旅レポ
名物も観光地も充実の山口県西部! 食と絶景を堪能する旅へ(その2)
シイの木フローリングに「ふく恋盛り」、新たな山口県の魅力に出会う。そして今人気のスポットも
2016年9月22日 00:00
山口県が同県西部の魅力を伝えるべく実施したプレスツアーのレポート2回目。前回は美祢市から長門市へ北上しつつ、梨、地鶏、青海島クルーズ、と初日前半の食と絶景を紹介してきたが、後半となる今回は長門市からスタートし一気に下関市まで南下。その道中で出会った名所・名物を紹介していきたい。
丈夫で美しいシイの木フローリングを製造するシンラテック
今回のプレスツアーはグルメと名所めぐりが主なテーマだが、長門市を拠点にユニークな取り組みを行なっている企業も訪れた。製材や木材の加工を手掛けているシンラテックだ。同社ではシイの木を使ったフローリングをはじめとする木材製品を生産している。
シイの木はドングリがなる木として知られている広葉樹で、建築の資材に使われることがあまりなく、もともと製紙用などのチップや炭の材料として利用されることが多かったそうだ。しかし、シンラテックではシイの木が山口県に多く生えており、硬くて傷がつきにくい点に着目。フローリングをはじめとする建築材料として活用することになった。
シイの木の硬さはどれくらいかというと、表面硬度がヒノキの2.2倍、堅木といわれているナラの木の1.6倍とのこと。そのため表面硬化処理を行なう必要がなく、自然のままで利用できるメリットがある。また、高級材といわれているホワイトオークに木肌や色調が似ており、洋風住宅にも合わせやすいといった特徴も。実際にシイの木を使った住宅を見学させていただいたが、明るいトーンで優しく上品な色合いだった。
また、工場で加工の現場も拝見。シイの木は硬さがあることから加工がしにくく、原木をカットして板にする際、ゆっくり切らないといけないそうだ。また、切り出した木材はゆがまないようにするため乾燥させて水分を取る必要がある。しかし、シイの木はいきなり機械を使って高温で乾燥させると割れやすいそうで、最初に3ヵ月、じっくり天然乾燥させてから乾燥機を使い低温で乾燥させるとのこと。
通常よく使われる木材より製材の手間がかかるシイの木材だが、その質のよさから高い評価を受けている。山口県の優れた農林水産物をとりあげた「やまぐちブランド」に選出され、さらには2017年に運行が開始される「TWILIGHT EXPRESS 瑞風(みずかぜ)」のドアにも採用される。また、都内の住宅でもシイの木材が使われることがあり、今後、シイの木を活用した建築などを目にする機会が増えそうだ。
シンラテック
所在地:山口県長門市日置中758-131
TEL:0837-37-5001
Webサイト:シンラテック
絶景スポットの元乃隅稲成神社でお賽銭投げに挑戦!?
山口県の名所といえば秋芳洞や錦帯橋が昔からの定番だが、近年になって人気が急上昇した場所といえば元乃隅稲成神社(もとのすみいなりじんじゃ)。日本海が見渡せる急な斜面の岬に、赤い鳥居が連なる姿を写真や映像などで見たことがある方も多いのではないだろうか。SNSで話題になり、また、CNNが発表した「Japan's 31 most beautiful places(日本の最も美しい場所31選)」に選出されたことで世界的に有名なスポットになった。
なお、元乃隅稲成神社は「稲荷」ではなく「稲成」という表記。もともと島根県の太鼓谷稲成神社から分霊されたこともあって、全国では2社だけという珍しい「稲成」神社なのだそうだ。鳥居はすべて奉納されたもので全123基。これだけ鳥居が並ぶと、上から降りていくのと下から登っていくのとどちらが正解なのか迷うところだが、脇道から下に降りて、参道を登っていくのが正しい参拝方法とのこと。
晴れたときに見ると青い空と海、木々の緑と鳥居の赤といった色彩が楽しめるこの元乃隅稲成神社。今回は残念ながら曇天の中での観光だったが、それでも赤い鳥居のトンネルを抜けていくのは、神聖な場所ながらも、どこかアトラクションを体験しているようなワクワク感があった。また、鳥居の間から緑や海を見られるのはちょっと非日常的な感覚だ。
そして、この元乃隅稲成神社は風景の美しさはもちろんのこと、行ったらぜひ体験してほしいのがお賽銭入れ。「お賽銭は神社なら当たり前じゃない?」と思うかもしれないが、ここの賽銭箱が置いてあるのはなんと参道出口にある鳥居の上。硬貨を投げてお賽銭箱に入ったら願いが叶うとのことで、筆者も挑戦してみたがかなり難しく、5回投げてみたもののことごとく失敗。もっとも、入れられなかった人のために鳥居の脇に小さな賽銭箱が用意されているのでご安心を。絶景を楽しんだ後は、ぜひ自分の運試しに挑戦してみてはいかがだろうか。
元乃隅稲成神社
所在地:山口県長門市油谷津黄498
TEL:0837-22-8404(長門市観光コンベンション協会)
Webサイト:元乃隅稲成神社
夕暮れの角島大橋と角島灯台でロマンチック気分
山口県に来たからには見ておきたい絶景、元乃隅稲成神社の次に訪れたのは角島大橋(つのしまおおはし)だ。無料で通行できる架橋としては国内最大級の長さの1780m。また、長さもさることながら、ベストセラーになった書籍「死ぬまでに行きたい! 世界の絶景」で3位になったことでも話題になった橋である。景色の美しさから映画やテレビのロケ地に使われ、自動車のCMにも何度か登場しているところから、角島大橋の名前を知らなくても景色は見たことある、という方は多いだろう。
大橋というとトラス橋や吊り橋のようにいかにも「橋」といった橋上部の大構造が目立つものが多く、それはそれで筆者のような建築好きにはたまらないが、この角島大橋は橋脚と桁で構成される桁橋なのでスッキリした見た目。海上に道路が伸びているような風景は見ても渡っても海の景色が楽しめる。晴れている日ならエメラルドグリーンの海に橋が伸びる姿が見られるのだが、今回は元乃隅稲成神社に続いて曇天ということでちょっと残念。しかし、夕方のアンニュイな雰囲気で眺める大橋もまた素敵だった。
そして、角島大橋まで来たということで、角島に渡って夕暮れの角島灯台もちょっとだけ訪問。1876年(明治9年)に点灯した日本海側初となる御影石造りの灯台で、設計したのはイギリス人技師のリチャード・ヘンリー・ブラントン氏。今でも現役で稼働しており、併設しているクヅ瀬照射灯と共に角島の海を照らしている。訪れたのが夕方遅くだったため灯台を外から眺めるだけだったものの、日中は内部公開も行なっているそうだ。
すっかり日が暮れた状態で大橋に戻ってきたら、街路灯が点いて橋がオレンジ色に照らされておりロマンチック。晴れた時の景色もよいけれど、夕闇の大橋もオススメしておきたい。
角島灯台
所在地:山口県下関市豊北町大字角島2343-2
営業時間:5~9月 9時30分~16時30分(5~9月)、9時~16時(10月~4月)
定休日:年中無休 ※天候によっては見学できないこともあり
ハート型のふぐ刺し「ふく恋盛り」
さて、1日目最後は宿泊先である「関門の宿 源平荘(げんぺいそう)」で夕食。下関ならやはりふぐがおなじみだが、今回提供されたのは「ふく恋盛り」をはじめとするふぐ料理を中心としたコース。「ふく恋盛り」とは、ハート型に盛りつけたふぐ刺しのこと。皿は薄いピンク色をした特別注文の萩焼のものを使用することで、皿に白いハートがほのかに浮かび上がるというものだ。
ふく恋実行委員会の会員である「関門の宿 源平荘」の繁岡あかねさんによると、もともとふぐ刺しは高級なものというイメージがあり、若い人にもっと食べてもらえるようにするには、と考えて生み出されたのが「ふく恋盛り」だという。ピンクのお皿にハートに盛りつけにすることで見た目にかわいいだけではなく、夫婦やカップルの記念日に食べる、感謝の気持ちを表す贈り物にするといったアニバーサリー的な意味合いも持たせているそうだ。
「ふく恋盛り」の肝心のお味は、淡泊ながらコリコリした身を噛むとコクのある味わいが口に広がっていく美味しさ。「関門の宿 源平荘」ではほかにもちり鍋やから揚げといったメニューから、ふぐ皮を使ったサラダやふぐのグラタンといった創作メニューも登場。ふぐ皮を使ったサラダはプルプルしながら歯ごたえのある食感と野菜のシャキシャキ感がマッチし、ふぐのグラタンはあっさりとした和風ホワイトソースがふぐのうま味を引き立てており、それぞれふぐの素材の魅力を引き立てた調理になっている。
なお、「ふく恋盛り」が食べられるのは、「関門の宿 源平荘」をはじめとする下関市内のホテル6店とレストランが2店、お取り寄せ専門の店舗が2店だ。対象店舗は「ふく恋盛り」公式サイトに掲載されている。また、特定日以外は通年で食べられるとのことだが、注文は基本的に2人前からなので注意してほしい。
関門の宿 源平荘
所在地:山口県下関市みもすそ川町8-8
TEL:083-235-8888
Webサイト:関門の宿 源平荘
食と絶景をめぐるプレスツアー、盛りだくさんの初日が終了したが、2日目は下関市、そして宇部市と山口県の南を訪れ、グルメはもちろんカワイイ(?)絶景を紹介していきたいと思う。