旅レポ

統合型リゾートから世界遺産までいろいろな見どころがひしめく街「マカオ」を紹介(その5)

中華料理からポルトガル料理、スイーツまでグルメも幅広く堪能

 これまで4回にわたってお届けしてきたマカオ観光局が実施した視察ツアーのレポートも今回で最終回となる。最後は、マカオ滞在中のグルメレポートをお届けしたい。

 ここまでのレポートで、マカオは中華、西洋、そして極めて近代的なレジャー文化が混在した土地であることはお分かりいただけたかと思う。グルメについても、そうした文化を反映して、ポルトガル料理や中華料理(なかでも広東料理や福建料理)を源流とした、さまざまな食を味わえる。もちろん、「どこの国へ行っても“和食”を味わえる」というレベルではなく、ポルトガル料理も中華料理も“本場!”といえるだけの文化的背景を持っているところがマカオのポイントといえるだろう。そして、ポルトガル料理にしても、「マカオ料理」という表現も生まれるほど独自に発展したものだという。

 国土(あくまでマカオの話)が小さく山林も少ないうえ、浅瀬が多いために喫水が深い船が停泊できないマカオ。資源の獲得という意味では制約が多そうな、そうした土地の事情も頭の隅に置きつつ食に向き合うと、より味わいも深くなる。

フォーシーズンズ・ホテル・マカオの「紫逸軒」

フォーシーズンズ・ホテル・マカオ・コタイストリップ1階の「紫逸軒」

 まず紹介するのは、マカオ滞在中の前半に宿泊したフォーシーズンズ・ホテル・マカオ・コタイストリップの1階にある「紫逸軒」(Zi Yat Heen)だ。中華料理のお店であることは名前から想像できるとおりだ。なかでも同店は広東料理を中心としている。マカオでも相当有名なお店だそうだ。ここではディナーをいただいた。

 その料理は食材も盛り付けも、見るからに高級感が漂っている。味は素材の風味を活かしたシンプルなもの、シェフのセンスが垣間見えるハッキリした味付けと料理によってさまざまだが、暑い地域にありがちなクセの強さはなく、どれも美味しいの一言。

 一方で高級料理店ということもあって、今回いただいたものを合計すると、日本円で2万円は超える額となり、かなり贅沢な食事だ。ちなみに同店ではランチに飲茶をやっており、そちらはもう少しリーズナブルに楽しめるという。

紫逸軒(Zi Yat Heen)
 
所在地:
フォーシーズンズ・ホテル・マカオ・コタイストリップ1階
TEL:
+853-2881-8818
営業時間:
12時~14時30分(日曜日は11時30分~15時)、18時30分~22時30分
定休日:
無休
店内は中華料理店らしく回転テーブルが置かれる。店内はライティングも柔らかく、落ち着いて食事ができる雰囲気
お茶はジャスミン茶(写真左)とプーアル茶(写真右)から選べる
前菜。金箔が乗った焼き子豚、アカクラゲ、洋梨入りホタテ、焼き豚
干しエビや貝から煮出したスープ。具はアワビ
エビのムースのなかに、蟹が詰められている。
これはウナギ料理。ギンモクセイと蜂蜜で味と風味をつけている
キヌガサダケが巻かれたほうれん草を浸したブイヨンスープ。キヌガサダケがスープを吸って味わいが増していたが、これは特別メニューで本来はほうれん草だけなんだとか
稲庭麺を醤油風味で炒めたヌードル。上に乗っているのは干しエビ
「紫逸軒」で提供しているデザート。器もかわいい
写真からも濃厚さが伝わるであろうマンゴープリン
米粉の団子やナツメヤシが入った生姜ベースのスープ

ギャラクシー・マカオの「金悦軒」

「金悦軒」で飲茶ランチを楽しむ

 翌日のお昼に訪れたのが、ギャラクシー・マカオにある「金悦軒」(Jin Yue Xuan)だ。ここは超有名店で、お店の看板には「海鮮酒家」と出ており、いわゆる海鮮中華のお店。ディナーでは火鍋が人気のようだが、昼には飲茶が提供されており、点心を味わいながらランチタイムを楽しむことができる。

 料金は点心の基本メニューは約340円~700円程度の5段階で、そのほかにご飯モノやスープなどに特別な料金が設定されているものもあるが、高い料理でも1品2000円前後が目安。1人あたり1500~2000円ほど見ておけば、かなり満足できる食事を味わえるだろう。

 ちなみに、記者が参加したツアーでは10人ほどで訪れ、デザートを入れて20品以上を頼んでいる。“どれも美味しい”とはチープな表現ではあるが、これだけ頼めば1品ぐらいは個人的に舌に合わないものがあっても仕方ないと思うのに、そうしたものがなく、味の安定感とコストパフォーマンスは文句なし。このあたりが名店として知られる所以なのだろう。また、ギャラクシー・マカオは無料シャトルバスを多く運行しており、アクセスが便利な点も同店のよさに挙げておきたい。

金悦軒(Jin Yue Xuan)
 
所在地:
ギャラクシー・マカオ1樓101號舖
TEL:
+853-8883-2200
営業時間:
11時~15時、17時30分~22時30分
定休日:
無休
「金悦軒」の待合所。中華料理のお店ではあるが、コタイのIR施設のなかのお店らしさも
「おいおい、頼みすぎ……」と思うことなかれ。大人数でたくさんのメニューを取り囲むのも飲茶の魅力だ
点心いろいろ。どれもこれも舌に合う。「これがこう美味しい」とか考えず、ひたすら食べることを楽しめる空間だった
デザートいろいろ
タピオカとザボンの果肉が入ったマンゴーのスープ
燕の巣が盛られたミルクプリン
黒糖を使ったゼリー
フルーツ

1903年創業のポルトガル料理店「佛笑樓」

ふわふわ感がたまらないスフレ(これはLサイズであり、Sサイズもメニューにある)

 昼に飲茶を堪能した夜は、“佛(仏)が笑う”ほどに美味しいというポルトガル料理のレストラン「佛笑樓3」(Fat Siu Lau 3)へ。「佛笑樓」は1903年創業の老舗で、マカオで独自の進化を遂げたポルトガル料理を味わえることで有名という。今回訪れたのはその3号店で、タイパの南部にある。近くにはマクドナルドやセブンイレブンもある。

 実は、前回お伝えした「タイパ・ビレッジ」のくだりは、このレストランでのディナー後に散策したときのもの。つまり、このお店でディナーを堪能したあとに、そのまま夜の街の散策へ出向けるというわけだ。

 このお店では、マカオでこれまでに食べてきた料理とは趣がガラリと変わった料理を目にした。言うなれば、鶏ではなくチキン、芋ではなくポテト、といった感じだろうか。しかし、炒飯はピラフではなくチャーハンそのものだったし、特にハトの料理などは味付けに醤油系の風味が利いていて、北京ダックに近い雰囲気。よい意味で“コテコテの××料理”という感じではないのが、このお店の料理の面白いところかも知れない。

 どれも美味しく、味付けが濃い薄いというよりは料理人の主張が濃いと表現した方が適切だろうと思った。これまでに食べてきた2店舗は食材の味が舌に残るお店だったので特にそう思ったのかも知れない。ここの味は塩やスパイスがよく利いており、料理ごとに味の緩急があって食べ応えがあった。

 さらに、店員さんはラテンの乗りなのか、とてもフレンドリーで楽しい。そういうお店の雰囲気も含めて気分がよくなれるお店だ。

 ところで、ここで「セラドゥーラ」というデザートをいただいているが、これが記者にとって今回のマカオ旅における1つの課題となった。マカオスイーツの定番といえば「エッグタルト」がまず挙がるが、次いで名前を挙げられることが多いのが、この「セラドゥーラ」だ。味はよいのだが、なんだかパサパサした食感だったこともあり、“コレジャナイ”感が残った。そして、本物(?)のセラドゥーラに出会うのは、出発前日の夜になってしまった……という話はまた後ほどすることにしたい。

佛笑樓(Fat Siu Lau)
 
所在地:
澳門タイパ地堡街181-185號地下
TEL:
+853-2882 5257
営業時間:
平日:12時~15時、17時30分~22時
 
土日祝:12時~22時
定休日:
無休
タイパにある「佛笑樓3」。お店の中も洋風レストランのような作りだ
ポルトガルソーセージ
鱈のコロッケ
ポテトのスープ。青菜やベーコンが入っている
ハトの丸焼き。スマートで肉がちょっと少ない印象
アフリカンチキン。スパイシー
炭火で焼いた鰯。野菜が添えられているあたりが日本の焼き魚とはちょっと違う
アサリのワイン蒸し。これは日本人にもなじみ深い味だ
野菜のガーリック炒め
“馬介休”という干した塩漬けの鱈が入ったチャーハン
デザートタイム。上述の写真に写っている(L)サイズのスフレを取り分けてもらったもの。ふわふわの食感もよく美味しい
セラドゥーラ。固めたバニラクリームの上に、砕いたビスケットが振りかけられている

ポルトガル料理のビュッフェを楽しめる「トロンバ・リージャ」

ビュッフェでポルトガル料理を楽しめる「トロンバ・リージャ」。マカオタワーの1階にあるので、観光ついでにも立ち寄り安い

 翌日のお昼に行ったのは、マカオタワーの1階にある「トロンバ・リージャ」(Tromba Rija)。漢字表記のお店でないのが新鮮。元々ポルトガルのレイリアという小さな街にあるワインビストロの老舗が、2014年12月にマカオで初めて店舗を構えたところなのだという。そんな知識を仕入れてしまった先入観もあるかもしれないが、店内はどことなく南欧やワインセラーを感じる雰囲気だ。

 このお店は、ポルトガル料理をビュッフェスタイルでいただくことができるのが特徴。料金はランチは218パタカ(約3300円)、ディナーが328パタカ(約5000円)、土・日・祝はランチ/ディナーともに350パタカ(約5500円)。また、平日は100パタカ(約1500~1600円)、土・日・祝は110パタカ(約1700円)を追加するとワインを含めてドリンク飲み放題となる。料理のボリュームとバリエーションの豊富さを見ると、「これは安いかも!?」と思える。

 正直言ってポルトガル料理の知識がなかった記者にとっては、どの料理を見ても「なにこれー?」の連続で、鮮やかに盛り付けられた料理の数々……おそらくデザートを含めて60種類ほどはあったと思うが、それらを見ているだけでも楽しいレベル。

 あれもこれもと少しずつつまむもよし、お気に入りの料理をお腹いっぱい食べるもよしの好きなペースで食べられるのがビュッフェの魅力で、日本では決してメジャーとはいえないポルトガル料理だけに、立地も抜群の同店をポルトガル料理体験の第一歩とするのはお勧めできる選択だ。

「トロンバ・リージャ」(Tromba Rija)
 
所在地:
澳門観光塔前地
TEL:
+853-2896-2878
営業時間:
ランチ:12時~15時、タパス:15時~18時、ディナー:18時~23時
定休日:
無休
「トランバ・リージャ」の看板。英語表記のみがむしろ新鮮
エントランス脇にはさっそくハム用の豚と思われる塊などがオブジェのように飾られている
トランバ・リージャはポルトガル語で「豚の鼻」。ナプキンにもかわいらしい豚が描かれている

フィッシャーマンズワーフの「百富莊」で本格中華!

フィッシャーマンズワーフ内に建つ「百富莊」。ポルトガル文化と中華文化が折衷したようなマカオらしい建物だ

 続いてのお店は、フィッシャーマンズワーフ内にある「百富莊」(Bravo Palace)というお店だ。ここは本格的な中華料理のレストラン。日本人が“中華料理”からイメージする、油で豪快に調理したような料理が豊富に揃っている。

 豪快に、とはいっても盛り付けは丁寧で、上品さがある。また、味も中華料理にしてもあっさりめで食べやすい。中華料理は「世界のどの国でもハズレが少ない」という声をよく耳にし、記者も同様の感想を持っているのだが、そういうニュアンスとも一線を画す、このお店ならではの味を感じられるお店だ。

 ちなみに、下にずらっと掲載した料理を10数名でシェアしていただき、料金は日本円で5万円弱。料理は1品1500円程度からで、予算感は、盛りだくさんに頼んで1人あたり3000~4000円といったところだろうか。味や見た目がよく、海外旅行らしさを感じられ、しかもコストパフォーマンスも上々、と記者個人としても非常に気に入ったお店だ。

「百富莊」(Bravo Palace)
 
所在地:
新口岸澳門漁人碼頭里斯本館第2座1樓
TEL:
+853-2872 5220
営業時間:
11時30分~15時、18時~23時30分
定休日:
無休
果物の風味がよく利いた酢豚
白身魚のソテー
レンコンの香り焼き
揚げ豆腐
周辺地域のマカオや珠海市などの伝統料理風に調理したというアヒルの煮込み
牛バラ肉の揚げ物
うなぎのソテー
“顔”付きの料理が苦手な人もいるかもしれないが、これは餅米を詰めたチキン
いわゆるお好み焼き風の料理。ソースもピリ辛で韓国料理のチヂミに近い
一見チャーハンのようにも見えるが、白菜、貝柱、アヒルの卵の黄身を蒸したもの
豚の挽肉を載せた白米を蒸したもの。見た目よりもベジタブルな風味が印象的だった
デザートは笹の葉を巻いて風味を付けたお餅(お団子)と、フルーツ盛り合わせ

ミシュランガイドにも載った、麺が自慢の「皇冠小館」

「竹升蝦子扮麺」

 マカオ滞在中に訪れたレストランの紹介としては最後になるのが「皇冠小館」(Wong Kung Sio Kung)だ。今回は、セナド広場と聖ポール天主堂の中間付近にある銀座廣場内の店舗を訪れた。

 同店は青竹を使って練ることでコシの強さを出す麺料理が自慢のお店で、ミシュランガイドにも掲載されているという。特に蝦子のふりかけを掛けた「竹升蝦子扮麺」(現地のメニューでは扮が繁体字)は麺の味わい、コシを堪能できる逸品だった。

 スープの麺料理も蝦子や豚骨などを煮込みつつ透明度の高いスープで、見た目の雰囲気よりも濃厚な味わい。蟹が丸ごと入ったお粥や、空心菜の炒め物のように、日本人が持つ中華料理の大胆さも堪能できる。

 予算感は料理によって幅があるが、1品あたり日本円で80パタカ(1200~1300円)程度が中心。ただ、下記の写真にある蟹のお粥は2100~2200円ほどとちょっとお高めな一方、ワンタンメンは550円ほど、平麺を使った牛肉入り焼き麺は750円とリーズナブルで、低予算からでも楽しめるのは魅力だ。

「皇冠小館」(Wong Kung Sio Kung)・銀座分店
 
所在地:
伯多祿局長街1-15號銀座廣場一樓J室
TEL:
+853-2837-1367
営業時間:
11時~22時
定休日:
無休
皇冠小館の銀座分店
「ワンタンメン」は38パタカ(550円)ほどの低価格で自慢の麺料理を味わえる
きしめんのような平麺の料理も
見た目のインパクトでは群を抜いている蟹のお粥
カキが入った卵焼き料理
ワンタンや小魚など揚げ物料理
空心菜やレタスなどを利用した野菜料理も豊富

エッグタルトだけじゃないマカオスイーツ

 さて、食事の締めといえばデザートと相場は決まっているので、この記事もスイーツで締めたいと思う。

 マカオのスイーツとしては「エッグタルト」が定番中の定番で、特に「ロード・ストウズ・ベーカリー」のエッグタルトは広く知られている。同店については前回の記事で紹介したので、詳しくはそちらを参照してほしい。

 個人的にもロード・ストウズ・ベーカリーのエッグタルトはお勧めだが、どうしても店舗へ立ち寄れない場合でも、マカオ内のパン屋さんやケーキ屋さんには大抵エッグタルトがある。本格的に食べ比べるまでは時間をかけられなかったが、これまでに紹介したウォーキング・コースに沿ってエッグタルトを食べ歩く……いや、むしろ、エッグタルト食べ歩きウォーキング・コースを考えてみるのも面白いかも知れない。

前回記事で紹介した「ロード・ストウズ・ベーカリー」のエッグタルト
こちらはふらりと立ち寄った「聖蘭」というお店のエッグタルト。写真右は同店で一緒に買ったマンゴーのロールケーキ。熱帯に近い地域らしく、マンゴーを使ったスイーツも多い

 マカオスイーツの話題になったときに、よく話題に出るのが「ミルクプリン」だ。特に「義順」のミルクプリンが知られており、マカオ旅行に言ったら話のネタにでも食べておきたいと思っていた。義順はセナド広場から南東方向に歩いてすぐのところにあるので、観光のついでに立ち寄りやすいのもポイント。

 義順の目印は、看板の「牛のマーク」。ここでは、あえて“マーク”と表現しているが、牛にかわいらしさのカケラもなく、マスコットキャラクターと呼ぶことに記者個人として抵抗がある。スイーツで有名なお店らしさがもう少し欲しいかな、というのが率直な感想である。

 それはともかく肝心のミルクプリンであるが、今回はプレーンなものと、紅豆(小豆のような豆)が乗った2種類を注文した。価格はそれぞれ30パタカと33パタカ。食してみると、“プリン”の響きからイメージするものとは、味も食感も異なっていて新鮮だった。独特な風味であるが、あえて表現するとすれば、ヨーグルトをさらに牛乳風味にしたもの、といったところだろうか。味も甘さが弱く、牛乳の風味が強い。量も多いので、牛乳が好きでないとスイーツを食べたあとの気持ちとはちょっと違った思い出が残るかも知れない。その意味でも、紅豆が乗っている方がお勧め。甘みも足され、味の単調さも回避できて食べやすかった。

 ちなみに記者は冷えたミルクプリンしか頼んでいないが、温かいミルクプリンも選べる。こちらは食しておらず、ホットミルクのような味わいなのかな、と想像はしているのだが、チャレンジしなかったことを少々後悔している。

義順のミルクプリン
ネオンが切れているのはご愛嬌としても、牛の姿に愛嬌が足りない……
こちらが標準的なミルクプリン
紅豆を乗せたミルクプリン。初挑戦の人にはこちらがお勧め

 続いて紹介するのは、同じくセナド広場近くの福隆新街にある「甜香園麥師傅甜品」というお店。フルーツや野菜などをスープ風に甘く仕立てた、さまざまな商品を提供していた。メニューは豊富で、料金も300~450円程度と安い。

 ここでは「楊枝甘露」というメニューを頼んでみた。香港でも目にしたことがあったので安心して頼んだのだが、マンゴーにココナッツミルクなどを加えてスープ風にし、ここにタピオカとグレープフルーツのような味わいの柑橘系の果肉が入ったスイーツだ。

 マンゴーの甘みのなかに柑橘系の酸味があり、タピオカの食感もあって食べていて飽きない。実は先述のミルクプリン×2個を食べた直後に訪れたのだが、あっさりと完食してしまった。

 なお、店先のメニューには商品の写真が数種類しか載っていないが、メニューそのものは中国語表記、つまり漢字で表わされているので、何が入っているものなのかを漠然とでも理解することはできる。

「甜香園麥師傅甜品」で注文した「楊枝甘露」
観光客向けではなく“地元のお店”感が色濃いお店
表にメニューが張り出されているので、紙にメモをして店内に入ると頼みやすいだろう
「楊枝甘露」。ざっくり言い表わせば“マンゴーのスープ”。ここにタピオカや柑橘類の果肉を入れたもの

 さて、途中「佛笑樓」の項でも触れた、マカオ滞在中の課題となっていた「セラドゥーラ」について紹介したい。セラドゥーラは、コンデンスミルクのクリームと砕いたクッキーを“層”にしたスイーツだ。

 先に紹介した佛笑樓では、ちょっと堅めのクリームの固まりに砕いたクッキーが振りかけられたスタイルで、味はよいのだが食感がイマイチな印象が残った。

 では……ということで、その佛笑樓の2件隣にある、その名も「SERRADURA」(沙度娜、セラドゥーラ)というお店でも購入してみた。ここは、クリームの味付けが異なるさまざまなセラドゥーラが売られており、選ぶ楽しさもある。

 記者はここで、アイスケーキ風にした「セラドゥーラアイス」と、マンゴーと緑茶が入ったセラドゥーラを購入。どちらも甘すぎず食べやすい味わいで、日本円で200円程度で購入できる安スイーツとしてはかなりレベルが高い。セラドゥーラを試してみたい人にはお勧めできるお店だ。

 ただ、緑茶のマンゴーのセラドゥーラはアイスではないものを頼んだのだが、やはりちょっとクリームの量が多く堅め。食感への印象は佛笑樓のものと同じで、“層”になっていないことも含めてモヤモヤが残る結果となった。

セラドゥーラアイス。アイスケーキなので-18℃の保存温度が指示されている
ちょっと溶けてしまった状態だが、ふわっとした食感が出て、これはこれでよかった
こちらは緑茶とマンゴーのセラドゥーラ。クリームは固めだがマンゴーと緑茶という不思議な組み合わせの風味が楽しめた

 ただ、マカオ観光局のガイドさんによれば、これは本格的なセラドゥーラではないという。そんなわけで最終日前日、つまり最後の夜に、お勧めと紹介されたセラドゥーラを味わいに足を伸ばしたのが、グランド・ラパ・ホテルにある「カフェ・ベラ・ヴィスタ」だ。

 ここのセラドゥーラは48パタカ(約750円)と、値段だけ聞くとちょっと高いかな、と思う程度の価格だが、実物を見ると相応の価値を感じる。

 なんと言っても、まずはその美しさに息をのむ。そして、柔らかいクリームとさくさくとしたクッキーの食感、やや控えめで食べやすい甘さの味わい。クリームとクッキーの味をリセットしてくれるチョコレートも絶妙だ。

 このような仕上げのもう少し庶民的なセラドゥーラを食べることなく最上級レベルのものを食べてしまったようで、正直なところ、いきなり20段の跳び箱を超えてしまったような感覚に襲われた。とはいえ、短期間の旅行であれもこれもというのは現実的に難しいし、無理のない値段で最高のものを味わえたのは幸せなことだと思っている。

グランド・ラパ・ホテル内にあるカフェ・ベラ・ヴィスタのセラドゥーラ
耳にしていたイメージそのままの“層”になったセラドゥーラ
芸術的な仕上げだ。描かれているマークはグランド・ラパ・ホテルのマーク。

 以上、マカオ観光局が実施した視察ツアーのレポートを5回に渡ってお届けしてきた。マカオに何度も訪れている人にはオーソドックスな旅に映ったかもしれないが、今回は広くマカオを紹介する内容ということでご容赦いただきたい。

 記者は今回の視察ツアーが初めてのマカオ訪問だったこともあってすべてが新鮮だったのだが、マカオにはさまざまな旅のニーズを受け入れることができる“資源”があって、その資源1つ1つが非常に強力であることに驚いた。これが率直な感想だ。

 レポートでお伝えしたスポットで好みに合う場所があったならば、ぜひ訪れてみてほしい。IRであったり、洋風建築であったり、世界遺産であったり、それぞれがとても魅力的なので、満足できる旅ができると思う。

編集部:多和田新也