旅レポ
なにこの透明度……! 圧巻の青い海と空が待ってる南半球のビーチリゾート・フィジーは海外旅行ビギナーにも超お勧めだった
2024年7月16日 12:00
南太平洋のビーチリゾート、フィジーの旅もついに最終回。
後ろ髪を引かれつつフィジー マリオット リゾート モミ ベイをあとに、三度目となるデナラウ港に。フィジーでビーチリゾートを楽しむなら、ここは外せない場所のようだ。そして9時30分に出航する「South Sea Cruises(サウス シー クルーズ)」のフェリーに二度目の乗船。マラマラ ビーチ クラブに行くときには専用の送迎船だと思っていたのだが、実はママヌザ諸島に点在するリゾートへの送迎を担っているのだった。
ほぼ満席状態で出港したフェリーは、まずマラマラ ビーチ クラブに接岸。ここで半数近い乗客が降りていった。そこを過ぎるといよいよママヌザ諸島で、ナンディからおよそ20~30km西方に位置するこの島々は、満潮時には水没してしまうものを含め20あまり。アメリカで人気のリアリティショーシリーズやサバイバル映画のロケ地としても知られているようだ。
そのなかでもマロロ島は一番面積が広く、西側の海岸にリゾートが集まっている。フェリーは一度マロロ島の北側を通過して「マナ アイランド リゾート&スパ フィジー」「キャスタウェイ アイランド, フィジー」と寄港。そのたびに少しずつ乗客が入れ替わっていくのは、チェックアウトした乗客をデナラウ港まで送るためか。そして、ルートの最後に立ち寄るのが最終日の宿となる、マロロ島の「Likuliku Lagoon Resort(リクリク ラグーン リゾート)」だ。
ここを訪ねるには今回乗った朝便、または午後に2便設定されているフェリーが基本。まぁ、セレブなゲスト向けにはヘリポートも用意されているが。交通機関が限られているのはプライベート感や秘境感を高めている半面、気軽に訪ねるのが難しくなってしまう一因でもある。
だが、「Fiji Tourism Exchange 2024(フィジー ツーリズム エクスチェンジ)」のカンファレンスにおいて、サウス シー クルーズは新たに2隻のフェリーを導入し夕方便を追加すると発表した。もう少しこうしたリゾートが訪れやすくなるようだ。
リクリク ラグーン リゾートはマロロ島の北西にある入り江に位置する。海を隔てた正面にあるキャスタウェイ島が波を遮ることから、“穏やかな海”を意味する「リクリク」と名付けられたそう。
ここを利用できるのは18歳以上。つまり大人のためだけのリゾートってワケだ。うれしいことに公式サイトが日本語に対応しているほか、専用のスマホアプリも用意されている。こちらも日本語対応だ。
フェリーから小舟に乗り換えて船着き場に着くと、スタッフが出迎えてくれ、歓迎のレイのプレゼント。すぐ横のバーでウエルカムドリンクをいただいたあとは、桟橋を渡ってレセプションへ。桟橋の下には広い砂浜が広がっており、干潮時は砂浜となるが満潮時には浅瀬となるらしい。
ビーチフロントには小さなプライベートプール付きの「デラックス ビーチ フロント ブレ」が18棟、プールなしの「ビーチ フロント ブレ」が18棟の計36棟。そして珊瑚礁の上に立つ「水上ブレ」が10棟。ブレの定員は各部屋2名なので、わずか92名の、それも大人だけに滞在が許された隠れ家なのだ。
ちょうど昼食のタイミングとなったため「フィジアナ レストラン」でランチをいただく。メニューは日替わりのコースとなっており、曜日ごとに設定されたアミューズ、メイン、デザートをそれぞれ選択するカタチ。前述のアプリで曜日ごとのメニューを見ることができるので、興味を持った方はチェックしていただきたい。肝心の味については語彙不足につき「絶品だった」としか言いようがない。特にメインの「イエローキングフィッシュの白バター醤油風味」は日本人のツボを知り尽くしているとしか思えない逸品であった。
昼食後はちょっとお勉強タイム。リクリク ラグーン リゾートを運営する「アフラ リゾーツ」では、リゾート施設を展開する一方、環境の持続性を考慮して保護や再生に力を入れており、ホテル周辺でもいくつかの施策を実施している。
なかでも目を引くのがイグアナの保護プログラム。リクリク ラグーン リゾートで、固有種であり絶滅危惧種に分類されている「フィジー クレステッド イグアナ」が発見されたのは2010年とごく最近のこと。それまでは絶滅したと考えられていたという。それ以後、自然条件下での繁殖を試みつつ、イグアナが住む森林の再生や外敵となる外来動物の流入防止といったプログラムを進めているそうだ。レセプション周辺に飼育ケージが設置されており、実際にイグアナの姿を見ることができる。
この日の部屋はビーチ フロント ブレ。レセプションから森のなかにある小道を抜けていくと小さなブレが点々と並んでいるのが見えてくる。自分のブレを見つけてなかに入ると目に入るのは板張りの床に太い木で組まれた梁、そして木製のドアや窓枠など、伝統的な工法を用いて仕上げられた空間。押しつけがましい豪華さとは無縁の落ち着いた雰囲気で、窓から差し込む夕日もどこか柔らかい感じ。
日が落ちると頭上には満天の星が瞬き、ひときわ輝く南十字星の存在が南半球にいることを教えてくれる。デッキに座って星空を眺めていても聞こえてくるのは木々を揺らす風や砂浜に寄せては返す波の音だけ。ただただ、ゆっくりと時間だけが流れていく、これこそ本当の意味でのリゾートなんだろうな。
翌朝、朝食のためにレストランに向かっていると、向こうからスタッフが歩いてくる姿が。さすがにこれだけフィジーに滞在しているとこちらも慣れたもので、機先を制すとばかりに「ブラー」とあいさつすると、なぜか「コンニチワ、タケシ!」と日本語で、しかも名前で返された。解せぬ……。と顔をしかめて思案していたが、どうやらエアラインのファーストクラスのように名簿を把握しているようだ。顔バレしているのはちょっとナゾだが、まぁ、日本人のおっさんは自分だけってことなのかも。こういった「おもてなし」にあまり慣れていないので、ちょっと照れてしまうのだった。
チェックアウト前に、少しだけ船に乗って岬の反対側へ。リクリク ラグーン リゾートはアダルトオンリーだったが、こちらには同じアフラ リゾーツによるファミリー対応の「Malolo Island Resort(マロロ アイランド リゾート)」があるのだ。直線距離ではわずか500mほどなので干潮時なら砂浜を、あるいはちょっと登山をすれば徒歩でも行き来ができるという。
こちらはファミリー向けということもあり、建物を含めて全体的にカジュアルな作り。レストランやバーに加えてアイスクリームショップやキッズ用プールを用意しているほか、2名用から多人数宿泊に対応したファミリーブレまでと幅広い部屋を設定している。
長らく滞在したフィジーもこの日が最終日。14時15分発のFJ351便に乗らなければならない。10時半前にボートに乗り込みマロロ島に別れを告げ、デナラウ港へを経由してナンディ国際空港に到着したのが11時40分。慌ただしくチェックインをして税関、手荷物検査を通過して出国ロビーへ。免税店は充実しておりアルコール類や衣類、お菓子といったあたりはワリと豊富な様子。免税品を購入するなら最後のチャンスになる。
復路の座席はエコノミークラス。こちらは2-4-2の座席配置となっており、シートピッチは31~32インチ。リクライニングも7.5インチ可能だ。タパ柄のクッションと毛布も各座席に用意している。機内エンタテイメント用のディスプレイは10.6インチ。
離陸するとすぐにランチが用意される。メインは3品から選択でき、そこにバターロールとコールスローサラダ、お菓子が付く。さすがに疲れていたのでひと眠りすると、窓の外はもう薄暗くなりはじめている。20時過ぎのディナーは肉料理またはチャーハン。ボリュームとしてはランチと変わらないぐらいだが、往路と同じく寝ていただけなのでこれぐらいでちょうどイイ感じ。ほぼ定刻どおり成田空港に到着。フィジーの旅が終わった。
振り返ってみると、フィジーはビーチリゾートとしては文句なくハイレベルな印象。海の美しさは写真を見てもらえば分かるとおりだし、あまり多くを伝えることはできなかったものの今回訪れたホテルはロケーション、ホスピタリティともにバツグンだった。食事が気になる人もいるかと思うが、東南アジアのようにクセが強くはないので、日本人的には受け入れやすい味付けに思えた。
物価に関しては円安とあって実質的にだいぶ高騰してしまっている。2019年のトラベル Watchの記事を見ると1フィジードルは50円前後と書かれているが、2024年の今はといえば1フィジードルは80円近い。とはいえ、小売店で飲料や食べ物の値段を見る限り、日本とそれほど大きくは変わらない印象だ。リゾートとはいえ懐にも優しく、さぁ行くぞと気張らずに済むのはありがたい。
海外旅行ビギナーにとっては英語圏であるのも大きい。英語をまともに話せない自分が言うのも何だけど、日本人ならある程度の単語は分かるだろうし、いまどきはスマホの翻訳ソフトも高性能だ。それでいて、アジア系観光客の姿が少ないのも新鮮な感じ。日本人観光客のみに絞っても空港以外で見かけたのは10人にも満たないほどだ。
一番の難関と思われるのが交通機関だろう。基本的にタクシー頼みになってしまうため、日本よりは割安とはいっても心理的なハードルが高くなってしまうのは否めない。もっとも、ナンディ国際空港から至近のデナラウ島周辺のリゾートならそんな心配も少ない。タクシー料金も高くないし、デナラウ港からフェリーに乗って足を伸ばせばこれぞ!というビーチリゾートも間近だ。
もう1つ忘れずに書いておきたいのが、時差がわずか3時間(サマータイムは4時間)しかないということ! FJ351便で成田空港に帰ってきて、翌朝から普通に起きて仕事をこなすことができた。乾期に入ったフィジーはこれからがベストシーズン。ぜひ訪れてビーチリゾートを満喫してほしい。