ニュース
JALと東大が飛行機が飛ぶ仕組みを学ぶ中学生向けワークショップ開催。設計したオリジナルの翼を風洞実験
2017年10月17日 12:05
- 2017年10月14日~15日 開催
現役整備士に話を聞き、間近で飛行機を見学
JAL(日本航空)と東京大学生産技術研究所(東大生研)は「飛行機ワークショップ 2017 ~全国から参加の中学生がよく飛ぶ翼を創ります~」を10月14日~15日に開催した。これは全国から選ばれた中学生が飛行機の構造や整備の仕組みを学んだり、実際に翼を設計したりするという内容のワークショップで、2016年に引き続き2回目の開催となる。
初日の会場となったのは、羽田空港隣接の「JALメインテナンスセンター1」で、まずJALと航空機の概要について説明。続いて、参加者がグループに分かれ、JALの整備士や東大生研に所属する学生から飛行機の構造や整備の仕組みについて教わったあと、未来の飛行機についてディスカッションが行なわれた。
将来期待する飛行機について、「羽ばたく飛行機を実現してほしい。今の飛行機は固定翼だが、その既成概念を打ち破り、“稼働”翼の飛行機が実現されればと思っています」など、それぞれのグループで考えられた意見を発表した。
そのあとに行なわれたのは、羽田機体整備工場(格納庫)の見学だ。参加者はJALの整備士とともに格納庫内に入り、実際の飛行機を間近で見学したほか、飛行機についての詳しい説明を受けていた。翌日にはシミュレーションによる翼の設計が予定されていたため、飛行機の翼を間近で見て、実際に触れる時間も設けられた。
実際に整備士としてグループワークに参加したJALエンジニアリング 羽田航空機整備センター 機体点検整備部 第1機体運航整備室の千葉太郎氏は「自分の中学生のころと比べると、今回の参加してくれた皆さんはすごく知識が豊かですよね。将来どんな飛行機に乗りたいかという問い掛けに対しても、いろんな発想で意見を述べてくれました。これからもずっと飛行機を好きでいてくれるとうれしいですね」とコメントした。
風洞を使って設計した翼の揚力を計測
2日目の場所となったのは、東京大学生産技術研究所 駒場リサーチキャンパス。まず東京大学生産技術研究所所長および教授の藤井輝夫氏より挨拶があり、その後、東京大学大学院情報学環および生産技術研究所の教授である大島まり氏による講義が行なわれた。内容は飛行機はなぜ飛ぶのかというもので、揚力や抗力などについて分かりやすく説明され、参加者は真剣に聞き入っていた。
講義のあと、PC上で動作するシミュレータを利用した、翼の設計コンテストが実施された。これは風の速さは毎秒20m、翼の角度(抑え角)は0度という前提で、もっとも大きな揚力を発生させる翼を設計するという内容。参加者は1日目と同じくグループに分かれ、PCを操作して翼を設計した。
会場には、空気の動きを見るための可視化用煙風洞と、実際に力を測定するための風洞も持ち込まれていた。参加者が設計した翼を発泡スチロールで作成し、風洞を使って実験するためである。
最後にそれぞれのチームが自らが設計した翼の揚力を発表し、優勝チームには記念の楯が贈られた。