週末駅弁
東京駅「東北福興弁当 ~東北の恵み、心を込めて~」
2025年3月21日 12:00
2011年3月11日、東北地方を中心に東日本を襲った大地震とそれに伴う津波の被害の甚大さは筆舌に尽くし難いものでした。そんな2011年の10月から、東北地方の食産業事業者の食品を弁当に盛り込み販売され続けてきた駅弁が「東北福興弁当 ~東北の恵み、心を込めて」です。その後リニューアルを繰り返しながら今回が第13弾となります。
ご飯は宮城県産ひとめぼれを青森県産さめ節入りだしと秋田県産比内地鶏スープで炊いた茶飯。岩手県産“菜彩鶏”のそぼろと、きゅうりの味噌漬けが上に乗っています。もうこれだけで東北5県。ちなみにきゅうりの味噌漬けは現在の福島県南相馬市で創業し現在も本社を置く菅野漬物食品のもの。掛け紙の裏には食品を提供する事業者の会社名がすべて記されています。
6つに区切られたおかずエリアは、東北6県それぞれの美味しいものがギッシリ詰まっています。青森県エリアのキャベツ炒めは地元のにんにくを使った塩麹が使われていて、ガッツリとにんにくの存在を感じます。県内産長芋やレンコンはサッパリとした味。小さなスペースながらそれぞれがしっかりと個性を発揮しています。宮城県エリアのあなご煮はやわらかく濃いめの味付けで、牛タン入り笹かまは笹かまらしい食感と強めの牛タンの味が印象的です。
続いて岩手県エリアは三陸産鮭の味噌漬け。鮭そのものの味わいもよく、それでいて適度に主張する味噌の味もなかなか美味しく小さいながら凝った一品。この味噌も岩手産大豆を使っているとか。下に隠れている炒り煮のわかめは北三陸産。食感がよく、ぬめりもあって海の風合いを強く感じます。
福島県は”高田梅”入り塩麹ソースの乗った福島牛入りハンバーグ。梅味がっつりの個性的ハンバーグは肉感がしっかりとしていて小さめながら存在感は十分。上に乗っているのは福島県産若桃の甘露煮。鮮やかな緑が一見デザートのようにも見えますが、食べてみるとおかずです。
秋田県は県産のしょっつるを使ったがんもどきの含め煮。秋田だからハタハタかと思えば、こちらは真鱈のしょっつるだそうです。やさしい味付けのがんもどきと組み合わされるのは濃いめの味付の山菜醤油煮。こちらは太いごぼうが使われていますがそのやわらかさにびっくりしました。最後は山形県産の生芋玉こんにゃく。あっさりとした玉こんにゃくに対し筍とにんじんは甘めの味つけ。これで東北6県すべて出揃いました。
ちなみに掛け紙のデザインを手掛けたのは岩手県生まれの画家・イラストレーター 古山拓氏。隅から隅まで東北にこだわっています。2011年に登場したこの駅弁シリーズは通算出荷数がすでに100万食を突破しているそうです。その経済効果もさることながら、その後も残念ながら各地で起こっている自然災害の怖さや大変さの記憶を風化させずに伝えてくれているような気もします。
東京駅「東北福興弁当 ~東北の恵み、心を込めて~」
価格: 1680円
販売駅: 東京駅
購入場所: 東京駅構内 弁当屋「踊」
購入日: 2025年3月11日