井上孝司の「鉄道旅行のヒント」

いつもの乗り場に電車が来ない? 発着番線を変更するのはどんなとき

大手民鉄のターミナル駅では、方面別、あるいは列車種別ごとに番線を使い分ける事例が多い。これは京王線の新宿駅だが、撮影時期が古い点はお含み置きいただきたい

 日本の鉄道では、運行計画を作成した時点で、どの列車がどの番線に発着するかも確定するものである。だから紙の時刻表を見ると、主要駅において発着時刻とともに発着番線を明示している。発着番線が固定されていなかったら、こんなことはできない。

 しかし現実問題としては、時折、発着番線の変更が発生することがある。

ダイヤが乱れたとき

 ダイヤの乱れがなければ、列車は計画どおりに走るものであるから、当然ながら発着番線の変更も必要ない。ところが、なんらかの輸送障害が発生して、列車の遅延や運休が発生すると、そういうわけにもいかなくなる。

 単純に、すべての列車が同じように遅れている場合には、所定ダイヤと比べて遅れ時分の分だけ全体が後ろにスライドするだけであり、発着番線の変更にはつながらないかもしれない。

 しかし、列車によって遅延の度合が異なると、発着の順番に変化が生じる。すると、「本来、発着するはずの番線には別の列車がいる」という事態も起こり得る。その場合には発着番線の変更をかけなければ、どうにもならない。

 例えば、新幹線の始発駅。ある列車が遅れて到着すると、次に同じ番線に発着する後続列車が番線変更の対象になる可能性が出てくる。

 車内整備などを実施して、折り返し発車するためにかかる時間は、もともとあまり余裕がない。すると、必然的に折り返しの発車も遅れる。そのすぐあとに後続列車が同じ番線に到着するダイヤが組まれていれば、後続列車が割を食う事態は避けられないというわけだ。

ある日の、東海道新幹線の列車位置情報。上り列車が軒並み、数分ずつ遅れている。しかし遅延の度合に大きな差はないので、単に全体がまとめて遅れている按配となる
ダイヤの乱れが生じると、こんな珍表示が現われることがある。発車時刻が早い列車があとから出る、と案内しているわけだ
これも順序が入れ替わった例。こちらでは、先発列車の遅延に関する情報も表示している

 到着列車と、折り返し出発する始発列車の関係が変化した場合にも、番線変更が起こり得る。ダイヤ乱れなどが原因で、到着列車と折り返し列車のつながりが変わったり、途中駅で運転を打ち切って折り返したりすると、「本来は17番線から出発するはずだった×列車が、本日に限って19番線から出る」といったことが起こり得る。

 また、ダイヤの乱れが発生した結果として、普通列車が優等列車を待避する場面に影響がおよぶこともある。例えば、先行する普通列車が遅れて、後ろから優等列車が追い付いてきてしまった場合に、所定と異なる駅で待避を入れるかもしれない。待避するために、先行する普通列車は途中駅で待避線に入れなければならないから、そこで番線変更がかかるという理屈だ。

 このほか、ダイヤの乱れをもとに戻す過程で出発順の変更(順序変更)がかかることがある。これも所定ダイヤからの逸脱だから、番線変更につながる可能性はある。

工事などで所定の番線を使えないとき

 日本では、施設関連の工事は列車が走っていない時間帯に行なうようにして、営業運行には支障をおよぼさないようにするのが一般的である。しかし、短時間ではすまない工事があると、話は違ってくる。

 駅で工事を実施していて、特定の番線が工事のために使えないということになれば、そこの発着する列車はすべて、別の番線に回さなければ発着ができない。よって番線変更が必要になる。

 手近な事例を挙げると、山手線、あるいは京浜東北線が田町~田端間のどこかで工事を行なうときに、番線変更がかかる。山手線が工事の対象になれば営業列車を走らせるわけにはいかないから、山手線の列車はこの区間だけ京浜東北線の線路を使って走る。すると当然ながら、山手線の列車が京浜東北線のホームに発着する(もちろん、その逆も発生し得る)。

 このほか、車両の故障や損傷が発生して動けなくなり、それがどこかの番線をふさいだため、番線変更につながった事例もある。

 降雪地帯では、分岐器不転換が発生したために列車ごとに番線を変えることができなくなり、全列車を同じ番線に入れる場面を経験したことがある。

2017年12月17日に、東海道新幹線の名古屋駅で。少し前に発生した車両関連のトラブルが原因で、当該の車両が14番線をふさいでしまったため、すべての上り列車が15番線に発着していた
その14番線にいたのが、このN700系K5編成。台車枠に亀裂が発生したのが原因であった

イベントなどの影響

 まれに、ホーム上でなんらかのイベントを行なうために当該番線での発着が不可能になり、そこに発着するはずだった列車を別の番線に回すことがある。また、要人が列車を利用するような場面で、警備の関係でホームから「人払い」をするような場面も、まったくないとはいいきれない。

 これも一種のイベントといえるかもしれないが、特定の日だけ、あるいは特定の時期だけ臨時列車を追加設定したため、ダイヤが変更されて、番線変更が必要になる場面も考えられる。

 一般的には、あとから押し込まれる臨時列車の方が扱いがわるい(?)ものであり、それなら空いている番線に回される。しかし、その臨時列車を「どうしても特定の番線に発着させないと具合がわるい」という理由があれば、定期列車が割を食って別の番線に回される可能性がある。

イギリスは日本と違って、主要ターミナル駅では土壇場まで出発番線が決まらない。行先の背景が緑になっているのは、番線が確定した列車。青は、出発はするが番線が未確定の列車。赤は運休列車である。ロンドンのユーストン駅で
乗換案内を検索したときに、発着番線の情報も表示してくれるとありがたい。これはイギリスのネットワーク・レールだが、日本でも乗り換え案内が番線表示付きになっている事例はある

発車標を必ず確認する習慣を

 旅慣れている方、同じスケジュールで頻繁に出張する方だと、列車と発着番線の関係を覚えてしまい、「いつもの○○列車だから△番線だな」と判断して、そのとおりに動いてしまうことがままあるだろう。

 しかし実際には、ここまで述べてきたような事情から、発着番線の変更がかかることがある。また、ダイヤ改正があると、前後の列車との関係から、同じ列車でも発着番線が変わることがある。

 だから、いつ、どんな場合でも、乗車前には発車標を確認して、発車時刻と番線を確認する習慣を身につけておきたい。

 日本の話ではないが、筆者はストックホルム中央駅で土壇場の番線変更に遭遇して慌てたことがある。発車時刻よりもしばらく前に発車標を確認して安心していたら、発車間際に「念のために」確認し直した際に番線が変わっていたのである。

うっかりして変更前の発車標を撮影していなかったのだが、これは土壇場で番線変更がかかったあとの発車標。「Spår」は番線、「Tågnr」は列車番号のことだ
このとき乗車したのは、マルメ行きの特急列車(Snabbtåg)
ただ、発車標が頼りになるのは、そこに正しい情報が表示されている場合の話。ダイヤ乱れの度がひどくなると、こうなってしまうこともある。こうなったら駅の放送が頼りだ