イベントレポート

ウォルト・ディズニー100周年の公式キャンピングカー現わる! 「ジャパンモビリティショー2023」キャンピングカーエリアに行ってみた

2023年10月28日~11月5日 一般公開

トイファクトリーが出展していたウォルト・ディズニー・カンパニー 創立100周年記念モデル キャンピングカー ©Disney

 日本自動車工業会は、「ジャパンモビリティショー2023」を東京ビッグサイト(江東区)で10月25日~11月5日に開催している。本稿では、東展示場棟1階 8ホール「キャンピングカーエリア」の情報をお伝えする。

 東京モーターショーから名前を変え、自動車メーカーからサプライヤ、自動車業界の幅広い企業が参加する新しいスタイルになったジャパンモビリティショーでは、キャンピングカーの展示エリアも設けている。

ジャパンモビリティショー2023では、日本RV協会が展開するキャンピングカーエリアを東8ホールに設けている
21社が車両を展示

 場所は東京ビッグサイトの東館の海側、東8ホール。東京オリンピック2020大会にあわせて新設された建屋だ。その建屋のワンフロアを使うという大きな規模の展示であり、大型のキャンピングカーから軽キャンパーまで35台を展示しており、内装の見学(クルマによっては乗り込みもOK)できるようになっている。

 その展示車のなかで大いに話題になりそうなのが、「Toy-Factory(トイファクトリー)」が出展しているディズニー仕様のキャンピングカー。

 ベースになっているのはフィアットプロフェッショナルのデュカト1.3H2日本仕様右ハンドル車で、名称は「DA VINCI 6.0〈DISNEY100〉EDITION(ディズニー100周年記念車)」という。

 この車両は米ウォルト・ディズニー・カンパニーからオファーを受けて製作することになったものという、とてもスペシャルなキャンピングカー。もちろんディズニー公式ライセンス商品で、台数は限定5台。12月24日まで抽選申し込みを受け付けている。

 申し込み窓口はジャパンモビリティショー トイファクトリーブース、もしくはトイファクトリー岐阜本店、トイファクトリー湘南店。価格は2023万円~だ。

限定5台のみ販売されるウォルト・ディズニー・カンパニー公式ライセンス商品「DA VINCI 6.0〈DISNEY100〉EDITION」
ベース車はフィアットプロフェッショナルのデュカト。ボディカラーは展示車のメタリックブラックとランサローテグレーの2色。12月24日まで抽選申し込みを受け付けている

 車両はその名のとおりディズニー創立100周年を記念するもので、制作のテーマは「原点、はじまりから100年の歴史」。そのテーマをキャンピングカーという存在に落とし込むためにイメージしたのが「古い映画館」だ。内装に映画フィルムをモチーフにした装飾を採用しており、シート生地は映画館のシートのよう。そしてカーペットも特別にあしらえたものだ。

 また、ドアを開けると黒板にチョークで描いたようなミッキーマウスやミニーマウスが現われ、ファンにとってはこれ以上ないキャンピングカーになっている。

スライドドアを開けるとミッキーマウスのイラストが。古い映画館をモチーフにしたインテリアなので、告知用の黒板にチョークで描いたような仕上げ
フロアマットも特別製。100周年のロゴが入る。おそらくカーペットはもったいなくて踏めないと思うが、カーペットを剥いだフロアは当時のアメリカ風のダークブラウンの木目になっているという芸の細かさ
映画館のシートのようなデザイン。妙中パイル織物製のモケット生地が使われている
セカンドシートも同様の仕上げ。ヘッドレスト部に100周年ロゴが入る。テーブルも特別製。天然無垢のチェリー材にディズニーアートを施す
ベッドルーム。「蒸気船ウィリー」からスタートしたディズニー作品のポジフィルムを公開順にデザインしたアッパーボックス
反対側のアッパーボックスも同様のデザイン
ベッドルーム下のラゲッジスペース。バックドアを開けるとミニーマウスがいる
バックドアにはミッキーマウスのアイコンカバーを装備
各所にミッキーがいる
鏡にもいた

アウトドアレジャースポットにあってほしいトヨタのコンセプトカー

 本エリアにはいろいろなキャンピングカーが展示されているが、そのなかで雰囲気の違う展示車を置いているスペースがあったので、寄ってみるとこちらはトヨタ自動車のブースだった。

 トヨタといえばほかにコンセプトカーなど展示する大きなブースを構えているが、こちらは先進技術を担当する部署が手掛けた、アウトドアレジャーにも合うコンセプトモデルを展示しているのだった。

移動式ミストサウナ(蒸気浴)専用モビリティの「NUKU MARU」。こちらは製作して販売も可能という

 展示車は2台あるので順に紹介していこう。まずは「NUKU MARU」という移動式ミストサウナ(蒸気浴)専用モビリティだ。ベースになっているのはハイエース(スーパーロング・ワイドボディ・ハイルーフ)で、荷室部分に脱衣スペース、洗髪シャワー、ミストサウナルームを設けている。

 説明の方の話によると、ミストサウナは1人あたりの入浴で使用する水の量は約330mLで済み、それでいて体を芯から温める効果と体の汚れを落とす効果があるという。ただ、頭皮と髪の毛を洗うような効果はないので、サウナのあとに洗髪するためのシャワーを別で設けている。

リアのスライドドアを開けると脱衣スペースやシャワー台が見える
「NUKU MARU」はさまざまなシーンで活用できる

 このクルマの用途は広く、例えば介護や医療の現場でも活躍できるし、水の使用料が少ないので災害時にも重宝するが、説明の方によるとそうした使い方だけでなくキャンプ場やRVパークなど、入浴を必要とするようなレジャースポットでの稼動も期待しているとのことだった。

 ただ、トヨタにはNUKU MARUをサービスとして稼動させる部署はないので、事業者や自治体に販売(もしくは所有車両を架装)する形になるが、キャンプ場などではサウナ室を設けるところも増えているのでNUKU MARUの需要はありそう。また、サーフィンやSUPなど、冬でも水に入るレジャーの現場で人気が出そうだ。

奥に見えるのがミストサウナルーム
1人あたりの入浴で使う水の量は約330mLと少量だが、これで十分暖まり、肌も清潔にできるという
バックドアを開けると設備がある
使用する水の量が少ないのでも水のタンクは小さく済む。水の入手が困難な場所でも多くに人が利用できる

移動できるくつろぎ空間を持つ「JUNO」

 次はシエンタをベースにした「JUNO」というコンセプトカー。こちらは「居心地をデザインする」というテーマで作られていて、シエンタの2列目以降のシートを外して新たにフロアを製作。そしてフロアや内張には家具モジュールをワンタッチで固定できる(外すのもワンタッチ)ナットホールを設けている。

居心地をデザインするコンセプトカー「JUNO」
こちらの車両は会場で家具モジュールの組み替え例など見学できる

 内装モジュールを容易にレイアウトできる機能を使うことで、ソファでゆったりの空間やリモートワークができるオフィス的なスペースなど、そのときに必要な居住空間を車内に作り出すことができる。もちろん車中泊できるベッドスペースにすることも可能だ。

 キャンピングカーほどおおげさではなく、市販モデルよりも居心地がよく、部屋としての用途も広いこのJUNO。例えば、海がきれいに見えるところ、気持ちのいい高原、山のなかなど、リラックスできる場所まででかけて「いい場所」にクルマを駐めたら、お茶を入れて大人買いしたマンガを読む。そんなのんびりしたミニ旅行を楽しむためのモビリティとして登場すると、休日の過ごし方が変わるかもしれない。そんなイメージの浮かぶ1台だった。

「JUNO」の部屋。ソファを展開するモード
家具モジュールは積み重ねもできるので、例えば座面を上げるということも可能
室内長があるので車中泊仕様もできる
段差の部分は「イス」して使っているモジュールを入れることでフラットにできる
モジュールについている「ツメ」を差し込みスライドさせることで固定する

ジャストサイズキャンピングカーの見つけ方

 キャンピングカーの主流と言えばハイエースだが、現在は受注停止になっているので(それなりに長い期間になっている)、ハイエースベースのキャンピングカーはバックオーダーが溜まりまくっていて、納期が非常に長くなっている。

 そんなこともあり、夫婦での利用やソロでの利用を考えている人から注目を集めるのが小型バンや軽バンをベースにするキャンピングカー。取り回しがしやすいサイズであり、維持費も大型のキャンピングカーより手頃な点も人気のポイントだ。

 今回の会場では少数派だったが、そうしたコンパクトなキャンピングカーがあったので紹介しよう。

21社が出展し、大型のキャンピングカーやトラックにキャビンを乗せたモデルなどさまざまなタイプのキャンピングカーが展示されているので、どんな種類があるのかを見るのも楽しいだろう

 ピックアップしたのは「タウンエースバン キャンパーアルトピアーノ」と「ピクシスバン キャンパーアルトピアーノミニ」で、これらはナッツRVが製作してトヨタ車販売店で販売する車両だ。

 キャンパーアルトピアーノは乗車定員5名。就寝定員2名。標準仕様はベッド展開できるシート、テーブル、天井LED照明、コーナーテーブル、収納、網戸などで、オプションとしてサブバッテリーを搭載可能な基本電源ユニット、冷蔵庫、窓用換気扇、シャワー付きシンクなどがある。

 就寝定員は2名でタウンエースバンの車室幅なら並んで寝てもそれほど窮屈な感じはないだろう。また、シートやテーブル、そして居室の構造フレームなどは品質の高いものを使っているので、所有する満足感も高い。

「タウンエースバン キャンパーアルトピアーノ」。乗車定員5名、就寝定員2名
2名で出かけるキャンプなら十分な室内スペース
車室内向がある程度あるので床下の収納スペースもある

 こちらはピクシス(ダイハツOEM車)の「ピクシスバン キャンパーアルトピアーノミニ」。キャンピングカーというより車中泊仕様車という性格で、乗車定員は4名で就寝定員は2名。

 ただ、軽自動車ということで客観的にみると大人2人での就寝は少々窮屈だろう。大人1人か子供と一緒、もしくはペットと出かけるなどの用途に合いそうだ。装備はキャンパーアルトとほぼ同じで使うアイテム、素材も同じなので質感は高い。

「ピクシスバン キャンパーアルトピアーノミニ」。ダイハツのハイゼットと同じ「ピクシス」がベース
キャンパーアルトとそっくりの室内
コーナーにキャビネットがあるので横幅が犠牲になっている。大人2人が並んで寝るのはぎりぎり
こちらがタウンエースバンベースのキャンパーアルトの床下。小型キャンパーでは荷物の置き場があるかがとても重要なので、2人で使う、連泊をするという場合は普通車サイズの方が便利
ピクシスベースのキャンパーアルトミニ。床下の高さがない。ソロでの利用なら問題ないと思うが2人だと季節や泊数によっては不便を感じるかもしれないので、迷ったらキャンパーアルトを選ぶ方がいいかも。サイズもコンパクトだし、維持費も安い
会期2日目には、日本RV協会 荒木賢治会長によるカンファレンスもあった
カンファレンスでは日本のキャンピングカー業界の状況など解説した
キャンピングカー、車中泊ユーザーに向けた施設「RVパーク」も紹介
RVパークの利用を便利にするための施設検索・予約サイトの「rv-park.jp
2024年2月2日から開催する「ジャパンキャンピングカーショー」。開場は千葉県の幕張メッセだ