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西武鉄道、新型特急車両「Laview(ラビュー)」発表会。新型シートを展示
女優の土屋太鳳さんが参加
2018年10月29日 21:43
- 2018年10月29日 開催
西武鉄道は10月29日、都内で会見を開き25年振りとなる新型特急車両の詳細を発表した。すでに概報のとおり、新型特急車両の形式は「001系」、愛称は「Laview(ラビュー)」となり、2019年3月に池袋線・西武秩父線で運行を開始する(関連記事「西武鉄道、25年振りの新型特急車両を正式発表。車両形式は『001系』、愛称は『Laview(ラビュー)』で2019年3月デビュー」)。
この発表会では、鮮やかな黄色の新デザインのシートが公開された。西武鉄道のコマーシャルにも出演する女優の土屋太鳳さんも登場してシートの乗り心地を試し、車両デザインを担当した妹島和世氏、西武鉄道 取締役会長の後藤高志氏、代表取締役社長の若林久氏と対面シートで歓談するなど、なごやかなムードの中で発表された。
発表会は、主催者として西武鉄道 取締役会長 後藤高志氏があいさつに登壇し、「この“今までに見たことのない特急車両”の開発は、西武ホールディングスが東証一部上場した2014年から始まりました。現在、西武グループ全体の価値を2倍以上に高めることを全社が共有しているところで、新型特急は新たな視点でスピード感を持ってイノベーションを実現する成果でもあります。西武鉄道のこれからの100年を象徴する特急車両です」と新型特急車両と紹介。
加えて「2015年5月には西武鉄道が創立100周年を迎えました。2016年には新しいコーポレートメッセージ『あれも、これも、かなう。西武鉄道』を策定しました。2016年4月には『西武 旅するレストラン 52席の至福』を運行開始しました。土日の運行ですが、とても多くの方に喜んでいただけています。2017年3月には新型通勤車両40000系を約10年ぶりに製造しました。全席座席指定『S-TRAIN』を運行開始、2018年3月には『拝島ライナー』も運行を開始しました。2017年4月には西武秩父駅前に『西武秩父駅前温泉 祭の湯』を開業しました。
今年3月には商業施設『グランエミオ所沢』を開業。11月飯能駅には『ムーミンランドメッツァ』の第一期が完成します。池袋駅南口の西武鉄道池袋線線路上空と線路西側の用地を使い、地上20階100m高の高層オフィスビル『ダイヤゲート池袋』が2019年春開業し、西武ホールディングスを移します」と、近年の西武鉄道の動向を紹介した。
続いて、西武鉄道 代表取締役社長の若林久氏が登壇し、新型特急車両の愛称が「Laview(ラビュー)」になることと、形式が「001(ゼロゼロイチ)系」であること、またポスターデザインが発表された。
愛称の「Laview」は、「L」に「贅沢(Luxury)なリビング(Living)のような空間」、「a」に「矢(arrow)のような速達性」、「view」には「大きな窓から移りゆく眺望(view)」という想いが込められている。ロゴはオリジナルフォントでデザインは、車両デザインと同じ妹島和世氏が担当した。
また「001系」という車両型式には、フラッグシップトレインとして、今までに見たことのない新しい車両であること、次の100年に向けた出発点である車両、ということが表現されている。そのため100年を逆から表わして「001」としている。「00」には無限「∞」の可能性という意味を込めている。英語表記は「001_series(ダブルオーワンシリーズ)」となる。
1969年登場の「レッドアロー号」が5000系、1993年登場の「ニューレッドアロー」が10000系という車両型式だったが、まったく新しいパターンとなっていて、ここからも刷新する意欲が伝わってくる。
運行は2019年3月からを予定し、10000系「ニューレッドアロー」を順次置き換え、ちちぶ号、むさし号として運行する。運行区間は西武池袋線、西武秩父線の池袋駅~西武秩父駅間。停車駅は現在のちちぶ号、むさし号と同じ。料金も同じで、大人が300~700円(小児は半額)。
車両の基本デザイン監修を行なった建築家の妹島和世氏も登壇し、「都市や自然のなかでやわらかく風景に溶け込む」「みんながくつろげるリビングのような」「新しい価値を創造し、ただの移動手段ではなく、目的地となる」というデザインコンセプトから始まり、新型特急「Laview」になるまでを説明。西武鉄道の特急は、通勤、観光、年齢層など使われ方が多様なので、列車に乗る体験全体がワクワクできることを目指したとのこと。
ステンレスの車体は、周囲の風景を柔らかく映り込むような塗装が施され、映り込む風景と街が一緒になることを目指している。家の窓に通じるように窓が大きくとり、膝から上が窓となる開放的な室内。シートは人を包み込むような形状となっている。
また、車両を製作した山口県にある日立製作所笠戸事業所での作業中の写真も紹介された。
車体はアルミの壁構造で、わずかな曲面を描いている。このカーブを付ける作業はとても手間がかかり、苦労しているとのこと。窓は幅が約1.5m、高さ1.3mほどある大きなもの。窓には、ドットによるグラデーションの印刷が施されている。
建築家として初めて列車のデザインをして、車両製作が手作りの部分がとても多いことに新鮮で驚いたと語っていた。
シートのお披露目では、西武鉄道のテレビコマーシャルにも出演する女優の土屋太鳳さんが登場。シートに座り、その座り心地や、テーブルの使い勝手を実演してくれた。新シートに座り「ビタミンカラーで元気が出ます! ゆったりしてて包まれる感じが気持ちいい。早くこのシートに乗って秩父に行ってみたい!」と感想を語っていた。
シートは適度に囲われ感があり、クッションは柔らか過ぎず適度。ヘッドレストも動かすことができ、とても快適だった。もちろんリクライニングもする。
テーブルは背面と中央の肘掛けにインアームのテーブルが用意されている。また中央下部に1人に1つのACコンセント(100V)も用意されている。各車両には「SEIBU FREE Wi-Fi」も導入される。また座席シートや床面などのテキスタイルデザインには、デザイナーの安東陽子氏も加わっている。