートするモードを加えると約3時間連続駆動できる。ATOUNが測定した結果として、「ATOUN MODEL Y」を使った場合、作業効率が約20%向上したデータもあるとのこと。

 また、新しい機能が登場するときに、製品をまるごと買い直すことがないよう、「ATOUN MODEL Y」では腕のサポート機能を追加する形で実装できるようにする予定であり、「人にやさしい先進的な現場づくりに貢献していきたい」と語っていた。

ATOUNの会社概要
ATOUNの経営理念
シャツを羽織るように、ズボンをはくようにして機能を利用できることを目指している
「ATOUN MODEL Y」はモーターやバッテリを搭載し、人が物を下から上に持ち上げようとする動作をサポート。業効率が約20%向上したというデータもあるという
「ATOUN MODEL Y」を物流、製造、農業、災害対応、介護などの分野に広げていきたいという
「ATOUN MODEL Y」では腕のサポート機能を追加する形で実装できるようにする予定
「ATOUN MODEL Y」はリュックを背負うようにしてから各所を体に固定する
人が物を下から上に持ち上げようとする動作をサポートする
JALスタッフが羽田空港の荷捌き場で「ATOUN MODEL Y」を着用して、ベルトコンベアからコンテナへの積み込み作業を行なう様子を公開した