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初開催の西武鉄道「ちちぶ車両基地酒場 2018 in 横瀬」レポート。秩父の酒と地元メシを味わい、ピンクの9000系にラクガキでお別れ

2018年11月17日~18日 実施

「ちちぶ車両基地酒場 2018 in 横瀬」で、引退するピンク色の9000系に参加者が思いを込めたメッセージグラフィティを描く

 西武鉄道は11月17日~18日、横瀬町観光・産業振興協会、秩父地域おもてなし観光公社とともに、西武鉄道横瀬車両基地で「ちちぶ車両基地酒場 2018 in 横瀬」を初開催した。

 秩父地域の日本酒蔵、ビール醸造所、ワイナリー、ウイスキー蒸溜所が集結。通常入ることのできない車両基地内で、秩父地方のお酒とローカルフードを存分に堪能できるイベント。取材日は土曜だったが、多くの人が来場してにぎわっていた。ブースは常に列が途絶えることがなく、フードによっては午後には完売してしまうほどだった。

引退するピンク色の9000系を横に秩父の酒とローカルフードを味わう

 入場にはチケット(前売1800円、当日2000円)の購入が必要で、これにはブースで利用できる酒食チケットが5枚分が含まれている。1チケットは当日券換算で400円ということになる。メニューにより利用枚数が異なるが、提供されるメニューで見るとお得な内容になっている。入場後のチケット買い増しも可能。現金で購入できるメニューもあるが、チケット用と分けられていることもある。

 お酒を含むイベントなので、未成年のみでの入場はできず、必ず成人保護者の同行が必要となる。

 会場は完全にオープンな場所で、中央に大きめの屋根付きテントの飲食所が設けられていた。その横には解体を待つピンク色に塗られた9000系車両が置かれ、その一部、1~5号車は飲食もできる休憩スペースとしてを開放されていた。このピンク色の車両は「SEIBU KPP TRAIN」として「きゃりーぱみゅぱみゅ」のメジャーデビュー5周年を記念して9101編成を塗装し、ラッピングを施して運行したもの。通常の9000系は黄色の塗装だ(関連記事「『SEIBU KPP TRAIN』きゃりーぱみゅぱみゅ5周年×西武鉄道のコラボ列車が運行開始」)。

飯能駅を過ぎると、車窓は一気にのどかな景色になる
レッドアロー号にて横瀬駅に到着
「ちちぶ車両基地酒場 2018 in 横瀬」の歓迎ポスターのコーナーがあった
縦長で扉のない簡易型の自動改札機
西武鉄道 横瀬車両基地のある横瀬駅駅舎。駅前では係員が誘導している
横瀬の観光案内板
すぐ横にある地下道を使って線路の反対側に向かう
のどかな線路沿いの道を歩いていく
ここから横瀬車両基地に入っていく
基地内には40000系の姿も。ずっと置かれていた
線路間を会場に向かって進むとピンク色の9000系が見えてきた
入口テント。まだ開場前なので平穏だ
「ちちぶ車両基地酒場 2018 in 横瀬」の会場全体。ピンク色の9000系の横にテントが並ぶ
ピンク色に塗装された9000系
反対側は扉がシートでふさがれていた
開放されている車内の様子。提灯が飾り付けられていた
提灯の飾り付け
クリエイターによるアート車両となる3号車は特別な提灯飾り
9000系の車両から会場を見渡してみた。中央の大きなテントは飲食できる休憩スペース
ブースには列ができはじめる
特に「イチローズ・モルト」のベンチャーウイスキーと「秩父麦酒」ベアーミートビアーのブースは列が途絶えない
会場内で、西武鉄道が西武秩父駅前で運営する「祭りの湯」チケットの入ったパンフレットを配布
ボトルを購入して酒盛りを楽しむ一行も
車両にメッセージグラフィティを描いてSNSに投稿するともらえる、「あしがくぼの氷柱(2019年1月5日~2月24日開催)」の絵ハガキ2枚
車両前でピンク色のものを身に着けて撮影した写真を見せるともらえる、女優の土屋太鳳さんがデザインされたクリアケース

 お酒と飲食のブースは、大きく「秩父酒ブース」「秩父肉横丁」「YOKOZEグルメ」に分かれていて、終始列が作られにぎわっていた。

 秩父酒ブースには、世界で評価されるシングルモルトウイスキーの「イチローズ・モルト」のベンチャーウイスキー、2017年に免許取得した新しい個性派クラフトビール「秩父麦酒(ビール)」のベアーミートビアー、秩父路の銘酒「武甲正宗」の武甲酒造、銘酒「秩父錦」や米焼酎「だんべえ」の矢尾本店、2015年から始まった「秩父ルージュ」などのワインを作る「兎田ワイナリー」を運営する秩父ファーマーズファクトリー、「ちちぶサイダー」などの戸田乳業がブースを出展していた。

世界で高評価されるイチローズ・モルト「モルト&グレイン ホワイトラベル」
イチローズ・モルトのベンチャーウイスキー
クラフトビール「秩父麦酒(ビール)」のベアーミートビアー。熊のキャラクターがかわいい
4種飲み比べを試してみた。呑みやすい「しろくま IPA」と同「オレンジVer.」、なんとチョコ味「ちょこぐまとばなな」、吉田産ゴールデンカボス使用で爽やかな「かぼすとくま」
「武甲正宗」の武甲酒造。「しぼりたて」は本醸造生酒の新酒。にごり生酒もある
銘酒「秩父錦」や米焼酎「だんべえ」の矢尾本店
秩父錦の純米無濾過生原酒が呑める
メルロー交配品種富士の夢で作られた赤ワイン「富士の夢」と甲斐ブランの白ワイン「秩父ブラン」を作る「兎田ワイナリー」の秩父ファーマーズファクトリー
フルーツがタップリ入ったフルーツワイン
戸田乳業は、梅、さくら、かぼすのリキュールなどを。スパークリングもある

 秩父肉横丁は、「食彩秩父じんじんばぁ(猪汁、猪肉の串焼きなど)」「焼肉ホルモン まる助(ホルモン焼き)」「秩父からあげ きすけ食堂(手のひらからあげ、鶏だしカレーなど)」「Y's Dining 寛斎(牛肉角切りステーキ、みそポテトなど)」「仕出弁当こいずみ(鳥新のからあげ)」「皆野高等学校(イノシカバーガー)」「秩父豚肉味噌漬本舗 せかい(豚肉味噌漬け)」「秩父地域おもてなし観光公社(おみやげ)」が出展。

 YOKOZEグルメでは、「BAR Te・Airigh(チェ・アリー)、(イチローズ・モルト、マドレーヌなど)」「インドカレーハウス 秩父ガネーシャ(インドスパイスからあげ)」「小松沢レジャー農園(横瀬町産原木しいたけの天ぷら)」「あしがくぼ渓谷国際釣場(ますの塩焼き)」が出展していた。

「秩父からあげ きすけ食堂」の「鶏だしカレー」に、チケット1枚で交換できる「おつまみサイズ 手のひらからあげ」をトッピングで昼食にした
「皆野高等学校」の鹿と猪の合い挽き肉を使った「イノシカバーガー」は早々に完売していた
豪快な「焼肉ホルモン まる助」の「ホルモン焼き」
「仕出弁当こいずみ」の「鳥新のからあげ」は、このイベント限定提供。秩父の鳥新は現在閉店中
「秩父豚肉味噌漬本舗 せかい」の「豚肉味噌漬け」は2枚入り
「Y's Dining 寛斎」の「牛肉角切りステーキ」
「Y's Dining 寛斎」では「みそポテト」も提供
「食彩秩父じんじんばぁ」の「猪汁」
「食彩秩父じんじんばぁ」の「猪肉の串焼き」は早々に完売
「あしがくぼ渓谷国際釣場」の「ますの塩焼き」は日本酒に合いそうだ
「小松沢レジャー農園」の大ぶりな「横瀬町産原木しいたけの天ぷら」
「小松沢レジャー農園」ではブドウも販売
「インドカレーハウス 秩父ガネーシャ」の「インドスパイスからあげ」
「インドカレーハウス 秩父ガネーシャ」では「カレーパン」も美味しそう
「BAR Te・Airigh」では、レアなイチローズ・モルトも含めずらりと並ぶ
イチローズ・モルトの通称「葉っぱ」のラベルシリーズ。「ワインウッドリザーブ」「ミズナラウッドリザーブ」「ダブルディステーラーズ」。左は「モルト&グレイン ワールドブレンデッドウイスキー リミテッドエディション」限定品
「BAR Te・Airigh」ではクッキーやチョコレート、マドレーヌなどのお菓子も販売
「秩父地域おもてなし観光公社」の「横瀬の紅茶」
「秩父地域おもてなし観光公社」の秩父紺七てぬぐい

 また、5号車を使って1日に3回、「イチローズ・モルト」のベンチャーウイスキー、「秩父麦酒」のベアーミートビアー、「兎田ワイナリー」の秩父ファーマーズファクトリーが、初心者向けのお酒講座を開催していて、お酒の作り方や種類の違い、楽しみ方などのレクチャーが開催されていた。講座中には試飲が行なわれるが、参加は無料。ベンチャーウイスキーの回のみは、参加希望者が多いことから回数券が配布されていた。各回ともに30名ほどで30分ほど。試飲もあり、参加者は和気あいあいと楽しんでいた。

 ベンチャーウイスキーのブランドアンバサダー 吉川由美氏は、グレープフルーツの香りがするビール(IPA)樽で熟成させたり、ブレンドされることでイチローズ・モルトの風味が変化することや、500年前の無色透明なウイスキーを持参して体験させてくれていた。

 秩父ファーマーズファクトリー 代表取締役 深田和彦氏は、兎田ワイナリーでは小規模だが今年30トン強の仕込みが終わったこと、今年は7~8月に晴天に恵まれて、台風の影響は少なくよい出来になっていると報告。「マスカットベリーA」や「セイベル9110」の新酒の試飲を行なっていた。

 ベアーミートビアー 代表兼醸造責任者 丹広大氏は、24種と豊富な種類の秩父麦酒から、麦芽の焙煎が濃くミズナラ樹皮の香りを加えたレッドエールの「紅熊X」と、ウイスキーの木樽で8か月間熟成し1週間前にボトリングしたばかりの「樽熊」を飲み比べてもらい、ビールの製法や多様性を実感してもらっていた。秩父麦酒は2017年10月の醸造免許を取得したばかりの新しいビール。素材本来の香りや味わいを楽しんでもらうために濾過と熱処理をしないことを特徴にしていて、これまでクラフトビールに縁がなかった人にも、飲んで喜んでもらえることを目標にしたいとのこと。

イチローズ・モルトを通じてウイスキーの魅力を伝える、株式会社ベンチャーウイスキー ブランドアンバサダー 吉川由美氏
株式会社秩父ファーマーズファクトリー 代表取締役 深田和彦氏
合資会社ベアーミートビアー 代表兼醸造責任者 丹広大氏。秩父麦酒は、2017年10月に免許を受けた新しい醸造所
貴重なウイスキーを3種試飲。
釜の上地区で2018年に収穫した新酒のマスカットベリーA をテイスティング
「紅熊X」は秩父産ミズナラ樹皮の香りを付け、モルトRed-Xのみを使用。ラベルのない方の「樽熊」はウイスキー樽を使い豊かな香りを付けている
紅熊Xが濃い色で樽熊は薄い色。味も大きく違う

解体される「SEIBU KPP TRAIN」にみんなでお別れメッセージを書き込む

 開場横の解体を待つピンク色に塗られた9000系車両は、1~5号車に誰でもメッセージグラフィティを描くことができ、午後になると参加者のメッセージがたくさん描かれていた。イベントはこのあともう1日あるので、さらに多くのメッセージで埋め尽くされたはずだ。

 また3号車は、アプリ開発やイベント企画を手がけるスキーマのクリエイティブディレクター 岡永梨沙氏によるアートのライブペイントが行なわれていた。具体的なモチーフは描かずに、わざと抽象的なデザインにしているとのこと。「にぎやかに見送る」ということをイメージして描いているそうだ。完成まではまだ1日あるので、完成はしていなかったが、カラフルで楽しげなデザインになりそうな様子だった。

車体にアートをライブペイントする株式会社スキーマ クリエイティブディレクター 岡永梨沙氏
ライブペイントが進行中の9000系3号車
1号車はすでにメッセージがいっぱい
なぜか行き先表示は大阪行き
KPP(きゃりーぱみゅぱみゅ)専用の座席も
1号車先頭部分の車内
貫通扉の通路はメッセージが激しい
思い思いのメッセージを描く
型式やマーク表示の周囲は人気スペース
秩父市のイメージキャラクター「ポテくまくん」も登場
ピンク色に塗られた9000系に描かれたメッセージグラフィティをランダムに
9000系ありがとう!