車中泊の拠点 RVパークを訪ねる

広過ぎるくらいの空間で車中泊できる茨城・高萩の新規開業RVパーク。整った設備、開けた空に静かな環境が魅力

RVパーク オートリゾート

茨城県高萩市に新規オープンした「RVパーク オートリゾート」へ行ってきた

 今回の目的地は、海と山を観光資源とする茨城県高萩市にある「RVパーク Auto Resort(オートリゾート)」(茨城県高萩市横川1534-3)。

 高萩市は、東京や神奈川からだとクルマで約3時間ほど掛かる距離感。現地で遊ぶ時間などを考えると日帰りよりも1泊した方がいい場所だが、泊まるのならもっと遠くへ行けばいいと思うところもあるだろう。

 でも、アウトドアレジャーは普通の旅行と比べて、現地に着いてから体を動かすことが多い「疲れも伴うレジャー」だ。そのためクルマ移動の距離を伸ばし過ぎると帰り道がきつくなるし、翌日以降も疲れが残りがちだ。それだけに「片道約3時間」は1つの区切りの距離で、よほど長距離移動慣れをしていないならこの範囲で収めておいた方がいいと思う。

 というわけで約3時間の距離間で行ける高萩市なのだが、実際のところアウトドアレジャーのエリアのPRをはじめたのはここ数年のことなので、スポットとしてそれほど名前が知られているわけではない。

 でも、観光地化されていない(まだ知られていない)観光資源が豊富な地域であり、しかも自治体がアウトドアレジャーのエリアとするため力を入れていて、なおかつ「まだ」混んでいない状況。アウトドアレジャースポットは全国各地にたくさんあるが、高萩市のような穴場はそうあるものではないだろう。

 前置きが長くなったが、そんな場所にあるオートリゾート。常磐自動車道の高萩ICから約20分ほど走れば到着するくらい便がいいが、施設は小山ダム湖のすぐ横なので周辺は山だし、前を通る道路を通行するクルマは少ないから昼間であっても本当に雑音がない。

 1泊しているので朝も昼も夜もここで過ごしたが、機械的な音はたまに上空を飛ぶ旅客機の音がなんとなく聞こえるくらい。あとは風の音、草や木々が動く音だけだった。

 また、オートリゾートは携帯電話が通じないエリアなので(ドコモもムリ、楽天モバイル、ソフトバンクはぎりぎりつながるらしい。施設にWi-FiはあるのでWi-Fi経由の通話は可能)、ある面で秘境感も味わえる環境なのだ。

高萩市にある小山ダム。茨城県内では最も新しいダムで大きさも県内一とのこと。最近になって釣りが解禁されてバス釣りで人気。写真はオートリゾートからの風景
オートリゾートは小山ダム湖の横。前の道からははぎビレッジという施設への入口を曲がる
ダム湖へと降りる通路の途中にRVパーク オートリゾートの入口がある

 オートリゾートは7月15日にオープンしたばかりという新しい施設だ。運営しているのは地元企業のワンダーゲート。代表を務める永岡氏は茨城県日立市で自動車販売業も行なっているが、単にクルマを販売するだけではなく、クルマは楽しいものであり、クルマを通じて多くの人が楽しめる場所を作りたいといった考えを持っている方。

 そこで約10年前からクルマ遊びの楽園(オートリゾート)と呼べる場所を作ることを計画していた。そしてそのカタチとして、小山ダムの横の約4000坪の土地を使ってオープンさせたのが「オートリゾート」だ。

右が株式会社ワンダーゲート 代表の永岡氏で左が施設管理人の皆川氏。利用者がいるときは皆川氏が24時間駐在している。ルールが少ないことも施設の特徴だが、なにをしてもいいということでなく、利用者を「リゾートで遊ぶ大人として常識を持って利用してくれる」という人であると信じてのこと。その気持ちに応える過ごし方をしたい

 オートリゾートは車中泊専用のRVパークに登録はしているが、施設の作りとしてはオートキャンプ場である。しかも永岡氏が考えるリゾートは、利用者が気持ち的にも伸び伸びできる環境であったことから、各スペースはとても広く設定していた。

 今回の取材で利用したのは「レイクビューエリア」という区画だが、幅が8m、奥行きが12mもあり、筆者のN-VANなら4台が同じスペースで車中泊しても大丈夫なくらいの余裕。スペースのどのへんにクルマを止めたらいいのか迷ったくらいだ。

 それだけに最初は「ここまで広くなくてもいいのに」と思っていたが、テーブルやチェアなど出して準備をととえてのんびりしていると、広いことが心地よく思えてきたて「広いっていいねぇ」という考えに変わった。取材日は平日だったので近くのスペースにほかの利用者はいなかったが、この広さがあれば隣にほかの利用者がいる状況でも広さは感じられるだろう。

オートリゾートの配置図。約4000坪の敷地に36区画「しか」作っていないので、すべてが広々とした印象
利用したのはダム湖が見えるレイクビューエリア。スペースのサイズが横が8mの奥行きが12mとかなり広く、大型キャンピングカーでの利用も余裕。オートキャンプでも大型テント&タープが展開できる
奥行きが分かるアングル。N-VANをだいたい中央くらいに駐めているがやはり広い。利用料金は5000円~1万4000円。4名までの利用が基本で、そこから1名増えるごとに+1000円。ペットも1頭につき+1000円。クルマが2台の場合も+1000円
電源はレイクビューエリアのみに設定。電源は入口にあるがスペースが広いので延長コード必須。レンタルもあるが、駐める場所によってはそれでも足りないこともあるので「コードリール」を持参した方がいいかも
レイクビューエリアは基本スペースの両脇が開けているが1か所のみ木に囲まれるスペースがある。人気はあまり高くないと聞いたが、ここは居心地よさそうだった
スペースの地面の土質はこんな感じ。ペグを打ってみたが手だけで押し込むのはムリ。でも、硬過ぎないので小型のハンマーがあれば余裕で打ち込めるレベル
許可を得て、ほかのスペースにもN-VANを駐めてみたので、広さの参考にしていただきたい。まずはゲートエリアから。利用料金は3000円~1万円。4名までの利用が基本で1名増えるごとに+1000円。ペットも1頭につき+1000円。クルマが2台の場合も+1000円
ゲートエリアのスペースには仕切りに柵が設けている。チェックアウトまでの時間にこの柵を利用してギアを乾す人もいるという
ゲートエリアのG8スペース(配置図参照)から管理棟方面を見る。芝生の前にロープで仕切られているのが素のスペース専用の駐車エリア。芝生内にクルマを乗り入れないでテントを張りたい場合はここに駐める。この駐車エリアは「バンエリア」「ペット同伴エリア」を除くすべてに設定されている
塀と門が付くペット同伴エリア。門を閉めるとスペース内はノーリードOK。利用料金は5000円~1万4000円
芝生エリア側からみる。ペット同伴エリアは4つある
ペット同伴エリア以外はリードをつなぐことがルールだが、ノーリードで遊ばせたい人向けにドッグランも用意する
湖面側に木があるフォレストエリアもスペースのサイズはレイクビューエリアと同等レベル。このアングルはF-14スペースからF-1方面を向いたもの。フォレストエリアの利用料金は4000円~1万2000円。4名までの利用が基本で1名増えるごとに+1000円。ペットも1頭につき+1000円。クルマが2台の場合も+1000円
フォレストエリアのスペースのダム湖側後端に立って通路側を向いたアングル。間口は約8mあり、縦長なのが分かるだろうか
フォレストエリアにもあえて木を多く残したスペースが1つ設定されている。テントやテーブルを木々が生えているなかに置くと、いい雰囲気が味わえそうだ
N-VANが止まっているところが車中泊ユーザー向けの「バンエリア」。ここが一番RVパークらしいところ。ただ、そこは広さが特徴のオートリゾートなのでサイズは5×5m。車中泊用といいつつ、並のオートキャンプ場クラスの広さ。4スペースある
スペースの後ろ側は木が生えたり草が茂っていたりするが「そっちも自由に使っていい」とのこと。冬季など草が枯れて虫もいない時期だとかなり広く使うことができそう。利用料金は2000円~5000円とお手頃。実は広く使えるスペースなのでここはお勧め。4名までの利用が基本で1名増えるごとに+1000円。ペットも1頭につき+1000円。クルマが2台の場合も+1000円

 以上が車中泊ができるスペース(テント泊もOK)の紹介。続いてはオートリゾートの設備など見ていこう。

 入口を入ると左側に管理棟があるので、到着したらまずがここで受け付けを済ます。管理棟の対応時間は10時から19時だが、チェックインは14時からとなる。アーリーチェックインは追加料金で対応。その場合、チェックインは12時からOKだ。

 管理人は平日は皆川氏がひとりで詰めていて、休日でも2~3名体制なので、お客さんが集中する受け付け開始時間付近は、どんなにテキパキ捌いていても待ち時間が発生することは想定しておいた方がいいだろう。

 なお、利用するスペースは予約時に指定できる。指定がない場合や当日の飛び込み利用のときは、ほかの利用者とはできる限り離れた場所にしてくれるという。こういう部分はうれしい気づかいだ。

こちらが管理棟。対応時間は10時から19時。ただし、管理人は24時間いるの対応時間外でも緊急対応はしてくれる
管理棟内の売店。並べてはいないが清涼飲料水も販売している。酒類も置いている。施設内に自販機はなく、自販機を利用したいときは多少歩いてダム施設までいく必要がある
施設内の移動やダム施設側への買い出しなどで自由に使える電動カート。ダム施設(はぎビレッジ)内はこれで走れるが、公道へ出るのはNG
正面ゲートは防犯のため夜は締めて施錠される。女性の利用も多い施設なので管理人駐在を含めてセキュリティにも気を使っている

 トイレは管理棟の横にありすべて洋式。温水洗浄機能付きの清潔感あるもの。男性用が1つ、男女兼用が1つ、女性用が2つある。ただ、広い敷地にトイレはここだけなので、例えばフォレストエリアの一部のスペースから遠いのは事実。

 炊事場とシャワールームもトイレの並びにある。炊事場に屋根はないがシンクは大きく温水が出る水栓もあるのはうれしいところ。

 シャワールームはコインシャワーで男女それぞれ2つずつある。空いているときはいつでも利用できるが、お客さんが多いときは時間予約制になるので、受け付け時に予約を入れること。

 なお、オートリゾートではレンタルテントやバーベキュー用食材の用意にも対応しているので、希望する場合は予約時に申し込むとよい。

管理棟の隣にトイレ、炊事場、シャワールームと並ぶ
個室は4つ。男性用×1、男女兼用×1、女性用×2。すべて洋式で温水清浄便座。クツを脱いで入る。清掃も行き届いていて清潔感がある
屋根はないが夜間でも利用できるようセンサーライトが水栓ごとについている
上の写真の右側列の水栓は温水が出る。スポンジや洗剤は用意されている
コインシャワー式のシャワールーム。料金は3分で200円。脱衣所には鏡とドライヤーはある。暖房器具はない
ゴミは分別して捨てられる。とはいえゴミがよけいに出ないような過ごし方を心がけたい
たき火台を使用すればたき火はOK。はぜた火の粉を受け止めるために、たき火シートも同時に使いたい
レンタルテントもあるし、バーベキュー用食材も用意してもらえる(事前予約が必要)
管理棟の正面に立って左右を見たアングル。設備や各スペースのだいたいの距離感の参考にしてほしい。これは左側の炊事場などを見た絵
左真横。塀があるのがペット同伴エリア。一番奥がドッグラン
左斜め前。白い屋根はあとで紹介するステージエリア。その奥がフォレストエリア
正面を見た絵。ゲートエリアは管理棟に最も近い
右斜め前を見た絵。ゲートエリアの向こうがレイクビューエリア
右真横。N-VANを駐めたスペースが見え、さらに右にバンエリアがある
ワンダースペースと呼ぶステージエリア。将来的には音楽ライブなどもやりたいという。ほかにも多目的に利用していくスペースとのこと
ステージの前にはリゾートの海岸をイメージして白砂がまかれている
ステージ前はプレイエリアと呼ぶ広いスペースがある。子供を遊ばせるのに適した場所なので、お子さん連れの場合は目の前がプレイエリアとなるF-5以降のフォレストエリアに泊まった方がいいかも
プレイエリアにある白い舗装のスペースは将来的に予約制バーベキューコーナーになるが、今年いっぱいは稼動しない予定。現在はキャンピングカーが展示されている。キャンピングカーのレンタルも検討しているという
レイクビューエリアとフォレストエリアの間にあるダム湖を眺められる場所は共有スペースとなっている。ベンチやハンモック、ランタンスタンドが置かれている
自分のチェアを持ち込んで来てもいい。眺めが一番いい場所を共有スペースとするセンスは素敵だと思う
広いのは敷地だけではない。標高300mくらいの山頂付近にあり、ダム湖もあるのでオートリゾートの上空は木がない。ゆえに見上げると空が広いのだ。空気も澄んでいるし、音もなく、そして空が広い。ある意味とても贅沢な環境だ
晴れていれば広い空に星がたくさん見えるはずだったが、あいにくの曇り空でしかも月齢的にも明るい夜だったので星空鑑賞はできなかった
レイクビューエリアから見た施設内の夜景。消灯時間を過ぎるともっと暗くなるが、トイレに行くのに困るほどは暗くならない
N-VANの様子も少し紹介。今回もホンダ純正アクセサリーのテールゲートカーテンを使用して「巣」的なスペースを作った。日差しや風を避けるには本当に便利
日差しを避けたい&風を避けたい面は閉めておく
両サイドをロールアップして、タープ的にも使いたいので背面のカーテンを「張る」工夫をしてみた
強力なクリップの握り部分に穴を開けてロープを通す。そしてクリップでカーテンの端を摘まんでロープにペグを引っかけて地面に打つとタープ的に使うことができた。ロープを長くすればもっと広く展開できる

 という感じで利用してきたオートリゾートは、敷地もスペースも広さがあって設備も十分でどれも清潔感がある。なおかつ昼間でも静かでまわりの風景も開放感があるなど、とても居心地のいいところだった。

 オートリゾート代表の永岡氏は車中泊、オートキャンプの初心者にこそどんどん利用してほしいと言っていたので、車中泊をやってみたいという人は、こちらの施設の利用から車中泊趣味をはじめてみてはどうだろう。

オートリゾートから約1時間のところに「日本三大名瀑」の1つに上げられる「袋田の滝」があるので寄ってきた
しばらく雨が降っていないときに行ったので水量は少なかったが、約120mの高さがある4段の滝は迫力があった
袋田の滝に行く人が利用する無料駐車場の向かいにある「袋田ベース」というタコス屋さん。こじんまりしているがInstagramでは高評価投稿もあるので食べてみた。基本的に土曜と休日の営業
袋田タコスという名称だが、メキシコのタコスをもとに日本人向けの味にしている。よくあるアメリカンタコスとは皮(トルティーヤ)の味から違っていて想像以上に美味しかった
手前が牛肉で奥がチョリソー。辛さの調整ができ、筆者は標準を頼んだが全然いけたので少し辛くしてもよかった。トルティーヤも美味しい。トマトソースはオーナーがメキシコに行って気に入った味をベースに日本のトマトを使うことを前提とした改良を加えた特製。レタスや香草が入る。チーズは入らない。また、メキシコ流のタコスの食べ方も教えてくれる