旅レポ
JAL最新鋭機「ボーイング 787-9」のビジネスクラスに乗って1泊3日でジャカルタへ行ってみた
ビジネスクラス「JAL SKY SUITE」の快適な機内を体験
(2015/7/24 00:00)
- 2015年7月1日 就航
JAL(日本航空)は7月1日、同社にとっての最新機材となる「ボーイング 787-9」型機の運航を成田~インドネシア路線で開始した。客室は、国際線の最新客席仕様「JAL SKY SUITE 787」(スカイスイート787)を採用する。記者もいち早く同機を体験すべく、初便となる7月1日に運航された成田発インドネシア行き「JL725」便のビジネスクラスに搭乗してみたので、そのレポートをお届けする。
JALが運航を開始したボーイング 787-9は、6月11日に成田国際空港に到着。受領後整備などを経て、約3週間後となる7月1日に成田~スカルノ・ハッタ国際空港(インドネシア・ジャカルタ)線に就航した。運航便は下記のとおり。
JL725:成田(10時50分)発~ジャカルタ(16時35分)着
JL726:ジャカルタ(21時55分)発~成田(07時25分+翌日)着
成田からジャカルタへ飛び、同一機材で同日に折り返すスケジュールとなっている。なお、JL725/726は週7日のデイリー運航だが、毎週木曜日の発着便についてはボーイング 787-8型機が使用されているので、787-9を狙って同便に乗る場合は注意が必要だ。
ボーイング 787-8と787-9の違いは、別記事でも紹介があるとおり787-9が全長を約6.1m延長したものとなる。客室仕様は「JAL SKY SUITE 787」を採用。既存のボーイング 787-8のSKY SUITE 787が「SS8」(客室仕様の名称はE11)と呼ばれるのに対し、787-9は「SS9」(同E71)と呼ばれる。「ボーイング 797が出たらどうするんだ?」というシンプルな疑問はあるものの、今のところ、そのような型式の飛行機についてボーイングから具体的な発表はないので、気にしなくてよいということだろう(多分)。
全長が長くなったぶん、席数は増えており、ビジネスクラスはSS8(E11)の38席に対してSS9(E71)は44席と、1列分となる6席増加。プレミアムエコノミークラスは35席で同数。エコノミークラスはSS8の88席に対してSS9は116席となっている。エコノミークラスはシート幅に余裕を持たせた2-4-2の8アブレストを採用しており、この8アブレストの列が3列増えたのに加えて、非常口座席部分の両舷に2席ずつ追加されており、合計で28席の増加となった。
実は今回、ボーイング 787-9運航初便となる7月1日のJL725に搭乗後、ジャカルタに1泊だけして、7月2日ジャカルタ発のJL726で帰国した。先述のとおり、木曜日のJL725/726はボーイング 787-8が使われており、往復でその違いを見ることができたのだ。
といっても、座席の仕様などは同じであり、座席に座っている限りでは、その違いはないと言っても差し支えない。しかし、1つ大きな違いがある。それがラバトリーだ。SS9ではビジネスクラス、プレミアムエコノミー/エコノミークラスのラバトリーが1カ所ずつ増えているのだ。
ビジネスクラスでは、SS8がビジネスクラスエリアの前後1カ所ずつの計2カ所に対して、SS9では前方1カ所、後方2カ所の計3カ所に増加。プレミアムエコノミー/エコノミークラスでは、SS8が両クラスの境界部分に2カ所、最後尾に1カ所の計3カ所に対し、SS9では両クラスの境界部分に4カ所と、数を増やすとともにレイアウトを変更している。
ラバトリー1カ所あたりの席数は、ビジネスクラスの場合でSS8が19席、SS9が約14.67席。プレミアムエコノミー/エコノミークラスでは、SS8が41席、SS9が37.75席となる。もちろん、1つのラバトリーをシェアする席数は少ない方が待たされる可能性が低くなるわけで、機内で過ごす際に生まれがちなストレス軽減に繋がる。特にプレミアムエコノミークラスの近くのラバトリーは2カ所の差があり、この乗客にとっては非常に大きな違いになりそうだ。
また、席数増加と大きな関わりがある点として、CA(客室乗務員)もSS8は8名、SS9は9名が乗務している。
飛行機に乗るまではサクララウンジでのんびり
さて、JALのボーイング 787-9就航日となった7月1日。記者は同機に搭乗すべく成田国際空港第2ターミナルに向かった。そして、JALのビジネスクラスカウンターの列に並んでチェックイン。ビジネスクラスにも台数が少ないながらも自動チェックイン機が用意されている。
実際、有人カウンターには列ができていたが、自動チェックイン機の方は人も少なく、多くの人がそうであろうeチケット利用者なら、こちらを活用することでスムーズにチェックインできそうだ。とはいえ、記者も久々のビジネスクラス搭乗で、列と言っても大した待ち時間ではなさそうだな、と、特に理由もなく列に並んで有人カウンターに進んでしまったのだが。
その後、セキュリティチェック、出国審査を経て出発エリアへ。3階にある出国審査を抜けた目の前には、JALの「ファーストクラスラウンジ」と「サクララウンジ」の入り口がデンッと構えている。ファーストクラスラウンジは、ファーストクラス搭乗者、JALマイレージバンク(JMB)のダイヤモンドメンバー、JALグローバルクラブのプレミアメンバーのみが利用できるラウンジで、筆者はJMB一般会員のビジネスクラス搭乗者でも利用できるサクララウンジへ。
ちなみに、成田空港の国際線出発エリアにはサクララウンジは2カ所あり、1つがこの本館3階、もう1つがサテライト側にある。また、3階には「JAL LOUNGE with American Airlines」もあり、こちらもサクララウンジと同様の基準で利用が可能だ。今回は本館3階のサクララウンジを利用したが、エントランスを抜けて2階に下りると、見た瞬間に広さを感じる開放的な空間が広がっていた。“国内最大級の広さ”と言われているが、それも納得できる。
ラウンジ内の施設も充実しており、無線LANサービスの完備はもちろん、クローズド気味の空間で集中できプリンタなども用意しているビジネスセンター、マッサージ、シャワールームなどが設置されている。ちょっと早く空港に来ても時間を有効に使えるだけの施設が揃っていると言えるだろう。
もちろん、国際線ラウンジの華(?)である食事も忘れてはならない。ダイニングは階段を上った3階にスペースが設けられている。記者が乗るのは10時50分発のフライトということで、わりと混雑する時間帯ではあったのだが、なんとか1席は確保できた。ダイニングスペースは限りがあるので、多少待つ可能性はあるが、階段を上ったところに常にスタッフが立っていたので、席が見つからない場合は相談してみるとよいだろう。
この成田空港サクララウンジの一番人気のメニューは「JAL特製オリジナルビーフカレー」。サクララウンジでは10時から提供されており、記者が到着したのは9時30分過ぎと少々早かったため、朝食メニューで軽く小腹を満たしつつ、提供開始とともにカレーへ……と思ったら、早々に行列にできており2~3名の先客を待つことに。さすが人気メニュー。
このJAL特製オリジナルビーフカレーは、洋風で、それほど辛くはないのだが、とにかく旨味が口の中に広がる。クセになる味とでも言おうか、きっとリピーターの人は、この味を口にすることで日本を離れるという気持ちが高まるのだろうな、などと考えてるうちに、あっという間に完食してしまったのであった。
ラウンジへカレーを食べに行ったわけではないのだが、カレーを完食後、すぐにラウンジを後にして搭乗ゲートへ。この日はサテライト側の91番ゲートがJL725便に割り当てられていた。記念撮影をするには機体が見えにくいゲートだったのが玉に瑕だろうか。
ちなみに、この日はあいにくの雨模様。ボーイング 787には雨にまつわる話が多い……というのは、7月8日に掲載した飛行試験1号機のセントレアへの寄贈式レポートでも軽く触れているが、JALのボーイング 787についても、同社にとってのボーイング 787-8初便就航となった2012年4月21日、JAL SKY SUITE(SS8)仕様機就航の2014年12月1日と、いずれも天気が不安定な中での船出だったことを思い出す。雨でよかったなどとは言わないが、ここまで雨に縁があると、あいにくの天気にも風物詩のような情緒を感じられて微笑ましい。
それはともかく、今回の就航はあくまで新型機の就航ということで出発ゲートでは就航セレモニーなどもなく、いつもどおりの搭乗が行なわれた。とはいえ、CAやパイロットの機内アナウンスでは「約6m長くなった最新鋭機ボーイング 787-9 SKY SUITE SS9にご搭乗いただき~」「6月11日にシアトルから届いたばかりの、定期便では本日デビューとなる特別なフライトをお楽しみください」といったコメントがあったほか、到着間際にはフライトログ風のメッセージカードも配布された。大々的なセレモニーはなくとも、こうしたちょっとした一言や行動が、この便が特別な便であることへの認識と、この便に搭乗できたことへのうれしさを高めてくれた。
座席位置によって装備のレイアウトが異なるビジネスクラス
さて、いよいよフライトの話である。91番スポットをほぼ定刻どおりに離れ、成田空港のA滑走路(16R)を離陸し、3万4000フィートまでは一気に上昇。飛行時間6時間50分を予定しているフライトが始まった。
SS9のビジネスクラスである「SKY SUITE」は、2-2-2の6アブレストで、進行方向左側から順に、A-C-D-G-H-Kのアルファベットが割り当てられている。窓寄りの2座席は、シートを前後にずらして配置する「スタッガードシート」を採用することで、窓側席から通路に出る際にも、通路側席の人と干渉しない仕組み。中央の2座席(D席/G席)は並べて配置されて左右対称のレイアウト、と座席ごとに特色が異なる。
これは全座席共通だが、シートモニターの下部にフットレストが備わっており、飛行機の離着陸時も足を乗せてくつろぐことができる。もちろんフルフラット化も可能で、その場合、このフットレストもフルフラットベッドの一部となる。
今回記者が利用したのは「10D」で、中央左側の座席だ。この席は、シートモニターの前のテーブルが広めなことが特徴。隣席(G席)との間は開閉式のパーティションがあるので、通路側は開放されているものの、ほかの乗客との一定の距離感は保てる。
逆にちょっと難点だと思ったのが、USBポートや電源コンセントの位置と、身のまわりに物を置けるスペースが小さい点。この座席はフットレストに近い位置にUSBポートとユニバーサルコンセント、多目的ラックが備わっており、いずれも身を乗り出さないと届かない位置にある。特に、食事時などでテーブルを出しているときは、シートモニター前テーブルの上の物を取ろうと思っても身を乗り出しにくい。1つアドバイスを送るとすれば、この席を利用する場合、スマホなどを充電するためのケーブルは、やや長めのものを用意しておくとよいだろう。
窓側寄りの通路側席であるC席とH席は、シートモニター前のテーブルが狭い代わりに、背もたれの脇にサイドテーブルやUSB、コンセントを備えており、体をあまり動かさず身のまわりに物を置けるのがよさそうに思った。一方で、直接の干渉がないとはいえ、シートモニターの向こう側をCAや通路側の人が出入りすることになるのは、やはり気になりそうだった。
窓側のA席/K席は、スタッガードシートで隣席の人を乗り越える必要はないものの、やはり出入りはやや狭そうに見えた。ただ、最もプライバシーが保たれているほか、コンセントやUSBポートは、中央のD席/G席よりも近くにある。シート前テーブルも中央のD席/G席ほどではないもののそれなりに広く、席後方にオーバーヘッドシェルフを備える。
実際に搭乗して自身が体験したり、周りの乗客の様子をうかがっていると、それぞれの席に使いやすいところ、使いにくいところがある印象だ。ここが一番オススメ! と言い切れる席はなく、どの席に座っても、よりよいものを求めて隣の芝生が青く見えてしまうのではないかと思う。
もっとも、ほどよい柔らかさで違和感を覚えないシートのクッションや、自由度の高いリクライニングは1度乗っただけでクセになり、(詳しくは後述するが)機内ではエンターテインメントシステムをいろいろ触ったり、PCやスマホを使ったりとのんびりと過ごせた。飛行機を降りた後も6時間を超えるフライトを終えたわりには疲労感も少なく、「あれ? 思ったより元気だな」と逆に違和感を覚えるほどで、このあたりはSKY SUITEの座席のよさや、ボーイング 787シリーズの機内湿度の高さおかげだろうと思っている。
機内エンターテインメントシステムや「JAL SKY Wi-Fi」を試してみる
続いて、機内のエンターテインメントシステムをチェックしてみた。SS9のビジネスクラスのシートモニターは23インチと大型。シートが広く、目の位置から画面まで1mは軽く超える距離があるだけに、このサイズのシートモニターを装備しているのはありがたい。
機内エンターテインメントのシステムは、「MAGIC」シリーズの最新版となる「MAGIC-VI」(マジック6)を採用している。スマホのようなタッチ操作が可能なコントローラを用いて、手元を見るだけで多くの操作を行なえるのが便利だ。
SS9の機内エンターテインメントシステムを触ってみて、面白いなと思ったのはフライトマップとマンガだ。
フライトマップというと、いまだに地図上に飛行機の位置をプロットしたものと文字によるフライト情報がスライドショーのように流れるものが少なくないが、最近はインタラクティブに操作できるものも増えてきた。SS9のフライトマップもいろいろと操作が可能で、Google Earthのようなデジタル地球儀(そこまでの精細な情報ではないが)といった雰囲気だ。
また、目的地までの時間や現在時刻などの情報をいつでも表示可能なほか、地図の上部に常時表示させておくこともできる。腕時計の時刻を合わせたいのに、文字情報が表示されるまでジリジリとした気持ちで待つような必要はないわけだ。
もう1つ挙げたマンガについては、「JAL SKY MANGA」として、電子書籍プロバイダのeBook Japanと提携して提供しているもの。電子書籍の普及で、紙の雑誌だけでなく機内エンターテインメントシステム上で書籍を読むことができるサービスが増えてきているが、SS9は特にマンガに特化しているのが特徴といえるだろう。
半数以上を少年漫画が占めているが、こうしたジャンルは読者を限定するものではないので、男性でも女性でも楽しめるだろう。
惜しむらくは、全巻揃っているわけではなく、2~5冊程度の“試し読み”という状況であること。読み始めると続きを読みたくなるのは心理だし、なにより飛行機の上では時間もある。機内にストレージしておけるデータ量にも限界があるだろうし、現状では難しいのかも知れないが、瞬時に思いつくところでは、機内エンターテインメントシステム上で決済できるシステムを設けて、有料でもいいので、そのまま続きを読め進められるようなサービスが将来的にでも提供されると、より魅力が高まるのではないだろうか。
こうした機上での電子書籍サービスと密接な関係を持ってきそうなサービスが、おなじみになりつつある機内インターネットサービスの「JAL SKY Wi-Fi」だ。SS9では初号機から導入されており、ボーイング 777やボーイング 767などで導入されていたものと同様のサービスを利用できる。
ちなみに、ボーイング 787-8のSKY SUITE(SS8)の導入初期はJAL SKY Wi-Fiに対応していなかったが、現在は「JA839J」「JA840J」「JA841J」「JA842J」という4機のSKY Wi-Fi対応787-8が運航されている。ちなみに、記者が7月2日にジャカルタから日本へフライトした際の機材がボーイング 787-8であったことは先述したとおりだが、この便の機材はJA842Jで、SKY Wi-Fi対応機だったので、運よく往復とも機内でインターネットを利用することができた。
SS9といえども、従来までのJAL SKY Wi-Fiと同じシステムなので、利用したことがある人も多いと思うが、簡単に利用方法をまとめておこう。
利用にあたってはまず、PCやスマホをJAL SKY Wi-Fiのアクセスポイント「Japan Airlines」に接続する。このアクセスポイントはセキュリティなどかかっていないが、接続してブラウザでどこかのWebサイトにアクセスしようとすると、JAL SKY Wi-Fiのホーム画面に移動するので、ここから利用の手続きを行なう。
利用手段の1つはクレジットカードによる決済またはプロバイダであるT-mobileと契約しているOrange FranceやTeliaSoneraなどのアカウントを利用したローミング接続を選べる。ローミング可能な事業者はあまり日本人にはなじみのないところが揃っているので、多くの人はクレジットカード決済を選択することになる。
この先は、JALではなく、T-mobileとの契約画面となるが、メールアドレスと任意のパスワードでアカウントを作成し、プランを選択して、オンラインでクレジットカード決済を行なう流れとなる。プランは1時間で10.15ドルまたは24時間で18.80ドルの2種類。このあたりは想定される利用時間によって選ぶことになる。スマホからの申し込みも可能で、スマホ用に最適化された画面になっている違いはあるが、基本的な手続きの流れは同じだ。
ちなみに、「JALカード」「JAL USA CARD」「JAL・上海浦東発展銀行クレジットカード」での支払いの場合は、1時間プランが9.15ドル、24時間プランが16.80ドルへと割り引きされるほか、JALマイレージバンク・ダイヤモンドメンバーやJALグローバルクラブ・プレミアメンバーは、事前の申し込みで40回利用可能なプロモーションコードが発行されるキャンペーンも実施されている。
ちなみに複数端末での利用については、同一アカウントで複数機器を利用することは可能だが、複数機器を同時に接続することはできない規約になっている。つまり、PCとスマホの2台で接続するような場合、利用しない側の機器のWi-Fi機能をオフにするなどすれば、1つのアカウントを兼用できるということになる。
記者はこのJAL SKY Wi-Fi環境で、会社へVPN接続をして多少仕事をこなしたあと、Googleマップを使って目的地であるジャカルタ市内の地図を確認したり、観光地の情報をWebで検索したり、Flightradar 24で自分が乗っている飛行機の場所を見てニヤニヤしたりしていたが、唯一遅さを感じたのは会社のサーバーへ画像ファイルを送信するときぐらいで、Webサイトの閲覧やメールのチェックには支障を感じない速度だ。Googleマップを見た場合はやや引っかかる感じはあったものの、“待たされる”というほど遅いわけではなかった。
こうした状況や、下記に掲載した速度テストで下りと上りの速度差が大きかったことを考えると、SNSやメールでの画像送信には遅さを感じるかも知れないが、閲覧においては、動画やゲームといった大量のデータを高速に送受信することが求められるようなシチュエーション以外では、それほどストレスを感じることなく利用できるだろう。
“空の上のレストラン”を堪能
さて、飛行機内の楽しみで忘れてはならないのは機内食だ。JALの国際線ビジネスクラスやファーストクラスでは、「BEDD」のブランドのもと、「スカイオーベルジュ by JAL」と呼ばれる有名シェフがプロデュースする機内食を提供している。
往路のJL725便では、6月~8月の洋食メニューとして、東京・麻布十番にある「山田チカラ」の山田チカラシェフによる「和牛サーロインステーキの夏野菜ソース ジャガイモのニョッキ添え」が提供されている……のだが、和食を食べたい欲を抑えることができず、後ろ髪を惹かれつつ和食を選択。
和食は関西地方の郷土料理を盛り込んだ献立で、9つ仕切りの器に、京都、和歌山、大阪、兵庫の郷土料理が散りばめられたメニュー。どの料理も上品な味で、肉料理もあるが味付けは濃くなく、すいすいと喉をとおっていく美味しさだった。
続いて出てきた台の物は「鱸の若狭焼き ハリハリ鍋風」。スズキの香ばしい風味と若干辛味もある味付けが絶妙で、ご飯によく合う。野菜やしいたけも素材の弾力感を残した煮込み具合で食感もよかった。
そして食後のデザートは「ピンクグレープフルーツのムース」。こちらは山田チカラシェフ監修の一品で、ピンクグレープフルーツの酸味が利いたさっぱりとしたデザートだ。ということで、最初から最後までさっぱり系の味わいの食事だったのだが、普段なら積極的には選ばない和食を選ぶような気分だったこともあり、ヘルシーな感じの料理が続いて非常に美味しくいただいた。
ちなみに、デザート一緒にコーヒーを頼んでいるが、こちらも上質なコーヒーを「JAL CAFE LINES」というブランドで展開しているもの。7月は「コロンビア・プラス」と名付けられたオリジナルブランドで、苦みや弱く、酸味方が印象に残る味わい。ピンクグレープフルーツのムースとよく合っていた。
観光目的で30日以内ならビザが免除になったインドネシア
さて、初便の運航を終えたボーイング 787-9を降りるとそこはインドネシア。日本ではセレモニーがなかった同便だが、逆にインドネシアでは歓迎ムード。降機口では現地のJAL社員が横断幕を持って出迎え、それを取材する報道陣も集まっていた。
インドネシアといえば、6月12日に日本を含む30カ国に対して、30日以内の観光目的での入国の場合にはビザ(入国査証)を免除するプログラムが開始された。従来は35ドル必要だったので、手間だけでなく金銭的にも意味は大きい。
今回、記者はボーイング 787-9に乗って体験することが仕事上の目的だったので、飛行機を降りたその瞬間からは単なる1泊3日の弾丸旅行客。ということで大腕を振ってビザ免除を前提に入国審査に向かったのだが、1泊のみの滞在であることを怪しまれ、審査にちょっと時間がかかってしまった。元々は観光目的でもビザが必要だった国であり、ジャカルタは観光目的以外の人も出入りが多い土地なので、当然ながら厳格にチェックが行なわれているようだ。
以下、正味半日ほどブラブラした、ジャカルタ観光の写真を簡単に載せておきたい。
そんなわけで、ボーイング 787-9の初便のビジネスクラスを堪能し、帰りは実はまだ機数が少ないWi-Fi対応のボーイング 787-8。軽くジャカルタ観光もでき、楽しい1泊3日旅だった。途中でも少し触れたが、往路は一睡もせずに過ごしたのだが、飛行機を降りたときも疲労感が少なく、上記に夜の電車の写真があるように、早速近場の散策に繰り出せたほど。6時間30分と決して短い飛行時間ではない路線だけに、これは自分でも意外で、ひょっとしたらこれが機材とシートの良さなのかな、と感じた部分だ。
復路も同じように不思議と元気だった。ジャカルタを1日歩き回って汗をかき、インナーのシャツだけは着替えたものの、少々不快な感じで飛行機に乗り込んでしまったのだが、ちょうどJALでは国際線で成田空港に到着したビジネスクラス以上の搭乗客やエリート会員向けに、第2ターミナル直結のホテルである「ナインアワーズ」のシャワールームを無料で利用できるキャンペーンを実施している。
そこで、定刻に近い7時30分ごろに到着後、早々に入国、荷物のピックアップを済ませてナインアワーズへ。通常料金でも1000円で利用できるとあってか、想像していたよりも混雑していたが、15分も待たずに汗を洗い流せてさっぱり。そして、1000円バスの「THEアクセス成田」で東京駅へ向かい、そのまま会社へ。身も心も冴えた状態で、いつもと変わらぬ会社員としての1日がスタートしたのだった。