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民泊大手9社、2019年初旬に業界団体「住宅宿泊協会(JAVR)」設立へ。「違法民泊の撲滅と業界の健全な発展目指す」と上山代表理事
2018年12月11日 18:55
- 2018年12月11日 発表
- 2019年初旬 設立
住宅宿泊協会設立準備会は12月11日、2019年初旬に業界団体を設立することで合意、都内で会見を開いた。団体名は「住宅宿泊協会」、英語名を「Japan Association of Vacation Rental(JAVR:ジャブラ)」として、設立の手続きを進める。
立ち上げに参画したのは以下の9社で、各社の代表が理事に就任する。このうち、代表理事には百戦錬磨 代表取締役社長の上山康博氏と、HomeAway 日本支社長の木村奈津子氏が就任する(理事および代表理事の就任は2019年の団体設立後)。
住宅宿泊協会 設立時加盟社
・Agoda International Japan株式会社
・Airbnb
・株式会社Ctrip International Travel Japan
・株式会社スペースマーケット
・途家在線信息技術(北京)有限公司
・株式会社百戦錬磨
・Booking.com Japan株式会社
・HomeAway株式会社
・楽天LIFULL STAY株式会社
※50音順
会見で登壇した百戦錬磨の上山氏は、業界団体設立の意義について「大きく2つある。まずは違法な住宅宿泊・バケーションレンタルの撲滅。もう1つは住宅宿泊業界の健全な発展と、日本の観光産業全体の拡大」と説明。「業界の健全な発展のため適正な運営、認知向上、制度環境の整備などの活動に取り組み、観光産業の発展に貢献したい」と述べた。
続いて、HomeAwayの木村氏が事務局の体制について説明した。代表理事が2名の「共同代表理事」という形を採ることについて、「見てのとおり参画企業が国内、海外とあるので、両方の意見をバランスよく取り入れるために、国内企業から代表1名、海外企業から代表1名という選び方をした」という。また、国内外の企業が参加するため、「事務局は中立性・公平性を保つために外部のコンサルティング企業から1名を雇用して、その人物を中心に運営する。理事会社からは各1名以上の担当者を事務局に登録する」と述べた。
JAVRの主な活動内容には「4つの領域がある」として、次の4点を挙げた。
JAVRの活動内容
第1領域:一般に向けて、健全な住宅宿泊事業の普及に向けた広報、啓発活動
第2領域:ホスト/管理者/ゲストなどに向けた教育・研修活動
第3領域:仲介事業者に向けた活動(制度理解および課題の共有のための意見交換、勉強会)
第4領域:政府/自治体/国会など政策関係者に向けた政策提案ほか
木村氏はこのうち、「初年度については第3領域と第4領域に注力する。2年目に初年度を振り返り、様子を見て第1と第2領域に踏み込む」という。まずは同社をはじめとした仲介事業者間での勉強会や情報交換をとおしてJAVRとしての方針の取りまとめ、一本化などに取り組んでいく。
その後、各理事があいさつ。Agoda International Japan アゴダアウトサイド マネージング・ディレクターのペーター・L・アレン氏は、「このような団体の一員に参加できて光栄。この取り組みは、ゲスト・ホスト・近隣住民・政府関係者にとって新たな成功事例になると思っている」とコメント。
Airbnb アジア太平洋担当 最高責任者(公共政策)のマイク・オーギル氏は、「Airbnbはこれまでも業界団体の重要性を認識し、各国で関係各社と連携してきた。日本でも業界の健全な発展、利用者を迎えられるよう、観光庁などと協力していく」とあいさつ。
スペースマーケット 代表取締役の重松大輔氏は、「もともとレンタルスペース事業を展開しており、最近ではテレビCMを放映している。住宅宿泊には高いポテンシャルを感じており、これから日本も本格的に民泊の時代が来る。ほかのメガプラットフォーマーに勉強させてもらいながら、業界の健全な発展するための手伝いをしたい」と述べた。
途家在線信息技術 CBOの李珍妮(ジェニファー・リー)氏は、「異なる国と企業から集まっているが、我々は協力し合って同じ目標に向かう。途家は中国の住宅宿泊市場で最大の会社で、毎年数百万人の中国人の旅行に役立っている」と自社を紹介。
Booking.com Japan オセアニア・北アジア地区 統括リージョナルディレクターのアダム・ブラウンステイン氏は、「とてもよい企業が揃いました。JAVRは日本ではすごくよいチャンスです。一緒に頑張りましょう」と日本語であいさつ。
楽天LIFULL STAY 代表取締役の太田宗克氏は、「民泊の大きな一歩となる団体に参加できたことをうれしく思う。当社設立の初期の思いとしては、遊休(不動産の)利活用があった。こういった段階ができることで市場が健全化し、住宅宿泊事業法が本来意図したところに我々の活動が紐付けば、一緒に盛り上がっていける」と展望を述べた。
最後にCtrip International Travel Japan 運営マネージャーの翟峰氏は、「Ctripはここにいるメンバーと比べるとまだ歴史が浅いが、違法民泊の撲滅や業界全体の発展・拡大に貢献できれば」とした。
会見後の質疑応答では、一部の民泊施設が周辺住民などから嫌悪施設的に見られていることについて問われたが、百戦錬磨の上山氏は「嫌悪施設と思われるのは本当に悲しいこと。そう思われてしまうのは、これまでの違法民泊の影響が大きかったのでは。我々は、違法な民泊を撲滅することを第一義とする。地域の皆さんに説明し、何かあれば連絡を取れる体制を作る。ルールを遵守することが前提で、そうした事業者を紹介するのが我々。地域住民に受け入れてもらえるような環境整備をしていきたい」と、改めて違法民泊の撲滅の決意を語った。