旅レポ

観光列車あをによしで行く憧れの奈良ホテル! アインシュタイン、ラストエンペラーも訪れた“関西の迎賓館”に泊まってきました

JR東海「いざいざ奈良」

奈良ホテルに泊まってきました

 俳優・鈴木亮平さんの「いざ、いざ、春日大社!」という台詞ではじまるJR東海の新しいテレビCMはご覧になりましたか? 2頭の“神の使い(鹿)”が鈴木さんのあとをくっついて歩く様子がなんともかわいいそのCMは、2022年から続く「いざいざ奈良」キャンペーンの第3弾「春日大社・高畑編」です。

 先日、その舞台となった春日大社・高畑エリアのスポットを巡るプレスツアーに参加して、奈良の奥深い魅力をたっぷり体感してきました。CMロケ地巡りのように楽しんだ1泊2日の奈良たびの様子を前編・後編でレポートします。

今回は近鉄の観光特急「あをによし」と奈良ホテルをご紹介!

大阪~奈良~京都をむすぶ近鉄観光特急「あをによし」。「あをによし(青丹よし)」とは古都・奈良にかかる枕詞

初乗車です

 JR東海「いざいざ奈良」キャンペーン。キャッチコピーの“いざいざ”とは、万葉集や古事記のなかで「人を誘(いざな)う」という意味に用いられた“いざ”を繰り返した言葉で、奈良への旅の誘いを表わしているのだそう。今回のプレスツアーでは近鉄観光特急「あをによし」が奈良に誘(いざな)ってくれました。

やってきました!
高級感あって気品あるカラーリング
エンブレムがカッコいい

 2022年4月29日のデビューからまもなく1周年を迎える近鉄の「あをによし」は、大阪~奈良~京都を結ぶ観光特急です。古都・奈良をイメージさせる上質な内外装で、全84席の車内はゆったりした座席配置が特徴。1、3、4号車は2名用のツインシート、2号車のサロンシートは3~4名用のグループ専用席となっています。

正倉院の宝物に使われていた天平文様をイメージした柄や色使いが各所に。エンブレムはおめでたいことが起こる前兆とされる鳥が花枝をくわえたデザイン

 車内にはライブラリーのほか、車内限定スイーツやドリンク、オリジナルグッズなどを置く販売カウンターも。いただいた「あをによしバターサンド」を食べながら近鉄奈良駅までの移動を楽しみました。

“乗った瞬間から悠久の歴史・文化を感じる上質空間”と謳うだけあって素晴らしい内装
4両1編成で、今回乗車したのは1号車
2号車のサロンシート。パーティションで区切られているので半個室のような雰囲気
天井のライトや床のカーペットなどにも注目
大きな荷物を置けるスペースも
洗面台にもこだわりが感じられます
各座席にはコンセントを設置。車内Wi-Fiサービスもあります
身体が包み込まれるようなシート。色は青丹(あおに)色。枕詞はここから来ているのですね
正倉院の宝物にありそうな、この青いライトが気に入りました
車内販売限定の「あをによしバターサンド」はドリンクセットが1100円、単品は850円
車体カラーをイメージして作られているので紫色! 紫芋パウダーを使っているのだとか
プリンも売っていると聞いて販売カウンターへ。通路のアーチ天井が素敵
おお、これですのね! 「まほろば大仏プリン(カスタード)」(400円)
生ビールサーバーからのつぎたてが飲めるクラフトビール。ほかにもワインや日本酒なども
記念乗車証(無料)が販売カウンターに置いてありますのでぜひ!
とろっとろのプリン美味しい
「もうすぐ平城京跡復原工事が見えてきますよ」と言われてとっさにカメラを構えると……
第一次大極殿院 東楼復原という文字が見えました

 京都から近鉄奈良駅までの所要時間は34分。バターサンドとプリンを食べていたらあっという間でしたが、さすが観光列車! くつろぎの車内空間はそれだけで旅がグレードアップしますね。ちなみに料金は、普通運賃760円+特急料金520円+「あをによし」特別車両料金210円の合計1490円です(ツインシートを2名で利用する場合の大人1名あたり)

「奈良公園前」という副駅名と子鹿イラストが入ったこの駅名標は最近新しくなったのだそう

 近鉄では4月28日まで、「いざいざ奈良」キャンペーンとのコラボ企画を実施中。東海道新幹線を利用して観光特急「あをによし」に乗車すると記念品(コラボ巾着)がもらえますよ。詳しくはこちらで。

「いざいざ奈良」×「あをによし」コラボ記念品の巾着

憧れの奈良ホテルに宿泊! 和洋折衷の美しい佇まいにうっとり

設計は東京駅や日本銀行本店を手掛けた辰野金吾氏。瓦葺きの建物は一見、ホテルというよりは旅館のよう

 私が奈良ホテルのことを知ったのは6~7年前。いつも髪を切ってくれる美容師さんが「奈良ホテルっていう素敵なクラシックホテルが奈良公園のなかにあるんだって」と教えてくれたのがきっかけでした。以来、私の“泊まってみたいホテル”にランクインしていた奈良ホテル。ラッキーなことに今回泊まることができました。

ロビーの吹き抜け格天井の高さは約9mも!
マントルピース(暖炉)が鳥居に囲まれているという組み合わせがユニーク

「いざいざ奈良」キャンペーンCMでも、鈴木亮平さんが赤い絨毯の大階段を上るシーンなどがある奈良ホテル。松竹映画「男はつらいよ」の第1作でも登場しているそうですよ。

奈良ホテル屈指の写真撮影スポット。ぜひここで映える記念写真を!

“関西の迎賓館”ともいわれる奈良ホテルの創業は1909年(明治42年)。114年の歴史を持つクラシックホテルだけあって、過去に訪れた海外ゲストは超豪華。チャールズ・チャップリンやヘレン・ケラー、オードリー・ヘップバーンなどそうそうたる顔ぶれです。大正時代には物理学者のアインシュタイン博士も! そのときに博士が弾いたピアノがロビー「桜の間」に展示されています。

大階段を上がった2階。和風シャンデリアに目が釘付け
客室へ続く本館の廊下は天井が高い

 奈良ホテルには本館と新館があり、全62室ある本館は築100年の木造建築の重みを感じるクラシックな雰囲気。パークサイドとタウンサイドがあり、客室はクローゼットの位置が違っていたりして一室ごとに広さも微妙に異なるのだとか。

本館1階のパークサイドのお部屋を見学させてもらいました
まず目に留まったのがエレガントな照明

 今回見学させてもらった本館1階のお部屋はパークサイドの角部屋なので緑が見える窓が2か所。広さは25.5m2で、4.2mある高い格天井のおかげか、もっと広いように感じました。

本館スタンダードツインの角部屋。ヨーロッパの古いホテルのような雰囲気!
創業当時のマントルピース(暖炉)。現在は使われておらずイミテーションですが、こうして残すことに意味がありますよね

 一方、「吉野建て」という建築方式を採用して1984年に建てられた新館は全65室。今回私はこちらの新館に泊まりましたが、緑あふれる中庭に面していて、ベランダ越しに見える景色はまるで高原にいるみたい。新館とはいえ重厚で落ち着いた雰囲気はさすが奈良ホテル!

こちらが泊まった新館スタンダードツインのお部屋。本館より少し広くて33m2あります
落ち着きつつも華やかな気持ちになる居心地よい空間
全客室無料のWi-Fi接続サービスです
肌触りのよいナイトウェアはホテルショップで販売も
ドリップパックは奈良ホテルオリジナルコーヒー
景色を見ながらゆっくりお茶を
マントルピース(暖炉)を模した室内装飾
シャンプー・コンディショナー、ボディソープはMiller Harris。ホテル名が書かれたバスマットはいい気分に♪
創業以来のメインダイニングルーム「三笠」では、歴代の料理長から受け継いだ伝統のフランス料理がいただけます。朝はここが朝食会場
興福寺の五重塔が見える席も。7月から大規模な保存修理工事が行なわれるため、当面の間、この五重塔の姿を見ることができなくなるそう。貴重な1枚が撮れました
本館ロビー「桜の間」では17~20時にコーヒーやジュースなどフリードリンクを用意して宿泊者専用スペースに
桜の花をイメージしたという照明
このカーテンレールは創業当時のものだとか
なんとこの席は葉書用デスク!
奈良ホテルに泊まったらぜひ「桜の間」でのひとときを
そしてこちらがアインシュタイン博士が弾いたピアノ! そのときの写真が飾られています
奈良ホテルオリジナル商品のほか、奈良の名産品なども
奈良ホテルクッキー。正倉院文様の宝相華がデザインされた青い缶のなかには10種類のクッキーが
奈良ホテルオリジナル紅茶はメインダイニングルーム「三笠」で提供しているもの
バスマットも。おうちのバスルームが奈良ホテルに変身
ホテルタグのラベルステッカーやコースターなど

夕食は奈良町の旧邸宅で大和ポークのしゃぶしゃぶを

奈良ホテルから歩いて5分。古都らしい雰囲気の店構えにワクワク

 夕食は奈良ホテルから徒歩5分の肉懐石料理 冨久傳(ふくでん)へ。暖簾をくぐって店内に一歩入った瞬間から出汁のいい香りが! こちらでは地元・奈良のブランド豚「大和ポーク」や大和野菜をしゃぶしゃぶでいただきました。みずみずしい大和野菜とクセのない柔らかい豚肉はお店特製の出汁とベストマッチ。日本酒もグイグイすすみました。奈良に行ったらぜひまた立ち寄りたいお店です。

カウンター席のほかに、奥には蔵を改装した個室も
ホタルイカなど旬の食材が盛り込まれた前菜
ローストビーフとウニを一緒に食べたのは初めて
魚もしゃぶしゃぶ
お豆腐もしゃぶしゃぶ
柔らかくてジューシーな肉質の大和ポーク
出汁や薬味も数種類ありました
〆はお茶漬け風か中華麺のつけ麺風のどちらかをチョイス
迷いに迷って麺にしました

あゝ奈良ホテルの夜は更けて

夜の雰囲気もたまりません。ずっと見ていたい!

 ほろ酔いでホテルに戻って、そのまま同行の記者さんたちと本館1階にあるバー「ザ・バー」へ。せっかくなので奈良ホテルオリジナルカクテルを飲みましょうということになりました。

 私は「サイドカー」というカクテルにしたのですが、メニューをよくよく見ると、「1935年、満洲国皇帝 溥儀をお迎えする際に新調した88年前のグラスでどうぞ」と書いてあるではありませんか! ええ~!? 溥儀っていったら清朝最後の皇帝、つまりラストエンペラーのことじゃないですの~!?とびっくり。さすが西の迎賓館、奈良ホテル!

奥から、奈良のにごり酒や桃、桜リキュールを使った「万葉美人」。真ん中は奈良ホテル創業100周年の記念カクテル「マントルピース」。一番手前が「サイドカー」
こちらがラストエンペラーこと満洲国皇帝 溥儀が国賓として来日し、奈良ホテルに宿泊する際に新調したグラスで提供される「サイドカー」。88年前のクラシックなカクテルグラス、素敵すぎます

 アインシュタインとかラストエンペラーの登場で興奮しまくったので眠れないかと思いきや、ぐっすり眠れた翌朝。朝食を食べにメインダイニングルーム「三笠」へ。ここでは朝定食を和食・洋食・茶がゆの3つから選べます。奈良といえば茶がゆ!ということで迷わず茶がゆ定食をオーダー。さらりと炊き上げているので食べやすいおかゆでした。おかわりもできます。

朝食はメインダイニングルーム「三笠」で
茶がゆ定食は思っていた以上におかずがたくさんで、どれも滋味深くて優しい味
香り高い緑茶で炊いている大和の茶がゆ。一緒に食べる奈良漬けが美味しい

 後編は、CMにも登場する春日大社・高畑エリアのお勧めスポットを盛りだくさんでご紹介! 文化、歴史、自然にグルメと見どころ満載です。お楽しみに!

素敵な滞在でした

限定した列車で特別な割引を受けられる旅行商品「ずらし旅」がお勧め!

 JR東海は、旅する時間や場所、行動をずらす「ずらし旅」を推進しています。この春のキャンペーン「いざいざ奈良 春日大社・高畑編」×「ずらし旅」プランも登場! 旅行商品「ずらし旅」についてくる“選べる体験”では、春日大社国宝殿の拝観と、高畑エリアを中心としたイチオシ名所6施設のうち2施設を選べる名所クーポンを用意。CMの舞台を満喫できますよ。

空室・料金チェック
ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。