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JAL、12月の地域プロモーション企画「新・JAPAN PROJECT 秋田」スタート

国内線ファーストクラスのコラボ機内食を秋田で食べられる企画も

2016年12月1日 発表

2016年12月 実施

 JAL(日本航空)と秋田県は12月1日、自治体とのコラボレーションによる地域活性化プロジェクト「JAL 新・JAPAN PROJECT」の12月の取り組みを発表した。12月は「JAL 新・JAPAN PROJECT 秋田」として、JAL機内や媒体を通じて秋田県の情報提供、プロモーション活動を行なう。

 JAPAN PROJECTで秋田県が取り上げられるのは、2011年10月、2015年9月に続いて3回目。12月1日には、秋田市の千秋公園内にある秋田文化産業施設 「松下」で、共同記者発表会を実施した。

 JALは秋田空港路線として、新千歳(札幌)、羽田、伊丹(大阪)の3路線を運航している。このうち新千歳と伊丹はジェイエアの運航となっている。このことから、共同記者発表会にはJALのCA(客室乗務員)に加え、ジェイエアのCAも参列した。

秋田出身のJAL CA 中村美咲さん(右)と、ジェイエアCAの松尾佳代子さん(左)
中村CAは、JALのCAから公募して選ばれる、地域の魅力や情報を伝える「JALスカイアンバサダー 秋田」を務める。縁(ゆかり)都道府県バッジももちろん秋田県
共同記者発表会の会場となった、秋田市・千秋公園内の秋田文化産業施設 「松下」
千秋公園は江戸時代まで秋田藩の佐竹氏の居城だった久保田城跡
秋田県知事 佐竹敬久氏

 冒頭で挨拶した秋田県知事 佐竹敬久氏は、「冬本番を迎え、JALの全面的な協力のもと、国内外に秋田の、特に冬の魅力をPRできる」と、取り組みを歓迎。「今回は、秋田では有名な男鹿の『なまはげ紫灯まつり』や、横手の『かまくら』、あるいは『六郷の竹うち』など、冬の秋田の小正月行事を中心に、さまざまな雪遊びや露天風呂など、秋田ならではの味のあるさまざまな観光資源を取り上げていただく。

 JALの機内誌や機内ビデオで幅広く紹介してもらえ、日本人のみならず、海外からのインバウンドのお客さまにもご覧いただける」と、新・JAPAN PROJECTの内容に触れた。

 新・JAPAN PROJECTの取り組みのなかでも中心的なものとなる機内食については「私の親友の光琳の鈴木社長が腕を奮って、国内線のファーストクラス……国内線のファーストクラスって私乗ったことないけど、秋田便はないもんね(笑)……そちらに秋田の食材を活かした素晴らしい料理を提供するということで、秋田自慢の冬の味、これをJALにご搭乗の皆さんに評価していただき、これを通じて秋田の食が豊かなことをPRできることでうれしく思う。特に私は食に人並み以上に関心があるので(笑)、秋田の食を広げるきっかけとしてうれしく思う」と笑いを誘いながら紹介した。

 2016年を東北観光振興元年と位置付ける政府の支援のもと、インバウンドに力をいれて取り組んでいるとし、「海外からは歩いてこられないので飛行機が中心になる。さまざまな面で今後もJALにはお世話になると思う。この企画が、ますます秋田の観光の起爆剤になれば」と期待した。

 また、のちの質疑応答で新・JAPAN PROJECTへの期待を問われると、「秋田の冬の観光は題材が多く、冬の食べ物はお酒も含めてシーズンだが、PRが難しい。私もそうだが国際線に乗ったときに、機内誌は目に留まって、限定された時間帯で見るので印象に残る。『秋田』という名前を覚えてもらえることで、いろいろなPRにつながると思うし、(飛行機に乗って)旅をしているときに見るので旅に結びつく」と、効果的な取り組みとの考えを述べた。

日本航空株式会社 常務執行役員 旅客販売統括本部長・国内旅客販売本部長 二宮秀生氏

 JALからは常務執行役員の二宮秀生氏が参加。「今回秋田を取り上げるのは3回目。事前にいろんな準備をしながら進めてきた、冬場の秋田をしっかり紹介したい」「JALグループをあげて、秋田県の魅力を日本各地、世界へと発信し、秋田の皆さまとともに、より一層、観光客誘致に取り組んで、復興に応援に貢献できればと思っている」と述べ、取り組みの概要を説明した。

 秋田県はJAPAN PROJECT時代を含めて2年連続、3回目の取り組みとなるが、「2011年はプロジェクト自体も試行錯誤で、国内のお客さまをいかに秋田に送客するか、魅力を発信するかが中心だった。2015年9月はより海外でも露出をして、海外のお客さまにも届くようにした。この昨年の取り組みの直後に、今後は冬の秋田を紹介したい、と秋田県の皆さんと話をさせていただいて、機内誌に載せている2月の情報は、2016年2月に取材したもので、あらかじめここで(12月に)やると決めて準備していた。2回目で海外のお客さまへの紹介に取り組んだが、3回目は冬の秋田を紹介するとさらに準備をしっかりやっている。

 また、Webコンテンツの『秋田美人になる旅』といったものも初の試み。また、中国、香港、台湾、韓国の路線で、『日本達人』という冊子を11月から2月の期間中にシートポケットに入れて、秋田県の紹介をしている。このように少しずつ進化して、瞬間で終わらないよう、より深くなっていると思っていただければ」と説明した。

中国繁体字、中国簡体字、韓国語で提供している「日本達人」。11月~2月に配布している号で秋田県の紹介をしている

 ちなみに、秋田空港のネットワークについては、「(ジェイエアが運航している)CRJを徐々にエンブラエル E170型機へ入れ替えているが、新しい路線などの計画はない」としたうえで、「2015年は台湾とのチャーター便を秋田空港に2便運航した。秋田のみならず東北をしっかり応援していきたいと考えているので、チャーターベースのものはこれからも考えたい」との考えを示した。

 また、12月8日に、東日本大震災の復興支援への感謝を込めて、東北観光推進機構が中心となって台湾・台北で開かれる観光PRイベント「東北感謝祭」に際して、仙台空港発着のチャーター便を用意することを紹介。「台湾からも招聘して、旅行会社の方も呼んで秋田県にも来ていただく構想を用意している」と、チャーター便による秋田県PRの具体例を紹介した。

「水屋光琳」総料理長監修の機内食。秋田へ行けば食べられる企画も計画中

株式会社水屋光琳 代表取締役兼総料理長 鈴木清氏

 12月の新・JAPAN PROJECT 秋田での取り組みの一つして、機内食は、秋田県の「水屋光琳」とコラボレーションする。羽田と新千歳、伊丹、福岡、那覇を結ぶ路線で提供している国内線ファーストクラスの夕食として出されるもので、羽田~新千歳/伊丹/福岡線は17時以降の出発便、羽田~那覇線は18時以降の到着便が対象となる。

 監修は水屋光琳の代表取締役で総料理長でもある鈴木清氏が務め、記者発表会でも各料理の説明を行なった。今回の会見会場となった秋田市の千秋公園近くにある商業施設「なかいち」の2階にも「御廚光琳 なかいち店」を構えるほか、2016年4月には東京・銀座のダイワロイネットホテル銀座1階に「水屋光琳 銀座店」をオープンしたばかり。

 鈴木氏は、「私は秋田で生まれ、秋田で育ち、秋田で包丁を握ってきたので、地元のことはよく知っているつもりで、今回お話をいただいたときに、全県を網羅するような感じで食材を用意した。

 ファーストクラスに乗られる方は、月に何度も乗る方が多いと聞いたので、上旬、中旬、下旬とすべて違う食材、違う味付けにして、バラエティ豊かに揃えている。1度目食べたら、2度目はどうなんだろうと期待してもらえるよう準備したつもり」と料理のコンセプトを説明。

 また、「常に生産者の皆さん思いも乗せて料理をしたいと思っており、今回はそのようないろいろな方々の思いも一緒に飛行機に乗って飛んでいただきたいと思った。オーソドックスなものから、ちょっと変わった風味のものまで準備したので、1カ月飽きることなく召し上がっていただけると思う」とも語った。

 メニューは上旬、中旬、下旬の3パターンを提供するが、共通で使用されるご飯は、まだそれほど生産量が多くないブランド米「ゆめおばこ」を特別に提供してもらったという。

 さらに茶菓は、老舗の菓子舗榮太楼に「コラボしようよ、と無理を言って」(鈴木氏)と、今回の新・JAPAN PROJECTのために作られた「秋田蕗もろこし」を提供する。秋田蕗(ふき)の粉末を練り込んだもろこしで、この粉末は多いと苦く、少ないと風味がないと試行錯誤しながら完成させたという。

秋田県のブランド米「ゆめおばこ」の俵ご飯
水屋光琳と榮太楼によるコラボレーション茶菓「秋田蕗もろこし」

 発表会では、国内線ファーストクラスのシートに佐竹敬久知事が座って試食。「機内食は楽しみで、外で食べて、空港で食べて、飛行機でも必ず食べる」と、かなりの食好きぶりを見せ、食材の調理も提案。二宮氏も「ぜひレシピの提供を」と返答して場を和ませたほか、先述のコメントにあったように、秋田県にはファーストクラスを持つ機材が運航されておらず、「これは本当に出されているか確かめるために乗りに行かないといけないね、許されるかな」と笑いを誘い、終始和やかな雰囲気で試食を楽しんでいる様子だった。

会場に国内線ファーストクラスシートを用意
中村CAの配膳で国内線ファーストクラスの12月下旬メニューを試食する佐竹知事

 また、鈴木氏は「ファーストクラスに乗らなくてもこれをご賞味いただきたいので、どのような形になるかは検討中だが、弊社のなかいち店でファーストクラスで提供した今回の機内食を召し上がっていただける企画を立てる」と表明。

 さらに「秋田蕗もろこし」についても、水屋光琳運営の各店(銀座店含む)と榮太楼で販売を行なう予定だという。価格は税込み700円を予定。

 既存のメニューを機内食に取り込む例はあるが、JAPAN PROJECT/新・JAPAN PROJECTで生まれたメニューを地上のお店で提供するのは非常に珍しい取り組みで、発表会に参加していたJAL関係者も「おそらく初めてではないか」とのことだった。

秋田市の商業施設「なかいち」2階にある「御廚光琳 なかいち店」

12月上旬(12月1日~10日)の提供メニュー

 メインは白神あわびで、白神山地からの伏流水が海岸から湧き出てくる水を、廃校になった八森小学校(山本郡八峰町)の体育館に引き込んで養殖しているという。

 また、秋田といえばハタハタ、秋田といえば比内地鶏といった定番食材を用い、ハタハタは天ぷらに、比内地鶏は燻製のものを風味を出すためにあぶって提供する。

小鉢

・秋田産くろも酢 胡瓜 クコの実 生姜
・豆乳豆腐と秋田産ミズコブ醤油漬 山葵

主菜

・秋田産ハタハタ天ぷら/べっこう餡
・比内地鶏の燻製 燻製玉子 チーズ青梅寄せ
・光琳特製白神あわびのバター肝味噌和え/根曲がり竹 焼き葱
・鹿角市産しそ巻大根 蓮根酢漬

そのほか

・俵ご飯(ゆめおばこ)
・若布の味噌汁
・水屋光琳×菓子舗榮太楼 秋田蕗もろこし

12月上旬提供メニュー
12月上旬提供メニューの主菜
12月上旬提供メニューの小鉢

12月中旬(12月11日~20日)の提供メニュー

 塩麹で一晩漬けたあとに焼いた八幡平ポークがメイン。珍しいのは比内地鶏のささ身で、「数が揃わないと言われたがかき集めた」(鈴木氏)という貴重なものだ。

 シュウマイには秋田県は枝豆の生産日本一を目指している枝豆を入れている。これは、「なぜこの時期に枝豆なの?」という疑問を持ってもらうためで、質問をしてもらえれば「秋田県は実は枝豆日本一を目指してるんですよ」と紹介できるとの狙いを込めたそうだ。併せて、秋田県が生産量日本一を誇るじゅんさいをメニューに取り入れている。

 船に乗っているのが、秋田蕗。ふきのとうのバッケ味噌の上に煎餅で帆のように仕立てた。また、三関セリの根も使用しており、秋田の人は根が大好きであることを紹介したいとしている。

小鉢

・秋田産じゅんさい酢 あられ長芋 梅肉ゼリー
・三関セリの比内地鶏ささ身わさび風味

主菜

・秋田産枝豆しゅうまい/辛子
・八幡平ポーク塩麹漬/酢橘
・光琳特製干しかすべの煮付け/小松菜
・秋田蕗とバッケ味噌 秋田もち煎餅
・いぶりガッコビール漬け

そのほか

・俵ご飯(ゆめおばこ)
・若布の味噌汁
・水屋光琳×菓子舗榮太楼 秋田蕗もろこし

12月中旬提供メニュー
12月中旬提供メニューの主菜
12月中旬提供メニューの小鉢

12月下旬(12月21日~31日)の提供メニュー

 メインは「秋田牛」。秋田県がブランド牛として国内外に紹介している最中のもので、味がよいと評判だという。鈴木氏も「歯ごたえ、風味などどこの牛肉にも負けないと思うので、最後に秋田牛で締める、と下旬に持ってきた」と太鼓判を押している。

 さらに、「12月31日までの提供なので、大晦日にファーストクラスに乗ったお客さまに師走、年の瀬を感じてほしい」との思いから、きんとんと黒豆を提供する。

小鉢

・秋田産とんぶりと焼き舞茸 菊花 蕗
・ぜんまい煮 南瓜 玉蒟蒻 梅麩

主菜

・海老の秋田牛巻 秋田産ハタハタ南蛮漬 ギバサ酢/イクラ大根卸し 生姜
・光琳特製栗きんとん 千代呂木 黒豆

そのほか

・俵ご飯(ゆめおばこ)
・若布の味噌汁
・水屋光琳×菓子舗榮太楼 秋田蕗もろこし

12月下旬提供メニュー
12月下旬提供メニューの主菜
12月下旬提供メニューの小鉢

 このほか、こだわりの日本酒として、東北を代表する酒米「美山錦」を100%使用した新政酒造の「新政 瑠璃(ラピスラズリ) 生もと純米」を提供する。

“こだわりの日本酒”として提供する「新政 瑠璃(ラピスラズリ) 生もと純米」

機内誌や機内エンタテイメントなど、JALが持つメディアでの情報提供

 国内線と国際線の機内誌「SKYWARD」では、「冬でも熱い、伝統行事」と題し、秋田県内で2月に行なわれる伝統行事にフォーカスした記事を掲載。男鹿市の「なまはげ柴灯まつり」、横手市の「かまくら」、仙北郡美郷町で行なわれる国の指定重要無形民俗文化財「六郷のカマクラ」の神事「竹うち」といった伝統行事を中心に冬の魅力を紹介する。

 国際線版のSKYWARDでは、外国人乗客向けに日本の伝統工芸品や食などのお土産ものを紹介する「Souvenir」で、江戸時代の末から続く楢岡陶苑の伝統陶器「楢岡焼」と、和菓子の老舗「三松堂(さんしょうどう)」が1924年の創業以来作り続けてきている「大正・昭和レトロ菓子」を取り上げる。

 JALカード会員誌/国際線ファーストクラス機内誌のAGORA 12月号では、1855年(安政2年)から醤油と味噌の醸造を手がけてきた石孫本店(湯沢市)の「天然醸造秋田味噌 五号蔵」を特集記事を掲載する。

 機内では、お笑いコンビのパックンマックンが、土地の達人「旅タツ」が推奨するスポットを巡るビデオ番組を、所要時間80分以上の国内線上り線(偶数便)で上映。12月は小安峡(おやすきょう)観光案内人の会 黒澤陽一さんを旅タツに迎え、湯沢市小安峡でかんじきを履いてのトレッキングや稲庭うどん作り、雪見風呂などを体験する内容となっている。2017年2月からは国際線機内エンタテイメントのビデオチャネルにバイリンガル版(日本語、英語)を用意する。

機内ビデオでは、「冬の小安峡を楽しむ」をテーマに、旅タツの案内のもと、さまざまなアクティビティやグルメを体験

 Webサイトでは、訪日外国人向け情報案内サイト「JAL Guide to Japan」で、秋田の観光情報として、十和田・八幡平国立公園の乳頭山麓に10種類以上の源泉が点在する「乳頭温泉郷」や、“ねぶり流し館”の愛称を持つ「秋田民俗芸能伝承館」(秋田市)を公開。12月1日に英語版を公開したのち、12月15日には9言語(英語、中国簡体字、香港繁体字、台湾繁体字、フランス語、ドイツ語、ロシア語、韓国語、タイ語)に拡大して、情報を提供していく。

 さらに、先の二宮氏の発言にもあった新・JAPAN PROJECTとして新たな取り組みとなる、観光情報の国内外同時発信も実施。「秋田美人になる旅」をテーマに、美肌に効果的な温泉や、旅の癒やしとなる神社や武家屋敷巡り、グルメなどの観光ルートを提案・紹介するWebコンテンツを制作。国内向けの旅提案サイト「JAL旅プラスなび(秋田美人になる旅)」、訪日外国人向けの「JAL Guide to Japan」で同時公開した。

JAL 新・JAPAN PROJECTでも初めての試みとなる、観光情報の国内外向けWebサイトでの同時公開。「秋田美人になる旅」を、国内向けには「JAL旅プラスなび」で公開している

ジャルパックのダイナミックパッケージやJALマイレージバンク、JALカードの取り組み

 JALダイナミックパッケージでは、秋田県の湯沢市、横手市、美郷町、男鹿市を中心とした県内各地の宿泊施設を利用できる宿泊プランや、男鹿市の「男鹿水族館GAO入館券」「なまはげ館入館券」などのオプショナルツアーを設定。

 さらに、美郷町の宿泊施設を対象とした、JALふるさと応援割のキャンペーンも実施する

キャンペーン概要

対象期間:2016年12月1日~2017年3月31日出発分
割引額:1名あたり5000円(割引対象人数が予定に達し次第終了)
割引条件:往路で秋田空港を利用し、美郷町の指定宿泊施設に1泊以上宿泊

 このほか、秋田発着のJALグループ対象運賃で搭乗した利用者を対象に、抽選でボーナスマイルやホテル宿泊券をプレゼントするキャンペーンや、JALマイレージバンクの特典交換「とっておきの逸品」での秋田県特産品、名物の提供。秋田県在住者を対象にJALカード入会時のボーナスマイルプレゼントキャンペーンを実施する。