ハワイ現地発

【ハワイ現地発】最新&お勧めローカルビールから、アメリカ、ヨーロッパの定番まで。ハワイ在住編集者のビール日記

 ハワイも秋らしく朝晩は涼しさを感じるようになってきた。日差し、海や空の色、風も変わっている。変わらないのはどんな季節であってもビールが美味しいということ!

 毎年恒例のビール日記も4年目。この10か月を振り返って、印象に残った&リピ買いしたビールを選りすぐってみた。なお、現在ハワイのスーパーマーケットでの価格は355mLの6本入りで13ドル~17ドルくらい。セールをすることも多いのでチェックしてから品定めをしよう。

 まずはハワイ発のビールから。

リリコイ・ケア/ウィットビール(コナブリューイング・ハワイ州)

一口目にリリコイのジューシーな香りと甘酸っぱさを感じる

 アルコール度数5.4%、IBU(苦味)10。いつものように地元スーパーのフードランドでビール売り場を通りかかった際、目に飛び込んできたのが9月に発売されたばかりのこのビール。夏に5年ぶりにカウアイ島を訪れ、大感動した南国独特の壮大な自然がそのまま缶のパッケージデザインになっていた。描かれていたのはナ・パリ・コーストを背景にカヌーを漕ぐレース「ナ・パリ・チャレンジ」。

 味わいは、ハワイの恵みであるリリコイ果汁入りで、白ビールらしく爽やか、ほんの少しスパイスが香り、フルーティ。夕方の明るい時間にグビグビいくとたまらない1本。季節限定!

ポイントパニック/ペールエール(ホノルルビアワークス・ハワイ州)

濃過ぎずたっぷりな味わいを楽しませてくれる
缶のパッケージデザインがにほれてパケ買いした

 アルコール度数5.6%、IBU38。常に新たな味を作ってローカルを喜ばせてくれるホノルルビアワークスの定番の味の一つ。ホップの香り豊かなペールエールで、柑橘系の爽やかな香りとほろ苦さのバランスが絶妙。IPAほど重くなく軽快でありつつ飲みごたえがある。ラベルはステッカータイプなので、ぜひはがしてウォーターボトルやスーツケースに貼り付けよう。

メリ・ブロンドエール with ハワイアンハニー(ホノルルビアワークス&フードランド・ハワイ州)

ほのかにハチミツを感じさせるハワイらしい味わい
ゴールドに輝くハニー色の液体

 アルコール度数5.0%。ハワイ島のレフアの花のハチミツを使ったやわらかな甘みが特徴のブロンドエール。ほんのり花の香りが漂い、軽やかな飲み口で、ハワイらしさを感じる味わい。実は、ブリュワリーとスーパーマーケットとのコラボはあまり期待できないと思っていたのだが、6本10.99ドルのセール価格で手に取って以来、ストックが欠かせなくなった。食事のジャマもしない素晴らしいバランス。

ファイアーロック/ペールエール(コナブリューイング・ハワイ州)

スッキリした苦味とトロピカルな味を満喫できる
赤身の強い色みで風味豊かな味

 アルコール度数5.5%、IBU38。今も噴火を繰り返すハワイ島のキラウエア火山が描かれた缶デザイン。ビールもやや赤みがかった銅色で、トロピカルフルーツとロースト麦芽の風味が重なり、すっきりとした苦味がある。それでいて飲みやすい。個人的に数年前の「IPAラブ」時代から「ペールエール」ブームになっているが、IPA好きの人でももの足りなさを感じさせないクラフトビール。

DIYポーター(カリヒビア・ハワイ州)

カリヒ初のユニークな1本。475mlのやや大きいサイズ

 アルコール度数5.2%、IBU31。思わずクスッとしてしまう素朴なラベルからもローカル色があふれているが、ホノルルのなかでもディープなエリアとして知られるカリヒ地区発のビール。チョコレートやコーヒーを思わせるロースト感が心地よいポーター。後味は意外にドライ。

ゴールデン・サバス(ビッグアイランドブリュハウス・ハワイ州)

ABV8.5%の強さだが素晴らしいバランスの1本

 アルコール度数8.5%、IBU45。趣味で作るほどのビール好きが高じてブリュワリーをオープンさせたというビッグアイランド・ブリュハウス。このベルギースタイルビールは、強いアルコール感がハワイのハチミツとドライフルーツのような甘みによって整えられている。深い味わいがたまらなかった! ビアフェスティバルでも賞を獲得した優秀な逸品。

カリクリーミン/バニラクリームエール(マザーアース・カリフォルニア州)

甘い香りと味わい。とはいえ甘ったるいわけではない

 アルコール度数5.0%、IBU18。カリフォルニアらしい缶のデザイン。バニラビーンズを使ったクリームエールで、デザートのような甘い香りが漂う。ライトボディで口当たりはなめらか。苦いビールが苦手な人にも好まれそう。食前や食後にドライフルーツやナッツと一緒に飲んでほしい。家族経営の小規模のブリュワリーらしくハワイではあまり見かけないので、見つけたら即買いを。我が家も買い占めてしまった……。

オクトーバーフェスト(サミュエルアダムス・マサチューセッツ州)

秋になると飲みたくなる、コクのあるビール

 アルコール度数5.3%、IBU16。今の季節にぴったりで秋の訪れを感じられるビールといえばこれ。秋の祭典を象徴するメルツェンスタイルで、カラメルモルトの甘みと香ばしさが際立つ。柔らかな苦味とコクが調和し、季節感あふれる一杯としてアメリカでも人気が高い。

コロナファミリア(モデーロ・メキシコ)

いつものコロナビールと何かが違う?と思いながら飲むビール

 アルコール度数4.8%、IBU18。世界的に知られるコロナだが、このボトルを見たときにコロナの黒ビールバージョンだ!と喜び勇んで購入。注いでみると液体の色はゴールドに限りなく近く「あれ?」。調べてみると、ややモルトの風味が強く、穀物と柑橘の香りがするのだとか。一般的なコロナ(エクストラ)のアルコール度数は4.5%なので若干違う?と思いながら、ライムをキュッと絞って(一層違いが分かりづらくなるけど)飲んでみてほしい。

オーガニックチョコレートスタウト(サミュエルスミス・イングランド)

オーガニックチョコレートモルトのマジックにノックアウトされた

 もしあなたがスタウト好きならなんとか手に入れてほしい。アルコール度数5.0%。1758年創業という英国伝統のブリュワリーが造るスタウト。ゆっくり焙煎されたオーガニックチョコレートモルトとオーガニックココアが、なめらかでクリーミーに溶け合って深い風味を醸し出す。低めのアルコール度数でこの味の深みが出るなんて感動した1本だった。いつか本場で飲んでみたい!

プレミアムヴァイスビア(フランツィスカーナー・ドイツ)

ミュンヘンのビールをハワイで飲んで気候的にどうだろう?と思うが、間違いなくグッドだった

 アルコール度数5.0%、IBU12。かつてプロスポーツ選手だったローカルの友人が「ドイツに試合に行ったときに飲んでから大好きになったんだ!」と言って、ハワイの酒店で探してきてくれたのがこれ。1363年創業の名ブリュワリーによるヨーロッパならではの歴史を味わうことができる。小麦の芳醇な香りとバナナやクローブを思わせる酵母の風味が広がるヴァイスビア。濁りがあるので、途中で少し振ってから注ぎ足すのがポイント。ノンアルコールタイプも販売されていて、それも十分美味しいらしい。

シメイ グランドリザーブ(スクールモン修道院・ベルギー)

赤・白・ゴールドなどラベルの色が数種類あるなかで人気の高いブルーラベル
ハワイでは通常18ドル前後で販売されるが、コストコで9.99ドルで売られた

 アルコール度数9%。シメイにあるスクールモン修道院で造られるトラピストビール。ブルーラベルは1948年にクリスマスビールとして誕生したが、あまりにも好評だったため通年生産されるようになったとか。チョコレートのようなコクと優しい苦味、フルーティーでスパイシー。香り高い高級なビールだが、なんとコストコで750mLが9.99ドルで販売している。すでにビール好きの仲間同士で「買うべし!」との連絡が飛び交ったので、あっという間に売り切れてしまうかもしれないが……。

この一杯のために、日々頑張っていると言っても過言ではない

 夏はレモンを絞って喉越しで味わうビールが最高だが、これからの季節はゆっくりと味わいながら飲めるようなビールが恋しくなる。ハワイのクラフトビールも続々と新たな味を作っているので、せっせと試してみなくては。ビールの味は健康のバロメーターなので、引き続き、ヘルシー&たのしービアライフを!

大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。