旅レポ

さらに広がった華やかすぎるマカオの巨大統合型リゾート「ギャラクシー・マカオ」(第4回)

マカオ半島の観光とエンタテイメントショーを楽しむ

マカオ半島の主要観光ポイント「セナド広場」。スペイン統治時代の波をデザインしたタイル張りが美しい

 マカオのコタイ地区にある2011年5月開業の巨大統合型リゾート(IR)「ギャラクシー・マカオ」レポート、本稿が4回目で最終回。ギャラクシー・マカオは2015年5月に拡張され、約2倍に広がった。ホテル、ショッピングモール、レストラン、カジノなどが集まった施設になっており、概要は前回記事を参照してほしい。今回は、観光も交えた楽しみ方をレポートしよう。半島側の観光地や、ギャラクシー・マカオに隣接するブロードウェイ・マカオで行なわれているショーなどを紹介する。

ギャラクシー・マカオと同じ運営の「スターワールド・ホテル」

 マカオ半島側には、ギャラクシー・マカオを運営する「ギャラクシーエンターテインメントグループ(GEG)」のフラグシップホテル「スターワールド・ホテル」がある。2006年開業の39階建てで、二層が分割された特徴的なホテル外観は、遠くからもよく分かる。

ギャラクシーエンターテインメントグループの「スターワールド・ホテル」
スターワールド・ホテルを見上げたところ。分割された特徴あるデザイン
ホテルの下の階を中心にカジノが入っている
スターワールド・ホテルのロビー。なかなか派手

 The American Academy of Hospitality Sciencesの5つ星や、ミシュランガイド・香港/マカオの2014年から2016年までトップクラス・コンフォートとして推奨されるなど、質の高いワールドクラスホテルだ。カジノが下層階や最上階にあるということもあり、リゾート感を楽しむというよりコンパクトに(エレベータ移動だけで済む)ゲーム主体に楽しみたい客層に人気が高いそうだ。

 また、場所もアミサデ通り(友誼大馬路)沿いという、カジノホテルが並ぶサンハウゴン(新口岸)エリアというロケーションで、観光の中心地となるセナド広場へは徒歩20分ほどで行ける位置にある。

シャトルバスでは無料のWi-Fiインターネット接続サービスがある。SSIDを選択して同意ボタンでログインするだけで接続する

 そして、このスターワールド・ホテルとギャラクシー・マカオ間は、無料のシャトルバスが5分~15分間隔で運行されている。乗車にはなにもチェックはなく、指定バス停で待って乗るだけ。スターワールド・ホテルではロビー前、ギャラクシー・マカオにはクリスタル・ロビーから発車し、ブロードウェイ・マカオを含めて基本的に循環している。しかも、車内では無料のWi-Fiも利用できる。このシャトルバスを、コタイエリアと橋を渡った半島エリアの移動にぜひ活用しよう。乗車時間は約20分。3つかかってる橋の中央はバスなどインフラ専用になっているので、渋滞の影響も少ない。

 なおこのシャトルバスは、このルートのみではなく、フェリーターミナルや空港や、セナド広場のあるSan Ma Lo(新馬路)など主要場所行きのルートもある。勝手が分かったら、うまく使いこなしてみると行動範囲がかなり広がるだろう。バスやタクシーは英語が通じない場合もあるので、使いこなすには少々難易度が高くなる。

ロビーを出てすぐのところにシャトルバスの停留所。ここには列ができていた
シャトルバス。これはスターワールド・ホテルのデザインだが、ギャラクシー・マカオのデザインのバスもある
橋を渡ってコタイと半島間は約20分程度の道のり
ギャラクシー・マカオが近づいてきた
ぐるっと一回り遠目に見て回れるので、一度乗ってみることをお勧めする

マカオ半島の観光は散歩気分で楽しめる

 シャトルバスで半島側に渡ってしまえば、有名観光スポットのほとんどは徒歩で回ることも難しくない。直線距離で2~3km程度のエリアに固まっている。たとえば、スターワールド・ホテルとセナド広場へは1.2km、聖ポール天主堂跡(大三巴牌坊)へは1.6km程度。景色を堪能しながらブラブラと散歩していれば着いてしまう距離だ。

 半島側では、アジアとヨーロッパの文化が入り混じった異国情緒あふれる街並みを楽しめる。また世界遺産も集中していて、見どころはたくさんある。歩道などの石畳は、広範囲にポルトガル統治時代そのままで残っていて、海をモチーフとしたデザインがなかなかかわいい。気ままに歩いてみよう。

マカオ半島とコタイ、タイパの埋め立てた島は橋でつながっている
古くからある半島側の市街地は雑多としたブロックも多い
観光地だけあって案内図も多いので徒歩でも安心。スターワールド・ホテルは右下あたり、セナド広場は中央の「郵政局」の近く。聖ポール天主堂跡はその左上
セナド広場は、波のようなタイル張りが美しい。周囲にはクラシカルな建築物
広場の中心には噴水。後ろに見えているのは通りの先にあるリアル・セナドという世界遺産の政府機関。中庭のタイルが美しいので時間があれば回ってみたい
人通りは途絶えない。噴水周辺はフォトスポット
セナド広場の奥に続く、聖ドミニコ教会広場
教会内も静かにであれば見学可能
聖ポール天主堂跡。1602年に建築された天主堂。南面の壁のみが残っている。マカオを代表する遺跡
石階段の上にある。少し離れたほうがフォトスポットになりやすい。1835年の火事で焼失し、残ったのは壁のみ
上から市街を眺める
壁の裏側には、修道僧の遺骨を納める博物館になっている
セナド広場方面への道は土産屋などが並ぶ
観光客向けの商店街になっている
沿道にはジャーキー屋も多い
お土産用のマカオ名物アーモンドビスケット(杏仁餅)
カスタードクリームのエッグタルト。ポルトガルの伝統菓子
少し北側に位置するラザロ地区。波模様の石畳が続く道は、異国情緒たっぷり。所々にカラフルな建物もある
整然と駐車する風景はとても南欧風。このあたりは夜も綺麗だそうだ
途中にある「オールド・レディーズ・ハウス(旧仁慈堂婆仔屋)」。現在はレストランなどが入っている
高台から市街地を望むと欧風な感じは消え、雑多なアパートが並ぶ
密集した高層アパートも香港ほどではないが、なかなか圧巻
スターワールド・ホテルもある新口岸エリアに戻ってきた。この周辺は道ばたにカジノが並ぶ
新しいホテルと古い建物の対比も凄い
カジノの看板もややレトロな感じ
ゴチャゴチャとショップが並ぶエリア。電飾の看板が独特だ
奥まった路地に皆が向かっている
その一角にエッグタルトの有名店「Margaret's cafe e Nata」がある
残念ながら長蛇の列。時間の関係であきらめることに
路地からホテル・グランド・リスボアが見えた
このあたりはきれいなタイルの壁を見ることができる
歩道のタイルグラフィックコレクション。すべて港に関する絵が描かれている

ブロードウェイ・シアターでエンタテイメントショーを楽しんでみる

 ひととおりの観光で疲れたら、ゆっくりエンタテイメントショーを楽しむのも一興。雨で徒歩で回るのがキツイときにもお勧めだ。マカオでは連日さまざまなショーが行なわれている。

 ここでは、ブロードウェイ・マカオ内のブロードウェイ・シアターで火曜以外連日16時から行なわれている「VIVA LA BROADWAY」を紹介しよう。チケットは座席によって、HKD120(自由席)~380(VIP席)になる。ブロードウェイと名乗るだけあり、とてもアメリカンなショー。言葉はほとんど不要で見ているだけで楽しませてくれる。

ブロードウェイ・マカオ内にあるブロードウェイ・シアター。本格的なステージ。音響もしっかりしている
イギリスのオーディション番組発のバーレスク・ダンス集団Crazy Rougeから始まる
途中にはしっかり歌で魅了
Mime artist Yurekによる笑いのあるパントマイム
Crazy Rougeの早き替えショー
The Willersのペアによるローラースケートアクロバットダンス
Crazy Rougeのモダンなダンス
男性ボーカルがしっとりしたナンバーを熱唱する場面も
Laser Manのレーザー光線を使ったショー
Crazy Rougeの大所帯でのバーレスク・ダンス
エンディング

 また、ギャラクシー・マカオ内には3Dシネコンの「UA Galaxy Cinemas」もあり、10スクリーンでさまざまな映画を楽しめる。主に英語か中国語字幕ではあるが、日本の映画がラインナップされていることもある。また、「Director's Club」ルームは、団体貸切によるVIPサービスも行なっていて、好みの映画をプライベート感覚で楽しめる。席は全席リクライニングソファ。料理の提供も可能。

ギャラクシー・マカオ内にある3Dシネコン「UA Galaxy Cinemas」
劇場前の待合ラウンジも広い
貸切が可能な「Director's Club」ルーム
Director's Clubルームは全席大きめのリクライニングソファ
カップル用の座席も用意されている

本格四川、湖南料理レストラン「Feng Wei Ju」

 最後に、スターワールド・ホテルの5階にある本格的な四川・湖南料理レストラン「Feng Wei Ju」(フェンウェイジュ/風味居)を紹介しよう。ミシュランガイド・香港/マカオ 2016にて1つ星を獲得した中華料理店。四川、湖南とも唐辛子をたくさん使った辛みが特徴なので、辛さが苦手だとキツイが、麻辣(マーラー)の深みのある辛さで、辛みは全体的に抑え気味。すべての料理が激辛なわけではない。特に湖南料理は酸辣(サンラー)と呼ぶ独特の酸味が加わる。

本格四川、湖南料理レストラン「Feng Wei Ju」
個室の店内。基本的に円卓を囲む
メニューには写真が付いていて分かりやすい
Pork Neck Meat with Garlic Sauce。ここから4品前菜
Chili and Sour Okras
Kidney with Pepper Corns and Chili。麻辣味の刺激的な辛さ。腎臓は臭みがない
Chilled Cherry Tomatoes and Preserved Duck Egg。トマトとピータン
Marinated Mung Bean Noodles and Vegetables with Spicy Sesame Dressing。東北大拉皮(ダーラーピー)と呼ばれるきしめん状の春雨とサラダのようなメニュー
酸味と辛みのあるゴマドレッシングとすべて混ぜ合わせて食べる
Boiled Mandarin Fish Fillets in Hot Chili Oil。迫力満点
中に浸かっているのはマンダリンフィッシュの唐揚げ。魚自体は淡泊な白身。見た目ほど激辛ではない
Crispy Chicken Fillets with Red Chili and Peanuts。鳥の唐揚げ
Braised Beef Loin with Lotus Paste。牛のステーキ
Poached Young Cabbages and Taro。素朴な味。キャベツとタロイモの煮物
Pan-fried Pork Dumpling "Old Beijing" Style Poached Pork and Cabbage Dumpling
Scrambled Egg and Tomatoes Hand-pulled Noodles。薄味スープのラーメン
Fried Banana with Pulled Sugar。バナナフライのあめ細工まぶし
氷水に浸けて、あめ細工でバナナフライをコーティングする
周囲がコーティングされている
中身はバナナがトロトロ

 さて、4回にわたりマカオと巨大IR、ギャラクシー・マカオの旅をお届けしたがいかがだっただろうか。これまでは、マカオに遊びに行こうというと、真っ先にカジノが頭に浮かぶのが多数派だったろうと思う。しかし、ギャラクシー・マカオのような施設ならカジノ抜きで遊びに行っても楽しめるはず。

 日本からも近く行きやすいので、息抜きで楽しんでみる候補にぜひ入れてみてほしい。ファミリーでも、一人旅でも、日本ではまず体験できない旅が楽しめることと思う。

 今回2期の拡張が終わったギャラクシー・マカオだが、実は拡張にはさらなる続きが予定されている。ザ・リッツ・カールトン・マカオとJWマリオット・ホテル・マカオの南側が空き地になっているが、そちらに第3~4期の拡張工事が決まっているそうだ。すでにオパール・ロビーの先には、道路を越えるブリッジが作られている。どこまで広がるのか、今後が実に楽しみだ。

ギャラクシー・マカオのオパール・ロビー先にはすでにブリッジができている。奥に見えるのはザ・リッツ・カールトン・マカオとJWマリオット・ホテル・マカオのホテル棟
このブリッジの先が次の拡張エリア。現在は目隠しで囲われている

村上俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、Web媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。