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JAL、120%の笑顔をお客さまに届ける「笑顔UP講座」実施
資生堂が講師、アプリで豊かな表情づくり
2017年6月30日 18:10
- 2017年6月29日 実施
JAL(日本航空)は6月29日、資生堂が開発した笑顔のトレーニングができるタブレット端末用アプリによる「笑顔UP講座」を羽田オペレーションセンターで実施、CA(客室乗務員)約40名が参加した。
このアプリは、「顔・表情の印象研究」や「笑顔研究」をベースに、資生堂が笑顔の持つ意味や大切さを伝える目的で、2008年から学校・企業を対象に実施している「笑顔講座」の内容をデジタルコンテンツ化したもの。アプリを使用することで、豊かな表情づくりや笑顔の質の向上が期待できるという。
資生堂では、このアプリの実用化に向け、JALの協力のもと2016年7月~9月の3カ月間試験運用を実施した。
一方JALでは、約5000名のCAを対象に、乗務前のブリーフィングで笑顔の練習に活用するなど、日常の業務に取り入れながら3カ月間の試験運用を行なった。使用後のアンケートでは、9割以上のCAが「印象が変わった」と答えたという。JALは今後グループ会社での展開の可能性も考えていきたいとしている。
人が一番影響を受けやすいのは顔の表情
参加者は、まず最初に資生堂のビューティークリエーション部 ビューティークリエーションセンターの石川智子氏の笑顔UP講座を受講。「顔と表情の意味を学ぶ」「笑顔の印象を知る」「自分の笑顔を考える」「笑顔の効用を考える」「笑顔アプリ」の5つの切り口で笑顔について説明があった。
表情についてはメラビアンの法則を紹介。言語、声のトーン、表情が矛盾したときに、人が最も影響を受けやすいのが表情だと説明。ちなみに、進化の過程で生まれた6つの表情のなかで、最初に身に着いたのは怒り、最後に身に着いたのは喜びであり、豊かな表情ができるのは、「人の顔にはたくさんの表情筋があるからだ」と話した。
笑顔から受ける印象について石川氏は「相手を知らなくても、笑顔というだけで内面が美しく見えたり、親しみやすさを感じたりするなど、相手にポジティブなイメージを与えている」と表情がコミュニケーションにとって重要であることを説明した。
表情筋を動かして、笑顔をつくる
次に、真顔から歯を見せた笑顔までを「スマイル度」として数値化したデータを紹介。その印象について説明した。スマイル度0~20%はきちんとした印象を与え、60%でははっきりと「笑顔」だと分かる印象を受けるのだという。60%以下ではフォーマル・クール、60%以上だとカジュアルで温かみのある笑顔だと認識されるとしている。
さらに、最も魅力的と感じるのはメイクのスマイル度80%、親しみやすさを感じるのは素顔の120%、最も気品があるのは、少し控えめでメイクの60%という結果が出ていることも伝えた。
そのほか顔を動かすことでできるしわも印象の要素の一つであると説明。誰もが気になるほうれい線(筋肉の境目でしわではない)は、笑うことで筋肉が引き上げられるので、笑顔になることがたるみ防止にもつながるという。
ちなみに一番ネガティブな印象があるのは眉間のしわであり、逆に目尻のしわは幸せそうな印象を与えるという結果が出ているとした。表情筋の伸縮により肌の細胞が活性化されるだけでなく美肌効果も期待できると説明し、表情筋トレーニングの重要性をアピールした。
笑顔アプリを活用して、自分の笑顔と客観的に向き合う
アプリは「ライブエガオ」「トレーニング」「ゲーム」「きもち日記」「カレンダー」の5つで構成されている。
なかでも「ライブエガオ」は、カメラに写った顔を数値化し、美しさ、魅力、親しみなど印象判定をしてくれる機能があり、自分の笑顔を客観的に見ることが可能。また「トレーニング」では画面半分に映し出されるトレーナーと一緒に、1カ月かけて正しい「フェイスマッスルプログラム」を行なうことができる。
さらに「ゲーム」では、普段しない表情の練習や苦手な笑顔レベルを認識することができる。
アプリの使用前後での変化についてCAの松尾絵里奈氏は、「自分がお客さまに与えている印象について意識するようになった。客観的に自分の笑顔と向き合えるようになり、楽しみながら笑顔のチェックをしている」とコメント。
また笑顔UP講座に参加したCAの岩嶋理乃氏は「笑顔になる瞬間は多くても、自分の笑顔を見る機会はあまりなかった。アプリを使用したことで自分のなかでも新しい発見があった」とコメントした。
資生堂の石川氏は、きれいな笑顔を活用したいという思いからこのプロジェクトを始めた経緯を話し、アプリは2016年の試験運用を経て、現在病院や企業などで実験的に実用が行なわれているという。現場の雰囲気が明るくなったとの声もあることを伝え、導入後の効果も表われていることを報告した。