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フィジーの今が分かる「Fiji Tourism Exchange 2024」。宿泊施設の開業・改装ラッシュ続く

2024年5月5日~7日(現地時間) 実施

フィジー ツーリズム エクスチェンジが開催されたシェラトンフィジー ゴルフ&ビーチリゾート。コンベンションセンターの機能も備えている

 フィジー政府観光局は、シェラトンフィジー ゴルフ&ビーチリゾート(デナラウ島)で、「Fiji Tourism Exchange 2024(フィジー ツーリズム エクスチェンジ)」を5月5日~7日(現地時間)に開催した。

 本イベントは旅行関連業者やメディアを招き、ホテルや運輸、アクティビティなどに関わる現地サプライヤーによる商談会やセミナーを行なうもの。コロナ明けとなる今回は90社を超える企業が出展するとともに、日本を含む世界中から100社を超える旅行関連業者やメディアが参加する大規模なものとなった。

旅行業者向けの商談会会場。フィジーエアウェイズは尾翼を展示していた
人気のカフェによる試飲サービスも用意していた
メディア向けセッションを実施

 メディア向けセッションでは最初にACTING PRIME MINISTER&MINISTER FOR TOURISM AND CIVIL AVIATION(首相代理 兼 観光&民間航空大臣)HON.VILIAME GAVOKA(ヴィリアーム・カヴォカ)氏が登壇。

首相代理 兼 観光&民間航空大臣 ヴィリアーム・カヴォカ氏

 カヴォカ氏は「2023年、フィジーは記録的な92万9740人の観光客を受け入れた」と前置きし、その多くがオーストラリアとニュージーランドであり、北米からも大きく増加したと説明。そのほぼ80%が休暇を目的として訪れており、観光がもたらす経済効果は年間30億フィジードルを超える規模となったと述べ、誇りに思うとともにこの先もフィジーは有望な旅行先になるだろうとコメントした。

 また、フィジーでは「毎年、技術、サービス、体験など、新たな進歩を発表している」と述べ、「Crowne Plaza(クラウンプラザ」)および「Waya Island(ワヤ・アイランド)」がオープンしたのをはじめ、「Westin Denarau(ウェスティン・デナラウ)」「Vatu Talei(バトゥ・タレイ)」「Radisson Blu Mirage Resort(ラディソン・ブルー・ミラージュ・リゾート)」「Fiji Naisoso Island(フィジー・ナイソソ・アイランド)」「Hilton Garden Inn(ヒルトン・ガーデン・イン)」「Wyndham Garden Wailoaloa Beach(ウィンダム・ガーデン・ワイロアロア・ビーチ)」「Rydges Wailoaloa(リッジス・ワイロアロア)」がまもなくオープン。

 さらに「Royal Davui(ロイヤル ・ダブイ)」「Yasawa Island Resort&Spa(ヤサワ・アイランド・リゾート&スパ)」「Outrigger(アウトリガー)」「Yatule Resort&Spa(ヤトゥレ・リゾート&スパ)」「Tokoriki Island Resort Fiji(トコリキ・アイランド・リゾート・フィジー)」では大規模な改装工事が行なわれるなど、より多くの観光客を迎える準備が整ってきているとした。

 一方で近年重要視されるサステナビリティについては、環境と社会的価値を維持しながら経済成長を遂げることを目標としており、手付かずの自然環境と文化的独自性を将来の世代のために維持することに注力していくという。

フィジー エアウェイズ チーフ・マーケティング 兼 セールスオフィサー アクイラ・バティウェイ氏

 続いて、FIJI AIRWAYS CHIEF MARKETING&SALES OFFICER(フィジー エアウェイズ チーフ・マーケティング 兼 セールスオフィサー)AKUILA BATIWETI(アクイラ・バティウェイ)氏が登壇。

 同社は「We Fly for Fiji」を掲げ、3か年戦略計画として「航空会社の持続可能なネットワーク成長、収益の最大化、製品とサービスの向上、観光産業とフィジー経済の継続的な推進」に関する目標を設定しているとコメント。

 ナショナルエアラインである同社が国家の発展において重要な位置を占めていると述べ、その理由として「フィジーへの全訪問者の70%」をカバーしていることを挙げた。これは「国内総生産の45%を占める地元の観光産業を支える戦略的国家資産としての重要性を反映している」ことに加え、同社で販売する「すべてのチケットは外貨がフィジーに流入します」と説明した。そのうえで「2023年に210万人以上の乗客を運ぶという新記録を達成」しており、2022年から57%の成長を遂げているという。

 2022年と比較した2023年の全体的なネットワーク成長率は約47%であり、内訳は北米17%、アジア276%、オーストラリア21%、ニュージーランド64%、太平洋諸島421%、そして国内 23%。そして2024年の全体的な成長率は、すでに2023年を約9.5%上回ると予測している。

 この結果をもたらしたのは「オーストラリア、ニュージーランド、北米の好調な業績」「オーストラリアのキャンベラ、カレドニアのヌメアへの新規路線開設」「アデレード、香港、東京へのフライト再開」「カナダのバンクーバーへの通年運航」などによるもので、国際線、地域便、国内線は2022年から40%増加となる2万6586便を運航した。

 これらにより「SKYTRAX 2023 Awards」において、オーストラリア・太平洋地域のベストエアライン、ベストエアラインスタッフ、ベストエアラインサービスを獲得したほか、グローバルトップ100エアラインランキング15位、グローバル トップ クリーン エアライン ランキング16位、グローバル客室乗務員ランキングトップ20において12位などを獲得。また2年連続でAPEX 5スター メジャー エアライン アワードを受賞し、ハッシュタグ アジア アワードのベストセラー/コマースキャンペーンの金賞を受賞するなど、高い評価を受けているという。

 一方、課題としては燃料価格の上昇および多くの地域におけるインフレ、そしてバリ島やハワイなどビーチリゾートとの競合を挙げた。

 こうした課題についてはコストの削減や生産性の向上、競合他社との比較による航空運賃の適正化、機内商品やサービスにフィジーならではの体験をプラス、ほかの航空会社とのネットワーク接続の強化などを解決策として挙げた。こうした対策は「当社の業績に計り知れないプラスの影響を与えるでしょうが、最適な長期的な解決策はネットワークを拡大」することだと述べ、未開拓の市場へも積極的に展開していくことで顧客の確保に努めたいとした。

 地域別の戦略では、北米では新しい直行便、コードシェア便、インターライン契約の模索、ブランド強化のために有名なスポーツチームとのスポンサーシップ契約など。オーストラリア、ニュージーランド、太平洋地域では、オーストラリアの首都キャンベラとの週3便化、新規路線としてニューカレドニアのヌメアへ週2便運航するなど、「南太平洋地域から世界への主要な玄関口であり続け、9つの空港に就航し世界のほかの地域との一貫したシームレスな接続を提供」していくとした。

 また、新たなサービスとしてナンディ空港のプレミアラウンジにおいて、フィジーならではの体験としてシェフズテーブルを提供。従来のビュッフェ形式ではなく、地元の旬の食材を使ったフィジー料理を前菜、メインコース、デザートといった4コースをプライベートダイニングルームで楽しむことが可能。このサービスはメールでの事前予約が可能で、ランチは1セッション、ディナーは最大2セッションを提供する。

ツーリズム フィジー チーフ エグゼクティブ オフィサー ブレント・ヒル氏

 最後に、TOURISM FIJI CHIEF EXECTIVE OFFICER(ツーリズム フィジー チーフ エグゼクティブ オフィサー)BRENT HILL(ブレント・ヒル)氏が2023年におけるフィジー観光の状況を振り返った。

 2023年にフィジーを訪れた観光客は92万9740人で、オーストラリアからは過去最高となったほか、ニュージーランドや北米、そしてバンクーバーやトロント、中国からも観光客が訪れていると説明。

 観光による経済効果は33億フィジードルにおよび、ホテルの稼働率は全体で70~80%となっており、これは約1万4000室に相当するという。だが、ハイクラスのリゾートホテルにおいては稼働率が80~90%と驚異的な高水準にあり、さらに5000室程度が必要になってくると述べた。2024年の第一四半期においては約10%増加しており、今後さらなる客室数の増加により、今後4年間で経済効果を43億フィジードルまで伸ばすこができると信じていると期待を込めた。

 そのためにはフィジーブランドを世界中に広める必要があり、上海や北京、ニュージーランドでのプロモーション、ラグビーやサーフィンなど国際的なイベントの開催、そして新たな観光資源としてトレッキングやサイクリングといった内陸部への冒険体験を用意していると述べた。

 また、サステナビリティへの取り組みとして、フィジーの海岸や河川に流れ着くプラスチック廃棄物を清掃するキャンペーンを実施するほか、再生可能エネルギーや太陽光発電の導入、EV車への移行なども多くのリゾートで進行しているという。

 フィジーでは今後も多くのホテルがオープン予定であり、2024年の訪問者数は96万6000人で4%増、34億フィジードルの経済効果を目標にしている。現時点では目標を上回っており、ひとつの節目となる100万人という数字にも近づいている。今後、フィジーエアウェイズの新路線開設、新しいホテルの誕生などにより「私たちは確実にそこにたどり着くでしょう」と締めくくった。

2023年の概要
訪問客数の変遷
各地でのマーケティング
イベント開催
新たな観光資源
サステナビリティへの取り組み
新規およびリニューアルするホテル
2024年の目標

Crowne Plaza Fiji Nadi Bay Resort&Spa

 ナンディ国際空港から約5km、ワイロアロアビーチ沿いのナンディベイに位置する。同ホテルはインターコンチネンタル フィジー ゴルフ リゾート&スパ、シックスセンシズ フィジー、ホリデイ・イン スバ、グランド パシフィック ホテル スバに続く、IHGホテルズ&リゾーツのプレミアムコレクションの最初のひとつに数えられる。

 2024年5月に大規模改装と拡張の第1段階を完了し、現時点では106室の予約が可能。最終的には324室のプレミアムゲストルームとスイートを備え、7つのレストラン、10種類のレストラン&バー、最先端のコンベンションセンターなどを備える大型リゾートホテルとなる。

クラウンプラザ フィジー ナンディ ベイ リゾート&スパ

IHG Fiji Hotels

 フィジー最大の金融機関であるNFPF(フィジー・ナショナル・プロビデント・ファンド)が所有するIHGフィジー・ホテルズは、ナタドラベイに位置するインターコンチネンタル フィジー ゴルフ リゾート&スパ、そしてスバに位置するグランド パシフィック ホテル、ホリデイ イン スバを傘下に収める。

 同ホテルではプラスチック製のカードキーを廃止し、竹の代替品を採用するほか、堆肥化可能な使い捨てカップの採用などによりプラスチック廃棄物を削減。さらに砂浜から海藻やゴミなどを除去するビーチクリーナーの導入、従業員やゲストなどによるビーチクリーンなどの取り組みを実施している。

IHGフィジー・ホテルズ

Marriott International Hotels Fiji

 30以上のホテルブランドを擁するマリオット。フィジーではシェラトンブランド3ホテル、マリオットブランド1ホテル、そしてリオープンを控えたザ ウエスティン1ホテルを展開。

 ナンディ国際空港に近いデナラウ島にシェラトン フィジー ゴルフ&ビーチリゾート、シェラトン デナラウ ヴィラズ、ザ ウェスティン デナラウ アイランドリゾート&スパ フィジー、デナラウから南のモミにフィジー マリオット リゾート モミベイ、デナラウ港から1時間ほどのママヌザ諸島トコリキ島にシェラトンリゾート&スパ トコリキ島 フィジー(現在改装中)を開業する。

マリオットインターナショナル

SPTO

 SPTO(South Pacific, the Pacific Tourism Organisation)は、この地域で唯一の観光のための政府間地域組織。1983年に設立されフィジーのスバに拠点を置き、太平洋の20か国と100社以上の民間企業が加盟している。持続可能な観光開発をビジョンとし、2030年に向け「Pacific Sustainable Tourism Policy Framework(PSTPF/持続可能な観光政策)」に取り組んでいる。

SPTO

Waidroka Bay Resort

 スキューバダイビング、サーフィン、ウォータースポーツのアドベンチャーリゾートとなるワイドロカ・ベイ・リゾートでは、宿泊するすべてのゲストが無料で参加できるウェルネスプログラムを導入。

 新しく改装されたヨガスタジオで経験豊富なインストラクターによるヨガクラスを毎日開催するほか、瞑想と呼吸法の指導、健康的な食品の選択肢を提供するなどゲストの好みに合わせて体験できるプログラムを用意している。

ワイドロカ・ベイ・リゾート

Yasawa Island Resort&Spa, Fiji

 ナンディ国際空港から小型飛行機に乗り専用滑走路までおよそ30分。ヤサワ諸島北部に位置するヤサワ島はフィジーでもっとも人里離れた手つかずの島のひとつと言われる。7000エーカーの敷地にはフィジースタイルのバンガロー18棟が並び、眼前の白い砂浜と海を存分に楽しむことができる。

ヤサワ・アイランド・リゾート&スパ、フィジー

Captain Cook Cruises Fiji

 キャプテン クック クルーズ フィジーは2023年11月に進水した新型クルーズ船「MSカレドニアン スカイ」をフィーチャー。冒険好きな旅行者のために特別に作られた小型船は57室114名のゲストを乗せ、大型船ではアクセスできない島々への訪問を可能にする。

 滞在地ではフィジーの伝統的な文化やパフォーマンスに触れられるほか、サンゴ礁を眺めるカヤック、スタンドアップパドルボード(SAP)、シュノーケル用具を用意しており、手付かずの海を探索できる。

キャプテン クック クルーズ フィジー

iBike Fiji

 6月にサービスを開始する電動自転車によるガイド付きオフロードツアー。設立者であるブラッド・キャンベル氏は「フィジーには観光客に自然の素晴らしさを見せるために、驚くほど多様なウォーターアクティビティ事業者やツアー会社があります」としながらも、「iBike Fijiでは、田舎の田園地帯を探索する自転車体験を提供することで提供内容を多様化しています」と述べた。

iBike Fiji

Nama Fiji

 海ぶどうを原料としたプレミアムスキンケア製品などを販売するナマフィジー。新たにナンディ国際空港至近のモトレックス工業団地にファクトリーアウトレットを出店。同社のスキンケア製品はもちろんフィジー製ギフトを販売するほか、マッサージやスパ体験も提供する。

ナマフィジー

OUTRIGGER Fiji Beach&Resort

 ハワイをはじめとしたビーチフロントを中心に観光開発を手がけるアウトリガー・リゾーツ&ホテルズ。ナンディの南に位置するアウトリガー・フィジー・ビーチ・リゾートは、2023年12月に大規模な改修を終了、フィジーの魅力を維持しながら現代的なリゾートに生まれ変わった。

 また、改装の一環として新たなアクティビティやシガトガ砂丘へのツアーなどを導入するとともに、オールインクルーシブでこれらのアクティビティが楽しめる「アウトリガー・アドベンチャー・パス」も導入。

アウトリガー・フィジー・ビーチ・リゾート

Paradise Taveuni Resort

 ナンディ国際空港から国内線で東へおよそ1時間、タベウニ島南端にあるわずか16室のベストダイブリゾート。ホテルからはレインボーリーフを含む40以上のダイビングスポットにアクセス可能で、初心者から上級者まであらゆるタイプのダイバーが楽しむことが可能。

パラダイス・タベウニ・リゾート

Rosie Fiji

 ロージー・トラベル・グループでは2台の新しい4輪駆動サファリバスを導入。エアコンを完備した29人乗りのバスで、ナンディ国際空港のあるビチレブ島の高地や内陸部へのオフロードツアーが楽しめる。

ロージー・フィジー

Royal Davui Island Resort, Fiji

 ビチレブ島の南、ベカラグーンのプライベートアイランドにある ロイヤル・ダブイ・アイランドリゾート。生きたバリアリーフの上に建つエコリゾートは16棟のヴィラとバンガローのみで最大32名とプライバシーが保たれた空間。現在100万ドルを投じた大規模な改装工事を実施中。

ロイヤル・ダブイ・アイランド・リゾート

South Sea Cruises

 デナラウ港からわずか30分の場所にある世界初のビーチクラブ「マラマラビーチクラブ」などを手がけるサウズ・シー・クルーズ・グループ。リゾート送迎サービスと究極のシュノーケリングアドベンチャーを提供するために、2隻の高速双胴船による「South Sea Cats」ブランドを立ち上げる。この新型船の導入によりトコリキ島とマタマノア島への朝の送迎、マロロ島とキャスタウェイ島のリゾートへの夕方の送迎を追加で提供する。

サウズ・シー・クルーズ

Waya Island Resort

 ヤサワ諸島南端のワヤ島にこの2月にオープンしたワヤ・アイランド・リゾート。合計18室のヴィラとコテージには屋内と屋外にシャワーを備えるほかエアコン、各部屋およびリゾートのメインエリアでの衛星Wi-Fi、無料のボトル入り飲料水、ピュアフィジー製品、およびリゾートで見られるすべての通常の設備が備わっている。

 ガイド付きハイキングでは素晴らしい山の景色とワヤ島の最も美しいスポットが見られるほか、ビーチではスタンドアップパドルボード、カヤック、水泳、ビーチからのガイド付きサンゴ礁シュノーケリングツアー、干潮時のサンゴ礁の散歩なども楽しめる。

ワヤ・アイランド・リゾート