荒木麻美のパリ生活

パリの廃線が市民の憩いの場に変貌中

緑化計画の一環として、鉄道の内環状線を再生

 1800年代半ば、パリの周辺を走る鉄道の内環状線「Petite Ceinture(プティト・サンチュール)」が建設されました。貨物線または旅客線として繁栄を極めましたが、徐々にメトロなどに取って代わられ、1900年代前半にはほとんどの旅客輸送と貨物輸送が廃止され、今に至ります。

 しかしこのPetite Ceinture、少しずつ遊歩道や公園、共有庭園などに生まれ変わっています。今後さらに拡大していき、2020年までにその総距離は10km、20ヘクタールにおよぶ予定だとか。このうち、すでに公開されている場所をいくつか訪ねてみました。

緑がすでに一般公開されているエリアで、青が2020年までに整備される予定のエリア(パリ市のWebサイトより)

12区のPetite Ceinture

所在地:21 rue Rottembourg, 75012 Paris
Webサイト:12区のPetite Ceinture(フランス語)

 ここの遊歩道は約200mしかないのですが、道の両側のほとんどを共有庭園が占めていました。私が行ったときはかなりの場所が放置状態だったのですが、野生な感じがかえって私の好みでした。

12区のPetite Ceinture

 遊歩道自体は短いですが、周囲の公園や別の遊歩道に接続しているので、そちらも含めると歩ける場所は広大。ヴァンセンヌの森からも近いです。

13区のPetite Ceinture

所在地:60 rue Damesme, 75013 Paris
Webサイト:13区のPetite Ceinture(フランス語)

 長さは約500m。2016年1月に完成したまだ新しい場所なので、緑がまばらで、まだちょっと寂しい感じです。でもこれから草木が大きく育っていけば、また雰囲気も変わるでしょうね!

13区のPetite Ceinture
13区のPetite Ceinture

16区のPetite Ceinture

所在地:36 boulevard de Beauséjour, 75016 Paris
Webサイト:16区のPetite Ceinture(フランス語)

 16区という場所柄か、遊歩道も上品な印象。1.2kmあるこの遊歩道、2007年に作られてからもう10年経っているため、木々がうっそうと茂っています。探してみたのですが、線路の跡ももう見つけられませんでした。鳥のさえずりを聞きながら歩いていると、アパートと道路に挟まれていることを忘れてしまうほど。置かれているベンチやゴミ箱も、エコな感じでこれまた上品。

16区のPetite Ceinture

 16区の遊歩道だけでもかなり癒されましたが、遊歩道を出て少し歩いたところにある、メトロのPorte d'Auteuil駅近くの「Jardin des Serres d'Auteuil」もお勧めです。公園内には19世紀に作られたという、歴史を感じさせる金属製の美しい温室がいくつも並んでいます。温室内のよく手入れされた植物たちに囲まれ、ほどよい湿気を感じていると、心からリラックスしてしまいました。

Jardin des Serres d'Auteuil
Jardin des Serres d'Auteuil
Jardin des Serres d'Auteuil

所在地:3 avenue de la Porte d’'Auteuil, 75016 Paris
Webサイト:Jardin des Serres d'Auteuil(フランス語)

 ちなみに以前紹介した共有庭園「Jardins du Ruisseau」もPetite Ceintureです。

 Petite Ceintureの再生計画を含め、パリ市の進めているパリの緑化計画はまだまだたくさん。パリ市内からまだ当分離れるわけにはいかない我が家にとって、緑化計画が実現していくのは本当にうれしいことです。ほかの緑化計画についても、また別の機会でお伝えしたいと思っています!

荒木麻美

東京での出版社勤務などを経て、2003年よりパリ在住。フランス人の夫と黒猫と暮らしています。2011年にNaturopathie(自然療法)の専門学校に入学、2015年に卒業。パリでNaturopathe(自然療法士)として働いています。