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飛行機は楽しいよ! JALが中高生向けに「空の仕事」を紹介
「空育」の一環。現役パイロット、CA、グランドスタッフ、整備士の生の声を届ける
2017年6月26日 16:19
- 2017年6月24日 実施
JAL(日本航空)は6月24日、中高生を対象に同社の仕事4職種について説明するイベント「空育 空の仕事を知ろう!」を羽田空港で実施した。
「空育」とは、JALが2016年11月14日にスタートした次世代育成を目的とした体験型プログラムで、子供たちに飛行機を通じて自分の未来や、日本・世界・地球の未来を考えてもらう取り組みを行なっている。
2017年は2月に続き2回目の開催で、関東を中心に日本全国、さらに米国の中学、高校からも学生48名が参加。「空の仕事」のなかでも花形といえるパイロット(運航乗務員)、CA(客室乗務員)、グランドスタッフ、整備士の仕事内容について紹介するとともに、学生からの疑問、質問に的確なアドバイスを送っていた。
体力があること、健康でいることが最も重要
パイロットの代表として説明に立ったのは、JALでボーイング 777型機の機長を務める菊川勝揮氏。幼稚園生のころからパイロットが夢だったという同氏は、宮崎県にある航空大学校を経て1998年にJALに入社。2001年に副操縦士となり、2017年1月に機長に昇格し夢を叶えた。
学生からは、パイロットとして必要なことは何か、適性を身に付けるにはどうしたらよいか、進学先によって有利不利はあるか、といった質問を投げかけられた。同氏は、「勉強も重要だが、身体検査が一番難しい。健康であることが大事」「学校のクラスみんなで何かをやるとき、積極的にまとめ役となって、人の使い方、しゃべり方を学ぶべき」「パイロット不足ということもあり、今は航空大学校の卒業じゃなくても、米国でライセンスを取得してから旅客機パイロットになるなど、選択肢が増えている」などと回答した。
CAの代表は、リードキャビンアテンダントの飯塚康子氏。学生時代にJALを利用した際、CAの仕事ぶりに感動したことから興味を持ち、2007年に中途入社。前職の経験を活かしてCAとしてのキャリアを積んだのち、2016年5月から地上勤務をしている。学生向けセミナーの講師を担当することもあるという。
仕事で心がけていることは何か、という学生からの問いに対しては「お客さまが搭乗するとき、その最初のイメージで印象が決まってしまう。それで楽しく旅できるかどうかも決まってしまうので、最高の笑顔で迎えるようにしている」と回答。
また、CAを目指すうえで今からすべきことは何か、仕事でつらいことはあるか、といった内容の質問については、「大学ではやりたいことをやるべき。空港スタッフ育成専門学校のエアラインスクールは勉強になるし、情報交換にも役立つが、行かなくても入社している人は多い」「基本的に体力のいる仕事。時差の大きい国へのフライトは12~13時間も乗務することもあり、きつい。丈夫な体でいることが大切」と話した。
関連会社のJALスカイでグランドスタッフを務める、2014年入社の遠藤有紀氏。現在はおもにファーストクラスのカウンター受付と、ラウンジ業務をこなしている。実家が中部国際空港に近く、小学生のころから空港やホテルなどの受付業務に憧れがあり、空港のグランドスタッフの「キラキラした姿」に魅せられたという。
「お客さまの対応をするとき、相手に同じことを言っていても、喜ぶ人とそうでない人がいる。人に合わせて接客することが最初は難しかった」と振り返る同氏だが、それでも「お客さまからのありがとう」がやりがいにつながっているとのこと。学生からは、英語以外の外国語は必要か、といった質問があり、「(英語以外の)その国の母国語で話すときっと喜ばれる。ほかの言語ができることは自分の強みとして活かせるはず」と語った。
同じく関連会社のJALエンジニアリングで整備士として働く高田雅貴氏は、子供のころに見た整備士の姿の格好よさに惹かれ、2009年に入社。2016年にボーイング 737-800型機の一等航空整備士を、2017年4月にはライン確認主任者の資格をそれぞれ取得した。
同氏は学生に対して、機体整備の際に使用する膨大なマニュアルはすべて英語で書かれており、ある程度英語を読めることが必要と助言。「給油や清掃など、整備に関わるいろいろな人がいるが、機体の細かな部分を知っているのは整備士だけ。それらのスタッフに的確に指示を送らなければならないので、チームワークも必要」と話した。
子供のころからの夢を持ち続けてほしい
イベント終了後、以上の4名に話を伺った。パイロットの菊川氏は「強烈な熱意が伝わってくる学生が多く、うれしかった。女子学生も話を聞きに来てくれていたが、皆さん航空機やパイロットのことをよく研究している。パイロットの仕事現場は、判断の結果がすぐ出る世界。無事空港に送り届けたあとの、お客さまの笑顔が励みになる。私はパイロットになるのが子供のころからの夢だったが、実際にそうなった今学生に伝えたいのは、やっぱり“飛行機は楽しいよ”ということ」と語る。
CAの飯塚氏は、「(勉強ではない)習い事を続けてもいいのか、という質問が印象に残った。入社試験の面接などには、何か特技を持っている人の方が魅力的に見える。1つのことを長く続けるのはいいこと、とお話させていただいた。中学、高校生だと将来何の仕事をすればいいか分からない人もいると思うが、まずは日々の学校生活を楽しんで、社会人になったときにその経験を活かせるようにすればいいと思う」と話した。
グランドスタッフの遠藤氏も、日々の学生生活を大切に送ることが重要だと考えている。「空の仕事に就くにあたって、制限を気にしている人が多かった。身長の制限はグランドスタッフにはないし、英語も必須と思われがちだが、今は気にせず、自分のやりたいことをやってほしい。私は子供のときからの憧れで入社した。そういう幼いころの気持ちをずっと持っていてほしい」とエールを送った。
整備士の高田氏は、「JALではいろんなことをやらせてくれる。時々出張に行くこともあるし、資格の取得にも協力的。整備士になるために何をすべきか気になるかもしれないが、今は深く考える必要はない。仕事をすれば身に付く。それよりも学校の部活などで精神面を鍛えたり、素直な気持ちで物事に当たったりすることが最も重要」と、自身の経験を交えて話した。