旅レポ
デナラウから30分で行ける絶景ビーチへ。プライベート感たっぷり、真珠色の砂浜を独り占め?なフィジーの旅
2024年6月22日 08:00
前回はナンディ国際空港に着いただけで終わってしまったが、2回目からはいよいよフィジーの情報をお届けする。
フィジーを訪れた観光客がなにに困るかといえば、移動手段だろう。乗客を乗せることができる鉄道はもちろんない(このわざとらしい言い回しは次回以降のための前振りだ)し、ハワイのように空港からワイキキまで観光客用のバスが用意されているなんてこともない。一応、予約制の長距離バスや路線バスも走ってはいるものの、一見の観光客には利用しづらい感じ。必然的にタクシーもしくはレンタカーがメインの移動手段となってしまう。
今回はあまり利用していないので話を聞いた程度になってしまうが、まずタクシーはメーター制と固定料金制の2タイプがあるようで、言葉はわるいが「ボッタクリ」もままあるとか。とはいえ、日本ほど高くはないので、乗車前にドライバーとキチンと交渉しておきたい。
例えば、多くのリゾートホテルや離島へのゲートウェイとなるデナラウ港が位置する「デナラウ島」までは20~30分ほどかかるものの、料金は30フィジードル程度。日本円にすれば約2300円といった感じ(1フィジードル=約77円換算)。
一方、自由度が高いのはやはりレンタカーだが、当然ながら国際免許証が必要。左側通行なのでなじみやすい点はプラスだが、運転に独特の激しさがあるようで「日本で毎日運転している人なら大丈夫かな(移動を担当してくれたドライバー談)」とのこと。逆に言えば「運転に慣れていないとアブナイ」ってことだ。
長時間のフライトで疲れた体をスパと温泉でケア
空港をあとにして最初に向かったのは「NAMA FIJI(ナマ フィジー)」のファクトリーアウトレット(Lot 4, Motorex Industrial Park Nadi Backroad)。
ナマ フィジーは「ナマ(海ぶどう)」を主成分とする植物由来および天然由来のスキンケア商品を販売するプレミアムブランドで、フィジーと太平洋諸島の5つ星ラグジュアリースパで採用されているほか、北米やニュージーランド、香港などで販売しているという。
空港からクルマで5分ほどの工業団地内に新設されたこの施設では、同ブランドの商品を直接購入することができるほか、フィジー産のお土産やギフトなども販売。また、ここにはスパの技術を教えるアカデミーを併設しており、卒業生は国内のホテルなどで活躍しているそうだ。そういった関係から施設内にはスパも用意しており、アウトレットならではの料金で受けることが可能。
おっさんで申し訳ないと思いつつも実際に「スウェディッシュマッサージ」(60分、60フィジードル、約4600円)を受けてみたけれど、そうとうに肩が凝っていると判断されたのかゴリゴリと重点的にほぐされ、フライトの疲れが一気に解消したのだった。ちなみに女性向けにワクシング、ボディマッサージ、マニキュア、ペディキュア、フェイシャルなども行なっており、こちらは24時間前までに予約してほしいとのこと。予約時は公式サイトに「問い合わせ先」があるので、そこからメッセージを送ればよい。
なお、情報として住所を載せておいたが、原稿執筆時点ではGoogleマップにまだ登録されていないようだ。
続いて向かったのはナンディの街中にあるナンディマーケット。完全に地元向けの市場でとにかく多くの人でにぎわっている。薄暗い建物のなかには多くの店が並び、伝統的な儀式「カヴァセレモニー」で使われるカヴァの根やフルーツ、鮮魚などがところ狭しと並べられ、販売している。
日本でも見るようになった小ぶりのりんごはオーストラリア産だが、パイナップルやバナナは地元産だという。条件が違いすぎるので直接日本の価格と比較はできないものの、単純にフルーツとしてみれば格安といっていい。キッチンがあるホテルに滞在するなら購入していくのもよさそうだ。
そこから少し歩いたシビックセンターの一角にはハンドクラフトマーケットがある。ここは地元民による手工芸品を販売する市場で織物や木工品、アクセサリーなどを販売する店が軒を連ねている。少し覗いてみると誰もいないお店がチラホラあるが、よく見ると店頭に「I'm on FIJI TIME. NO HURRY NO WORRY」と彫られたプレートが置いてある。要は「ちょっと席を外すけど、ここはフィジーなんだから慌てなさんな(超意訳)」ってことらしい。さすが南国と変にナットクをしていたが、実は売り物でもあるようだ。合理的ですな。
再びクルマに乗ってクイーンズロードを北に向かい、10分ほど走ってから今度は山方向へ曲がり未舗装のダートを走る。初回からビーチリゾートだなんだと煽りつつ、いまだビーチどころか海の“う”の字も出てこないが、これもまたフィジーなのである。
サトウキビやマンゴーの畑を横目にしつつ、着いたのは「MUD POOL(泥温泉)」。なんでもフィジーには8つの温泉スポットがあり、うち2つが泥温泉だとか。このSABETO(サベート)には2件の施設が並んでおり、今回おジャマしたのは「Tifajek(ティファジェク)Mud Pool Hot Spring Tours and Transfers」。
最初に泥温泉と聞いたときは「指宿の砂蒸し風呂みたいな感じに泥のなかに入るのかな」と想像していたが、実際は自分で体に泥を塗って乾かしてから温泉に入り、泥を落とすのだという。更衣室で水着に着替え、サンダルを履いて、いざチャレンジ。泥の入った桶に手を入れてみると、ざらざら感はまったくなくクリーミーな感じ。髪の毛も含めて全身に塗れというアドバイスを受けたものの、撮影できなくなってしまうので頭は遠慮させていただいた。最初、遠慮気味にぬりぬりしていたが、だんだん楽しくなってきて最後は手に山盛りにしてベタベタと。ん十年前を思い出してちょっと楽しくなってくる。
しばらく経つと泥が乾いてきて青っぽくなり、肌が突っ張った感じに。気化熱で肌寒く感じてきたこともあり、温泉に飛び込む。最初のプール(湯船)は源泉から一番離れたところにあって、かなりぬるめの温水プールといった温度。湯船の中心部へと進んでいくと足首の上あたりまでズブズブと泥のなかに沈み込んでいく。気持ちいいのか気持ちわるいのかよく分からない印象を受けつつ、泥の大半を落としたところで隣の湯船へ。こちらは水温が少し高くなり、長時間浸かっていたいような気分。
遠くにはコロヤニトゥ国立公園へ連なる山々、周囲は高原のような開けた草原、どこからともなくというか、少し離れた横の敷地を歩いている牛が「モー」とのんきな鳴き声を響かせているなど、牧歌的なのんびりとした雰囲気が漂う。
風呂から上がるとそれまでの蒸し暑さも気にならなくなり、さらさらと吹く風がとても心地よく感じる。心なしか(おっさんの)肌ももちもちだ。同行していた女性記者も同様の感想を述べていたので、間違いなくお肌にはよさそう。場所的には行きづらいところだが、公式サイトから送迎を含めたツアーを申し込める。個人旅行ならこれが簡単だろう。もちろん、直接現地でも大丈夫なようで、大人1人40フィジードル(約3000円)。マッサージを受けることも可能で、20フィジードル(15分)からとなっている。
ようやくのビーチリゾートへ
この日からしばらくの宿はデナラウ島にある「Hilton Fiji Beach Resort and Spa(ヒルトン フィジー ビーチ リゾート&スパ)」。
ビーチに沿って横に長い敷地に複数の部屋が1つになったヴィラタイプの客室が連なっており、それにあわせてプールやレストラン、スパなどが並んでいる。敷地内は電動カートが巡回しており、遠くの部屋でも重い荷物を持って移動しなくても済む仕組みだ。
客室は1ベッドルーム(大人3名まで)から3ベッドルーム(大人7名まで)と幅広く用意しており、ガーデンビューまたはビーチフロントといった眺望、キッチンや乾燥機付きランドリーなど設備の有無などで料金は異なる。公式サイトによれば519フィジードル(約4万円)からとのこと。ガーデンビューの方が安く設定されているが、それほど大きな差ではないので、空いているならビーチフロントがオススメ。ただし、1階または2階を選ぶことはできないそうだ。
宿泊したのは1ベッドルーム ビーチフロントで、キングサイズのベッドを備えたベッドルームのほか独立したリビング&キッチン、それにランドリーまである豪華な部屋。1階だったためリビングを出ると、そのままビーチまで歩いて行けるというまさにビーチリゾートな感じで、ひとりで使うには正直もったいないぐらい。水着やタオル、シャツなどをいつでも洗濯できるランドリーはとても重宝した。
翌朝、レストランへと通路を歩いていると、ホテルのスタッフから「Bula!」と声をかけられる。見えないところからも大きな声であいさつされるので最初はビックリするが、これは「こんにちは!」的な意味。発音は「ブラ」とか「ブラー」のような感じ。日本語の「おはよう」のように時間的な使い分けはないので、とりあずBulaと言っておけば済む。とても分かりやすい。
もう1つ覚えておくと便利なのが、ありがとうを意味する「Vinaka」。読みはそのまんま「ヴィナカ」だが、「ナカ」「ナカー」と略されることも多いようだ。「(真ん)なかー」みたいな。
朝日に照らされるビーチを眺めながらビュッフェタイプの朝食をいただいたあとはデナラウ港へ。タクシーでもよいけれど人数が少なければ島内を巡回している「Bula Bus」での移動もアリ。1日券が11フィジードル(約850円)なのでホテル巡りなど何度も乗り降りするような使い方をするなら便利だろう。
デナラウからわずか30分の絶景リゾート
デナラウ港はママヌザ諸島やヤサワ諸島へのフェリーが発着する、いわば海の玄関口となっており、多くの観光客でにぎわっている。ここにはクルーズ会社のチェックインカウンターが並ぶパッセンジャーターミナルのほか、ショッピングが楽しめる小売店、カフェやレストランなどがある「THE PORT AT DENARAU」が隣接。飲み物やスナックを手頃な価格で販売するコンビニ的なショップもあり、ホテルに戻る前にちょっと寄り道して調達しておくのがオススメだ。
今日の目的地はデナラウ海に浮かぶ珊瑚礁に囲まれた小さな島「Malamala Beach Club(マラマラ ビーチ クラブ)」。デナラウ港からわずか30分ほどの船旅で到着できる、青い海と白い砂浜を満喫できるスポットになる。ちなみに第1回の冒頭の写真のスポットがここ。
マラマラ ビーチ クラブへは、デナラウ港周辺のホテルからの往復送迎とフェリーの料金を含んだツアーを利用する。宿泊施設がないため終日・半日と日帰りのパッケージを用意しており、終日の場合はデナラウ港を9時30分または10時に出港するフェリーに乗り、現地を16時15分または17時15分に出港するフェリーで戻るパターン。半日の場合は12時にデナラウ港を出港するフェリーを利用、帰りは終日と同じになる。島内ではタオルのほかモーターを使わないスポーツ用品を無料でレンタルすることができ、終日で179フィジードル(約1万4000円)、半日は159フィジードル(約1万2000円)。飲食は別料金だ。
この日はまだまだ雨季と乾季の狭間ということもあり、抜けるような青空は望めなかったものの、それでも島へと誘う長い桟橋からは透明度が高く緑色にも見える海と真珠色のビーチが出迎えてくれた。
同時に少し驚いたのは日本の海ではおなじみの「塩臭さ」がまったくないこと。遮るものがほとんどないだけに、時折吹く風も爽やかに感じられる。
上陸後はレセプションでタオルを受け取って島内を散策。所々に用意されたビーチベッドを利用してもよいし、別料金となるもののプライベート感満載な「ビーチサイド カバナ」や「プールサイドデイベッド」で過ごしてもいい。我々はといえばぐるっと島内を一回りしたあと、シュノーケリングに挑戦してみることになった。
レンタルの水中マスクとシュノーケル、フィン、救命胴衣を身につけて海へ向かう。曇り空で少し波は高いものの海岸から20mも離れるといたるところに鮮やかな珊瑚と魚たちの姿が! 1万円ほどで購入できる格安アクションカムで動画を撮ってきたのでぜひ見ていただきたい。動画の質としてはまったくほめられたものではないけれど、フィジーの海の美しさは伝わるはずだ。もし、この場に出かけるなら高いものではなくてもいいので、こういった機材を用意していった方が間違いなく楽しめる。
まだまだ楽しみたい気分に後ろ髪を引かれつつ、チャーターしたボートでデナラウ港へ戻り、この日夕方から開催される「フィジー ツーリズム エクスチェンジ(FTE)」の現場へと向かうことに。この模様は別記事で紹介しているので、興味があればチェックしていただきたい。