井上孝司の「鉄道旅行のヒント」
鉄道+ホテルのセット予約で安くなる? 宿泊パッケージ商品を活用する
2026年4月22日 06:00
シンプルに考えると、泊まりがけの旅行にかかる費用のメインは「往復の交通費と宿泊費の合計」である。そして空の上では、往復の航空券と宿泊をセットにしたパッケージ商品が多数、設定されている。旅行代理店が設定している商品もあれば、エアラインが自ら設定している商品もある。
では、鉄道業界ではどうか。
旅行代理店のパック商品は多数ある
航空便を利用する場合と同様に、往復の鉄道と宿泊をセットにした商品は、多くの旅行代理店で設定している。店頭に並べられているパンフレットを見れば、そうした商品の概要を把握できる。もっとも最近では、旅行代理店も有人店舗を縮小してネット販売に切り替える事例が多くなってきているが。
旅行代理店の特徴は「鉄道利用のパッケージ」と「航空利用のパッケージ」を並列に扱える点にある。自らが交通機関を運営しているわけではないから、第三者的な立場として、こういう仕掛けができる。だから、日程や予算を勘案しながら、「鉄道にしようか飛行機にしようか」と選択するようなこともしやすい。
その点、航空会社であれば必然的に航空利用のパッケージを販売することになるし、鉄道会社であれば必然的に鉄道利用のパッケージを販売することになる。現実的な「足」の選択肢がどちらか一方しかなければ、これでも特段の差し障りはない。
なお、過去に筆者が実際に利用した事例で、飛行機で北海道まで往復するパッケージ商品に、JR線を対象とするフリーパスがセットになったものがあった。こういう商品は利用価値が大きい。
「えきねっと」と「EX」の場合
ネット販売が主戦場になってきているのは、鉄道各社が販売するパッケージ商品でも同じこと。
JR東日本・JR北海道の「えきねっと」では、JRの乗車券や特急券などを購入できるだけでなく、「ダイナミックレールパック」と呼称する、列車と宿泊のパッケージ商品も扱っている。
申し込みの要領に、特段に変わったところはない。まず、「えきねっと」のトップページから、「JRツアー/宿だけプラン」以下の「JR+宿泊」を選択する。そして、次の項目を指定して検索をかけると、候補となる列車と宿泊施設がリストアップされる仕組みである。
・宿泊日と泊数
・大人と子供の人数
・宿泊地
・往復で利用する列車の日付と乗車時間帯
・往復で利用するJRの乗車駅・降車駅
このとき、往路の降車駅と宿泊地が離れていても構わない。もちろん、その間の移動は別途、用意しなければならないが。
JR東日本のダイナミックレールパックでおもしろいのは、「復路の乗車駅を変更する」という設定がある点。普通、往復の足と宿泊をパッケージにする場合には、同じ経路の単純往復に限定する場面が多いからだ。ただし、復路の降車駅は変更できず、往路の乗車駅と同じでなければならない。
これを利用すると、例えば「首都圏発で往路と復路の経路を変えて、東北を一周する」なんていう設定もできる理屈となる。
JR東海の「EXサービス」では「EX旅パック」というメニューがあり、これはEXアプリからでもWebサイトからでもアクセスできる(EXアプリからだと、EX旅パックのWebサイトに飛ばされる)。基本的な考え方は、他社のそれと同じである。
「EXサービス」の特徴として、「EX旅パック」とは別に「EX旅先予約」というメニューがあり、行った先で利用する宿泊、観光、交通などの商品を購入できる点が挙げられる。往復の足となる東海道・山陽・九州新幹線の列車をEXサービス経由で購入する前提で、その先についてもめんどうを見ましょうという位置付けだ。
ときおり、「EX旅先予約で販売します」という企画商品が出てくることがあるので、ウォッチしておくとお得な商品を拾い上げられるかもしれない。
パッケージ商品ゆえの制約
こうしたパッケージ商品を利用するのは、往復の足と宿泊を個別に手配するよりもトータルで安い、という場面であろう。もちろん、安いものにはわけがあるという原則は、この分野においても通用する。
例えば、「往復に利用できる列車は購入時のものに限定されており、変更はできない」は基本である。つまり自由度が低くなり、当初に立案した行程のとおりに移動するしかなくなる点に留意しておきたい。
また、それ以前の問題として「往復に利用する列車の選択肢が限られる」というケースもある。身も蓋もないことを書いてしまえば、所要時間がかかるなどの理由から不人気になりやすい列車をパッケージ商品に組み込んで、安さと引き換えに空席を埋めて需要を平準化させる」場面もあり得よう。
列車だけでなく宿泊についても、パッケージに組み込まれているものがすべてとは限らない。だから、「どうしてもここに泊まりたい」という希望があって、かつ、それがパッケージに含まれていなければ、個別手配するしかなくなる。
また、単純往復ではない複雑な行程を組む場合にも、単純往復を前提としている場合が多くを占めるパッケージ商品では対応しがたい可能性が高い。
なお、空の上では「安価なパッケージ商品は、往々にしてマイル積算率が低い」という制約があるが、鉄道利用では気にしなくてもよい話であろう。































