ハワイ現地発
【ハワイ現地発】2022年ハワイのローカルビールを総括! 家飲みクラフトビール10選
2022年12月30日 12:00
アメリカ人が1年で一番盛り上がるホリデーシーズンのクライマックスを迎えたハワイ。パンデミック前と比較すると、米本土からの旅行者数が114%となった今年、2022年の年末も多くの観光客でにぎわっている。
そのおかげでコロナ禍で落ち込んだハワイの経済も盛り返してきている。ハワイに暮らす者としても、地元の経済活性化に協力したい!という本音と言いわけ半々で、今年もせっせと買って家飲みしたのがローカルビール。
フルーツやコーヒーなどハワイの恵みを巧みに取り入れたフルーティなタイプからガツンとくるIPA(インディアペールエール)まで、ハワイで作られたビールは独特の魅力がある。ボトルや缶に描かれたデザインは、ハワイならではのストーリーが詰まったアートになっているので、ラベル買いするのも楽しみの一つ。
そんなビールを称え、「今日もお疲れ!」と自分をねぎらい、美味しく飲んだビールをブリュワリーとともに振り返る。ビールを飲まない方はごめんなさい!(ラベルデザインだけでも楽しんで)
1. スキニージーンズIPA(ワイキキブリューイング)
2015年にワイキキにオープンしたブリュワリー。その名のとおりワイキキに醸造所を持ち、店に行けばワイキキにいながらにしてフレッシュなビールを飲める。今ではマウイ島も含め4店舗に展開し、全米でビアチャンピオンを獲得するなどクオリティもお墨付きだ。
ここを代表するIPAが「スキニージーンズIPA」。アルコール度数は6%、苦味を表わすIBUの数値は56。ホップが強いIPAらしく結構苦い。そしてガツンとくる。でも、ここがハワイらしいのだが、ほのかにトロピカルな風がフワッと鼻に抜ける。IPA好きのローカルの友人は「クセになるんだよねぇ」と言いながら買い続けているが、我が家もセールを狙って購入している。
2. キアヴェバニラポーター(オラブリュー)
ハワイ島のコナとヒロを基盤としたブリュワリー。地元の農業をサポートするというミッションに徹し、小さな農家で生産された柑橘系果物やドラゴンフルーツ、マンゴー、ココナツ、ライチ、パイナップル、マカダミアナッツ、バニラビーンズ、カカオニブなどを使ってビールを作っている。
ハワイの自然の贈り物が詰まっているのが「キアヴェバニラポーター」(写真左)。バニラとナッツとキャラメル、チョコレートのような甘くてコクのあるフレーバーにキアヴェ(木)のほんのりスモーキーな香りを楽しめる。アルコール度数は6.8%で意外と高い。甘い誘惑についつい飲み過ぎてしまうので注意を。
3. パイプライン(コナブリューイングカンパニー)
1994年にハワイ島カイルアコナで開業したブリューイング。ゲッコー(幸運を呼ぶ守り神)のロゴは、ハワイのビールが好きな人なら一度は見たことがあるだろう。ボトルや缶のデザインに加え、キャップの裏にもハワイ語や「CHEERS」などの文字が書かれていて飲むたびに幸せになるアロハなブリューイング。
ハワイに来て間もないころに勧められたのが「パイプライン」だった。ハワイが誇るコナコーヒーが入っていて、その香りと苦味をビールとして楽しめる。それ以来、店に行くと必ずオーダーしている。期間限定で缶でも販売されるようになってからは、大人買いが欠かせなくなった。アルコール度数は5.3%。
4. ハナレイ(コナブリューイングカンパニー)
もう一つ、コナブリューイングカンパニーで、特に今年の夏にケース買いして飲んだのが、カウアイ島北部にあるリゾート地ハナレイにストーリーを持つ「ハナレイ」。パッションフルーツ、オレンジ、グアバというトロピカルフレーバーが体に染みわたるアイランドIPA。IPAでありながらアルコール度数が4.5%と低いのを理由に、バケーション中に昼間からクイっといってしまったビール。
5. ココナツヒワポーター(マウイブリューイングカンパニー)
ハワイの金曜日は特別で、朝からテレビのニュース番組でもどこでも「Happy Aloha Friday!」と声を掛け合う。週末を前にみんなウキウキ。仕事のメールも金曜午後に送ると返信はない……。そんな金曜日の小さなお楽しみで「金曜日のビール」として飲んでいるのが「ココナツヒワポーター」。グラスに注ぐと、トーストしたココナツの甘く香ばしい香りを感じ、一口飲むと「楽園ハワイに来た」とニンマリしてしまうポーター。
以前取材をしたこともあるマウイブリューイングカンパニー。サステナブルに力を入れ、太陽光発電を活用してビールを醸造し、できる限り地元産の食材を使っている。醸造の過程で出る麦芽粕は畜産農家へ餌として寄付し、そこから畜産を仕入れてレストランで提供すると話してくれた。
6. パイナップルマナ(マウイブリューイングカンパニー)
上の「ココナツヒワ」の右に黄金に輝いているのが「パイナップルマナ」。酸味が少なくジューシーな甘さのマウイゴールドというパイナップルで作られたビール。パイナップルとビールの相性が絶妙で、トロピカル気分に浸れるはず。明るい日差しの下で飲むのがオススメ。
7. モクインペリアルIPA(ラニカイブリューイングカンパニー)
カイルアに店舗がオープンした際に取材で行ったラニカイブリューイングカンパニーは、開業当初から地元愛にあふれていた。醸造所を見学中、ゴミを極力出さないように工夫し、地元農家と連携して持続可能で最高の品質のビールを作っていることを熱く語ってくれた。そのビールは個性豊かで、ピカケやハイビスカスなどの花や、ウコンなどユニークなハワイの素材を使ったビールを提供している。
花を入れたIPAということに惹かれて飲んだのが、ピカケの花を使った「モクインペリアルIPA」。マンゴー、グレープフルーツを感じ、ふんわり甘い花の香りがして五感で楽しみながら味わえる。実はホップの苦味がしっかり出ているのでIPAが好きな人に試してもらいたい。
8. ピルボックスポーター(ラニカイブリューイングカンパニー)
ラニカイブリューイングカンパニーで、一番リピートしているのが「ピルボックスポーター」。2021年にはハワイのクラフトビールで金賞に輝いたポーターだ。ラベルに描かれているのは、絶景ポイントとされるラニカイ・ピルボックスで、コンクリートの防御陣地(ピルボックス)のデザインが印象深い。
味わいは、チョコレートとキャラメルのフレーバーを感じさせ、フワッとしたバニラの香りと見事に調和されている。スパイシーなハワイのバニラと、ベリー系の甘い香りのタヒチ産バニラを混ぜているという。とはいえ、アルコール度数は6.5%なので、それなりに強くて、飲みごたえもある。
9. エル・グアポ(ホノルルビアワークス)
2014年にカカアコに醸造所とパブをオープンして以来人気のホノルルビアワークス。缶のデザインが独創的で、目と舌を楽しませてくれる。
スーパーマーケットで缶を見かけたときに「アガベ、ライム、パクチー」と書かれているので「どんな味なんだろう?」と買ってみたのがこちら。最初に飲んだときは、ビールっぽくないというか、苦味と爽やかさが捉えどころがなく不思議な味に感じられた。2本目は、スポーツでたっぷり汗をかいたあとに冷蔵庫でキンキンに冷やして飲んでみたら、ビンゴ! スッキリさっぱり切れ味がいい。この夏によく飲んだビールの一つ。
10. ラハイナヘイズIPA(コハラブリュワリー)
マウイ島ラハイナに醸造所を持ち地元に根付いているコハラブリュワリー。コハラとは、ハワイ語でクジラのこと。冬はラハイナ沖にザトウクジラを見られるが、この缶の「KOHOLA」の背景にクジラの尾が描かれている。
「ラハイナヘイズIPA」は液体が濁ったヘイジーIPAでとがった苦味がない。シトラスが華やかに香るジューシーなIPA。もしIPA初体験でハワイ好きの人ならこの1本から始めてみるのもいいかもしれない。
今年、家飲みしたビールのなかから選んだ10種。どれも飲んでいて楽しいビールを集めてみた。といいつつ、2022年の幕開けは、ハワイで作られた日本酒ではじまった。アイランダー酒ブリュワリーの寅年を祝って作られた日本酒はフレッシュだった。ハワイにこれほどクオリティの高い酒があることに感動した1本。彼らは2023年の卯年にどんな日本酒を出すのかもひそかに楽しみにしている。
2023年も、ハワイで生活情報誌を発行する編集者として、そして、住むほどにハワイに魅了されているハワイラバーとして、現地からハワイが持つさまざまな表情をお届けしたいと思っています。よいお年を!
Happy Holidays with Warmest ALOHA!