荒木麻美のパリ生活
パリで生協の会員になる
2021年3月20日 08:00
2016年、パリ18区にフランスで初めての生協「La Louve」(オオカミの意)ができました。どうしてオオカミを店名にしたのかというと、オオカミの毅然とした強さが、これまでのスーパーのあり方を変えたい、という創立メンバーたちの強い決意にあっていると思ったからだそう。
La Louveのことは前から知っていたのですが、新型コロナウイルス対策のために説明会をオンラインで開催しているというので、2020年暮れにようやく参加してみました。
説明会に参加してみたら、これまでの私の腰の重さはどこへやら。コンセプトに引かれてすぐに入会を決意しました! La Louveの概要は以下のとおりです。
・1973年、ニューヨークにできた生協をモデルに、パリに住む2人のアメリカ人が中心となってLa Louveを開いた。このモデルでできた生協としては、La Louveは世界で2番目となる
・入会金は100ユーロ。これは退会時に経営状態に応じた額が返金される。寄付をしてもよい
・2020年に登録数は1万人を突破。現在実際に活動しているのは5000人ほど。新規入会者は日々増加中
・社員は12名のみ。商品の受け取り、小分け、棚出し、清掃、レジ、事務作業の補助など、全業務の約80%を会員が担っている
・広告などを使った宣伝は一切していない
・基本的に年に4回の総会がある
・現在は新型コロナウイルスのために開催されていないものの、会員向けの勉強会やライブなどのイベントがある
・会員は商品の選定に意見をすることができる
・すべてではないが、オーガニック商品、地産品がとても多い
・商品の金額は一律仕入れ代+20%としている
・一般的なスーパーに比べ、すべての商品が安いわけではないが、トータルで見ると、会員は20~40%買い物代を節約できている
・会員は基本的に4週間に1回(年に13回)、3時間の無償作業が義務。ただし新型コロナウイルスのために密にならないよう作業人数を減らし、当面は8週間に1回のペースになっている
・長期休暇、忌引き休暇、育児休暇制度あり
・都合がわるいときは日時の変更は可能だが、無断で休むといった違反をすると買い物ができなくなる
・会員と同居する人は会員でなくとも買い物ができる
2021年が明けるとすぐに店に行き、100ユーロを払って正式に登録をしました。会員番号をもらい、買い物をしてもよいというので店内をじっくり見てみました。普通のスーパーというよりも、オーガニックスーパーに近い品揃えです。
そのあとは義務ではありませんが、念のために1時間の研修を受け、3時間の仕事に初めて参加したのは1月上旬のことでした。私は朝8時からの回に参加したのですが、集まったのは10人前後。新型コロナウイルスが流行する前は30人くらいいたそうです。
生協内にある掲示板の前に集合すると、社員が作業を割り当てます。その日の作業は商品の品出し、届いたパン・チーズ・お茶などの小分け、店内の清掃、レジ、空になった段ボールの整理でした。いかんせん4週間(今は8週間)に1回、3時間だけなので、作業を忘れてしまう人、適当な感じの人など、いろいろな人がいたのですが、そこを上手に調整していたのが社員。うまく回っているように見えました。
私は商品の品出しをしました。作業をしながらメンバーと話す機会がありましたが「ここの商品は特に野菜や果物がいいわよね。魚がないのが残念かな」「最近は8週間に1回、3時間だけとはいえ、作業に参加するのはやっぱりめんどう。でもここを気に入っているから仕方ないわね」「リタイア後にここに来ているけど、ここには仲間がいる。とっても楽しいよ!」といった話を聞くことができました。
商品の質と価格、店の和気あいあいとした雰囲気のほか、La Louveで私がすごくいいなと思うのは、警備員がいないこと。それとトイレの清掃も自分たちでやっているところです。ここまで自分たちでやる、ということに正直驚きました。
La Louveの成功を受け、パリの生協はどんどん増えています。私の知る限りでは現在パリ市内に4軒あり、今後14区にも新しくできるようです。
私は毎月の食費と日用品費をざっとですがずっと記録しています。ここ数年かなり値段が上がっているのですが、これまで同様、今後もできるだけオーガニック・地産製品を買っていきたいと思っており、La Louve加入後、生活費にどんな影響が出てくるのか楽しみです!