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3月30日開業の「アスコット丸の内東京」でシンガポールを“食べる”

3種ソースのチキンライスとピリ辛なのに甘いラクサ、濃厚タピオカミルクなど

2017年3月30日 開業

アスコット丸の内東京のレストラン「Triple One(トリプルワン)」

 3月30日にグランドオープンを迎えた東京・大手町の新たなサービスレジデンス「アスコット丸の内東京」。受付・ロビーのある22階には、宿泊以外の一般客も利用可能なレストラン「Triple One(トリプルワン)」が入居する。アスコット丸の内東京を経営するキャピタランドの本拠シンガポールにちなんで、ジャンルは“シンガポール&チャイニーズクイジーヌ”とし、日本ではほかで味わうことが難しい本格的なシンガポール料理を味わえるという。

 ビュッフェスタイルのブレックファストに、ビュッフェにプラスしてメインディッシュ数種類から1つ選べるランチ、コース料理のディナーと、ほとんど1日中営業。高層ビルに囲まれた立地とは思えない開放感のあるテラス席を含む計74席で、料理に舌鼓をうちつつ、遠い異国のシンガポールに思いを馳せることができるだろう。筆者も、内覧会が開催された28日に、Triple Oneで提供される料理のいくつかを試食させていただいたので、どんなシンガポール料理が堪能できるのか、紹介したい。

Triple One(トリプルワン)

ブレックファスト:6時30分~10時00分、3000円(ビュッフェ)
ランチ:11時30分~15時00分、3000円(ビュッフェ+メインディッシュ)
ディナー:17時30分~21時00分、6000円~(コース)

高層ビル群に囲まれているはずなのに、開放感のあるテラス席

3種のソースが絡み合う絶品「シンガポールチキンライス」

ランチのメインディッシュの1つ、シンガポールチキンライス

 シンガポールの国民食ともいえる「シンガポールチキンライス」は、Triple Oneが提供する料理のなかでもシェフが最も自信をもってお勧めする一品だという。

 チキンスープで炊きあげた最高級タイ米のジャスミンライスに、厚く切った蒸し鶏と3種類のソースが並ぶ。1つはピリ辛のチリソース、もう1つはニンニク、ショウガ、レモングラスを和えたジンジャーソース、さらにもう1つは「ダークソーヤソース」と呼ばれるシンガポールならではの真っ黒なソース。カラメルと、シンガポールから直輸入した醤油を原料としたものだ。

左がチキンスープで炊きあげたジャスミンライス
淡泊な蒸し鶏。奥にあるジンジャー、チリ、ダークソーヤの各ソースと一緒にいただく

 試食時はこれらが1つの皿に盛り付けられていたが、実際にランチで提供されるものは、ライスとチキン、ソースがそれぞれ別の皿に乗せられる。3種類のソースのうちどれか1つを、少しずつチキンやライスにかけていただくのもいいし、本場さながらに3種類全部を好きなだけ乗せてかきまぜ、豪快にいってもいい。

 まずはライスだけを一口すくってみると、口の中で感じる細かな粒立ち。歯応えがある、とまではいかない絶妙な炊き加減だ。ジャスミンライスの芳香と、チキンスープによる旨みがふわりと口の中に広がる幸せ。

試食したシンガポールチキンライス

 チキンは柔らかくジューシーで、密度が高い。淡泊な肉質で、これ自体に派手な味付けはされていないが、その分、比較的強めにピリッとくるチリソースや、香りの強いジンジャーソース、控えめな甘さとコクのあるダークソーヤソースと組み合わせたときの刺激や味わいは、より一層深いものになる。特にダークソーヤソースは、好きなだけかけて、チキンライスと混ぜて、ガッツリ食べたいと思ってしまった。

ほっとする甘さに刺激的な後味がやみつきになる、卵麺の「ラクサ」

ブレックファストのビュッフェと、ランチのメインディッシュに選ぶこともできるラクサ

「ラクサ」は、シンガポールを代表する料理の1つ。Triple Oneではブレックファストのビュッフェに並ぶほか、ランチのメインディッシュとしても選べる。

 ココナッツミルクをメインに、海老のミソとレモングラス、唐辛子を加えたスープ。具材は卵麺に、丸ごとの海老、ウズラの卵、さつま揚げ、油揚げ、キュウリなど。麺には本来米粉から作るビーフンを用いるが、ここでは日本人向けに小麦粉による黄色い卵麺としている。

試食したラクサ
右上に見える濃茶の塊は、辛みの強い海老ミソ。溶かして食べると刺激がワンランクアップ

 スープをすすると真っ先に温かなココナッツミルクの甘さを感じ、なんだかほっとするものの、次に軽く刺すような辛さが舌を刺激する。甘い、いや辛い、を何度も繰り返しながら、卵麺をすする。コシは抑え気味でも、ちゃんと歯応えはあり、あっさりしていてヘルシーな印象だ。スープがほどよく絡んだ海老やさつま揚げ、スープが旨みとして染みこんだ油揚げを1つずつ味わいつつ、ごくごく飲み干した。

もはやスイーツというより具だくさんスープ。濃厚タピオカミルクの「ボボチャチャ」

一瞬ヨーグルトにも見えなくもないボボチャチャ

「ボボチャチャ」は、シンガポールでメジャーな人気スイーツ。ココナッツミルクに小粒のタピオカが入った、いわゆるタピオカミルクなのだが、サイコロ状に小さく切り整えられたサツマイモ、カボチャ、ヤンイモという3種類の野菜もたっぷり投入されている。

 ざらりとした舌触りを感じるほど濃厚なココナッツミルクと、ひとすくいでスプーンに山盛りになるタピオカ&芋類&カボチャのおかげで、すするのではなく必然的にもぐもぐ食べることになる。こうなるともはや単純なスイーツというよりも、コース料理に出てきそうな具だくさんスープと言った方がよいかもしれない。

試食したボボチャチャ

 ココナッツミルクの優しい甘さと、芋・カボチャのねっとりとした甘さ、そんな過剰になりそうな甘さを少し中和してくれるタピオカのコラボは、今までに味わったことのあるタピオカミルクとはまったく異なり、なかなかに食べ応えのある“おかず”だった。もしかしたら朝食は、これさえあればお腹が満たされてしまうのでは、なんて思ってしまうくらいだ。

ビュッフェ料理と、サラダにぴったりのシェフこだわりドレッシング2種

皿に盛り付けたビュッフェの料理

 主にビュッフェに並ぶ料理から、「サテ―」「サモサ」「海の幸のニョニャソース」「サーモンのミキュイ」それにサラダ類をピックアップし、試食した。

「サテ―」は、インドネシアをはじめ東南アジア地域で食べられている串焼き料理。Triple Oneでは豚肉と鶏肉の2種類を用意しており、いずれもカレーの風味を加えた塩焼きのような味付け。しっかり中まで火が通っているにも関わらず柔らか。ただ、単体ではちょっと物足りないかもしれないので、やや甘みのあるピーナッツソースをかけるのがシンガポールスタイル。小腹がすいたときの間食にもちょうどよさそうだ。

東南アジアでメジャーな串焼き料理、サテー
ピーナッツソースがさらなるうまさを引き出す
ピーナッツソースをかけ、サテ―の旨みがレベルアップ

 次の「サモサ」は、ポテト、グリーンピース、タマネギ、豚肉、ゆで卵などを細かく刻んで、餃子の皮のようなものに包んで揚げたインドの春巻き。触感は日本の春巻きに近く、かぶりついた最初の瞬間はジャガイモコロッケのような印象。でも、香辛料がたっぷり入っているのかなかなかにスパイシーで、噛めばかむほどに味わい深くなっていく。

インドの春巻きと言えるサモサ
細かく刻まれたポテト、グリーンピース、玉ねぎなどが入っている

 写真では小皿に入った「海の幸のニョニャソース」。ホタテの貝柱に、マレーシア料理で一般的なニョニャソースが添えられている。わずかにピリッとくる辛さをアクセントに、貝柱のほろほろとほぐれる食感を楽しめる。また、同じく小皿の「サーモンのミキュイ」は、さっと火であぶった脂の乗っているサーモンに、カレー風味の特製マッシュポテトを合わせている。サーモンと、スパイシーなマッシュポテトはいずれも舌の上でとろけるようで、さりげない上品さも感じられる。

海の幸のニョニャソースとサーモンのミキュイ
海の幸のニョニャソース。この日の“海の幸”はホタテだった
サーモンのミキュイ。とにかく脂が乗っていて、満足感が高い
ディナーのコース料理として出てくる「海の幸のニョニャソース」(左)と「サーモンのミキュイ」(右)

 サラダは、ベビーリーフ、サニーレタス、ラディッシュなど。これを「レモンリーフ香るドレッシング」と、「タイジンジャードレッシング」という2種類のうち、好きな方のドレッシングでいただく。レモンリーフ香るドレッシングは、赤ワインビネガーを加えたオリーブオイルで丁寧にレモンリーフのエキスを煮出し、最後に再び粉末状のレモンリーフを追加したもの。

タイジンジャードレッシング。このほかにレモンリーフ香るドレッシングもある

「タイジンジャードレッシング」は、タイ産のショウガと日本のショウガを茹で、オリーブオイルとミックスしてから、その絞り汁と白ワインビネガーと合わせた。いずれも酸味が強いが、苦みのあるサラダと一緒にするとさっぱりしていて、口直しにもちょうどよい。

キュウリ、タマネギと、サイコロ状に固めたライスケーキ(米)

紅酢とブランデーを振り、ご飯にオン。フカヒレの桃源郷がここにある

 長期滞在者が利用することも考慮して、Triple Oneでは飽きがこないようさまざまな趣向を凝らす。例えば、ランチはチキンライスやラクサが含まれる「シンガポールランチ」と、パスタやパンなどから選べる「スペシャルランチ」の大きく2つに分かれ、それぞれに数種類あるメニューから1つを選ぶ形式。シンガポールランチでは週替わりのメニューも用意している。

 英国の文化がいまだ色濃く残るシンガポールでは、ランチにゆっくりお茶を楽しむ“ハイティー”文化が根付いていることもあり、そのハイティー気分をじっくり味わえる10種類ほどのティーバッグも取り揃える。

ソフトドリンクサーバー。オレンジジュース、グレープフルーツジュース、マンゴージュースなど
10種類のティーバッグを用意。シンガポールに行ったつもりでハイティー気分を楽しみたい

 また、ドレッシング1つとっても、より日本人が親しみやすい(酸味の強すぎない)味になるよう、白ワインビネガーの代わりにシャンパンビネガーを使うなど、日々改善を重ねていくとのこと。とりわけビジネスマンの利用が多く見込まれるブレックファストについては、細かなメニュー調整でよりニーズに合ったメニューや味付けになっていくことが期待できそうだ。

 ちなみに、シェフが特にお勧めするメニューは1万5000円のディナーコースにあるフカヒレ。鶏ガラ、豚ガラなどをベースにした、たっぷりのコラーゲンスープに浸かったコラーゲンたっぷりのフカヒレを楽しめる。中国料理でおなじみの紅酢(アカズ)とブランデーをふりかけて、それをライスにのせてあんかけご飯のようにしてかきこむという、贅沢きわまる食べ方にもチャレンジしてほしい、とのこと。