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ブッキング・ドットコム、アクティビティを提供する「ブッキング・エクスペリエンス」開始。新サービスの狙いを日本地区統括 アダム・ブラウンステイン氏に聞く

2018年5月10日 実施

「ブッキング・エクスペリエンス」の開始にあたり、ブッキング・ドットコム 北アジア地区統括 兼 日本地区統括 リージョナル・ディレクターであるアダム・ブラウンステイン氏に、新サービスの狙いなどについて聞いた

 ブッキング・ドットコム・ジャパンは5月11日、ブッキング・ドットコムで宿泊予約したユーザー向けに周辺地域のアクティビティを提案するサービス「ブッキング・エクスペリエンス」を、東京都内の旅行者向けに提供すると発表した。

 すでに世界40の国と地域で展開しているサービスで、同社の提携パートナーが運営するアクティビティについてブッキング・ドットコムを通じて予約できる。予約すると旅行者のクレジットカードに紐付いたQRコードが発行され、そのQRコードをアクティビティのパスとして利用でき、割引なども受けられる。

 この「ブッキング・エクスペリエンス」の開始にあたり、ブッキング・ドットコム 日本地区統括 リージョナル・ディレクターであるアダム・ブラウンステイン氏に、新サービスの狙いなどについて聞いた。

テクノロジとイノベーションで“本物の体験”を発見しやすく

ブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社 北アジア地区統括 兼 日本地区統括 リージョナル・ディレクター アダム・ブラウンステイン氏

──まずは改めて、日本で始まる新サービス「ブッキング・エクスペリエンス」について教えてください。

ブラウンステイン氏:ブッキング・ドットコムは、ご存じのとおり、世界最大級のオンライン・トラベル・エージェンシーです。世界中の旅行者の膨大なエクスペリエンスを知っていますし、日本国内においてはインバウンドや日本人旅行者のディープなエクスペリエンス(体験)も把握しています。顧客第一主義をモットーとしている我々は、顧客である旅行者がアコモデーション(宿泊施設)だけでなく、買い物、食事、文化体験なども大切に考えていることを理解していますし、我々としても顧客が求めるそういったユニークなエクスペリエンスのニーズに応えたいと思っています。

 今回の「ブッキング・エクスペリエンス」のビジネスモデルは、すでに世界40の国と地域で提供していて、好評を得ているところです。これを日本でもスタートできるのは大変うれしいですし、日本を旅行する人にとっても役に立つものと信じています。チケットを予約するとQRコードが発行され、それにクレジットカードが紐付くので、QRコードを持ち歩くだけでアクティビティに参加できる手軽さも特徴です。通常のチケット料金から30~40%割引される場合もあります。

──新サービスにはどのような目的があるのでしょうか?

ブラウンステイン氏:「ブッキング・エクスペリエンス」にはいろいろな狙いがあります。そのなかでも2つのポイントが鍵になるでしょう。1つは、インバウンドと日本在住者のどちらにとっても価値のあるエクスペリエンスを提供するために、日本のローカルパートナーと協業すること。もう1つは、そういった価値あるエクスペリエンスを旅行者が簡単に、安心して予約、利用できるようにすることです。

 仮に、日本へ観光に来た人が、体験するのに半日から丸1日かかるような美術館・博物館やテーマパーク、そのほかのアクティビティにチャレンジしたいとします。ところが、その情報を探したり、安全にチケットを予約したりするのは難しいのが現状です。ブッキング・ドットコムの利用者なら、すでにホテルを予約していただいているので、その情報から付近にどんなアクティビティがあるのか探して教えることができ、顧客はそれを知って簡単に予約できるようになります。美術館・博物館やテーマパークだけでなく、食事やショッピングのスポットについても同じように提案できます。

「ブッキング・エクスペリエンス」のサービス画面イメージ

 つまり我々は、旅行者がアクティビティを探し、予約して、体験するまでのフローに存在するすべての手間やフリクション(障害や煩雑さ)を取り除きたいのです。料理教室での体験にしても、美術館巡りにしても、その手配から体験までをできるだけ簡単にしたい。テクノロジ企業である我々は、それが実現可能なよいポジションにいるのではないかと考えています。

 その一方で、これは旅行者だけでなく、日本で多様なツアーや料理教室、文化体験教室などを提供・運営している、たくさんのツアープロモーターに対してもメリットのあるサービスになります。彼らからは、日本に大量のインバウンドはあるけれども、小さなプロモーターがそこにアクセスするにはどうしたらよいか分からない、という悩みを打ち明けられることがあります。我々はそういったプロモーターと旅行者をマッチングするお手伝いができるでしょうし、それによってプロモーターはビジネスをさらに拡大できるようになるはずです。

──「ブッキング・エクスペリエンス」はすでに40の国と地域で展開しているとのことですが、海外ではどういったアクティビティが人気ですか?

ブラウンステイン氏:美術館・博物館や子供も楽しめるテーマパークは、世界で最も人気のあるアクティビティです。ヨーロッパもアメリカも、この傾向は変わりません。美術館・博物館は、個人でも家族でも、間違いなく楽しめるアトラクションですし、通常なら長い列に並んでチケットを買う必要があるところ、「ブッキング・エクスペリエンス」を利用すればその待ち時間は不要になります。

 美術館・博物館側としてもより多くのチケットを売りたいと考えているので、我々とはよいパートナー関係を築けるはずです。これはすでに海外で成功している例ですから、日本でも同じように成功を収めるものと期待しています。

──今回始まる「ブッキング・エクスペリエンス」で日本らしい特徴的なアクティビティはありますか。また、サービスローンチ時点のアクティビティの種類と、その後の拡充ペースを教えてください。

ブラウンステイン氏:サービス開始時は30種類以上のバリエーション豊かなアクティビティを用意していますが、主には文化に関連するものになりますね。例えば築地市場のツアー、着物体験などです。スタジオジブリやレゴランド(お台場にあるレゴランド・ディスカバリー・センター東京)のツアーなどもあります。

 でも今はまだスタートの段階です。旅行者、消費者の需要・要望によって、取り扱うアクティビティは変わっていくことになります。旅行者が日本で何をやりたいか意見をシェアしてくれれば、我々はそのエクスペリエンスにアクセスできるようにしたいと考えています。なので、どれだけの数のエクスペリエンスを用意するか、といったターゲットについて今言えることはありません。

 データ分析を通じて旅行者の興味・関心を調べ、日本において何が適切なエクスペリエンスなのかを見つける、という活動を進めていきます。数えきれないほどのエクスペリエンスが日本にはあります。鍵になるのはエクスペリエンスの数ではなく、旅行者にとって適切なエクスペリエンスがあるか、ということだと感じています。

──“適切なエクスペリエンス”を見つけるために、「ブッキング・エクスペリエンス」はどのような方向性で進化させていくのでしょうか?

ブラウンステイン氏:我々がやろうとしていることの1つは、テクノロジとイノベーションによるエクスペリエンスのパーソナライズ化です。パーソナライズ化によって、我々は旅行者一人一人の興味・関心が何であるかを把握でき、Webサイトではパーソナライズ化されたランディングページを用意できます。

 日本の旅行者はとりわけ“本物の文化の体験”を求めています。例えば(海外から)日本に訪れる多くの人は「茶道」を体験したいと思っています。けれども、どうやったらそのアクティビティを見つけられるのか分からないし、予約の仕方も分からない。これは、日本におけるアクティビティでみんなが苦労する最も典型的な例ではありますが、我々ならパーソナライズ化によって旅行者が好みのアクティビティをすぐに見つけられるようにすることが可能です。

──ブラウンステインさんは日本で長く暮らしているとのことですが、日本の「ブッキング・エクスペリエンス」を利用して何を体験したいと思いますか?

ブラウンステイン氏:私の場合はいつも買い物を体験したい、食べ物を探したいと思っていますし、“本物の文化”を知りたいとも思っています。これは、私がもし観光客だったとしても同じだろうと思います。私の子供も、いつもスタジオジブリ美術館に行きたいとせがんできます。あなたが日本を訪れる観光客だとしても、日本に住んでいる今思っているのと同じようなことを体験したいと願うんじゃないでしょうか。

旅行者の利便性向上だけでなく、事業者のビジネスのサポートも

──日本におけるインバウンドの増加で、実際にインバウンド向けのアクティビティも増えていると思います。そういったアクティビティを提供する事業者側が「ブッキング・エクスペリエンス」に登録したいときはどうすればよいのでしょうか?

ブラウンステイン氏:ブッキング・ドットコムが世界的にビジネス展開しているなかで重要と考えて実践しているのは、旅行者だけでなく、アクティビティを提供する事業者とともにその地域の価値を高めていくことです。今回の「ブッキング・エクスペリエンス」については、日本で専属のコマーシャルチームも立ち上げていますので、参加を希望するプロモーターはそこに問い合わせることができます。

 専属チームがあるというのは大変重要なことです。これによって事業者のビジネスをサポートできますし、旅行者に対してはブッキング・ドットコムとして自信をもってお勧めできるエクスペリエンスだけをフィルタリングして提供することも可能になるからです。

──なかには身体を激しく動かすことで、怪我の恐れのあるアクティビティもあるかもしれません。

ブラウンステイン氏:我々はあくまでも予約をファシリテートする立場。アクティビティを運営する側ではありません。ホテルでも同じですが、旅行者が予約する際の安全性、信頼性を高めるのが我々の役割です。旅行者が宿泊するホテルはブッキング・ドットコムが経営するホテルではありません。我々は要求に応じてゲストとアクティビティを提供、マッチさせるファシリテーターなのです。もちろん、そのなかでは割安で信頼性の高いサービスを提供できるよう努力しているのですが。

──「ブッキング・エクスペリエンス」によって、既存のホテル予約のサービスに何らかの影響はありそうですか?

ブラウンステイン氏:「ブッキング・エクスペリエンス」は、我々のアコモデーションビジネスにとってはごく自然な拡充と思っています。旅行者はホテルに宿泊して8時間ほど過ごしますが、残りの16時間は食事したり、ツアーしたり、学んだりするわけで、既存のアコモデーションビジネスの補完的な位置付けとして、その領域に手を伸ばすのはとても自然なことでしょう。

 ブッキング・ドットコムは適切なホテルを探し、予約することを容易にするサービスです。しかし、旅行者からは1日の観光計画をもっと簡単にしたいという意見もいただきます。我々は改めて、旅行者がその部分をよりクリアに、安全に、簡単にできるようにしたい。幸運なことに、我々はそういったところをカバーできるよいポジションにいると思います。

──最後に、トラベル Watchの読者にメッセージをいただけますか。

ブラウンステイン氏:日本の旅行市場においてエキサイティングなことの1つは、テクノロジとイノベーションが旅行をよりよく発展させてきていること。これについては、我々も熱意をもって取り組んでいる部分でもあります。トラベル Watchの読者のみなさんとは、イノベーションが旅行をもっと面白く、もっと簡単に、もっと楽しめるものにできる、そういう気持ちを共有していただけるものだと思っています。

 もちろん、そういうイノベーションを起こしてくれるイノベーターのみなさんには感謝していますし、我々もまた日本で絶えることなくイノベーションを起こしていきたいと望んでいます。