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スターフライヤー、男性CAだけで運航する「空男ソラダン MEN's FLIGHT」を羽田~北九州便で実施

男性CAは現在9名が在籍も、3名揃って男性が乗務する便は「めったにない」

2018年6月3日 実施

スターフライヤーが3名の男性CAによる「空男ソラダン MEN's FLIGHT~スターフライヤー男性スタッフによるおもてなしフライト~」を実施

 スターフライヤーは6月3日、男性CA(客室乗務員)のみで運航する「空男ソラダン MEN's FLIGHT~スターフライヤー男性スタッフによるおもてなしフライト~」を、羽田~北九州間のフライトで実施。羽田発~北九州行き便に搭乗し、その様子を取材した。

 空男ソラダン MEN's FLIGHTは、以下の羽田~北九州線の定期便で実施。通常運航どおり3名のCAが乗務し、その3名すべてを男性が務めた。週刊モーニング(講談社)で連載中の、男子高校生の空賀カケルがCAとして奮闘するマンガ「空男」とのコラボレーション企画。

空男ソラダン MEN's FLIGHT~スターフライヤー男性スタッフによるおもてなしフライト~

SFJ76便:北九州(09時00分)発~羽田(10時35分)着
SFJ77便:羽田(11時15分)発~北九州(12時55分)着

羽田空港発SFJ77便を「空男ソラダン MEN's FLIGHT~スターフライヤー男性スタッフによるおもてなしフライト~」として運航。機材は登録記号「JA20MC」のエアバス A320型機を使用した

 今回取材したSFJ77便には、入社9年目(2010年5月入社)の西山淳氏と、入社3年目(2016年4月入社)の関谷尚幸氏と田中應如氏の3名が乗務。西山氏がチーフを務め、機内のアナウンスを担当した。定期便ではあるが、コラボフライトということで、出発時には「空男ソラダン MEN's FLIGHT」であることを紹介するアナウンスも行なわれたほか、地上からはお見送りの横断幕が掲げられた。

搭乗時のお出迎え。イヤフォンを差し出す西山淳氏
キャビンで座席の案内などをする関谷尚幸氏(左)と田中應如氏(右)
出発を控えてブランケットの配布や機内アナウンス

 この空男ソラダン MEN's FLIGHTはチャーター便ではなく定期便のため、機内サービスは通常どおり。それでも、男性のみがサービスする客室は珍しい光景だ。スターフライヤーには現在約150名のCAが在籍するが、男性は9名とのことで、通常運航で男性3名の組み合わせになることは非常に稀なこと。今回乗務した3名のうち、西山氏のみが過去に1度そのようなフライトを経験があったが、今回は2~3年振りのことだという。

 機内では、あらかじめシート番号で抽選を行なって当選者を決定していた、作者の糸川一成氏サイン入り単行本セットを15名にプレゼント(往復各15名)。また、降機時には主人公の空賀カケルと八雲はなのイラストと、空男ソラダン MEN's FLIGHTの便名、運航日が書かれたポストカードを乗客に配布した。

3名の男性CAが機内前方と後方に分かれてドリンクサービス
ドリンクサービス中の田中氏
4月1日から新ブレンドとなった、スターフライヤーオリジナルブレンドのタリーズコーヒー
2008年に出荷できないリンゴが大量発生した際の農園救済をきっかけに生まれたリンゴジュース「希望の雫」
作者の糸川一成氏のサインが入った、「空男」1~2巻セットを15名にプレゼント
右のポストカードは、搭乗の記念として降機時に乗客全員に配布

北九州空港ではフォトブースを設置

北九州空港で乗客を出迎えた株式会社スターフライヤー 代表取締役 社長執行役員 松石禎己氏

 到着地の北九州空港では、主人公の空賀カケルと八雲はなの等身大パネルを設置したフォトブースを用意。男性CAとの撮影などを楽しめるようになっていた。

 ここで乗客を出迎えた同社 代表取締役 社長執行役員の松石禎己氏は、今回のイベントについて「いつの間にやらやってしまった(笑)。そのぐらいのスピード感(で実現したもの)だった。それが一番うれしい。以前はアイディアがあっても、やらない理由を探して実現しないこともあったが、今は社員が自分たちでどうすればやれるかを考えて、あっという間にやってしまうようにと、社内がずいぶんと変わったと思う。私は、やるという報告を受けるだけ」と笑顔で回答。「一部の社員が参加しているのではなくて、いろいろなことを企画しては実施、企画しては実施とやっているので自信がつく」と続けた。

 男性CAの存在については「頼りになる。乗務は3人だが、1人いるだけで変わってくると思う」とし、男性CAの人数の将来的な増減については、自身が面接するわけではないという前提のうえで、「応募いただいて、(採用試験に)通った方なら男性も女性も関係ない」とフラットに考えているとのことだ。

到着地の北九州空港でも、空賀カケルと八雲はなの等身大パネルを設置したフォトブースを設置。男性CAとの撮影も楽しめるイベントを行なった。
前方向かって中央右側が作者の糸川一成氏、同左側が株式会社スターフライヤー 代表取締役 社長執行役員 松石禎己氏。後方の5名は空男ソラダン MEN's FLIGHTのSFJ77便に乗務したパイロットとCA

 今回、乗務した3名にCAを目指したきっかけを訪ねると、関屋氏は「小学校のころから飛行機が大好きで、航空関係の仕事に就きたいと思っていたが、大学生のときにアルバイトで接客の楽しさを知って、その2つが結びついた」。田中氏は「CAもそうですが、スターフライヤーという会社が好きで、そこで働きたいと思った。そのなかで最前線で貢献できる仕事として志望した」。西山氏は「小さいころに家族旅行で伊丹空港から帰るとき、夕方の便で降りてくるCAやパイロットの方の姿を見て、チーム一丸となって飛行機を飛ばすんだと共感して、その一員になりたいと思った。あと、限られた空間のなかでサービスをすることに魅力を感じた」と三者三様の動機を明かした。

 また、印象的なフライトとしては、関屋氏が同期2名で、「機内で急病人が発生したとき、僕と田中氏とで前方までお運びしたことがある」と、男性CAでよかったことの一例としても、このようなフライトがあったことを紹介。田中氏に男性CAならではの利点として、「お客さまのお荷物には(棚に上げるのが重いような)大きなものもあるが、男性なら声をかけやすく、むしろ男性が率先してすることだと思うので、積極的にお手伝いしている」と話した。

 また、マンガ「空男」では主人公の空賀カケルと、同期の八雲はなの2人が切磋琢磨する様子が描かれる。西山氏はほかの航空会社でCAを勤めたあと、スターフライヤーには2010年5月入社。その際に5名が入社し、男性は西山氏だけだったというが、「同期の(存在は)すごく大きい。今も4名残っていて、いまでも仲間。同期に助けられて、助けてやってきた。家族ぐらい大切」「訓練中の思い出が多い。訓練はすごく大変なので同期で助け合って勉強したりする。1人が合格しても意味がなくて、全員合格して初めて合格になるので、自然と一体感が強まっていく」と同期の存在の大きさを語った。

関谷尚幸氏
西山淳氏
田中應如氏