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日本に寄港したクイーン・エリザベス、横浜で船内を公開

ペントハウス、プール、カジノ、ダンスホールなど

2016年3月20日 開催

2010年にデビューした3代目クイーン・エリザベス。建造費用はおよそ5億USドル

 キュナードは3月20日、ワールドクルーズで大黒ふ頭(神奈川県横浜市)に寄港した「クイーン・エリザベス」の船内を報道陣に公開した。

 キュナードは1840年に大西洋横断の定期船運航を開始した海運会社で、1922年に初の世界一周クルーズを開始。現在は数多くのクルーズブランドを抱えるカーニバル・コーポレーションの傘下となっており、フラグシップ「クイーン・メリー2」をはじめ「クイーン・ヴィクトリア」「クイーン・エリザベス」と3隻のワールドクルーズ船を保有している。

 クイーン・エリザベスは1938年に初代(QE)、1967年に日本でもおなじみの「クイーン・エリザベス2(QE2)」が進水。現在の船はQE2が2008年に引退することを受けて建造され、2010年から就航した3代目となる。建造費は約5億USドルで、インテリアは初代QEをイメージし、エレガントなアールデコを現代風にアレンジしたものとなっている。

2014年にはベイブリッジをくぐり大さん橋に着岸したが、今回は大黒ふ頭に寄港
クイーン・エリザベス(3代目)

進水/就航:2010年1月5日/10月12日
船籍:英国領バミューダ
総トン数:9万900トン
全長:294m
全幅:32.25m(ブリッジ・ウイング 36.8m)
全高:64.6m(海面から上の高さ 56.6m)
喫水:8m
乗客定員:2081名
乗客デッキ:12デッキ(全16デッキ)
巡航速度:21.7ノット(約40km/h)
最大速度:23.7ノット(約44km/h)
建造:フィンカンティエリ モンファルコーネ造船所(イタリア)

船長のアリスター・クラーク氏

 今回のワールドクルーズはサウサンプトン(英国)を出航し、ケープタウン、オーストラリア、アジア、ドバイからスエズ運河を経て、地中海経由でサウサンプトンに戻るコース。1月10日に出発し5月10日まで、121泊122日と4カ月あまりの航海となる。ワールドクルーズでの日本寄港は2014年、2015年に続く3年連続となるもので、3月17日の長崎を皮切りに鹿児島、横浜、大阪、広島、沖縄とめぐっていく。今回、大阪と広島は初入港となる。

 ちなみに2017年には史上初となる神戸発着クルーズ(7泊8日)が予定されているが、発売開始後わずか半日で完売となっている。

船首に見える「Queen Elizabeth」の文字
乗用車と比較すると大きさが際立つ
岸壁から見上げるとそびえ立つ壁といった感じ
エレベーターホールにある案内ボード。クイーン・エリザベスは全16デッキ中、12デッキが乗客向けとなっている
クイーン・エリザベス(3代目)の乗客向けデッキ

デッキ12:ザ・グリルズ・テラス
デッキ11:ザ・テラス、クイーンズ・グリル、プリンセスグリル
デッキ10:コモドアー・クラブ
デッキ9:パビリオン・プール、リド・プール、ザ・ガーデン・ラウンジ
デッキ4~8:客室
デッキ3:グランドロビー(1~3)、ロイヤル・コート・シアター(1~3)、ロイヤルアーケード
デッキ2:エンパイア・カジノ、ライブラリー(2~3)
デッキ1:客室

客室

 客室は窓のないタイプが「シングル」「スタンダード」「デラックス」の3タイプ。海に面した部屋は「オーシャンビュー」のほか、専用のバルコニーが付く「バルコニー」、レストラン「ブリタニア・クラブ」が利用できる「クラブ・バルコニー」、同「プリンセス・グリル」が利用できる「プリンセス スイート」、同「クイーンズ・グリル」が利用できる上級船室「クイーンズ スイート」「ペントハウス」「マスター スイート」「グランド スイート」が用意されている。

 今回はペントハウス「5103」号室を見学することができた。ペントハウスはデッキ4、5、6、8に4部屋ずつ、デッキ7に28部屋ある。ベッドルームのほかエクストラベッドとしても使えるソファー、ジェットバスを備えたバスルーム、リビングエリアの外には専用バルコニーも用意され、広さは47m2~55m2が確保されている。クイーンズ・グリルで入れ替えなく食事を楽しめるほか、上級客室専用となる「ザ・グリルズ・ラウンジ」なども利用可能だ。

客室の案内ボード
廊下
今回見学する、Q3カテゴリーとなる5デッキのペントハウス「5103」号室
入口ドアからバルコニー側を眺める。50m2前後の面積があるだけにかなり広々とした印象
ダイニングスペースにはゆったりとしたソファーがある
ベッドスペースも余裕たっぷり
ベッド横にあるテーブル
シャワーとジェットバスも完備
ダイニングからバルコニーに出ることができる

デッキ12

 船の最上部となるオープンテラス「ザ・グリルズ・テラス」は眺めがよく開放感抜群。ここは「グリル・クラス」の乗客専用のスペースとなっている。

ザ・グリルズ・テラスは最上階にあるだけに開放感抜群。晴れた日の航海は抜群に気持ちがよさそうだ
各デッキチェアに備えられたタオルはキュナードロゴ入り
ザ・グリルズ・テラスからはファンネル(煙突)が間近に見える。ファンネルマークはトップが黒、株が赤地に黒2本線が入った「キュナード・レッド」
デッキの船尾側はファンネル下部までとなっている
前方には展望スペース「ビュー・ポイント」を用意
展望スペースからの眺め

デッキ11

 上級クラス専用となるメインダイニングが2カ所設けられている。マスター/グランド/クイーンズの各スイート、およびペントハウス専用となる「クイーンズ・グリル」、プリンセス スイート専用となる「プリンセス・グリル」がある。そのほか、グリル・クラスの乗客専用スペースとなる「ザ・テラス」「ザ・グリルズ・ラウンジ」も用意されている。

クイーンズ・グリル入口
上級クラス専用だけにラグジュアリーな雰囲気
食器類もグレードが高い
専用のコートヤードもある
階段でデッキ12にあるザ・グリルズ・テラスにそのままアクセスできる
ザ・グリルズ・ラウンジ前にはザ・テラスがある

デッキ10

 バーを備えた「ザ・ヨット・クラブ」、船首側で眺めのよい「コモドアー・クラブ」、子供向けの施設「ザ・プレイゾーン」「ザ・ゾーン」などがある

デッキ10最前部にあるラウンジ&バー、コモドアー・クラブ入り口
クイーン・メリー2のモデルシップ
入口近くにはバーカウンター
ピアノ演奏を楽しみながら過ごすことができる
一段高いフロアは暗めの照明で落ち着いた雰囲気
一段低くなった窓際はちょっとカジュアルな感じ
通路にはQE2の鐘などが展示されている
QE2の歴代船長を称えるボード
数々の入港記念盾も展示されている
デッキ10のエレベーターホール。凝った模様の絨毯は毛足が長く足で踏むフワッと沈み込む
階段まわりも重厚なムード
QE2から名前を受け継いだラウンジ、ザ・ヨット・クラブ。前方270度の風景が楽しめる
夜はダンスが楽しめるホールがある
メタルな材質で作られたモデルシップ
ザ・ヨット・クラブ店内。凝ったインテリアは上級クラス譲り
デッキ10から見たデッキ9のパビリオン・プール
デッキ10の通路
少し張り出した部分から側面を眺めることができる。最上部ではないものの地上からの高さは相当なもの
ザ・ヨット・クラブの外側。内装に比べるとシンプルな感じ
デッキ周囲には救命浮輪が備え付けられている
ベンチも高級感がある
首都高速湾岸線の鶴見つばさ橋。路面とデッキの高さがほぼ同じぐらいに見える

デッキ9

 デッキ9には「パビリオン・プール」「リド・プール」と2つのプールを備えるほか、「ロイヤル・スパ&フィットネス・センター」(デッキ9~10)など、長い船旅を健康に過ごすための施設が充実。ブッフェレストランの「リド・レストラン」、「ザ・ガーデン・ラウンジ」などもある。

デッキ3

「グランド・ロビー」など吹き抜け施設の最上階になるデッキ3には、ブランド品などを販売する「ロイヤルアーケード」や「アート・ギャラリー」などがある。

有名ブランド品を購入できるロイヤル・アーケード
アート・ギャラリー
通路に面したバー
旅の思い出を映像や写真にしてくれるフォトギャラリー&スタジオ
3デッキ吹き抜けとなるグランドロビー
デッキ2のエレベーターホール。デッキ10とは模様が異なる
グランドロビー壁面には初代QEをテーマにした寄せ木細工が飾られている
インド黒檀やウォールナットが使われた寄せ木細工は、エリザベス女王の甥にあたるリンリー子爵の作品
紅茶やコーヒー、ペストリーなどが楽しめるカフェ・カリンシア
カフェ・カリンシアの手前には女流画家の手によるエリザベス女王の肖像画が飾られている

デッキ2

 ブリタニア・クラスの乗客向けとなる「ブリタニア・レストラン」(デッキ2~3)のほか、英国風パブ「ゴールデン・ライオン」「ライブラリー」「クイーンズ・ルーム」「エンパイア・カジノ」などがある。

初代QEのベランダグリルから名前を受け継いだスペシャリティレストラン「ザ・ベランダ」。食器はすべて英国ブランド
デッキ2~3にまたがる図書室。6000冊あまりの蔵書を誇り、なかには日本語の本も
船長をはじめとするクルーの紹介
歴代のキュナード船の記念品などが飾られている「キュナード・プレイス」
QE2から受け継いだエリザベス女王の胸像
吹き抜け構造のクイーンズ・ルーム。日中はアフタヌーンティー、夜は生演奏をバックに社交ダンスが楽しめる
フィッシュ&チップスなどが楽しめる英国風パブ「ゴールデン・ライオン」
エンパイア・カジノ
3デッキ吹き抜けの劇場「ロイヤル・コート・シアター」。プライベート・ボックス席が16室用意されている
ブリタニア・クラスのメインダイニングルーム

デッキ1

 船のエントランスとなる「グランド・ロビー」や「ロイヤル・コート・シアター」(いずれもデッキ1~3)があるほか、ブリタニア・クラスの客室もこのデッキにある。

(安田 剛)