荒木麻美のパリ生活

パリのお気に入り図書館

ワークスペースとしても大活躍の憩いの場所

Bibliothèque Václav Havel(ヴァーツラフ・ハヴェル図書館)

 日本でもフランスでも、本屋さんと図書館は大好きな場所です。電子書籍にも大変お世話になっていますが、紙の手触りや香りのよさはやはり別格。本屋さんはまた別の機会ということで、今回はパリでお気に入りの2つの図書館をご紹介したいと思います。

Bibliothèque Václav Havel(ヴァーツラフ・ハヴェル図書館)

 18区にある図書館です。もともとはフランス国鉄SNCFの敷地だったところを再開発し、2013年にオープンしました。Halle Pajol(アル・パジョル、仏語)という建物の中にあります。鉄骨に木とコンクリートでできたHalle Pajolの屋根には、約3500m2の太陽光パネルを設置するなど、Halle Pajol全体が環境に配慮した作りとなっています。同じ建物内にはユースホテルやカフェ、コンセプトショップなども入っています。

Bibliothèque Václav Havel(ヴァーツラフ・ハヴェル図書館)

所在地:26 esplanade Nathalie Sarraute, 75018 Paris
Webサイト:Bibliothèque Václav Havel(仏語)
Webサイト:Bibliothèque Václav Havel(仏語)

 図書館の1階は受付と雑誌コーナーになっており、2階には一般書と日当たりのよい自習室があります。自習室では自分のPCを持ち込んで勉強や仕事をしてもいいですし、図書館備え付きのPCを使うこともできます。

 この図書館ではアベ・ピエール神父が1949年にパリで立ち上げたNGO団体Emmaüs(エマウス、関連記事『パリのリサイクルショップを活用しよう』参照)の一部門であるEmmaüs Connect(エマウス・コネクト)とともにPC教室を開いているほか、タブレットを使ったフランス語教室、学校の補習といった活動も行なっています。

 さて、静かな2階とはうって変わり、3階は子供たちのスペースです。なんとここにはゲーム部屋が! 中にテレビゲームなどが設置されています。この部屋が開く時間になると、それを待ちきれない子供たちが部屋の前で大騒ぎしていました。この日も図書館職員が「静かにー! あなたたち、いい加減にしなさい!」と何度も注意していました。

ゲーム部屋の前で扉が開くのを待つ子供たち

 ゲーム部屋のある階には子供たちが本を読む部屋もあり、ここでは子供たちと寝転がって読み聞かせをする親たちの姿も見られます。

子供たちが本を読む部屋
DVDもなかなか充実しています

 図書館で作業などをしていて、ちょっと一息入れたいなというときは、図書館隣のカフェに行くのもよいのですが、建物のすぐ後ろの公園に行くのが私は好きです。公園は半屋内なので、雨の日でも大丈夫。子供たち専用の公園も併設されており、線路脇にあるので、見晴らしもよいです。

Médiathèque Françoise Sagan(フランソワ・サガン・メディアセンター)

Médiathèque Françoise Sagan(フランソワ・サガン・メディアセンター)

 パリ10区にあります。パリ市にある図書館のなかでも最大規模の図書館の一つで、2015年に開館しました。

Médiathèque Françoise Sagan(フランソワ・サガン・メディアセンター)

所在地:8 Rue Léon Schwartzenberg, 75010 Paris
Webサイト:Médiathèque Françoise Sagan(仏語)
Webサイト:Médiathèque Françoise Sagan(仏語)
Webサイト:Médiathèque Françoise Sagan(仏語)

 現在フランソワ・サガン・メディアセンターとなっているEnclos Saint-Lazare(アンクロ・サン・ラザール)は、ハンセン病患者の療養所、修道会、革命期の留置所、女囚専用の刑務所、病院とさまざまな形で使われてきたのち、2015年にメディアセンターとして生まれ変わりました。

第一次世界大戦中にスパイ容疑で捕らえられたマタ・ハリもここに収容、処刑されたという悲しい過去も

 メディアセンターは5階建てとなっており、2階と3階に自習スペースがあります。1階には展示スペースがあり、展示内容は随時変わっていきます。

どの国の絵本も眺めているだけで楽しいですね

 メディアセンターでもPC教室やフランス語教室を開いており、このほか映画の上映会や各種討論会、子供向け絵画教室といったさまざまなイベントを定期的に開催しています。メディアセンターは独自のホームページも運営しており、Facebookのページも頻繁に更新するなど、活発な活動の様子がうかがえます。

 図書館への入り口は2カ所あるのですが、入口の一つの目の前には子供用の遊具が置かれた小さな公園があります。どちらの入り口も中庭に面していることもあり、とても静かで落ち着くメディアセンターです。

子供用の遊具が置かれた公園
もう一方の入り口は広めの中庭に面しています
入口正面にはフランス出身のストリートチョークアーティスト、フィリップ・バウドロックの作品が

 ここ数年、パリではコワーキングカフェが増えているのですが、私は図書館の開放的なスペースで、たくさんの本に囲まれている方が幸せな気分になれます。パリの図書館には無料のWi-Fiや電源も完備されていますから、自宅での作業に疲れたときは、PCを抱えて図書館に行くことにしています。

 旅行者は本を借りることはできませんが、閲覧は自由です。機会があれば、パリの図書館に行ってみてはいかがですか?

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。Webサイトはhttp://mami.naturo.free.fr/