井上孝司の「鉄道旅行のヒント」

駅構内に立ち入りたいときには入場券を買う

列車に乗る場面だけでなく、送迎などでラチ内に立ち入る必要が生じることがある。そんなときには入場券を使う

 普通、鉄道の利用に際しては乗車券を購入するものであり、それは列車に乗ってどこかに移動するのが目的である。ところが、その乗車券とは別に、入場券というものもある。改札内(ラチ内)に立ち入るためだけの券だ。

こんなときには入場券が便利

 入場券とはその名のとおり、駅の構内に入るという機能に限定して効力を発揮するきっぷで、列車に乗って移動することはできない。そのため、各駅ごとに「○○駅の入場券」という形で販売している。

 もっともポピュラーな使い道は、送迎だろう。「列車で到着する友人知人や家族などを、降車駅で待ち受ける」、あるいは「これから出発する友人知人や家族などを送り出すために、乗車駅まで連れて行ったついでにお見送りをする」とかいった形である。

 また、駅構内の商業施設、いわゆる駅ナカが充実している昨今では、その商業施設を利用するために入場券を購入する場面も出てきているようだ。

かつて、札幌駅構内にあった蕎麦店「蕎麦紀行」では、札幌駅の入場券を提示すると、入場券相当額を割り引くサービスをしていた。それだけ、入場券を買って同店を訪れる利用者が多かったということか
そのJR北海道の指定席券売機における画面例。乗車券とは別に入場券の設定があることが分かる

 入場券はJR各社とも設定があるほか、民鉄でも設定されている事例がある。同じJRグループでも会社によって価格が異なるのが入場券の特徴で、2026年4月現在の数字では150円~210円と幅がある。

例:JR東海 きっぷのルール 入場券

 なお、在来線の改札を通ってから、さらに中間改札を通って新幹線のホームに出る構造の駅では、1枚の入場券で両方とも対応できる。同じ駅に違いはないのだから、当然といえば当然である。

 この場合、新幹線と在来線の境界にある乗り換え改札では、入出場のいずれでも、投入した入場券がまた出てくる。忘れずにそれを取らなければならない。

新幹線と在来線が接続している駅では境界に乗り換え改札があるが、そこを通過するときにも、入場券を自動改札機に通す必要がある

入場券の効力と購入のタイミング

 入場券には「発売時刻から2時間」という時間制限がある。そのため、購入時に券面に印字される時刻に注意したい。もしも超過してしまった場合には、有人窓口に行って、追加料金を支払って出場する。

 だから、入場券を購入するタイミングは、改札通過の直前がベストということになる。送迎利用ぐらいなら2時間も滞在することはないだろうが、駅ナカ店舗の利用では時間がかかる可能性もあるので注意が必要だろう。

阪急は20分以内なら無料で出入り可能に

 阪急電鉄では2026年3月18日から、交通系ICカードによる入場を可能にした。改札口で交通系ICカードを自動改札機にタッチするところは通常と変わらないが、同じ駅で入場から20分以内に出場すると、入場処理が取り消される仕組み。つまり、20分以内なら無料で駅構内に出入りできることになる。

 想定用途としては、「駅のラチ内にある店舗の利用」「駅構内の通り抜け」「ホームでの送迎」「入場の直後に、忘れ物に気付くなどしてラチ外に出る」といった場面が挙げられている。

 阪急電鉄にも紙の入場券はあり、価格は170円(小児90円)、時間制限は2時間。つまり、20分以内に出場するなら交通系IC、それを越えるなら入場券という使い分けになる。

阪急電鉄では、20分以内であれば、同一駅で交通系ICを用いて入出場すると無料になる仕組みを導入した

 実はこれより先、2021年3月13日から、JR東日本では「タッチでエキナカ」というサービスを導入している。こちらは阪急電鉄のそれとは違い、同一駅での出場時に入場券と同額(160円)を差し引くというもの。

「タッチでエキナカ」における入場から出場までの時間制限は、紙の入場券と同じで2時間までとなっている。つまり、紙の入場券が交通系ICカードに置き換わったものという位置付けである。

こんな買い方・使い方もある

 普通、入場券を利用するのは、対象となる駅のラチ外からラチ内に立ち入る場合であろう。ところが、もう少し複雑なケースもある。

 例えば、在来線で新幹線との接続駅まで行って、そこで新幹線のホームに立ち入りたいという場面。具体例を挙げると、御茶ノ水から中央線で東京駅まで行って、そこで新幹線ホームに立ち入るような形である。

 この場合、御茶ノ水~東京間は紙のきっぷや交通系ICを利用して移動することになるが、東京駅でいったん出場しなくても、在来線と新幹線の連絡改札口に隣接する窓口、あるいは自動券売機で入場券を購入できる。

 ただし、これができるのは「東京駅までの有効な乗車券を所持している場合」に限られる。入場券を購入する際に、東京駅までの紙の乗車券あるいは交通系ICを窓口に提出、あるいは券売機に投入したうえで、入場券を購入する流れとなる。

 なお、東京駅への移動に交通系ICを使用した場合、窓口でも券売機でも、交通系ICは出場処理がなされたうえで戻ってくる。

 そのため、入場券を使い終えて再び電車で移動するときには、いったん入場券を使ってラチ外に出場してから、改めて紙のきっぷまたは交通系ICで入場し直す必要がある。そうしないと、入場記録が付かない。

 つまり、「御茶ノ水から品川に向かう途中で東京駅新幹線ホームに寄り道する」という使い方であっても、乗車券は東京駅を境にして分割されることになる。

 ちなみに、東京駅の新幹線ホームは「JR東海が管轄する東海道新幹線のホーム」と「JR東日本が管轄する東北新幹線のホーム」があるが、前に試してみたら、1枚の入場券でどちらでも出入りできた。