旅レポ

まだ見ぬハワイに会いに行こう! カウアイ島の水路を滑るチューブアドベンチャー

 ハワイのネイバーアイランドを楽しむ旅。ハワイリピーターもさることながら、「ハワイ=リゾート地」のイメージしかない人にお勧めしたいのが、ハワイ諸島最古の島「カウアイ」だ。ハワイの原風景が残るこの島だけが持つ表情がある。

 ハワイ諸島は太平洋プレートに乗って毎年約6~8cmずつ北西(日本の方角)に向かって移動しているが、その先頭の最北にあるのがカウアイ島で、500~600万年前に火山活動によって形成された。島の中央にそびえるワイアレアレ山に降る雨の量は世界最多、緑が生い茂るこの島は「ガーデンアイランド」と呼ばれている。

ポリネシア人がハワイ諸島で最初に定住したのは、カウアイ島だった
太平洋のグランドキャニオンと呼ばれるワイメア・キャニオンなど独特の自然を持つ

 オアフ島から飛行機で40分弱で行ける魅惑の島での第1弾は、決してほかでは体験できないウォーター・チュービング・アクティビティを紹介しよう。

 19世紀後半から20世紀にかけてハワイ経済の中心となったのはサトウキビ産業。それはカウアイ島から始まった。このアクティビティは、1870年ごろにリフエ・プランテーションというサトウキビ農園の灌漑のために作られた水路と5つのトンネルのなかを延々とチューブ(浮き輪)に乗って下っていくというもの。

 集合場所は、リフエ空港からクルマで約6分。広大な駐車場にクルマを停めて建物のなかへ入ると、正面に受付カウンターがある。参加には足を固定できるウォーターシューズが必要だが、ない場合は5ドルでレンタルできる。受付をすませたら、奥にあるテーブル席でくつろいで待とう。更衣室やトイレもこのなかに完備されている。

リフエにある施設に集合し、ここからトロリーに乗って移動する
建物内に入ったら、まっすぐ進んで正面にあるカウンターで受付を
ウォーターシューズやウェットスーツを借りることもできる
施設内には清潔で広いテーブル、トイレ、更衣室が完備されている

 待ち時間に、サトウキビ産業時代の写真の展示を見てみるのもよいだろう。その横ではアクティビティ中に撮影される記念写真を買うこともできる(1枚19.99ドル、アルバム39.99ドル)。なお、スマホを水路に落とす人が多いため、スマホを持って参加することはオススメできないとの案内があった。

ハワイに移民がやってきた理由や労働の様子が紹介されている
アクティビティ参加時の写真を自分で選んで購入できる

 出発時間の少し前になると呼ばれるので、そこで準備開始。ヘルメットと手袋を渡され、ヘルメットの被り方などを丁寧に教えてくれる。

アドベンチャーの必需品となるヘルメットとヘッドライト、手袋
うまくかぶれなくても大丈夫。ちゃんとサポートしてくれる
準備が整ったら、撮影スポットで1枚撮っておこう
水路のコース。全長は2.6マイル(約4kmの距離)

 準備万端! 四輪駆動のトロリーに乗り込んで1万7000エーカーを有する旧リフエ・プランテーションの敷地へ向かって出発。島の奥深くに広がる手つかずの自然のなかをドライブする。

トロリーに乗り込む
原風景が残る島の内陸に向けて出発

 今回の担当ガイドはローカルボーイのノアさん。面倒見がよく、サービス精神旺盛の彼は、車内でツアー客に対して笑いを交えながら、この土地の歴史について話してくれた。このアクティビティで使われる水路とトンネルは、100年以上前にプランテーション労働者たちが手作業で掘って築いたもの。2000年にサトウキビの生産が終了して以来使用されていなかったが、2003年にその一部をチュービングツアー用に開放することになったのだとか。

私有地のため、このツアーに参加しないと入ることができない土地のなかを走る
木々の合間を抜け、山々の景色と一緒に、ガイドのノアさんの話を楽しむ参加者たち

 途中、絶景スポットで記念撮影タイムも。目の前の神々しい山はワイアレアレ山で、降雨量の多いこの山頂から水路に水が流れてくるという。

ワイアレアレ山。自然の威力に圧倒されるだろう
神秘的な景観を背景におのおので記念写真の撮影タイム

 約30分のドライブを楽しんで出発地点へ到着。ここで貴重品やスマホなどを預けることができる。チューブには身一つで乗ること。サングラスを含め、水路に落ちると探すのは困難なので、すべてを預けるのが安心だ。荷物は担当者が管理して最終地点へ運んでくれる。

 注意点は以下のとおり。

1. 時計、財布、タオルなどの個人の持ち物はすすべて置いてきてください。
2. チューブには、リクライニングチェアに座るような姿勢で座ってください(膝は少し曲げる)。
3. 終了地点まで、チューブに座ったままでいてください。
4. ツアー中に使用される以下の合図に事前に慣れておいてください。
 a. ヘッドライトのON/OFF(練習あり)
 b. トンネル内での右折・左折の合図
 c. トンネル内では「ひじを内側に」「足首を交差」
 d. 岩にぶつからないよう「お尻を持ち上げて(バッツ・アップ!)」
5. 手でこぐ行為は、腕に擦り傷ができる原因になるためなるべく控えてください。
6. 手をつないだり、ほかの人のチューブとつなぐことは禁止です。
7. トンネル内では大声で叫んだり、チューブを叩いたりしないでください。
8. 万が一チューブから落ちても、水深は最深でも約90cm程度なので、その場で立ち上がってください。
9. 2つ目のトンネルを通過したあとは、希望すれば途中退出も可能です。ガイドにお知らせください。
10. ツアー中に助けが必要な場合は、遠慮なくガイドに伝えてください。

貴重品や着替え、タオルなどはボックスに入れて預かってもらう
チューブに乗る前に、注意事項10項目の説明を聞く
ヘッドライトの点灯のオンとオフをみんなで練習する(つまみを回すだけ)
水路に浮かぶチューブに順番に乗り込む。チューブの安定感は抜群だった

 注意事項を聞いていると少し心配になるかもしれないが、基本的に5歳以上が参加できることからも、難易度は高くない。水深も立ち上がれるほどの深さで、逆に浅いところがあるため「お尻を持ち上げて!(バッツ・アップ!)」と言われたらそれに従おう。勝手な行動をとらなければ危険なことはなく、ガイドも複数人付いているので、困ったときは知らせよう。

 順番にチューブに乗せてくれて、全員が揃ったら一斉にスタートする。全長約4kmの水路を5つのトンネルを通りながら下っていく。

チューブに乗っていよいよスタート!
豊かな緑のなかの水路。手作業で作られたという
トンネルのなかは真っ暗なので、指示どおりにライトをONに
記念撮影のために、全員が揃ってストップ

 トンネルにはそれぞれに特徴があり、長さや広さもさまざま。落差があってスリルを楽しめるポイントもある。青々とした草木に囲まれた水路と神秘的なトンネル内は静寂な空間で別世界にいるような気持ちになった。あるトンネルのなかでは、ガイドのノアさんが「みんな! 怖い話は好き? ちょっとヘッドライトを消してみて」などと言って参加者を怖がらせたり、「トンネル内の泥は肌にいいから、顔に付けてみて! 明日肌がツルツルになるはず」と教えてくれて、皆が指で泥をすくい取って顔に塗って泥パックをしたり……。あっという間の4kmだった。

落差によりスピードが上がる瞬間!(ガイドのノアさん。ガイドなので特別な乗り方)
水のせせらぎ、緑の香り、ひんやりした水の気持ちよさは、海と違った魅力があった

 たっぷりチューブアドベンチャーを楽しんだあとは、自然の水路が堰き止められた天然のプールがゴール。チューブから降りて遊んでもよし、ぷかぷかと浮いて涼んでもよし。

 こうして水遊びを終えたころには空腹に。そこでピクニックエリアでランチが待っている。クロワッサンに好きな具材を挟んで、頬張るサンドイッチの味はいうまでもなく、格別だった。

シンプルなクロワッサンサンドだが、自然のなかで味わうと美味しい
ランチタイムを過ごすピクニックエリア。トイレも設置されている

 豊かな水を山から通した水路に身を任せて流れながら、カウアイ島の自然と歴史を五感で体感する唯一無二の冒険。「旅のハイライトになった!」と、戻ってくる人もいるという。「今度は家族を、友人を連れて来よう!」と思える3時間のアドベンチャーは、青い空と海というイメージとはまた異なったハワイの顔に触れることができる。

のびのびと暮らす野生の動物たちも見ることができる

カウアイ・バックカントリー・アドベンチャーズ「マウンテン・チュービング・アドンベンチャー」

所在地: 3-4131 Kuhio Highway, Lihue, HI
所要時間: 3時間
料金: 156ドル
対象年齢: 5歳以上
身長制限: 身長110cm以上
体重制限: 最大136kgまで
主な参加制限:
・チェックイン時に全参加者の体重を測定。体重が300ポンド(約136kg)を超えると参加不可
・16歳未満は大人の同伴が必要
含まれるもの: ランチと冷たい水
天候について: 悪天候での中止を除き、雨天でも催行
持ち物:
・足をしっかり固定できるウォーターシューズ必須(※レンタルあり)
・水に濡れてもよい服装または水着
・タオルと着替え
・リーフセーフの(サンゴに優しい)日焼け止め
・帽子(推奨、体験中はヘルメットを着用)
・虫除けスプレー(推奨)
ツアーに含まれる持ち物:
・ヘルメット
・ヘッドライトと手袋
・チューブ
・ランチと水(ツアー開始から約2時間後に提供)
・手指用消毒液
Webサイト: カウアイ・バックカントリー・アドベンチャーズ

大澤陽子

ハワイで発行している生活情報誌「ライトハウスハワイ」編集長。日本ではラジオアナウンサー、ライターとエディターとして活動。2012年にハワイへ移住。新聞やハワイのガイド本などの編集に携わる。ハワイのビーチとビールをこよなく愛している。