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【JA2018】国際航空宇宙展2018東京が開幕。国内外の航空宇宙関連企業が自社技術や商品を展示

2018年11月28日~30日 実施

国際航空宇宙展2018東京(JA2018)が開幕。開幕式のテープカットには(左から)株式会社東京ビッグサイト 代表取締役社長 石原清次氏、AIA(米国航空宇宙工業会) ウェズレイ・ディ・クレーマー(Wesley D. Kremer)氏、経済産業省 審議官(製造産業局担当) 広瀬直氏、東京都 副知事 多羅尾光睦氏、防衛装備庁長官 深山延暁氏、内閣府宇宙開発戦略推進事務局 事務局長 髙田修三氏、一般社団法人日本航空宇宙工業会(SJAC)会長 大宮英明氏が並んだ

 日本航空宇宙工業会(SJAC)と東京ビッグサイトが主催する「国際航空宇宙展2018東京(JA2018:Japan International Aerospace Exhibition 2018 Tokyo)」が東京ビッグサイトで11月28日に開幕した。30日までの3日間行なわれる。本記事では民生分野の展示物を中心に紹介する。

 国際航空宇宙展は、国内外の航空宇宙産業の技術、商品の展示商談会のほか、業界の第一人者による講演、セミナーが行なわれる。2000年以降は4年ごとに開催されており、2012年は愛知県のポートメッセなごやとセントレア(中部国際空港)で、2016年には東京ビッグサイトで開催された。

 通常の開催周期であれば2020年に行なわれることになるが、同年は東京オリンピック・パラリンピックが開催され、東京ビッグサイトも使用できなくなることから、2016年開催時と同じ規模の国際航空宇宙展については、2021年秋に実施することが決まっている。

 ただ、2016年から2021年まで5年の空白期間となることから、前回開催の約半分のスペースでJA2018を開催することになった。そうした経緯での開催のため、通常開催時は週末に一般来場者を対象としたパブリックデーが設けられるが、今回のJA2018はビジネス目的の来場者のみを対象とするトレードデーのみの3日間となる。

東京ビッグサイト 東7・8ホールで実施。期間中はりんかい線 国際線展示場駅(駅前ロータリー発着)と、東京ビッグサイト 東7・8ホールを結ぶ無料シャトルバスを約10分間隔で運行している
次回開催は2021年

 三菱重工のブースでは、国産リージョナル旅客機「MRJ」のモデルプレーンが展示された。90席クラスの「MRJ90」と、70席クラスの「MRJ70」が並べておいてあり、モニターも利用してMRJのPRを行なっていた。また、三菱重工が関わっている航空機エンジンの紹介もあり、高圧タービンなどもパーツを展示している。

三菱重工のブースでは、MRJ90とMRJ70のモデルプレーンを展示
三菱重工ブース
プラット&ホイットニーほか同社が参画している航空機エンジンの紹介。実際の部品なども展示している

 三菱電機のブースでは、総務省やNICT(情報通信研究機構)と共同で研究を進めているKaバンドを用いた衛星通信に適用する航空機用平面アンテナの試作品を展示していた。現在、機内インターネットサービスの多くはKuバンドを用いたものとなっているが、通信衛星数の少なさによるエリアカバレッジの課題などはあるものの、より高周波数帯のKaバンドが普及することで転送速度の向上が期待されている。

 三菱電機が開発したKaバンド用の平面アンテナは、3cm厚の薄型のもの。送信、受信それぞれに別アンテナを用いるほか、各アンテナは複数の小さな基板から構成することでニーズに応じてアンテナサイズを変更することもできるという。三菱電機では2022年ごろの製品化を目指しているという。

三菱電機が展示したKaバンド対応の航空機用平面アンテナ。写真左が送信用、写真右が受信用
受信用アンテナの基板。複数枚の基板を用いてアンテナを構成することでフレキシビリティを持たせる

 ボーイングのブースでは、最新鋭機のボーイング 787-10型機、777-9型機、737 MAX 10型機のモデルプレーンを入り口に展示。JA2016でも用意したボーイング 787型機のコックピットを体験できるフライトシミュレータを今回も設置し、人気を集めていた。

 また、機内の様子をリアルに見ることができるVR体験も用意。実際の客室に極めて近いコンテンツなどを用意することで、例えば、整備士らが資格取得のために実機での訓練を受けるまでの過程の自習などに役立たせるなど、VR技術をトレーニングに応用する提案をするものとなっている。

ボーイングブース
人気を集めるボーイング 787型機のシミュレータ
トレーニングへのVR活用を提案
ボーイング 737 MAX 10型機のモデルプレーン
ボーイング 787-10型機のモデルプレーン
ボーイング 777-9型機のモデルプレーン

 SUBARU(スバル)のブースでは、民間向けヘリコプターの「ベル 412EPX」の巨大モデルプレーンを展示。このヘリコプターはもともと米国のベル・ヘリコプター・テキストロンと日本の防衛省との3社・機関が共同で民間ヘリコプターを開発し、それを自衛隊機に転用する計画で進められているもの。

 そうした、SUBARUの自衛隊との連携としては、無人飛行機の分野においても防衛省が研究を進める無人機も開発。そのモデルプレーンも展示されていた。また、いわゆる「空飛ぶクルマ」として産官連携で取り組みがはじまった「空の移動革命」についても、同社が自動車分野で培ったアイサイトやコネクティビティなどのノウハウを活かしたいとしている。

 このほか、国際共同開発事業として米ボーイングと進めている、ボーイング 787型機の中央翼の1/10スケールモデルなどを展示。SUBARUは11月に飛行試験1号機の胴体結合が終わったボーイング 777-9型機などにも携わっている。

SUBARUブースで展示された「ベル 412EPX」のモデルプレーン
自衛隊向けの研究用無人機のモデルプレーン
空飛ぶクルマの開発にも取り組む
ボーイング 787型機の中央翼(1/10スケール)
ボーイング 787型機のほか、777型機、777X型機の部品製造にも参画

 ちなみに、ボーイング 787型機の中央翼がドリームリフター(ボーイング 747LCF型機)で輸送されるのはよく知られるところ。しかし、SUBARUによると一回り大きいボーイング 777型機の部品は、航空輸送ではなく、船便で米国へ輸送しているという。

 そうした航空部品の物流分野で存在感を示すべく出展したのが郵船ロジスティクスである。郵船ロジスティクスはボーイングやエアバス、三菱航空機といった航空機メーカーの部品輸送に携わっており、この分野のさらなる拡大を目指す。例えば、JA2018では航空機部品製造の受注を狙った地域クラスタの出展も目立っているが、今後、市場の裾野も広げたいとしている。

郵船ロジスティクスのブース
ボーイングやエアバス、三菱航空機の航空機部品の輸送に携わる
コンテナ船
貨物機
コンテナトラック

 このほか、今回唯一の屋外展示を行なったのがロッキード・マーチン。政府による防衛大綱の改定議論のなかでF-15戦闘機の後継として保有の検討が伝えられる「F-35」の実物大モックアップを展示している。

 モックアップはコックピットにも座ることができ、初日の午前中から順番待ちが見られるほど。併せて、同機のF135エンジンも展示されている。

ロッキード・マーチンが展示しているF-35の実物大モックアップ。コックピットへの搭乗も可能
F-35に使われるプラット&ホイットニーのF135エンジン