JALふるさとアンバサダー/応援隊に聞く地域愛

日本の原風景に出会う旅! JAL客室乗務員が国東半島の農泊で体験した伝統と温かさ

JALふるさとアンバサダーに地域の取り組みを聞いた。回答者は大分県JALふるさとアンバサダーの花島良子さん

 全国各地に拠点を持つJALは、地域活性化の取り組みを継続的に実施してきており(現在は「JALふるさとプロジェクト」)、2020年8月には社内公募で選ばれた客室乗務員が現地に移住して、それぞれの地域での取り組みを推進する「JALふるさとアンバサダー」を発足しているほか、同12月には乗務しながら地域活性化に携わる「JALふるさと応援隊」を任命している。故郷や縁のある地域に対して、客室乗務員として培ってきた知見を活かした商品開発や地域課題の解決などを展開する狙いがある。

 今回お話を聞いたのは、大分で農泊体験を行なったJALふるさとアンバサダーの花島良子さん。

――取り組みについて教えてください。

 皆さまこんにちは。大自然が魅力の大分県に移住し3年目、自然のなかでゆったりと過ごすことが大好きで各地へ足を運んでいます。

 大分空港が位置する国東半島の地域は、1300年もの歴史ある六郷満山(ろくごうまんざん)文化が栄え、神仏習合のエネルギーに包まれた日本の伝統が残る地域です。2013年(平成25年)には国東半島・宇佐地域が世界農業遺産にも認定されており、クヌギ林やため池を活用したシイタケ栽培や畳表の材料となる七島藺(しちとうい)栽培といった伝統的な農林水産業システムがあり、今もなお活用され続けております。

 今回は美しい農山村で食を通じたさまざまな活動ができる半島地域で農泊体験をしましたので皆さまに魅力をお伝えいたします。

――参加した農泊体験について教えてください。

七島藺農家「草結い」で工芸品作り体験(国東市)

 七島藺(しちとうい)は畳表の材料となる植物で、通常見かけるいぐさの畳よりも強度が強いため住民の生活の場や柔道畳としても使用されてきました。近年栽培や製織の機械化が進んでいないことなどから生産数が減り、現在では大分県の国東市が日本で唯一の七島藺の産地となっています。七島藺農家「草結い」にお伺いし、ここでしか育てていない貴重な七島藺を活用して工芸品作りに挑戦しました。

 実際に七島藺を触ってみると断面が三角の形をしておりとても頑丈でした。農家の田端さまにお話を教わりながら、ぎゅっぎゅっとしっかり編み込んでいきます。ほのかに漂ってくるよい香りが心を癒してくれました。田端さまは実際に植物に触れると心地よさを感じ、工夫しながら伝統をつないでいくことが楽しいとおっしゃっていました。

 完成した自慢の工芸品は愛着が湧きます。また色合いも徐々に変化していくのも楽しみです。

七島藺畑
草結いでの七島藺を活用した民芸品作り体験(左上:七島藺、右上:作業風景、左下:完成した作品、右下:草結いの田端さまと)

たまちゃんファームでのピザ作り体験(国東市)

 築150年の古民家をリフォームし民泊を営まれる「たまちゃんファーム」にお伺いし、農業を始められたきっかけや世界農業遺産の農林水産システムのため池を活用した米作りのお話を伺いました。

 豊かな自然や人の温かさに魅了され宮崎県からこの地に移住し、一から農業を始められた小玉さまご夫妻は、地域の方々の知恵や新たな発見が日々たくさんあるとおっしゃっていました。初めての農業への挑戦には、裏に住む住民の方が道具も貸してくださり親身になって教えてくださったそうです。農林水産システムが今もなお活用され、地域住民の方々にも喜ばれつながりも増えていったとのこと。野菜を持ってきてくださったり料理を教わったりと日々交流を重ねています。

 その地で根付いた文化を絶やさず、つないでいく事の重要性と地域住民の方々の温かさをお話のなかで感じました。

 今回は地域で取れたお野菜を使用し、ピザ作り体験をさせていただきました。色合い鮮やかで新鮮なお野菜やお肉をトッピングできて楽しかったです。

 手作りのかわいらしい自家製の窯で焼き上げると、生地もふっくらとしておりお野菜も甘くなりました。大自然のなかで農業や地域の暮らしを伺いながらいただくお食事は絶品でした。

たまちゃんファームでのピザ作り体験(左上:手作りのピザ窯とピザ、右上:ピザ作り体験、左下:ピザ窯で焼いた地元のお野菜、右下:農家の小玉さまと)

安部自然農園で野菜収穫とかずら編み体験(豊後高田市)

 国東半島の北西部に位置する豊後高田市の安部自然農園「山帰来(さんきらい)」にお伺いしました。築120年以上の日本家屋で季節野菜の収穫やかずら編み、郷土料理作り体験などの農泊体験を実施しております。

 こちらでは「かずら」と呼ばれる、つる性の植物を編んで作る伝統的な民芸品作りに挑戦しました。昔は、生活用品として使われていましたが、素朴な温かみが人気で、今もなお受け継がれています。

 かずら編みは初めてでしたが農家の安部さまから丁寧に教えていただき、コツをつかむと楽しく集中して取り組むことができました。つるの太さもさまざまで編み方によって異なる印象に。

 完成した籠には、季節の果物やドライフラワーを飾るのもお勧めですよ。かずら編みで世界に一つしかない籠作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。

安部自然農園でのかずら編み体験(左上:完成したかずら編みの作品、右上:作業風景、左下:教わっている所、右下:農家の安部さまご夫妻と)

古民家Villa Kobataでの箸作り体験(豊後高田市)

 同じく豊後高田市で民宿を営む「古民家Villa Kobata」へお伺いしました。古民家をリフォームされ、家内はとても温もりのある心地よい空間でした。

 ここでは竹製の箸づくり体験を行ないました。自分の理想の形を思い浮かべながら、小型かんなや紙やすりで削っていきます。

 竹は意外と硬く、かんなで削る作業は緊張しましたが、コツを教わりながら徐々に慣れていきました。色合いも竹の色みを活かしてグラデーションにしたり、自分好みに作ることができますよ。できあがったお箸で何を食べようかワクワクしました。

 こちらの古民家は「日本の夕陽百選」に選ばれた真玉海岸を望む山間に位置しており、海も見渡せ、朝日や夕日に照らされた景色は抜群だそうです。最大6名まで宿泊可能で国内だけでなく海外からのお客さまも訪れるそうです。

 ぜひ自然いっぱいの古民家で豊かな暮らしを体験してみませんか?

古民家Villa Kobata
古民家Villa Kobataでの箸つくり(左上:作業風景、右上:古民家の土谷さまご夫妻と、左下:完成した箸、右下:古民家のお部屋の様子)

――今後の展開・展望について教えてください。

 JALふるさとアンバサダー活動のなかで、地域ごとに日本ならではの自然と共存すること、その素晴らしさを伝える取り組みが数多く存在することを知りました。山で生まれ育った私自身も初めて経験することばかりでした。農泊体験を通して、また実際に移住された方のお話を伺うことで、その地域の特性を活かして根付いた文化や地域住民の方の知恵などを知ることができました。

 これからもさまざまな地域を訪れ、学び、その魅力を発信し続けることで、微力ながら地域の未来に貢献していきたいです。

 大分県へお越しの際は、非日常を感じながら自分だけのとっておきの農泊体験をしてみてはいかがでしょうか。