ボーカリスト琴音の音楽旅

外出禁止令前のブエノスアイレスでタンゴコンサートにサンテルモ市場と大満喫

今回もブエノスアイレス旅行記です

 3月20日から外出禁止令が出されたアルゼンチン。スーパーや薬局のみの営業、外での買い物も生活必需品のみという厳しい措置が取られました。私は今回ブエノスアイレスがまだ通常の生活を送っていた2月に到着したので(関連記事「3度目のアルゼンチン・ブエノスアイレス! 語学学校に入学しました」)、外出禁止令前にお出掛けしたところをご紹介します。

 今回の留学の目的は、語学もありますがメインはこちらでのタンゴ音楽修行。タンゴ音楽修行のためにスペイン語が必要なので、スペイン語の勉強をしています。観光客の多いところでは、多少の英語は通じますが基本的にはスペイン語しか通じないのがブエノスアイレスです。

Centro Cultural Kirchnerの外観。以前は郵便局として、今はキルヒナー文化センターとして使われています
内部もとっても素敵
出演者が女性だけのタンゴコンサート

 友人のタンゴギタリストが「こんな無料コンサートが3月5日に行なわれるよ」と教えてくれました。Centro Cultural Kirchnerというブエノスアイレス市の文化センターで行なわれる、出演者が女性だけのタンゴコンサートです。

 事前にWeb予約ができたみたいですが、私は当日カウンターでチケットを入手しました。「こんなに立派な会場で本当に無料?」と思いましたが、ちゃんと無料でチケットをいただくことができました。

 文化センターらしくアート本の販売なども行なわれていました。建物自体がとっても素敵で、コンサートホールもとても豪華! この日は11人の女性歌手、そしてタンゴオルケスタとの共演です。現代のタンゴ歌姫たちの歌声を、1度に聴くことができるのです。タンゴギタリストの友人が私に勧めてくれた理由がよく分かりました。オルケスタの演奏も素晴らしく、歌い手さんもベテランから若者まで、さまざまな世代の歌を楽しめました。

 タンゴはもともと、アルゼンチンの歴史背景から男性優位の傾向が強いそうです。よって、このような女性だけで行なわれるタンゴのコンサートはとても革新的で、「タンゴの新たな時代の幕開け」と言ってもいいのかもしれません。

 11人も歌手が出演していると、すぐにお気に入りの歌手が数人できました。たまたまこの翌日に、気になった歌い手さんが私のお気に入りのライブハウスでライブをしているというので、すぐに聴きに行きました。このときの私は、どなたかに歌を習おうと思っていましたが、その後の外出禁止令で直接習うのは不可能になってしまいました。

タンゴライブハウス「Torquato Tasso」。この日はリディア・ボルダさんの歌を聴きにいきました

 3度目のブエノスアイレスですが、今回は1年間日本でスペイン語を勉強してからの訪問なので、少しローカルなペルー料理屋さんで外食にチャレンジしました。友人に教えてもらいましたが、観光客の多いエリアのレストランとローカルなレストランではかなり値段が違うそうです。

 確かに、この日訪れた「Chan Chan」はリーズナブルでした。ホステルでの自炊も楽しかったのですが、たまに自分以外の人の料理を食べたくなってここに来たのです。なので、どんな味か想像できない料理を頼んでみました。店員さんに「魚とお米が食べたい」とスペイン語で伝えました。

 やがてテーブルに現われた料理は一見カレーのようですが、スパイスの香りはほとんどせず、クリーミーな魚介煮込みでした。量も日本人の感覚からすると多めで約680円。食べきれなくて半分はお持ち帰りしました。Chan Chanはスペイン語メニュー、スペイン語対応スタッフのみです。

ペルー料理店の「Chan Chan」
クリーミーな魚介煮込み。優しい味でした

 次の外食は、スペイン語の先生が教えてくれた韓国料理店へ。こちらは中心街にあり、観光客も多いエリアです。買い物天国のフロリダ通りからすぐそばのため、旅行でも使いやすいと思います。アジアっぽいものが食べたかったため、プルコギ&ライスを頼みました。キムチも本格的でとても美味しかったです。こちらは約900円ほどでした。英語のできるスタッフもいます。

韓国料理店「Mr.Ho」。プルコギもキムチも美味しい

 このころはまだスペイン語のレッスンも教室で行なえたので、パレルモ地区のスペイン語教室でロンドンのお土産を先生に渡しました。とても喜んでくれてこちらもうれしかったです。約1年オンラインでのレッスンが続いていたので、先生と直接会えたときは、抱き合って喜びました。

 今回は滞在先はいろんなところに泊まろうと思っていて、2番目に泊まったのはフロリダ通りに面している「Hostel Suites Florida」です。こちらは、前回泊まっていたレコレータの「Santino Hi Recoleta」と違って、たくさんの旅行者が宿泊していました。

 かなりの人数が宿泊していますが、キッチンは受付フロアの1つのみです。インターネットがつながりづらかったのが少々難ありと感じました。エアコンの効きもよくなかったです。ただ、私の滞在は夏から秋にかけてだったので特に気になりませんでした。フロリダ通りの1番盛り上がっているエリアにあるので、観光にはとても便利だと思います。

パレルモソーホー地区の公園
語学教室「Ayres de español」にて
「Hostel Suites Florida」はとても便利な立地にあります

 前回、滞在はパレルモ地区だったので散策するのもパレルモ地区が中心でしたが、今回はサンテルモ地区を散策してみました。サンテルモには大きな市場があると聞いていましたが、歩いてる途中でサンテルモ市場を発見し、入ってみました。

 すると生鮮食品から骨董品、おしゃれなバーまで至れり尽くせり、何でもありの素晴らしい空間でした。屋根付きなので雨の日でもゆっくり観光できます。アンティーク好きにはたまりません。香辛料や調味料の専門店もあるので、海外の調味料がお好きな方は、それを見るのも楽しいと思います。

サンテルモ市場にて
生鮮からアンティーク雑貨まで

 そして食べ歩きも楽しめてしまうのがこの市場の凄いところです。アルゼンチンのおにぎり的な食べ物のエンパナーダだという軽食パイや、ドーナツなどのお菓子のお店も。とにかく1日じゃ足りないくらい、たくさんのお店がひしめき合っています。

ピリ辛のひき肉や、ハム&チーズなどさまざまな具が入っているエンパナーダ
カラフルなドーナツ
アルゼンチン国旗がかわいいアンティークの人形屋さん

 ひととおり散策して、ワイン好きなのでワインバーに入ってみました。アルゼンチンはマルベックというブドウの種類が多く、ワインもとても美味しいです。こちらのワインバーはお土産用にボトルでの購入もできますし、グラスで飲むことも可能です。東京の横丁のような雰囲気を感じました。

 なぜかと言うと、たくさんのお店がこの中にあるため気になるお店の飲み歩きが簡単にできるのです。チーズの美味しそうなスイスバーも気になりましたが、京都のおばんざいのように並んでいるタパスに惹かれてしまい、2軒目はスペインバルへ。

 本日のオススメ5種のタパスを頼んでまたワインをがぶ飲み。スタッフの女の子もノリがよくて、とても楽しかったです。トイレは飲食店のスタッフに鍵を借りて使うスタイルだったので、どこかで買い物か飲食をしないと使えないのかもしれません。

見た目もとてもかわいかったスイスバー
気軽に立ち寄れるワインバー。私が飲んだのはMalbec Reservaで1杯約792円
バゲットにタパスが乗ったおつまみはかなりボリューミー。ドリンク2杯込みで約1170円
見ると食べたくなっちゃいますよね

 サンテルモは街自体も歩いていてとても楽しいですが、この市場は1つの場所で何もかもがそろってしまう、とても楽しい場所でした。現在アルゼンチンは経済悪化を懸念して、少しずつ外出禁止令が緩和されています。が、まだまだ完全な日常に戻るのは遠そうです。

 私も今回はいろいろと悩みましたが、語学学校の授業もオンラインになり、音楽関係の再開は最後になるということから帰国を決めました。現在アルゼンチン政府は9月まで民間航空券の販売禁止措置をとっています。

 このままブエノスアイレスにいても音楽的な収穫はあまりないので、今回は一度日本に帰って、またあらためて留学することにしました。日本に帰れるかも危ない状況でしたが、さまざまな方の協力でなんとか航空券を買うことができました。志半ばでの帰国はとても悔しいですが、現在は同じ気持ちの方々がたくさんいると思います。

 しかし、アルゼンチンで過ごした外出禁止生活もなかなか楽しいものでした。次回は、私がブエノスアイレスでどのような外出禁止生活を送っていたか綴っていきたいと思います。

サンテルモのかわいい洋服屋さん。また絶対に戻ってくるぞ!

琴音

シャンソン、JAZZなどをメインに歌うボーカリスト。たまにアルトサックスも吹きます。1986年10月10日生まれ。趣味・特技は、ライブなどで訪れた日本各地の美味しい食べ物を探すこと。思い立ってふらっと一人旅をすることもしばしば。ブログはhttp://ameblo.jp/singersax-kotone/