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JR西日本、謎解きゲームツアーなど「京都鉄道博物館」の秋冬イベント紹介
日本の鉄道の壮大な歴史がそろい踏み。巨大ジオラマや実車SLにも乗れる
2017年10月11日 15:05
- 2017年10月2日 取材
京都鉄道博物館は、京都市下京区にある国内では最多の53両を展示する鉄道博物館。元は梅小路蒸気機関車館だった施設にリニューアルと拡張を施し、2016年4月にオープンした。JR西日本(西日本旅客鉄道)と交通文化振興財団が運営している。京都駅から近い線路沿いにあり、徒歩で向かうと途中に梅小路公園や京都水族館を抜け20分ほどで到着する。
展示車両のうち23両は蒸気機関車(SL)で、館内に扇型車庫と転車台を備え、実動するSLに乗り10分ほどだが汽車旅まで楽しめる。動態保存している8両はすべてSL。蒸気機関車ファンなら必ず押さえておきたいスポット。延べ床面積で約3万m2と広大なので、見学には短くても半日、体験も含めすべてしっかり見たいなら1日は確保したい。鉄道ファンや後述する期間限定ミステリーツアーも体験したいなら2日かけても十分満喫できる体験型の博物館だ。
入館料は、一般1200円、大学生/高校生1000円、中学/小学生500円、1歳以上幼児200円。訪れる際、毎週水曜日は休館日(祝日、夏休み期間を除く)であることと、一般向け駐車場は用意されていない(梅小路公園思いやり駐車場はある)ことは注意したい。今回、2017年秋からの見どころなどを紹介する報道関係者向けツアーに参加したのでレポートする。
数多くの展示車両に圧倒される
館内の展示は「見る、さわる、体験する」がテーマとなっていて、子供だけでなく大人やカップルも楽しめる密度の濃い展示となっている。単に車両を置いて展示するだけでなく、その動作の仕組みや歴史的な背景などが理解できるよう、模型などを駆使した詳しい解説展示や、シミュレータなど操作して楽しめる展示もある。当日は天候がわるかったが、ほとんどが屋根のある施設になっていて、屋外の寒暖はさておき天候に左右されずに見学できる作りになっている。
エントランスを入るとまず、本館につながるプロムナードと呼ばれる通路型の展示があり、0系新幹線、クハ86形1号車、SLのC62形、DD54形、クハ103形1号車が展示されている。C62は皇族専用車両マロネフ59形を牽引し、DD54は車両内で実際に食事できる食堂車ナシ20形(後半紹介)を牽引する。展示されているクハ103形1号車は、先日10月3日に大阪環状線で引退した車両と同形の1号機となり、こちらは車両内にも入って見学できる。
引退車両のクハ103形843号車は、2017年11月3日~6日の期間限定で展示されることが発表されている。103系は東京の山手線などでも活躍していたので、関西圏に限らず馴染み深い人も多いだろう。
プロムナードから続いて、室内展示の本館に続く。本館は3階建て。こちらでは、車両展示に加え、鉄道ジオラマやシミュレータ、解説展示、企画展示などが行なわれている。
本館に入ると中央の大きな吹き抜けに、営業運行で初の300km/hを実現した500系新幹線521形1号車、寝台特急として活躍し「月光」ヘッドマークのクハネ581形35号車、「雷鳥」ヘッドマークの主に信州や北陸で活躍したクハ489形1号車が並んでいる。吹き抜けのため、上から見ると屋根上の様子もよく見える。その奥には、主に車両の仕組みを展示するコーナーで、DD51形ディーゼル機関車やEF66形などの車両が展示されている。DD51形とEF66形の展示はかさ上げ展示になっていて、下部がよく見えるようになっているが、これは下にある平安時代の遺跡を守るためでもある。
日本最大級の巨大な鉄道ジオラマ
縦10m、横30m、総延長1km超えの日本でも最大級の巨大な鉄道ジオラマ。15分間隔で映像を見ながら朝から夜更けまでの演出を楽しめる。運行は1日に5回。団体客向けの特別運行も可能。運行時間以外は自由に見ることができる。サイズは、Nゲージより大型のHOゲージなので、なかなか見る機会のない迫力の鉄道模型が楽しめる。
SLは梅小路蒸気機関車館の扇形車庫を中心に展示
蒸気機関車は動態保存が8台と多く、転車台のある元梅小路蒸気機関車館の扇形車庫に展示されている。車両は運転台に登ることができるようになっていて、間近に見ることができる。扇形車庫でも整備は行なわれていたが、解体検査を行なう専用のSL第二検修庫という建物もあり、ボイラーを下ろして分解点検していた。
11月26日まで「SLラボ~動かせSL! 蒸気のチカラ~」実施
この秋は11月26日まで、扇形車庫内で「SLラボ~動かせSL! 蒸気のチカラ~」が実施されている。D51の運転室でバーチャルな投炭を体験できるほか、迷路を使い蒸気の仕組みを学べるコーナーも用意される。
実際に動くSLに乗ることができる施設として、SLスチーム号の乗車体験がある。片道500mの線路を往復する体験で、こちらは入館料とは別に一般~高校生300円の料金がかかる。中学生~幼児までは100円。間近で迫力ある蒸気機関車の熱気や煙、音を体験できる。国内の大都市圏で毎日SLを運行しているのはここだけだ。
2017年秋~冬に開催されるイベント「京都鉄道ミステリー」
この秋から冬にかけて、「京都鉄道ミステリー~その博物館には優れた車両と謎がある~」が2018年1月8日まで開催される。SCRAPと竹田印刷制作による街歩き謎解きゲームで、参加者には、乗務カバン形のクリアファイルに入ったキットが手渡され、キット内のガイドブックの内容をよく読んで、指示に従って現場に赴き、パズルのようなクイズを解いていく。内容はその現場に行かないと分からないので、必ず指示される場所に行く必要がある。ステップは4段階あり、博物館内から始まり、最終ステップでは京都の街へ繰り出す。博物館の閉館は17時30分だが、街中の謎解きは22時までできる。
謎解き内容は高学年の小学生なら分かる程度といわれて体験を始めたが、思いのほかアタマをひねることとなった。ファミリーやカップルなどで、大人も含め楽しめると思う。取材時に女性3人組がチャレンジを始めていたが、手探りの状態から見つけていく期待感でワクワクしていた。
想定プレイ時間は博物館内で2時間、街中で1時間。プレイ中に答えをネット接続して確認したり、ヒントを見たりするので、スマホなどのモバイルネット環境が必須になっている。
ツアーの当日券は博物館の入場料込みで2700円。キットのみだと2000円なので、通常はセットの券を購入するのがお勧め。割引入場ができる場合には館内インフォメーションでキットのみでの入手もできる。入場料は別途必要になるが、日をまたいで楽しむこともできる。達成賞があるわけではないので、やみくもにゴールを目指すのではなく、過程を鉄道の歴史に思いをはせながら楽しもう。なお解答をSNSに投稿するなど、ネタバレは厳禁だ。
ほかにも10月14日~2018年1月28日まで、2階の企画展示室で「鉄道遺産をたずねて~遙かなる時を越えてきた生き証人~」という特別展示が行なわれる。明治時代、大正時代に作られた歴史的な鉄道遺産資料を100点展示。JR西日本管内の鉄道記念物、準鉄道記念物、登録鉄道文化財、約150点をパネルで紹介していく。こちらはまだ展示前のものをいくつか紹介する。
懐かしい食堂車の中でオリジナル弁当が食べられる
プロムナード中央部分のDD54形33号機に引かれたブルートレインの食堂車ナシ20形24号車の車内では、オリジナルのお弁当や軽食が食べられる。なお本館2階にもレストランがある。
グッズなどお土産品は入場しなくても購入可能
お土産品を扱うミュージアムショップは、博物館の施設とは別館の旧二条駅舎内にある。博物館側からだと裏側からアクセスすることになり、いったん出場しチケットを見せて再入場という手続きがいる。つまりミュージアムショップ直前に出口がある。旧二条駅舎の正面側は外に面していて、京都鉄道博物館に入場しなくてもミュージアムショップには入ることができる作りになっている。前日時間がなくてミュージアムショップまでまわりきれなくても、翌日時間を作って訪れることもできるわけだ。グッズのみを目当てにする人にはありがたい作りとなっている。
旧二条駅舎は、京都鉄道株式会社の本社屋と駅舎を兼ねた建物で、1904~1996年まで駅舎として使われた。その後この場所に移築、復元され、京都市指定有形文化財に指定されている。
最後に、これからのシーズンにお勧めのグッズ類をいくつか紹介しよう。
これだけの分量を紹介しても、まだすべては紹介しきれていない。ごく一部をかいつまんでお見せしているだけだ。日本の鉄道の歴史を満喫できる、とても見応えのある鉄道博物館だ。車両は随時入れ替えが可能なので、展示車両はところどころ変わっている可能性もある。それもまたこの施設の特徴で楽しみの一つ。
電車好きの子供連れファミリーはもちろんだが、カップル、そしてお一人さまでも、存分に丸1日没入できる楽しい施設である。京都観光のついでとは言わず、こちらをメインにしてついでに京都も楽しむくらいの勢いで、ぜひ訪れてもらいたい。