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JAL、機内食で人気のAIRシリーズに吉野屋「牛すき」が登場

秋メニューはフードスタイリスト飯島奈美氏が監修

2015年8月20日 実施

 JAL(日本航空)は8月20日、9月1日から提供される機内食の秋メニューを報道陣向けに公開した。秋メニューは、映画やドラマなどで活躍しているフードスタイリストの飯島奈美氏が監修。また、人気のAIRシリーズで4回目の登場となる「AIR吉野屋」には「牛すき」が初登場する。ファーストクラスおよびビジネスクラスで新たに提供される日本酒も含め、試食・試飲が実施された。

 JALは2013年1月より、欧米線、豪州線、東南アジア線で「空の上のレストラン」をコンセプトにした機内食を提供している。プレミアムエコノミー、エコノミークラスでは、「JAL KITCHEN GALLERY(JALキッチンギャラリー)」として、新しい“驚き”と“楽しさ”に出会える機内食を目指し、和食は日本各地の郷土の味を、洋食は各国の代表的な料理をアレンジしたメニューを提供してきた。

 9月1日からの秋メニューでは、フードスタイリストの飯島奈美氏がプロデュースするメニューが提供される。飯島奈美氏は映画「かもめ食堂」(2006)の参加を契機に映画のフードスタイリングを手掛けるようになり、最近ではNHKの連続テレビ小説「ごちそうさん」の料理を担当するなど幅広く活躍中の人物。

 国際線の機内食の企画開発をしている商品・サービス企画本部 開発部の綱島寛哲氏は「今回、“ほっとする、やさしい味を、機内でも”をコンセプトに、飯島奈美氏監修で開発を進めてきた。ありきたりで日常的な料理でありながらも、飯島氏の工夫で新鮮な驚きのある味になり、でも最後はほっとするメニューに仕上がった」と、新メニューに対する自信を表していた。

 洋食は、独自の進化を遂げてきた「日本の洋食」を表現できるよう開発を進めたという。和食に関しては、「世界文化遺産として世界中から注目されており、JALとしても力を入れている。ファーストクラスでは遊吟の山本シェフの和食が提供されるが、多くの方が乗るエコノミークラスでももっと和食を味わっていただきたいと感じていた。日本の家庭で食べられているような、誰もが懐かしさを感じるようなメニューを世界中の方にも味わっていただきたいという思いで開発を進めてきた」と思いを語った。

 なお、メインディッシュは異なるが、サイドディッシュのカップサラダ、デザートのアイスクリームなどは共通。また、メインディッシュは月替わりで、10月以降のメインディッシュも展示されていた。

国際線の機内食の企画開発をしている綱島寛哲氏が開発の苦労を語る
フードスタイリストの飯島奈美氏が秋メニューを監修する

JAL KITCHEN GALLERY <飯島奈美プロデュース>

JAL KITCHEN GALLERY <飯島奈美プロデュース>の和食メニュー
対象クラス:
プレミアムエコノミー、エコノミークラス
提供期間:
2015年9月1日~2016年8月31日
対象路線:
成田発:シカゴ、ボストン、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンディエゴ、バンクーバー、フランクフルト、ヘルシンキ、パリ、モスクワ、シドニー、シンガポール、クアラルンプール、ジャカルタ、デリー、ハノイ、ホーチミンシティー、バンコク行き
羽田発:ロンドン、パリ、シンガポール(JL037)、バンコク(JL031)行き
中部発:バンコク行き
関西発:ロサンゼルス行き
和食メインディッシュ

「こくうま肉じゃが」

 家庭料理の定番といえる肉じゃがに、隠し味としてオイスターソースを加えることで、こくがある味に仕上がっている。飯島氏は「もっと野菜をゴロゴロさせたい」とのことだったが、じゃがいもを丸ごと1個入れるということが機内食として難しく、なるべくカットを大きくすることで、機内食ではあまり見ないほどの大きな野菜となっている。海外でも人気の食材「枝豆」が入った枝豆ごはんは、日本酒の風味を立たせ(アルコールは飛んでいる)、日本酒のうまみと枝豆のうまみが相まって、肉じゃがを楽しめる。カロリー383Kcal、塩分2.1g。

9月の和食メインディッシュは、大きな野菜と枝豆ごはんの「こくうま肉じゃが」
10月の和食メインディッシュ「炊込み御飯」
11月の和食メインディッシュ「ひじき御飯」
洋食メインディッシュ

「なつかしロールキャベツ」

 ビーフではなくチキンスープでじっくり煮込み、うまみがタップリ凝縮された洋食の定番ともいえる「ロールキャベツ」。添えてあるのはトマトライス。トマトのうまみ、ベーコンのうまみ、チキンスープのうまみが合わさり、口の中に広がっていく。やさしい味付けの中に、しっかりとしたうまみ感じることができるメインディッシュ。カロリー314Kcal、塩分1.8g。

9月の洋食メインディッシュはトマトライスと一緒に「なつかしロールキャベツ」
10月の洋食メインディッシュ「ハンバーグ」
11月の洋食メインディッシュ「ドリア」
サイドディッシュ

「人参・ハム・クルミのメープルシロップ」

 一見、普通の食材だが、メープルシロップと合わせて炒めるのは飯島氏らしい組み合わせ。ハムの塩味、メープルシロップのやわらかい甘み、人参のシャキシャキした食感、クルミの風味が相まって口の中に広がっていく。黒胡椒をはじめとしたミックススパイスとメープルシロップで炒めた風味は、どことなくカレーっぽさを感じさせる。甘さの中に、大人のスパイシーさを感じる一品。

「おからサラダ」

 惣菜の定番「おから」をヨーグルトとマヨネーズで和えた洋風サラダ。「おから」というとしょうゆやみりんを使って甘辛い味付けも多いが、マッシュポテトのような甘酸っぱさもあり、新鮮でさっぱりした味。オリーブオイルとしょうゆで仕上げてあり、素朴でなつかしさも感じる。

「特製フルーツポンチ」

 食後のフルーツとして、カルダモンやクローブ、シナモンなどを合わせた特製スパイスを利かせたシロップを使ったフルーツポンチ。ただ甘いだけではなく、香辛料の風味が加わることで高級感のあるシロップに仕上げてある。フルーツの酸味と甘み、シロップの甘みとスパイスの香りで、爽やかなで奥深い味わいにまとまっている。

 上記メインディッシュと3つのサイドディッシュにはカップサラダ、デザートとしてハーゲンダッツのアイスクリームが提供される。

スパイシーな甘さ「人参・ハム・クルミのメープルシロップ」
ヨーグルトとマヨネーズで和えた「おからサラダ」
特製スパイスを利かせたシロップの「特製フルーツポンチ」
食べやすいサイズのカップサラダ

AIR吉野屋「牛すき」

AIR吉野屋「牛すき」は、店舗と同じ「熟成肉」を使用。味付けは店舗と同じ
対象クラス:
プレミアムエコノミー、エコノミークラス
提供期間:
2015年9月1日~11月30日
対象路線:
成田発:シカゴ、ボストン、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンディエゴ、バンクーバー、フランクフルト、ヘルシンキ、パリ、シドニー行き
羽田発:ロンドン、パリ行き
関西発:ロサンゼルス行き
※いずれの路線も、到着前の2回目の食事として提供

 AIRシリーズ第17弾として「AIR吉野家」の「牛すき」が登場。吉野家とのコラボレーションは今回で4回目。毎年、冬に店舗で提供する「牛すき鍋膳」をベースに、約2年かけて機内食仕様として開発した。店舗と同じ「熟成肉」を使用。機内食として提供できない生卵は「だし醤油入りたまご」として提供し、うどんは、じゃがいものデンプンとトウモロコシのコーンスターチを原料とした麺に変更。また、機内で火を使えないため、店舗の「牛すき鍋膳」独特の、あの熱々の感じを出すために開発は苦労したという。

 箱の中は二重構造で隔てられており、下にごはん、上に具が入っている。食べ方の説明書きが付いており、外国人にも分かりやすくイラスト付きとなっている。説明書きでは、「だし醤油入りたまご」を下段のごはんにかけ、たまごかけごはんとして食すように記載されている。店舗の「牛すき鍋膳」は熱々の具を生卵に付けて食すが、上段の具の方に「だし醤油入りたまご」を入れてしまうと、具の温度が下がってしまうからだという。「牛すき」にはほかに、海藻サラダと杏仁豆腐が付く。

AIR吉野屋「牛すき」は約2年かけて開発
「だし醤油入りたまご」を箱の下段に入っているごはんにかけるのが基本
海藻サラダと杏仁豆腐が付く

ファーストクラス・ビジネスクラス向け、こだわりの日本酒

9月からファーストクラス・ビジネスクラスに追加される、こだわりの日本酒
対象クラス:
ファーストクラス、ビジネスクラス
提供期間:
2015年9月1日~11月30日
対象路線:
国際線全路線
ファーストクラス:
「磯自慢」中取り純米大吟醸 アメジスト(生産地:静岡県)
「獺祭」磨き二割三  純米大吟醸(生産地:山口県)
ビジネスクラス:
「東洋美人」純米大吟醸(生産地:山口県)
「梵」純米大吟醸(生産地:福井県)

 国際線ファーストクラスでは、「飛露喜」「十四代」「醸し人九平次」など、入手困難な日本酒の希少銘柄が揃っている。9月からは、機内食の秋メニューに合わせ、「磯自慢」「獺祭」が追加される。ビジネスクラスでは、「御湖鶴」など旬の注目銘柄に、「東洋美人」「梵」が追加される。

ファーストクラスには、「磯自慢」と「獺祭」が追加される
ビジネスクラスには「東洋美人」と「梵」が追加される

(政木 桂)