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4月29日グランドオープンの「京都鉄道博物館」を一足先に見てきた

本館1階展示スペースには500系(521形1号車)新幹線が来場者を迎えてくれる

 JR西日本(西日本旅客鉄道)は、2016年4月29日にオープンする京都鉄道博物館について、数々の内覧会を実施している。そのなかには将来の鉄道マニアを育むべく子供たち向けも用意されるなど、多くの人が訪れている。トラベル Watchでも関係者向けの内覧会に参加することができたのでレポートしたい。

 なお、京都駅からの京都鉄道博物館へのアクセス方法についてもこの記事の最後で触れている、最後までぜひご覧いただきたい。

ゲートを入るとC62、80系電車、0系新幹線が出迎え

 京都鉄道博物館は、本館に入る前にエントランスホール、プロムナードを抜けてから本館へと進む構造となっている。

京都駅から公園を抜けてきても、バスで来てもJR山陰線の高架をくぐって入っていく
エントランスホール。入場前に列ができた場合は写真の右側のほうに列を誘導する
エントランスホールの手前にある旧二条城駅舎。こちらは出口なので入ることはできない
プロムナードのC62、80系電車、0系新幹線
80系電車、1950年登場、日本初の長距離電車。高速運転と最大16両編成が可能。後方は新幹線の最初の車両である0系。1964年の新幹線開業と同時にデビュー
C62形26号機。現存するC62では唯一の川崎車輌製
プロムナードを進む
プロムナードの最後には日本初の中型ディーゼル機関車DD54型
通勤電車として都市圏にはなじみの深い103系。展示のクハ103形1号車は1963年登場で山手線、京浜東北線で活躍したあと、1976年に近畿地方に渡った車両。関西地方の103系らしく戸袋窓が埋められており、オリジナルの姿ではない

車両が屋内展示される本館1階

 本館は1階が車両や車両構造の展示となっている。最初に迎えてくれるのは500系新幹線、581系寝台特急、489系特急といった過去のJR西日本エリアの代表的特急車両。

本館に入ると500系新幹線、581系寝台特急、489系特急が迎えてくれる
本館の入り口
1階には吹き抜けにメインの3両が並ぶ
本館入り口右側には国産初の量産型蒸気機関車230形。奥には2階へ向かうエスカレータがある
電気機関車のEF66形を下から見える形で展示し、台車やモーターの配置がよく理解できる
ディーゼル機関車DD51形。こちらも走行システムがよく見える。駆動のシャフトなどが確認できる
101系電車。ドアの開閉やパンタグラフ、主制御器が構造を確かめられる。主制御器は走行操作をするとそれに連動して動作する
581系は内部を見学できる仕組み。電車寝台の様子を確認できる
500系新幹線は断面から車体の丸さが確認できる
関西圏の勾配区間で活躍した1800形蒸気機関車。1881年イギリス製
ボンネット形状が独特なディーゼル特急車両、キハ81形
貨物列車には車掌車が付いていた時代があった。特急コンテナ列車用として高速対応した車掌車。1954年製
日本で最初に製造された大型電気機関車EF52形
東海道・山陽新幹線の2世代目車両が100系。すでに現役を引退した車両
トワイライトエクスプレスも展示。こちらは引き込み線として営業線とつながっているので車両の入れ替えが可能な展示スペース
階段が備え付けられており、屋上も確認できる
下まわりも間近で見ることができる
営業線へとつながる線路
昭和の駅舎
昔の駅にあるものと言えば「伝言板」。携帯電話の普及などでいつの間にかなくなってしまった
駄菓子屋とオート三輪(ダイハツミゼットMPA)も駅のそばに展示。駄菓子屋は売っているお菓子まで細かく再現している
線路の構造を再現した区間は、軌道自転車に乗って自ら漕いで走ることができる。ただし身長120cm以上
新幹線電車の入れ替え用の912形ディーゼル機関車のカットモデル。連結器が2タイプ備わっている
線路を維持・修繕用の機械を展示している。こちらは道床バラストふるい機
必要な道具などを展示
線路の保守点検といえば、黄色いボディの電気試験車。初代ドクターイエローである922形の模型
パンタグラフはスイッチで上下自在。交差型のPS22形
電気機関車用のPS17形
500系新幹線に装備のWPS204形。寝ている状態から起き上がり上昇するところも操作できる。自動車用ショックアブゾーバーで有名な「SHOWA」のロゴ入り
車輪とレールの関係を学べる模型も用意されている
ブレーキの構造を学べる。ディスクブレーキと踏面ブレーキの模型がある
駆動を学べる模型
連結器の仕組み。大正時代までは日本もリンク式だったが、ほぼ一夜にして自動連結器に交換したエピソードがある
ポイントは実際に動かすことができる
昔は多数のポイントを人力で動かしていた
架線の展示
信号機の展示。道路と違ってさまざまなものがあった
実際に吹田操車場で使われていた連動装置の一部
北陸トンネルの断面図
川中に支柱がない橋の工事の模型
自然環境と向き合うための設備などを展示
鉄道の歴史
鉄道の黄金期と戦前の特急などの展示
戦後の列車。連合軍専用列車のテールマークもある
電化後のヘッドマークや電車など
車両の近代化
連絡船や高速バス
本館1階には壁面にヘッドマークが展示している
自由に操作できる運転台がある。こちらはEF66形電気機関車
EF66形の運転台。高速走行のために視認性が考慮されたものだという
通路を確保した221系の運転台
0系新幹線の運転台。通常の電車とは異なり、ブレーキ操作が右になっている。長距離走行が主でブレーキ操作が少ないための配置
DD51形ディーゼル機関車の運転台。前向き設置の運転台となる
DE10形ディーゼル機関車の運転台。横向き運転を考慮したものとなる

大型ジオラマと鉄道運行などを展示する本館2階

 2階が大型ジオラマや運転シミュレータや駅やきっぷなど運行システム全般の展示がある。中央部は吹き抜けとなっており、上から1階の展示車両を見ることができる。

鉄道ジオラマ、模型車両は1/80または1/87のHOゲージで、すべての線路を合計すると1kmを超えて日本最大級としている。JR西日本だけでなく、私鉄や、JR各社の模型車両が1回で約20分間走行する
さまざまなシーンが用意され、奥のほうには山岳線として勾配路線まで用意される
新幹線の駅。N700系、W7系のほかに、JR九州のN700系7000番台、JR東日本のE5系、923形ドクターイエローなども走行する
在来線の駅。トワイライトエクスプレスなどが並ぶ
私鉄の駅。阪急6300系、名鉄2200系、近鉄の「しまかぜ」などが見える
どことなく鉄道博物館の扇形車庫に似ている
運転台。各線ごとに操作ができる
運転が始まった。夜の風景も演出できる
駅にライトが当たった
必要に応じた映像が後方の壁に投影される
走行する車両はライトや室内灯が点灯している
ドクターイエローも走行
JR東日本の車両も走行するほか、右下の私鉄線には近鉄の「しまかぜ」が走行中
ジオラマの見学に座席はなく、階段上の床に座る仕組み。見渡したいなら後方に立つことがお勧めだ
ジオラマ見学を待つ列が誘導される壁には、模型車両が展示されている
人気の展示、運転シミュレータ。整理券が必要で、点呼から着替え、常務、終了点呼までを実践、博物館の「運転士免許」がもらえる
シミュレータに着く前にここで点呼を受ける
運転マニュアルが渡される
制服と制帽が用意され、着替えて気分を高めることもできる
運転シミュレータは新幹線と在来線があり、どちらか指定される
在来線の操作パネル。自動運転を選ぶこともできる
ATCやATSを体験する展示もあり、模型車両に付けたカメラをもとに運転することもできる
今は見られなくなったパタパタと字が変わる「列車発車票」。手前の操作盤から設定を変えて起動ボタンを押すとパタパタが始まり、自分で操作できる
昔の駅を再現。小荷物・手荷物受付所など今はもうない窓口だ
指定券の発券と言えばマルス。昔から駅員が素早く操作して指定券を発券していた。手前は1985年のマルスM型、奥が1972年のマルス105と印刷機
自動券売機の展示
実際に東京指令所で使われた山陽新幹線のCTC表示板
JR奈良線のCTC制御盤
輸送指令員の仕事のクイズができる
ダイヤグラムが展示してある
ダイヤグラム作成機
過去の時刻表の数々
さまざまな展示があり、駅弁のお茶容器の移り変わり
列車のシート
車内の照明機器
特急・急行車両にあった冷却水装置。薄型の紙コップも備えられていた
個室寝台にあった洗面所
列車のトイレと言えばステンレス製和式便器
2階からは吹き抜けから1階部分の展示が見える。3階からも見下ろせる場所がある、窓が新幹線風になっている
レストラン・休憩所がある
窓の外にはJR山陰線、東海道線、新幹線が見える
レストランのメニュー。内覧の時点では営業していなかった

スカイテラスと吹き抜けを上から見下ろす3階

 3階はほぼ「スカイテラス」となるほか、吹き抜けを見下ろすことができる窓とシートがある

スカイテラスから見た外の景色。目の前はコンテナ駅が広がっている
3階の資料室前の通路には窓があり、吹き抜けを見渡すことができる

トワイライトプラザではEF58など電気機関車とトワイライトエクスレスを展示

 本館には併設してトワイライトプラザがあり、EF58、EF65、EF81といった電気機関車とトワイライトエクスプレス車両が展示してある

EF58形電気機関車
EF58は握り棒につかまってステップに立ちたくなるが禁止だ
EF81、トワイライトエクスプレスカラー
非常に数が多かったEF65形は1号機が展示してある
トワイライトエクスプレスを展示
ホームの洗面設備も用意される

扇形車庫と蒸気機関車、匂いもたっぷり

 京都鉄道博物館のほかにないポイントと言えば扇形車庫と本当に石炭をくべている蒸気機関車。SLスチーム号の運行や、検修場での整備など、何かしらボイラーに火が入っている状態の機関車があると思ってよいだろう。

 石炭の匂いや、SLスチーム号の出発で本物の汽笛も生で聞くことができるのも、ここならでは。ぜひ堪能しておきたい。

本館2階からの通路から見える扇形車庫
SLスチーム号のホームと広場。右側はSL第2検修庫に続く線路
C56はまさに整備中。このあとで試運転する様子も見られた
SL第2検修庫は2階通路から見学も可能
復元の決まったD51形200号機が整備中でボイラー以外は外されていた
SLスチーム号。当日はC62形が使われていたが、機関車は日によって異なる
SLスチーム号が出発していった。まずバックで走行して隣接の梅小路公園の脇にある専用の線路を進む
機関車を前にして戻ってきた。乗車は1往復となる
客車はSLスチーム号専用のもの
走行を終えたC62
動態保存機とはいえ、蒸気で動くように整備されている
扇形車庫には各SLの定位置が決まっているが、検査やC57形1号機のように夏期はこちらにいない車両もある
D52形468号機
C53形45号機。静態保存だが国内では少ない3シリンダー機。メカニズムも間近に見ることができ、中央のシリンダーが見える
C59形164号機
D50形140号機
C58形1号機。菊の御紋と特別な装飾が施されている
C55形1号機
D51形1号機。給水温め器カバーが長く「ナメクジ」と呼ばれるタイプ
C62形1号機
1070形1080号機。1901年イギリス製
9600形9633号機。大正時代の貨物機1914年製
C11形164号機。動態保存機としては多い形式で、大井川鐵道のトーマスになっている個体も同形
「義経」の名前が付く7100形7105号機、1880年アメリカ製。この年代だが実際に動く動態保存機
扇形車庫の中に入って間近で見ることができるのも京都鉄道博物館。C53の炭水車
3シリンダー機のC53形は動く模型が置いてあり、シリンダーの様子を紹介
動力を車輪に伝えるロッドの展示
独特の音を発する蒸気機関車のコンプレッサー
エンジン付きの軌道自転車も展示。ペダルもあるがエンジンは勾配の補助動力だという
最近はあまり見ることがない記念メダル発行機と刻印機。正式開業時には販売されるようだ
扇形車庫の中には写真シール機も用意されるようだ

旧二条城駅舎を使った展示スペースとショップ

 旧二条城駅舎は京都鉄道博物館の出口となる建物だが、内部にはミュージアムショップのほかに蒸気機関車に特化した展示スペースがある。

投炭練習機。石炭を火室にくべる練習をする。うしろの黒板には成績を書く欄がある
蒸気機関車の運転操作を学べる展示もある。石炭をくべるだけでなく、さまざまなものを調節しながら車両を動かす必要がある。基本的には2人乗務となる
ミュージアムショップの入り口。お土産、記念品を買うことができる
公式キャラクターの「ウメテツ」のグッズ
お土産のお菓子類も充実
扇形車庫を模したお菓子もある
オリジナルキーホルダーなど
ワッペンなど

JR京都駅からのアクセスは梅小路公園経由がオススメ

 京都鉄道博物館のアクセスだが、通常は京都駅からバスが基本。複数の系統が前を通るが、一部は通りから博物館内に乗り入れる便もある。京都駅の乗り場は広いので、バス乗り場にいる案内員に聞いてしまうのがよいだろう。

 しかし、天候がよく、体力的に不安がなければ徒歩がお勧めだ。梅小路公園の中を抜けて京都鉄道博物館に行くルートで、駅から公園までは10~15分、公園内を約10分で抜けるという全体で20~25分くらいのルートだ。ルートは京都鉄道博物館のWebサイトの「アクセス」のところにGoogleマップの地図があるので、それに従って歩くとよいだろう。

 公園に着いてみると分かるが、この公園には市電ひろばが設けられているほか、SLスチーム号が隣接する線路を走行、京都鉄道博物館とセットで巡りたい公園。市電ひろばでは土曜日と日曜日はバッテリー駆動の市電が園内の線路を走行するというアトラクションもある。ベンチや芝生、市電のカフェもあるので駅まで歩く際の休憩場所としてもよいだろう。

京都駅前のバス案内図、京都鉄道博物館方面はB3乗り場が主になりそう
京都駅にある京都鉄道博物館の案内
京都駅から徒歩で行くには西口や正面口から出て左側、ビックカメラ方向に歩いていく
この道路を建物に沿って歩いていく
建物にも案内看板を掲出
まっすぐ歩いていくと突き当たるので右に曲がり、オムロンの本社の手前の歩道を左に曲がる
アパホテルの前に出るのでこの道を左に曲がり線路に近づく
ここまでくると「梅小路公園」の案内が出るので西に沿ってひたすら歩く
堀川通の上をまたぎ、このまままっすぐ
JR山陰線の電車とすれ違う
道路の高架の下を過ぎれば梅小路公園となる
梅小路公園の入り口。実はすぐ左までSLスチーム号が走ってくる
梅小路公園の案内図。SLスチーム号の線路が公園の奥まで伸びてることが分かるだろうか
広大な広場。奥にあるのは京都水族館
市電ひろば。カフェやショップになっている
市電ひろばの案内
バッテリーで動く市電は「チンチン電車」と名前が付いている。土日のみ運行
園内には線路が走っている
もう片方の乗り場。奥に車庫が見える
片道150円、1日300円
SLスチーム号の線路は梅小路公園の南側にある
このベンチのあたりまで蒸気機関車がやってきて折り返す
公園を抜けるとバス停がある。近いほうの「梅小路公園・京都鉄道博物館前」バス停